五等分の障害   作:森盛銛

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13話 笑み?

「なぁ、五月」

 

「なんです?義兄さん」

 

「それ定着させるつもりか?」

 

「ええ、私はそう呼び続けるつもりです」

 

「・・・まぁ、かまわんが」

 

「じゃあ、そうさせていただきます」

 

らいはに夕食の招待をされ、風太郎と五月は上杉宅までの道、そんな会話をしていると、家が見えてきたころにはすでに外で、らいはが待っていてくれた。

 

「五月さん!」

 

そう言っトコトコと近づいてきて、ギューッと五月に抱き着く。

 

「らいはちゃん。ごめんね、急に連絡できなくなって」

 

「ううん!またこうして一緒にご飯食べてくれるから私は嬉しいよ!もしよかったらお泊りも・・・」

 

「らいは、急に無理・・・」

 

「はい!そうしましょう!」

 

そんなつもりはなかっただろうが五月が承諾してしまった。以前も上杉家には泊まったこともあるし、らいはも喜ぶからいいのだが・・・そう思っているとらいはが五月をお泊りが楽しみのせいか急がせるように案内させていたので注意する。

 

「らいは。ゆっくりな」

 

「あ!はーい!五月さん、手つなぎますね!」

 

視覚に問題がある五月に、らいはと五月が手をつなぎ二人が風太郎の先を行く。そんな姿を見てなぜか風太郎は笑った。

 

そして、自宅に戻り、すでにテーブルに並べられた、上杉家特製カレーの匂いを嗅ぎ、五月のお腹はグゥーとなった。

 

「五月さんは大盛だよ!」

 

「ふふっ、ありがとう、らいはちゃん」

 

そう言って、それぞれ席に座り、五月の皿は風太郎やらいはよりも二倍くらい盛られている。ちなみにメニューはカレーとミニサラダ、そして卵焼きだ。

 

「じゃあ、いただきます!」

 

「・・・いただきます」

 

そう言う五月だが、スプーンの位置を必死に探そうとしているので、らいはが彼女の手にスプーンを持っていく。

 

「はい!どうぞ!」

 

「ありがとう」

 

「らいは、そう言うときは五月の目線・・・正面の中心から、何時の方向に何があるって教えるのがいいぞ」

 

目が見えていない場合の食事はこうやって教えると、図書館で借りた本に書いてあった。慣れない場合は正面に手をかざして貰い、そこから、時刻の方向を言う。

 

「えー!でも渡してあげたほうがいいじゃん!」

 

「ああ、出来る限りそうしてあげたいが、五月も感覚を身につけさせた方がいいと思ってな」

 

確かに、今後どうなるかはわからないので、そう言う教え方も学んでおいて損はないだろう。なので、風太郎に五月が頼んでみる。

 

「では、義兄さん。サラダはどこですか?」

 

「えーっと、7時の方向?」

 

そう言って五月がそこに手を移動してみるが見事に外している。ちなみに、もう少し上、つまりは8時くらいの方向だ。教える側も結構難しい。

 

「・・・すまん」

 

そう言って五月の手をつかみもう少し上にもっていくとお皿をつかんだ。

 

「なるほど、こんな感じですね!」

 

少し楽しんでいるようにも見える。ただ、彼女はまだ全部が見えないわけではないので、今は困った時に手を差し伸べるだけでいいだろう。

 

「やっぱり、らいはちゃんカレー美味しいです!」

 

「よかった!また五月さんとご飯食べられて嬉しい!・・・あのー」

 

「なんですか?らいはちゃん?」

 

「お兄ちゃんのこと・・・義兄さんって呼んでる」

 

やはり触れてきた。しかし、五月はもう手慣れたように冷静に返す。

 

「ええ、将来、四葉と結婚したら、そうなりますからね!らいはちゃんのお義姉さんにもなります」

 

「わーい!ねぇねぇ、五月さんのことお姉ちゃんって呼んでもいい?」

 

「はい!かまいませんよ!」

 

「やった!お兄ちゃん!お姉ちゃん出来た!」

 

「まだ、先だけどな」

 

五月も元気になってくれてよかったし、らいはも五月に会えて喜んでくれている。満足そうにそう思いながら、カレーを食した。

 

「らいはちゃんおかわり!」

 

「早ッ!?」

 

五月の食欲にも相変わらず、圧倒された。午前中にもケーキ十個近く食べてたのも思い出し、風太郎は驚くながらも、苦笑いをするしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、中野家の様子。こちらでも、夕食を食べ終えてあと片づけをしている時だった。

 

「四葉。今日の勝負はどうかしら?」

 

「異議あり・・・二乃がメニュー真似した」

 

「真似したのはあんたでしょ!」

 

ちなみにお互い作ったのは、カレー。らいはの話を聞いていたら二人も食べたくなって作ったとのこと。

三玖は市販のルーを使わないで作った本格カレー。二乃も同じだが、かぶるのを避けるため急遽キーマカレーに変更した。

 

「ど、どっちもおいしかったよ」

 

喧嘩までは発展しないだろうが、バチバチになっていたので、四葉がなだめる。そんな、騒ぎの中、二階からガチャッと扉が開く音がした。

 

「あ・・・一花!」

 

部屋から出ていなかったせいか、少しダルそうに降りてくるのは、中野家の長女一花。久しぶりにその顔を見せてくれた。

 

「ごめん、おなか・・・空いちゃって」

 

少し、申し訳なさそうに、二乃のほうを見る。以前二乃が一人で奮起していた時に酷いことを言ったのを気にしている様子だった。

 

「いいわよ。今用意するから・・・」

 

そう言って、一人前彼女の分を用意する。そして、それを、一口食べる。

 

「うん・・・美味しいよ」

 

「・・・ありがと」

 

一花には聞こえていないが、そう呟いた。その後は、耳が聞こえない一花のためにも筆談・・・基、メールでの会話を始める。

 

 

 

 

二「急にどうしたのよ?いきなり出てくるなんて?」

 

一「ちょっとね。私・・・お仕事続けられるかもって知り合いの監督からお話があった。この状態でも一度演技を見たいって」

 

四「一花が芸能界復帰だ!わーい!」

 

一「まだわかんないけどね、ありがと、四葉。そう言えば五月ちゃんは?」

 

三「今は、フータローとらいはちゃんのところ。ご飯食べてる」

 

一「あーあ、フータロー君。いるんだったら、もっと早く出てくればよかった」

 

二「ま、フー君はこれからお世話になるからね」

 

一「え?どういうこと?」

 

四「風太郎はみんなのサポート。リハビリなんちゃらのアルバイトをお父さんから言われ・・・つまりまた、みんなの家庭教師をするってことだよ!」

 

三「リハビリテーションね。それで、私たち五つ子の承認を得るまで、待ってもらってるところ、承認票はフータローが持ってる。後は、一花のサインだけだよ」

 

 

 

 

「・・・そっか」

 

その内容を知りそう呟く。風太郎がまた来てくれる。それを知っただけで一花はにやけるほど嬉しく思った。

 

「あ、ごめん、監督からメール来た。ちょっと部屋戻るね」

 

そう言って、一花は部屋に戻っていく。そして、メールの内容は、急だが、明日とのこと、しかし、一花は

別のことを考えていた。

 

「フータロー君・・・そっか、フフフフッ・・・」

 

ほんの少し、人によるだろうが、恐怖を感じる。そんな笑顔だった。

 

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