命を無視された兵隊 作:901ATT
『殺せ』と頭の中で木霊する
目を瞑れば、その先に待っているのはいつだって脳梁にこびり付いた紅い景色だ
両手は真っ赤で、どれだけ洗ったって落ちやしない
こんな汚れ切った自分が、平穏を求めていいはずがない
こんな汚れ切った自分が、安息を求めていいはずがない
こんな汚れ切った自分が、幸福を求めていいはずがない
求めていいのは、惨めな死だけ
誰にも看取られず、知られず、一人ぼっちで終わらなければならない
*
その日の作戦は、ここ最近の中でも最も苛烈で、尚且つ慌ただしいものだった。
「ホシグマ!もう少し耐えて!ガヴィルお願い!サリア!オーランドと交代!シルバーアッシュはフォローに回って!」
忙しなく指示を飛ばしながら、ドクターはフードの下で歯噛みするしかない。
敵の攻勢は熾烈にして苛烈だった。術師と狙撃のオペレーターは、空から襲来してくるドローンなどに手を取られ、地上では重装オペレーターですら止めることが厳しい程。
撤退も視野に入れて、ドクターは思考を回す。
彼女は決して勝利至上主義ではない。寧ろ、如何に自分たちの被害を抑えて尚且つ効率よく勝ちをもぎ取れるかを考えるタイプだ。最終的に勝てるならば、一旦引く事も厭わない。
刻一刻と変わる戦場。些細な変化も見逃さない様に、彼女は注視し続ける。そして、注視
「―――――ッ!ドクターっ!」
切羽詰まった様な悲鳴が前線より上がった。
岡目八目により、視野狭窄。その影響が最悪の瞬間を生み出してしまったのだ。
(不味―――――ッ!)
声も出ない。気付いた時には、敵方から飛んできた幾本の矢が眼前にまで迫って来ていた。
ドクターの戦闘能力は、お世辞にも高いとは言えない。寧ろ低い、皆無、いや絶無と言って良いだろう。
それはつまり、戦闘面の技術がないという事。
これは何も相手を打倒するというだけではない。逃げたり、避けたり、抗ったりする防御面にも言える事なのだ。
時間が圧縮されスローモーションに見えるこの状況。ドクターは、少し離れた位置から懸命に自分を守ろうとするオペレーターたちの姿を捉えていた。
間に合わないだろう。少なくとも、空を切り裂く矢の方が先に、ドクターの体を貫く方が圧倒的に速いのだから。
「ッ!………………………………?」
咄嗟に体を小さくし、的を小さくするように抗ってみたドクター。
だが、異変に気付く。
痛みが来ないのだ。それどころか、自分に刺さらないであろう軌道の矢も近くに刺さる気配も、音も無かった。
恐る恐る目を開けて、前を見る。最初に視界に入ったのは、大きな濃緑の背中。
「ッ、オ、オーランド………?」
掠れ切って絞り出された様な音量で辛うじて紡がれる名前。
ドクターを守る為に、その大きな体を盾としてオーランドはそこに居た。
左肩や、右太ももに刺さった矢はまだマシだ。機動力は落ちるが、そもそも彼の戦闘スタイルは走り回る事を想定していないから。
問題なのは胴体。左胸部、右脇腹にそれぞれ一本ずつ突き刺さっており、現在進行形で彼のコートの赤い染みを広げていたのだから。
しかし、痛みに膝をつくわけにはいかない。何故なら次が迫っているのだから。
オーランドには見えていた。ドクターの危機で空いてしまった隙間から漏れる形でアーツの光弾とドローンからの射撃が抜けてきている瞬間を。
既に矢によって機動力が削がれたオーランドにそれらをドクターを伴って躱す術はない。であるならば、この場の最善を尽くすしかない。
「ッ……!」
歯を食い縛って来るであろう衝撃を覚悟する、それだけだ。
果たして、直撃は容易くその巨体を揺らしてくる。帽子が吹き飛ばされ、上体に無数の穴をあけるようにして射撃が突き刺さり、直後の光弾が炸裂する事で爆発。その体は大きく後ろへと仰け反っていた。
崩れ落ちる体、その光景を前にして漸くドクターは現実へと帰ってくる。
「オーランドッ!!!」
悲鳴の様な呼び声。その声が響いたその瞬間、倒れそうだったオーランドの体が止まった。
体を支えるようにして後ろに伸びた右足に力が戻り、傷口からの出血も厭うことなく倒れかけた状態を押し戻していく。同時に、爆発によって発生した白煙を突き破る様にして体が起き上がってくる。
白煙から現れたオーランドの体は酷いものだ。
上半身は細かな穴が開き、そこからは血が流れる。光弾が直撃したであろう部分は、コートが吹き飛んでおりその下の皮膚も赤黒く変色、半ば抉れてしまっていた。
だが、それでも彼は倒れない。肩に矢が刺さり上がらない左腕を肘から先だけ動かして、触れるのは腰に下げるランタン。ブラインドが開かれ、鬼火が輝く。
変化は劇的だった。元より淀んでいるといってもいい瞳からは完全に理性の光が消え去り、残るのはどす黒く機械的な殺意だけ。流れ落ちる血も、傷口から訴えてくるどうしようもない痛みも、その全てが彼の足を止める理由にはなりはしない。
取り出すのは、ドア・ノッカーⅡ。右の袖を噛んで引き上げ、その下に仕込まれていた弾丸を噛んで引き出す。
器用なモノで、右手だけで薬莢の排出まで終えて口で装填を済ませてその銃口は前へと向けられた。
放たれる一発。決して狙いが良いとは言えないが、弾丸は真っ直ぐに空気の壁を突き破っていきドローンの一つ、そのローターによって回る羽を貫いた。
そして、この瞬間から怒涛の展開を見せる。
まず医療オペレーターが数人がかりで傷だらけのオーランドの治療に当たった。その間に、まるでドーピングでもしたかのように敵を殲滅していく前衛、重装オペレーター達。
先程までの苦戦は何だったのかと言われそうなほどの、撃滅っぷり。
程なくして安全が確保できた。
「ッ…………」
その瞬間に、ランタンを消したオーランドはその場に崩れ落ちる。
膝をつき、熱を発する拳銃を地面において徐に太ももに刺さっていた矢へと手を掛けた。
何度かの深呼吸の末、勢いよく引き抜く。返しが付いていたせいで、肉が抉れ血が溢れるがこれをあと三回繰り返さなければならないのだから泣き言など言っていられない。
次に手を伸ばすのは左肩。そして、左胸、右脇腹、と引き抜くたびに刺さっていた時以上の気絶しそうな激痛が三度襲い掛かってくる。
明滅する視界、傷口からの出血は止まらない。
そんな彼を見咎める者が居た。
「無茶してんじゃねぇよ!抜くのだって、アタシらに頼めばいいだろうが」
緑の髪を揺らし、眉間に皴を寄せたガヴィルは治療を施していく。
彼女は戦場で戦ってきた実績があり、今は医療オペレーターとして治療を施す側へと回っている
当然ながら、手傷に対しても知見があり、それらに伴う痛みに関しても実際の経験として知り得ていた。
そして、当然ながら出血を伴う痛みの鋭さも然りだ。並大抵の精神力の者ならば気絶している事だろう。
それを四度、立て続けに行う。最早正気の沙汰ではない。
ガヴィルの治療により、どうにか血が止まったオーランドは、頭を一度振ると冷えた拳銃を手に取り立ち上がる。
「…………ありがとうございます、ガヴィルさん」
「気にすんな、って言いたいところだけど、お前もさっきみたいなのは二度とするなよ?当たり所が今回は良くても、次は無いかもしれないからな」
「そう、ですね…………」
ガヴィルにそう言われ、一旦は納得の態度を示すオーランド。だが、もしも同じような状況に陥れば、彼は躊躇うことなくその体を盾とする事だろう。
たとえその結果、命を落とすことになろうともこの事実だけは変わらない。
理屈や理性の話ではないのだ。咄嗟に体が動く、本能や心の問題。馬鹿は死んでも治らない、という言葉そのままという事だ。
ただ、今回の一件悪い話ばかりではない。少なくとも、オーランドに降りかかっている一定の不安の種をある程度払拭する事には繋がっているのだから。
かくして、今回の一件は幕を下ろす。ロドスに戻ってから、オーランドはしこたまケルシーにぐちぐち言われるのだが、それは別の話。
*
「―――――アレが、ロドス・アイランドのオペレーターね」
薄暗闇、眼鏡にブルーライトを反射させながらその瞳は画質の荒い画面へと向けられている。
画面の向こう側では、高い位置から撮影されているのか一団を高い視点から俯瞰するような視点の映像が流れていた。
「はぁ…………認めましょう。粒揃いだわ。でも、
第三者視点から見るからこそ、いやそれ以上により
指揮官というのは、時に非常、非道な選択を強いられることが珍しくない。
当たり前といえば、当たり前で。戦場で、戦争で第一に求められるのは自国の勝利。敗者には何も残らないのだから。
その点で言えば、この画面の指揮官は出来る限り
勿論、いたずらに兵力を消耗するのは三流以下の指揮官だ。だが同時に、兵隊の命を重視しすぎてその結果勝利が危うくなれば本末転倒というもの。
「あなたには過ぎた
暗闇に響く小馬鹿にしたような嘲笑。
僅かな光の中、紅い唇が弧を引いていた。
*
全治二週間。それが、オーランドがケルシーより下された診断だった。
元々頑丈な体と、処置が早かったお陰。ついでに、体格上多かった血液の量にも助けられたりしていた。
「…………」
「…………」
頬にガーゼを当て、頭に白い包帯を巻いて帽子を脱ぎ穴だらけになってしまったコートを新調したオーランドは、現在進行形で気まずい空気の中に居た。
それもこれも、ケルシーに全治二週間を言い渡されてからついて回る追跡者が居るから。
その追跡者というのが、彼の後をまるでカルガモの雛のようについて行く紅いパーカーを纏ったループス、レッド。
元々彼女は、暗殺などが得意なため気付かれる事無く対象の後をついて回るなど造作もない。無いのだが、今はわざと自分の存在をアピールしながらついて回っていた。
というのも、これはケルシーからオーランドに向けての釘刺しの様なモノ。常に彼女の懐刀が監視しているから無茶をするなよ、という無言の圧力なのだ。因みに、日ごとに監視は変わっており、その度に彼は気まずい気分を味わい続けていたりする。
だがそれもこれも、オーランド自身が蒔いてしまった種だ。無茶をすれば、相応の代償を払う事になるのは当然の事だろう。
とはいえここまでピッタリついてくるのはレッド位のもの。どの方向を見ても、視界の端を掠めるような監視の仕方も精神的に来るものがあるが、この四六時中追い回されるのも結構辛いというもの。
何より、
「…………」
「ッ、ど、どうしましたレッドさん」
レッドは監視であるはずなのだが、コートの裾をつまんで引く姿は子供そのもの。
「お腹、空かない?」
「え?…………ああ、良い時間ですからね……食堂へ、行かれては?」
「一緒。オーランドの監視、ケルシーとの約束」
「そ、れは…………」
たどたどしい言葉遣いながらも、その目は真っ直ぐにオーランドを掴んで離さない。
その目が、彼は苦手だった。
脳裏をよぎるのは、昔の記憶。今の体格など夢のまた夢の様な、小さな小さな子供の時の事。
血のニオイが鼻の中へとこびり付き、真面に寝る事すらも出来なかった。今もそうだが。
「…………」
「行こう?」
「…………」
袖を引くレッドに、オーランドは完全に沈黙してしまう。
彼女の誘いを無下にしたくない気持ちはある。だが、それと同じぐらいに人の多い場所に行きたくないという気持ちもあった。
血生臭さでは、彼に勝るオペレーターも居る。目の前のレッドも、相当なもの。
オーランドが気にするのは、その質だ。浴びてきた血の質。
考え過ぎであると言われればそれまでであるし、事実彼は深く考えて、考えて、考え過ぎて、結果ドツボに嵌って人との関りを避けるようになった。
「―――――大丈夫」
「ッ!」
不意に、分厚い手袋に包まれた手が掴まれる。
「レッドも、一緒。大丈夫」
「ッ、あっ…………」
簡単に振り払えるようなそんな力で、掴まれた手。
手を引かれて歩く。迷子のように。
それは、実に久しぶり。懐かしく、苦く、そして抗いようのない甘さがあった。
*
学校だろうと、会社だろうと、軍だろうと。人の集団というのは、存外自然と規律の様な、模範の様な、恒例の様な、ルールの様な、いつもの光景というものが存在する。
晴れた日に人の集まる場所。反対に雨だからこそ集まる場所
時間によって集まる場所、疎らになる場所。
ロドスの食堂は、時間によって人の集まりにバラつきがある場所だった。そして今は昼時。厨房は戦場と化して、場所取り戦争は加速する。
だが、今日はほんの少し空気が違う。例えるならば、陸上に魚が泳いでいるようなそんな違和感とでも言うべきか。
その原因は、この空気を受け自然と小さくなっていた。
滅多に、どころか恐らく加入して初めてオーランドは食堂へと足を踏み入れていた。その巨体も相まって自然と周囲の視線を独り占めである。嬉しがるのは、余程の変態だろうが。
首筋がムズムズとするような居心地の悪さに、しかしオーランドはどうすることも出来ない。その手は未だにレッドに掴まれたままなのだから。
渋った割にアッサリと彼はここまでやって来たように見えるかもしれない。だが、それは誤りだ。
今までオーランドの手を取ってまで無理矢理どこかへと連れて行こうとする者は居なかった。それは、気に掛けていたドクターも同じくであり。彼女の場合は、自発的に彼が変わる事を待っていた為に無理強いはしてこなかった背景がある。
一方、レッドは歳の割に情緒が幼く、良くも悪くも純粋で直球だ。裏に色々と思惑も無く、自立を促すような視点も持ち合わせていない。
今回の行動も、ケルシーにオーランドを見張るように言われ、そして四六時中共に居る事を求められた。
そして、そんな中でお腹が空いたのだ。でも、監視対象は昼食を食べることが可能な食堂や購買に近寄ろうともしない。
という訳で、別段接触禁止も言い渡されていない。寧ろ、常に
「あっ、オーランドさん!」
レッドに引かれるまま、辿り着いたカウンターで今日の当番なのかグムが喜色の滲んだ声を上げる。
彼女につられる様にして厨房担当のオペレーター数人の顔がカウンターに向けられた。彼らの表情は、驚いていたり、喜んでいたりといった様々なモノだが、その中にはマイナスの感情は見受けられなかった。
「お肉」
「レッドさん!いつもので良いんだよね?オーランドさんのもいつも通り作っちゃうよ!」
「あ、はい…………」
鼻唄を歌いながら厨房の奥へと戻っていくグムの背中を見送り、オーランドは所在無さげに視線を走らせる。この時ほど、いつもの軍帽を被っていない自分を恨めしく思ったことはない。因みに、今被っていないのは、被ると怪我に響くからだ。
程なくして、湯気の上がる二つの皿が差し出される。
「レッドさんが、リブロースのサンドイッチで。オーランドさんは、野菜たっぷりスープだよ!」
「ん」
「…………ありがとうございます」
それぞれ、礼を言ってお盆を受け取り次の問題は、席。
レッドは別にしても、オーランドは人の目が集まりすぎるのは苦手としている。既に集めてしまっているがソレは置いておこう。
とにかく、食堂の隅の席に腰を落ち着ける。
「ん、美味しい」
「…………」
「オーランドも、美味しい?」
「…………ええ、優しい味です」
向かい合って対照的なモノを互いに食べる二人の会話は、それほど弾んでいないが空気は悪くない。
そうして半分が食べ進められた頃。二人の座る席に近づく一つの影があった。
「やあ、お二人さん。ここ相席良いかな?」
「ん」
「…………ど、どうぞ」
それは、フェリーンの女性。黒猫の自由さを感じさせながらも、その瞳には確固たる覚悟が見て取れる。
「レッドちゃんと、オーランド君……君で良いのかしら?何と言うか、“さん”って感じの見た目よね?」
「あ、えっと…………お、お好きにどうぞ……自分は気にしませんので」
「そう?それじゃあ、オーランド君私の事は知ってるカンジ?」
「…………ブレイズさん、ですよね?ここロドスのエリートオペレーターの」
「あ、知ってたんだ。でも一応、自己紹介しとこうか。私はブレイズ、ご存知の通り
そう言ってニコニコと笑う彼女、ブレイズはオーランドへとその右手をテーブル越しに差し出した。
「よろしく、問題児君?」
「は、はあ…………」
「ありゃ、納得いかない感じ?結構有名だよ、キミ。二重人格、だなんて言われてるぐらいだし」
「…………」
快活に笑う彼女に対して、オーランドの頬が若干ひくついた。当人も自覚は一応あったのだが、改めて言われると来るものがあるらしい。
ただ、誤解がない様に明記するが、ブレイズには彼を責めるような気は毛頭ない。今回の接触も偶々食堂に来て珍しい顔が居たから声を掛けただけなのだから。ついでに付け加えるならオーランドに対する好感度も低くはない。身を挺してドクターを守ったという話は、戦士としては赤点でも人ととしてくるものがあったから。
「そういえばオーランド君。君ってかなり大きいけど、肉は食べないの?」
「あ、その…………自分、肉は苦手で…………」
「…………ああ、そういう」
戦場経験者には珍しくない事。ブレイズも聞き覚えがあり、一つ頷いた
最初はどうあれ、ファーストコンタクトは存外滞りなく、恙なく過ぎて行く。
だが、忘れる莫れこの世界は荒れている。そして、ロドスはその中心を驀進していくのだと。
*
それは、御昼時の少し前の事。
「ふぅー………ねえ、アーミヤ。そろそろお昼だしこの辺で…………」
「ダメです、ドクター。昨日もそう言って、結局ノルマが終わったのが夜遅くだったじゃないですか。今やっておかないと眠れませんよ?」
「アーミヤの鬼ぃ…………うん?」
たれパンダの様に机に突っ伏していたドクターは、急に泣きわめく回線に顔を上げた。ついでに、その胸の内に仄かな嫌な予感ともいえる暗澹たる靄の様なモノが湧き上がり始める。
先程までのフザケタ雰囲気を払拭し、意を決して通信が開かれた。
「はい、こち―――――」
『ドクターッ!』
応答を遮り、響く男性の声。その声色には、尋常ではない焦りが滲んでいた。
「ノイルホーン?いったい何が―――――」
『襲撃だ!ヤトウとドゥリンがやられた!』
「ッ!?ど、どういう事!?状況を―――――」
『あの野郎、俺の盾溶かしやがったんだ!今はどうにか逃げ回ってるが…………とにかく、応援頼むぞ!』
そこで一方的に途切れる通信。沈黙の流れる執務室。
「ッ、アーミヤ!直ぐに先遣隊と、救助隊を組織して!」
「え……は、はい!」
「ノイルホーンの盾が溶かされたって事は、酸か炎か……先遣隊は、攻勢よりも防御と回復を優先に。もしもの事も、考えておかないと」
嵐は目前にまで迫って来ていた。