五等分の障害   作:森盛銛

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11話 デート?

翌日、時刻は朝の九時になり、昨日四つばと約束した通り、タワーマンションのエントランスで待機している。

 

すると、マンションから四葉。そして、彼女の車いすを引いている二乃が下りてくる。正直二乃は不機嫌そうだ。

 

「来たか」

 

「ふ、ふ、風太郎!お、おはよう!」

 

「・・・おはよ、フー君」

 

四葉は緊張?というわけでもないが、なぜか顔が赤くなってしまっている。そして、二乃は妙な表情をしながら返事を返してくる。

 

「はい、じゃあ、後はフー君お願い。私まだ寝るわー」

 

「わかったが、あんまグータラすんなよ」

 

そう言って、彼女を引き渡すとそそくさとマンションへ戻っていった。

 

「それにしても、リフレッシュね・・・」

 

彼女の顔をじーっと見ながら、風太郎はつぶやく。その表情を見て彼女が、元気よく

 

「じゃあ、行きましょー!」

 

と号令をかけて、二人で久々のデートに向かった。とは言ったものの、四葉の状態を考えるとデートスポットは限られている。ひとまずは馴染みのあるお店に向かった。そこは高校の時に風太郎がアルバイトをしていて、現在は二乃が勤めているケーキ屋。

 

「いらっしゃい裏切者の上杉君」

 

「店長・・・バイト辞めただけでしょ!」

 

「二名様ね、今椅子どかすから・・・中野さんの・・・四葉さん?はそこに座ってて」

 

店長も何かと中野姉妹とは交流があり、時間はかかるが、誰が、どんな特徴をしているのかはわかっている。中野家のオレンジのショートカットの見た目は四葉だ。

 

「さて、何食おうかな・・・」

 

そう言って彼女にも見やすいように二人でメニューを見て行く。その中で彼女に合いそうなものがあった。

 

「ケーキバイキング。九十分で1500円ドリンクバー付きか・・・これにするか?」

 

「え、うん。それがいいな!」

 

そういって二人分それを注文する。俗にいうバイキング形式になっており、並べられているケーキを取りに行くシステムだ。今は客足も薄いため、一緒に見に行ける。

 

「早く!早く行きましょう!」

 

少々興奮気味な彼女が急いで車いすを走らせようとするので、風太郎も注意しながらついて行く。そして数々の並べられたケーキを見て、さらに彼女は興奮している。

 

「わー!すごい!」

 

「俺は・・・抹茶ケーキにするか。お前は・・・」

 

そう言って風太郎は自分の分のケーキを取り、彼女の分も取ろうとするが、迷ってるようだ。

 

「シンプルなショートケーキ・・・いや、このブルーベリーチーズケーキも美味しそうも!」

 

そう言うと、風太郎はその二つを皿に取り、

 

「いくら食べても、良いんだ。昨日もあまり食えてないし、今日はやけ食いしようぜ!」

 

そう言って風太郎も自分の分のケーキを増やすと同時に彼女も、他の欲しいケーキを取るように言われた。

 

そして、テーブルに戻りケーキが合計で8個、二人で相当な量を取ってしまった。

 

「飲物取ってくる。俺はコーヒーにするけど、どうする?」

 

「じゃあ、同じのお願い」

 

彼女がそう言い、ドリンクバーコーナーのコーヒーを入れて彼女の元へもっていく。

 

「あー、おいしい!」

 

その間に彼女はすでにケーキを一つ食べ終えていた。顔の周りにクリームが、ついてしまって、まるで子どもだ。

 

「・・・ほら、こっち向け」

 

そう言って彼女をペーパーで拭いてあげる。だが、彼女の笑顔を久々に見れて嬉しかった。

 

「あ、そう言えば二乃が作ったメニューあるんだった。それも食べるか」

 

あれは人気メニューの様なので、ケーキバイキングの対象外らしいので、単品で注文する。

 

「自分の考えたメニューに載るって言うのはすごいな」

 

「そうだねー」

 

そう共感をするが、彼女はすでに三個目に突入していた。

 

「よく食うな」

 

「え?あ!・・・変かな?」

 

「ま、食わないよりはいいだろ・・・さて、バイキングだから元は取らねーとな!」

 

そう言って風太郎もようやく自分のケーキを口にする。

 

「美味い。三玖・・・好きそうだな」

 

三玖の好物は抹茶なので、たぶん気にいると思う。あの摩訶不思議にな抹茶ソーダさえも愛飲している彼女だ。気に入らないわけがない。しかし、味覚を失ってしまった彼女に勧めるにも勧めることはできない

 

「え?三玖?」

 

「ああ・・・味が感じないって、結構辛いな」

 

「・・・そう・・・だね」

 

「でも、あいつは料理人を目指してるんだ。俺があいつの舌の代わりにならないといけない」

 

「・・・そうだね」

 

少し暗い雰囲気になってしまったものの、店長がナイスタイミングで注文したものを持ってきてくれた。

 

「はい、五種のフルーツロールケーキお待たせしました」

 

「ああ、ありがとうございます」

 

そうして持ってきたのが二乃が店内のコンペでメニュー化をケーキ。五種のフルーツをペーストにした、フルーツジュース風のクリームが美味しく、子供や女性客に人気な商品だ。

 

それを、食べようとするが、彼女は急にキョロキョロしだしたら、風太郎が手元に持ってきたロールケーキを目にやる。

 

「・・・あーん」

 

「え!?」

 

風太郎が一口分に分けて彼女の口にもっていく。風太郎も若干顔が赤く照れているようだ。

 

「あ、あーん」

 

それに応じて、もぐもぐと口にするが、彼女の顔も真っ赤になっている。

 

「・・・美味いか?」

 

「うん(味がわかりません・・・)」

 

そんな初々しいカップルの様にケーキ屋を過ごした。

 

 

 

時刻は正午。次に風太郎が図書館に向かいたいというので二人で図書館へ向かった。

 

「あ・・・」

 

その際、先ほどのケーキやと比べて人が多いので彼女への興味の視線が突き刺さっているのがわかる。なので、急いで風太郎は求める本を探した。

 

 

「悪かった、居心地悪かったろ」

 

「ううん!大丈夫」

 

明るく振る舞っているが若干無理しているのもわかる。そして、風太郎が求めている本のコーナーへ向かう。

 

「一花に五月は・・・これと、これと・・・これも使えそうだな・・・」

 

独り言のようにぶつぶつと言っていて何を言っているか聞き取れないので何冊か、横から何を取ったのか覗いてみる。

 

手話、点字、接し方の本、車いすの教本、料理本、リハビリの方法・・・

 

「これって・・・」

 

「ああ、もしあいつらのサポートが出来るようになった時に色々学んでおかないとな・・・もちろん本人が勉強したいって言ったときだけに役立つだろうが、準備しないわけにはいかない」

 

そして彼女の顔を正面から見て、こう宣言するように言う。

 

「俺は、四葉とだけじゃなくて、五つ子みんなと未来を歩いて行く。そのためだ」

 

そう言ってそれを借りに、受付に行こうとするが、袖をつかまれて、止められる。

 

「・・・なんだ?」

 

「あ、その・・・何でも・・・ないです」

 

赤くなった表情から、少しシュンとした表情になるが、気にせずに、そのまま風太郎は受付へ向かった。

 

「(そんなの・・・私はもっと・・・)」

 

そんな気持ちを彼女は胸の奥にしまい込んだ。

 

 

 

 

そして、その後は町をぶらぶらする、彼女が車いすで人の目線を気にしているようなのでなるべく静かな場所を散歩する。すると、彼女から声をかけてきた。

 

「これ、五月からもらったんだけど・・・」

 

そう言って出してきたのは映画のペアチケットだった。期限は今日までとなっていて、時間的にもちょうどいいし、ここから離れてもいない。

 

「ああ、そうするか」

 

風太郎も承諾し、映画館へ向かった。夏休みということもあり、少し混んでしまっている。並びながら彼女と、どの映画を見るかを決めることにした。

 

「どれにする?」

 

「俺今の流行りとか、わからないしな・・・これでいいんじゃないか?」

 

そう言って風太郎が指さしたのは、犬が主人公の映画、ワンダフルだ。

 

「じゃあ、それにしましょうか!」

 

彼女が嬉しそうに答えるので、彼女も見たかったのだろう。受付につき、その映画のチケットを購入しようとするも、席がすでに埋まっているらしい。

 

「でしたら、カップルシートをご利用なさいますか?」

 

「だって、いいか?」

 

「・・・はい///」

 

受付が進めてきたのはカップルシート、二人の空間専用席ということだ。ここの映画館は個室になってもいるらしく。せっかくなので、そこにすることにした。

 

案内されたのは、一般席の少し高いところにある個室。そこに横になれるくらいの大きいソファのような椅子が並べられている。

 

「ほら、行くぞ」

 

席に移動させるため彼女を抱えようとする。しかし彼女はこのままみたいと言いだしたので車いすに座ったままの観賞となった。

 

「俺ちょっとトイレ行ってくる」

 

そう言って風太郎が何か思い付いたように出て行く。その間彼女は一人考えていた。

 

「・・・ダメ。しっかりしないと」

 

自分の喝を入れるようにパンパンと頬を叩く。彼とのお出かけで、緊張してしまっている。

 

「よし!」

 

そう気合を入れたと同時に、扉が開き、風太郎が帰ってきた。

 

「悪いな」

 

「ううん!大丈夫だよ!」

 

そう言って先ほどとは違い明るく接してくる。そして風太郎は彼女にあるものを渡した。

 

「ほらこれ・・・必要かわからないけど、一応借りてきた」

 

そう言って彼が渡してきたものは何かの端末とそれに繋がれたイヤホンだった。

 

「・・・これは?」

 

「音声案内・・・それつければ、目の見えない人でも映画の状況を解説してくれるんだってさ」

 

「!!」

 

彼女に冷汗が流れる。四葉は足が動かないだけでこれは必要ない。しかし、今彼女にはこれは必要だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・五月」

 

そう言って風太郎は彼女の髪の毛をやさしくスッと掃ってみると、ぱさっとオレンジの短髪のウィッグが落ちた。赤の長髪が目に映った。

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