転生してもハンターだった件   作:邪神イリス

8 / 23
運命の人達

 

 

「打ち上げぇ?」

 

 何とも嫌そうな顔でリムルがそう言う。

 

「ああ、リムルの旦那とジンの旦那のおかげで無事に納品できたんだ。御馳走させてくれや」

 

「俺は行くぞ。ここの所酒が飲めていなかったし」

 

「いいよそんなの。味覚無いし」

 

 俺はともかく、味覚が無いリムルは断るつもりだったようだが・・・・・・

 

「綺麗なお姉ちゃんもいっぱいいるから!」

 

「そそっ。若い娘から熟女まで!」

 

「・・・・・・・・・・!(コクコク」

 

 3兄弟のこの言葉を聞くと、すぐに前言を撤回し、行く事にした。リムルは「仕方ないなぁ」と言いつつも、満更でもない顔をしており、ゴブタも顔が一気に明るくなった。

 

 お前ら分かりやすすぎるぞ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まだ、仕事があるというカイドウと別れ、俺達は打ち上げをしに向かう。

 

 打ち上げをする場所は、彼等の行きつけの店で、名前は『夜の蝶』と言う。

 

 カイジンの店から少し歩いて、その店に到着。中に入店すると・・・・・・

 

「「「「いらっしゃいませーーー!!」」」」

 

『FOOOOOOOOOOOOO!』

 

 店員さん達の声が聞こえたと同時に、興奮しすぎて誤って発動したらしいリムルの念話が頭の中に響いてきた。

 

「うわぁ。可愛い!」

 

 魔物と言えど、女性陣からしたら愛らしい見た目のリムルは、すぐに店員の女の子達に抱き上げられ、揉みくちゃにされてた。

 

 ・・・・・・まぁ、幸せそうだし大丈夫だろう。

 

 

 そんな事を考えながら、凄いデレデレな状態になっているリムルを見ていると。

 

「お兄さん、カッコいいね」

 

「ありがとう」

 

 何人かの女の子達がこちらにやってきた。

 

 しかしまぁ、一般的な感覚からしたら、充分露出している格好だし、目の保養になるのだが、正直前の世界の女性ハンターの装備の方が露出度が高かったので、そこまで興奮したりはしないな。特にキリンシリーズやナルガシリーズとかがなぁ。あれ絶対工房の人達の趣味だろ。

 

「えーと、楽しんでくれてるみたいでなによりだ」

 

 カイジンのその言葉で、デレデレになっていたリムルは落ち着きを取り戻したようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リムルが落ち着きを取り戻したところで、俺達は席に座り、食事や酒を楽しんでいた。

 

「いや本当、旦那らには感謝してるんだ。お陰でドワーフ王への面目が立つ」

 

「そいつは良かった。」

 

「しかし恐れ入ったよ。俺の渾身の一振りが、まさか数秒で量産されちまうとはね」

 

カイジンの一振り(オリジナル)が素晴らしかったからな。俺はそれを複製(コピー)しただけだ。」

 

「あんたは最高の職人だよ。カイジン。」

 

「・・・・・・・」

 

 俺達のこの言葉に嘘偽りはない。実際、カイジン以外の剣でもコピーは可能だろうが、勘みたいなものだが、彼の一振りを超える物は出来なかったと思う。

 

「それでな、旦那ら。村に来ないかと誘ってくれただろ?あれなんだがな・・・・・」

 

「あ、ママさん。さっきの美味しいのおかわりもらえる?」

 

「俺もさっきのと同じのを頼む。」

 

「お、おい。旦那ら!?」

 

 「はい、どうぞ。「ありがとう」スライムさん。味、わからないんじゃなかったの?」

 

 「綺麗な人にお酌してもらえたら、何でも美味しく感じるんだ」

 

「あら、お上手」

 

 カイジンの言葉を遮ったのには理由がある。

 

 彼はこの国の職人で、王に恩義もあるだろう。義理堅い性格みたいだし、無理を言って困らせたくない。

 

 彼の剣を見てみる限り、かなり良い腕の職人みたいだし、国がそんな技術者を簡単に手放すとも思えないしな。

 

 それに、見返りは充分貰ったような物だし、これ以上求める気も無い。

 

 あ、そういえばゴブタはどうしたかって?

 

 アイツは今回は留守番だ。まだ子供だから仕方ないね。俺とリムルの糸で動けないようにして、カイジンの店に置いて来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇ、スライムさん。お兄さん。これ、やってみない?」

 

「「ん?」」

 

「これ!」

 

 俺達に声を掛けてきた褐色に黒髪のエルフの女の子が持っていたのは、顔と同じくらいの大きさの水晶玉だ。

 

「私、これ得意なんだよ?結構凄いって、好評なんだから」

 

 ふーん。

 

「へ、へぇ。それで、一体何をするんだ?」

 

 いや、リムル。ドキドキしている所悪いのだが、水晶玉で得意という事は恐らく・・・・・

 

「占いよ」

 

 やっぱり。リムルも少し拍子抜けした雰囲気だ。しかし、占いかぁ・・・

 

「何を占ってくれるんだ?」

 

「そうねぇ。何が良い?」

 

 何が、と、言われても、うーむ・・・・・

 

 どうしようかと悩んでいると、

 

「スライムさんとお兄さんの『運命の人』とか!」

 

 え?

 

 リムルを膝に乗せているエルフの子が、そんな事を言い出した。

 

「あ、それ良いかもー」

 

「じゃあ、始めるね」

 

 俺達に有無を言わさず、占いが始まった。

 

 『運命の人』かぁ・・・・俺からすればそんな人は既に結構居るしなぁ。

 

 この世界で初めての友であるリムルやヴェルドラ、前の世界なら、我らの団の皆に、新大陸調査団のメンバー。

 

 『ギィ』とその仲間(アイツ曰く雑用らしいけど)との出会いだって、運命のような物だ。今頃何をしてるんだろうなぁ。

 

「あ、映った!」

 

 お?どれどれ。

 

 俺達は水晶玉を覗き込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこにまず映ったのは、左眼の眼元に火傷のような痕が付いた黒髪の女性と5人の子供達。次に映ったのは若い風貌の男性。最後に、鎧を纏い、剣を腰に掛けた女性と一緒に映る姿。

 もしかして、この火傷痕の様なのが付いている女性が、俺達の運命の人なのか?

 

 そこに同じように水晶玉を見ていたカイジンが声を掛けてくる。

 

「おい、その人もしかして・・・爆炎の支配者。シズエ・イザワじゃねぇか?」

 

 シズエ・イザワ?

 

「有名なのか?」

 

 リムルがカイジンに問い掛ける。

 

自由組合(ギルド)の英雄だよ。見た目は人間の若い娘さんだが、何十年も活躍してたんだ。今はもう引退して、どっかの国で若手を育ててるんじゃなかったかな」

 

「英雄・・・・」

 

 シズエ・イザワ、か・・・何処となくリムルの前世の名前に似ているな。こちらの世界で当てはめるなら、シズエの方が名前で、イザワが名字かな?

 

「スライムさんとお兄さん。運命の人、気になるんだ?」

 

「ん?そりゃまぁ、運命と言われてるしなぁ」

 

「ずるーい」

 

「いや、ずるいと言われてもな・・・・」

 

 そんな事を話していると、誰かが店に入って来る音がした。

 

「あら、いらっしゃい」

 

「おい、女主人(マダム)!この店は魔物の連れ込みを許すのか?」

 

 そんな声が聞こえてきた。一体何だ?魔物・・・この場合はリムルの事だな。今思い出したが、秘密にする気は無かったが、俺の種族が人間ではなく、『真竜人』だという事を言ってなかったな。

 

「え?い、いえ。魔物と言いましても、紳士的なスライムですし・・・・」

 

「なにぃ?スライムは魔物じゃないとでも抜かすか!?」

 

「いえ・・・・・・、そのような訳では、決して・・・・・」

 

 ママさんがのらりくらりと言葉を濁して怒りを逸らそうとしているのだが、全く取りあおうとしない。

 

「まずいな・・・大臣のベスターだ。」

 

 へぇ、アイツがカイジンを陥れようとした(あくまで可能性)噂の大臣か。いかにも神経質って感じだが・・・ん?水差しを持って・・?

 

 

 バシャーーン!

 

 

 冷たっ!

 

「ふん!魔物にはこれがお似合いよ。」

 

 コイツ、リムルに水をぶっ掛けてきやがった!しかも近くに居た俺にも少し掛かったし、リムルを膝に乗せてる子に水がちょっと掛かったが、それを気にする素振りもない。

 

「た、大変・・・っ」

 

「お兄さん、スライムさん、大丈夫?」

 

 女の子達がハンカチで濡れた俺達を拭いてくれる。

 

「・・・・ああ、大丈夫だ」

 

「・・・・俺も大丈夫だよ。お姉さんこそドレス濡れなかった?」

 

 もちろん内心はブチギレモードだ。これでキレない訳が無い。

 

「いいよ、大したことじゃない。」

 

 リムルが大臣を睨みつけようとした子達を諫める。

 

 頭にきたが、相手は一国の大臣だ。俺達の短気でカイジン達やこの店の人達に迷惑を掛けるわけにはいかない。

 

 

 ガタッ!

 

 

 ん?カイジン?

 

「おや、カイジン殿。貴方もこの店nぶげらぁっ!」

 

 カイジンが立ち上がったかと思うと、そのままベスターに近づき、思い切り右手で殴り飛ばした。

 

「・・・よくも俺の恩人達にケチつけてくれたな。」

 

「き、きっ、貴様!誰に向かってそのような口を・・・」

 

「あ゛あ゛っ?」

 

「ひっ、お、覚えてろ・・・!」

 

 動揺したベスターをカイジンが睨みつけ、捨て台詞を吐きながらベスターは店を去って行った。

 

「悪かったなママさん。店を汚して」

 

「それはいいけど・・・・」

 

「いいのかカイジン、正直すっきりしたが、相手は一国の大臣なんだろ?」

 

「この国に居られるなくなるんじゃないか?」

 

 そうだ、後味が悪くなっていたかもしれないが、カイジンは別に奴を殴りとばさなくても良かったのだ。たとえ腕の良い職人でも、大臣を殴ってしまえば、この国に居る事は出来なくなるだろう。

 

「なに、俺の帰る場所は、あんたらが用意してくれるんだろう?」

 

 ・・・・・・・!

 

「でも、王のために頑張ってきたんだろう?」

 

「へっ。やっぱりそれを気にしてたのかい。恩人を蔑ろにしてお仕えしたところで、王が喜ぶもんか。ここで応えなきゃ、俺は王の顔に泥を塗っちまう。だから、旦那らについて行かせてくれ!」

 

 カイジン・・・・・・

 

「・・・・・・わかった。」

 

「実は、俺達はその言葉を待っていたんだ」

 

「だと思ったぜ。わははははは!」

 

「よっしゃ飲み直しだー!」

 

「「「おーーー!」」」

 

 細かい事はいいんだ。カイジンが来てくれるって言うのなら、俺達はそれを受け入ればいいのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とまぁ、カイジンが来てくれる事になったはいいが、当たり前だが、一国の大臣を殴ったのは、やっぱり見逃されないよな。

 

「兄貴にリムルの旦那にジンの旦那まで・・・・何をやっているんだよ」

 

 警備兵を引き連れてやって来たカイドウの第一声がこれだ。

 

「フン!馬鹿にお灸を据えてやっただけよ!」

 

「と、とにかく・・・・、兄貴達の身柄は一旦拘束させて貰う!」

 

 そう言って、部下に指示を出すカイドウ。そんな訳で、俺達は王宮へと連行されて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その2日後、裁判が始まった。

 

 この日、俺とリムルはこの世界で初めて、本当の意味での『危機感』を覚えた。

 

 その危機感は、目の前の1人の男から感じていた。

 

 その男は、武装国家ドワルゴンの現国王、ガゼル・ドワルゴ。

 

 一眼見ただけでわかった。この男、間違いなく強い。

 

 牙狼族と比べるのもおこがましい存在だ。

 

 

 

 

 




 メリークリスマス!

 はい、という事で、今日はクリスマスという事もあり、気合が入ったので初めての連続投稿です。
 まぁ、その分いつもより少し短くなっているのですが・・・・・

 それはそうとして、新たに☆評価をしてくださったMr.U様、ありがとうございます。

 冬休みになったので、宿題や受験勉強をしつつも、早めに次を投稿できるかもです・・・・・たぶん(あんまり自信無し)

 とりあえず、目標としては、大晦日までには次を投稿したいですね〜〜
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。