はぁ・・・どうしてこうなった事やら・・・・・・
「で?言い訳を聞こうか?」
この男はドワーフ王国警備隊隊長のカイドウ。スライムの体なら牢の格子なんて簡単に抜けられるという理由でリムルを酒樽に突っ込み、ゴブタを縄で縛り、俺を鎖で雁字搦めにして牢に放り込んでくれた張本人だ。
誤解される前にはっきりと言っておこう。俺達は別に何も悪いことは一切していない。
説得しようとリムルが必死に弁明をしており、俺も不足しているところをフォローする。
「自分達は入国審査の列に並んでただけですって。そしたら・・・・・・・」
そう、あれは2人組の冒険者に絡まれた時だった。
「おいおい、魔物がこんな所にいるぜ?」
「まだ中じゃないし、ここなら殺してもいいんじゃねぇの?」
「おい、荷物置いてけよ。それで見逃してやるよ。そこの鎧着たお前は鎧と武器も置いていけ」
その1、絡まれた
「・・・・ゴブタ、前に来た時もこんな感じで絡まれたのか?」
「はい、ここでボコボコにされて、コボルトの商人さん達に拾われたっす!あそこで拾われなかったら、俺、死んでたかもしれないっすね?」
・・・・それを聞いて俺は片手で頭を抱える。
「絡まれたんだ・・・じゃあ、しょうがないか?」
「弱い魔物の宿命みたいなもんなんすよ・・・・」
リムルの疑問に、何やら悟ったような目をして項垂れながらゴブタが答えた。
うーん。そういうのは先にいってほしかったなぁ・・・昨日の夜にボソッと言っていた気がするな。
「おい、雑魚い魔物のくせに、こっち無視してんじゃねーよ!鎧着ているお前も、こんな雑魚と一緒に居るってことはどうせ見掛け倒しなんだろ?」
・・・・・・流石にこれで腹が立つなというのは無理がある。まぁ、怒らせて攻撃した所を正当防衛振りかざして好き放題するつもりなんだろうが。
「ゴブタ君・・・前に俺が言ったルールの3つ目、覚えているかね?」
「はいっす!『人間を襲わない』!」
「うむ。では、少し目を瞑り、耳を塞いでおくんだ」
「?よくわかんないっすが、了解っす!」
「おい!さっきからぺちゃくちゃ喋っていないでさっかと荷物を置いてけ!雑魚魔物が!!」
「・・・雑魚?それは俺のことか?」
とりあえず、リムルが対処するみたいだ。まぁ、いざという時はあまりしたくないが、軽く叩きのめしてやれば良いだろう。
「てめーに決まってるだろうが!スライムなんざ、雑魚中の雑魚だろ!」
「ほう?俺がスライムに見えるのか?」
「喋るのは珍しいが、どっからどー見てもスライムだろうがよ!」
「こいつ、ふざけやがって・・・・どうやら痛い目見ないと自分達の置かれた状況が分からないみたいだな・・・ええ?スライムさんよぉ」
そう言って、剣を構える2人組。しっかし、何処の世界にもマナーしらずな奴っているもんなんだなぁ。どうして順番を待つということすらもできないのか・・・・・
「ククク。いつから俺がスライムだと勘違いしていた?」
・・・・・リムルの奴、演技がちょっとノリノリになってないか?
「違うってんならさっさと正体を見せな!死んだ後では言い訳もできないぜ!」
そう言いながら2人組がリムルに襲いかかった瞬間、リムルの身体から黒い霧が噴射される。そして、霧が晴れた後には1体の魔物が出現する。
その2、リムルが狼に変身した。
「どうだ?これが真の姿(ウソ)だ。」
なるほど、これなら奴等もおとなしく諦めるだろう。
因みに、リムルが擬態したのは、『
これで大丈夫!・・・と、思ったら・・・・・・・・・
「ハッタリだろ?見た目だけ厳つくしてもスライムはスライムだぜ!」
「おい、お前らも来い!5人でやっちまうぞ!」
まったくと言うほど、ビビっていない。しかも、少し離れて所に居た仲間を呼んできた。
いくら何でも、見た目だけで実力を判断するって、馬鹿としか言いようがないな・・・・・
「うおお!風破斬!」
「くらえっ」
「火炎球!」
リムルが動かないことを良い事に、攻撃を仕掛けまくっているが、まったく効いてない。偶に流れ弾がこっちにきたが、全部斬り伏せたので、問題ない。
ぷちっ
コイツら本当にどうしようかと思っていたら、そんな音がリムルから聞こえた気がした。
「お前らいい加減にしろ!!ダメージなくてもウザいわっ!」
「ん?おい、ちょっと待てリムr」
そう言い、俺が止める間も無く、リムルは『威圧』も込めた咆哮をかました。
その3、ちょっと大きな声で吼えた
馬鹿な五人がやられるだけだったらよかったのだが、リムルは盛大に周囲に居た他の人達も巻き込んでしまった。
《個体名:リムルの威圧の効果を報告します。逃走16名、錯乱68名、失神92名、失禁「いや、被害報告とかはいいからな?」・・了》
流石にリムルもやっちまったという感じの顔をしている。これ、本当にどうするんだよ・・・・
そう考えていたら・・・・・
「こらー!そこのお前ー!!」
扉の方からドワーフ王国警備隊の人達が走って来た。
ビクゥッ!とその声に反応したリムルは慌てて『擬態』を解く。
「は?スライム?」
「えーと・・・テヘペロ!」
そして、俺達は参考人として連行されたのだ。
「・・・・というのが事のあらましです。ね?俺達悪くないでしょ?」
「うーん・・・まぁ、見ていた者の証言と概ね一致するが・・・・」
ユニークスキルなどについては伏せつつ、包み隠さず全て話したのだが・・・まだ、少し疑われてる気がするのでどうにかしたいのだが・・・・・
バターーーン!
どうするかと俺達が思っていた所に、大きく扉が開かれた。そして、勢いよく兵士が飛び込んでくる。
「隊長、大変だ。鉱山でデカい事故が起きた!なんでも、アーマーサウルスが出たとかで・・・」
「なんだと!?町に出てくる前に仕留めんと・・・っ」
「いや、そっちは大丈夫です。すでに巡回のヤツらが討伐に向かってます。ただ・・・・『魔鉱石』の採取のために奥まで潜っていた鉱山夫が酷い怪我を負ったようで・・・・」
「なにっ!?ガルム達が!?」
何というか・・・・
「俺達空気な」
「っすね。」
リムルとゴブタの言う通りだな。しかし、アーマーサウルスか・・・確か、洞窟にいた頃に倒した蜥蜴がそんな名前だったな。俺達は一撃で倒せたが、一般人からすれば充分脅威なのだろう。
「詰め所行きの回復術師達も付き添いで行ってしまってて、今はひよっこしか残っていやしねぇ!!しかも今は戦争の準備だかで回復薬の
「馬鹿言うな!あいつらは俺の兄弟みたいなもんなんだ。そう簡単にくたばってたまるか!とにかく、今あるだけの回復薬で・・・・・」
ふむ、これは・・・・・
「おい、リムル」
「ん?」
「とにかく回復薬をかき集めろ!早くしねえと間に合わなk「旦那、旦那」ん?あっ、おい!何勝手に出てんだお前!」
「まぁまぁ、それどころじゃないんでしょ?これ、必要なんじゃないですかね」
そう言ったリムルが乗っている机の隣に、さっきまでリムルが入っていた酒樽を置く。
ちなみに鎖は普通に引き千切った。俺を拘束するのなら最低でもネルスキュラの糸並の耐久力は欲しいな。
「これは・・・・」
「回復薬ですよ。飲んで良し!かけて良し!の優れもの!」
ご存知、リムル特製の回復薬。魔物から提供された得体の知れない薬なんて、正直言って普通は試そうなんてしないだろうが・・・・
「旦那の兄弟分、このままじゃヤバイんでしょ?他に打つ手がないんじゃ、とりあえず試してみちゃどうです?」
今は緊急事態、しかも大怪我をしているのは彼の兄弟分。弱みにつけ込んでいるようなもんだが、交渉の為だ。致し方ない。
リムルに説得され、少し考えたそぶりを見せ、顔を上げてこちらに向くと、
「お前らここから出るなよ!おい!行くぞ!」
「隊長マジすか。アレ魔物でしょ?」
「うるせえ!とっとと案内しやがれ!!」
そう言って、部下を連れて部屋を出て行った。とりあえず、俺達の事を信じる事にしたようだ。
見かけ通り、人のいいヤツでよかった。とにかく、今は薬が効いてくれることを祈ろう。
待つこと1時間ほど、リムルは糸を操る練習を、俺は片手立ちで筋トレを、ゴブタは寝て暇を潰していたら、ドアの方から足音がしたので、中断し、待っていると・・・・・・
「助かった!ありがとう!!」
部屋に入って来るなり、カイドウがそう言って頭を下げてきた。それに続いて、件の鉱山夫達も口々にお礼を言ってきた。
「あんたらがくれた薬じゃなきゃ死んでた!ありがとう!」
どういたしまして。
「今でも信じられんが、千切れかけてた腕が治ったんだよ。生き残れても仕事がなくなる所だった」
そいつは良かった。腕や脚は大事だからな。
「・・・・・・(コクコク」
・・・・・・いや、何か言ってくれよ。凄い感謝しているという気持ちは伝わってくるけどよ。
「いやホント、あんな凄い薬は初めて見たぜ。俺に出来ることなら、何でも言ってくれ」
「いやなに、当然の事をしたまでだよ」
今回の一件で、カイドウは俺達を信用してくれたようだ。
最初はどうなることかと思ったが、何とか上手くやっていけそうだ。
一夜明け、翌日。さすがに一様の面目などもあり、今すぐ釈放は出来ないという事で、詰め所の一室を借りて夜を過ごし、釈放された俺達は、カイドウの紹介で鍛冶屋に行くことになった。
しかしまあ・・・・・
「すごいな・・・」
「あぁ・・・・」
「っすね・・・・」
さすがは物作りに長けているというドワーフの国だ。ゴブリン村に比べてずいぶん文明的だ。その中でも特に武器防具が凄い。数も種類も豊富だ。
俺の世界のナグリ村を彷彿とさせる。そういえば、我らの団の加工担当に弟子入りしたナグリ村の加工屋の娘やナグリ村の人達も元気にしているだろうか・・・・
うん?この辺りの武器、なんか薄く光ってるな。
「あ、それそれ、それ打ったヤツだよ。」
「ん?」
武器を見ていた俺とリムルにカイドウが後ろから声を掛けてくる。
「これから会う鍛治師」
どうやら目的地に辿り着いたようだ。
「おい!兄貴、いるかい?」
そう言って、カイドウが店の中に入って行く。
「お邪魔します」
「お邪魔しま〜す」
「どうもっす!」
そう言いながら、俺達もカイドウに続いて店に入っていく。
店の奥の方で、槌を振るい、黙々と作業をしているドワーフがいた。
「なんだカイドウか。悪いが、今忙しいんだ。急ぎでないなら日を改めてくれ」
恐らく彼が、カイドウが紹介したいと言っていた鍛治師、『カイジン』だ。ここに来る道中、聞いていたが、何でもカイドウの兄だとか。
しかし・・・・どこか我らの団の『加工担当』と同じような雰囲気を感じる。同じ鍛治職人だからかな?
・・・・・あれ?
「ん?・・・昨日の3人じゃないか。ここで働いていたのか。
「ああ、どうも、リムルの旦那。ジンの旦那」
リムルが声を掛けたのは、昨日、回復薬で助けた3人組だ。思ったよりも早く再開出来たわけだが・・・奇妙な偶然もあったもんだ。
ちなみに昨日聞いたが、彼等3人は兄弟だとか。
「カイジンさん、このお2方ですよ。昨日、俺達を助けてくれたスライムと人族は。」
3兄弟の長男『ガルム』が俺達の事を説明する。
「そうだったのか。礼を言う。すまんが、今ちょっと手が放せなくてな」
「いや、いいよ」
「邪魔をしてすまない」
話は彼の作業が終わった後でも出来るだろうしな。
「親父さん。相談してみちゃどうです?」
「む?」
そこに次男の『ドルド』がやって来て、カイジンに話しかける。
「いやいや、相談しても無理だろ」
「でも、あんな不思議な薬を持っていた方達ですぜ」
「そうですよ、親父さん」
「・・・・・・(コクコク」
おいおいおい、ただのスライムや元ハンターに何を期待してるんだ?
まぁ、ここで恩を売っとくのもアリなのか?内容を聞いてみないと役に立てるかどうかはわからんが。
リムルに視線を送ると、リムルはこっちに頷いてくれた。決まりだな。
「役に立てるかはわからんが、話してみてくれ」
リムルがカイジンに話しかける。
「実はな・・・・・・・」
「・・・・・成る程。今週末までに
「素材が足りないと・・・」
それはかなりまずいのではないだろうか・・・・俺もハンター時代に納品のクエストはかなりやってきたが、今回の件は、それらとはかなり勝手が違う。
期日を守れなかった事はなかったが、それでも、期日までに納品ができない事の不味さはなんとなくだがわかる。
「国が各職人に割り当てた仕事だ。引き受けた以上、出来ないじゃ済まされねぇ」
うーむ、どうしたものか・・・
「・・・・ん?これは違うのか?」
リムルが壁際に乱雑にまとめて置かれた
「ああ、それはただの鋼の剣だよ。今回の依頼は『魔鋼』を使った
うん?『魔鋼』?
「普通の剣とどう違うんだ?」
俺と同じような疑問を持ったらしいリムルが、カイジンに質問する。
「ウチにあった在庫で出来たのはこの1本だけだ。見てみるか?」
「頼む」
俺がそう言うと、カイジンは近くに置いてあった1本の剣を持って俺達に見せる。
これか・・・・あれ?この剣も光って見えるな。さっきの纏めてあった剣は光ってなかったが・・・・・
「この剣は、魔力を馴染ませやすい『魔鋼』を芯に使ってあるんだ。簡単に言うと、使用者のイメージに添って成長する剣なのさ」
何だそりゃ。前の世界には絶対に無かった特性を持つ武器だな。
「なら、兄貴。まず引き受けなきゃ良かったんじゃねぇか?」
「俺だって最初は断ったさ。そしたら、あのクソ大臣のベスターの野郎が・・・・・」
『名高いカイジン殿ともあろうお人が、コノ程度の仕事も出来ないのですかな?(笑)』
「とか、こともあろうに国王の前で言いやがって・・・・!」
うわぁぁ・・・それは仕方ないな。
「落ち着けって兄貴。
「やれる事はやったさ。でも絶望的だ」
これはほぼ詰んでるなぁ・・・・・・
「くそっ、期日までもう5日も無いってのに・・・」
カイジンが苛立たしげに、机を叩きながらそう言う。
ここまで話を聞いていたが、その大臣のベスターとかいう奴が『魔鋼』を買い占めるなりして、カイジンを陥れようとしてるんじゃないかと考えたのだが・・・・・考えすぎかなぁ。
ところで相棒。1つ聞きたい事があるのだが。
《はい》
洞窟にいた頃、リムルが鉱石を見つけ次第喰いまくっていたよな?確かあれって・・・・
《解。個体名:ヴェルドラ=テンペストの魔素を受け、超高純度となった魔鉱石です》
やっぱり!!
《なお、個体名:リムル=テンペストならば、即時に精製、『魔鋼』を抽出する事が可能です》
よし。それなら・・・
「なあ、リムル、『相棒』に聞いたが、お前が洞窟にいる時に喰ってたのが使えるらしいぞ」
「おう。俺も今ちょうど『大賢者』に確認を取っていた所だ。任せておけ」
「ああ、頼む」
「・・・・とまぁ、こんな状況よ。」
「なあ、カイジン。」
説明を終えたカイジンに俺が話しかける。
「ん?」
「俺達の村に技術指導として来る気はないか?」
「・・は?いや、俺は・・・・」
「いやー、親父さんの打つ剣、気に入っちゃって。」
リムルはそう言いながら、いきなりの俺の提案に狼狽えるカイジンを尻目に、魔鋼の
「あっ、コラ!なに食ってんだ!それは1本しか無い完成品なんだぞ!?・・・・・・って、おいコラ!」
剣を飲み込んだリムルはカイジンの声を無視し、続いて置いてあった鋼の剣を全て飲み込む。
数秒後、リムルを中心に強い風が起こる。
俺は平気だったが、カイジン達は思わず顔を腕で庇う。そして庇うのをやめると・・・・・・
「無理強いはしないさ。でも、検討はしてみてくれ」
「魔鋼の
そこには、今し方リムルが作った、薄く光った魔鋼の
何とかクリスマスまでには出せました・・・・・
それと、前回は言い忘れてしまいましたが、⭐︎評価をしてくださった、北の森様、青い眼をしてる黒い龍様、北竜様、白神白夜様、四葉志場様、黒瀧仙様、イセリアル様、わけみたま様、A day様、おぼ様、緋色の茶会様、禅吉様、本当にありがとうございます!しかも、⭐︎10をしてくださる方もいらっしゃるだなんて・・・・本当に嬉しいです!
さらにお気に入り登録250件・・・・!
よりいっそう執筆を頑張らさせていただきます!
しかし、書くのは大変だけど、早く戦闘シーンを出したいなぁ・・・・・