私は幼女   作:ファニーピエロ

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昨日はサークルがあったので一日開けて投稿です。

文字数が安定しない。


第3話

 お母様に娘と言われた翌日、私はお母様の仕事の手伝いで村の見回りと言う名の散歩をしていた。

 昨日の夜から随分と体調が良い。気の持ちようでここまで調子が良くなるとは、今なら前世のうざったい教師たちの精神論も受け入れられそうである。

 

 ユクモ農場でしばらく遊んでからお母様のところに戻っていると、雑貨屋の近くに昨日の青年が見える。

 まだここに来たばっかりで慣れてないだろうし村の案内でもしてやるか。今の私は機嫌が良いからな。

 

「おーーい! お兄さーーん!!」

 

「ん?・・・ん!?」

 

「ん?どうしたの?」

 

「いや、なんでもないよ。君は村長の娘さんだったね? 僕に何か用かな?」

 

 なんか話しかけた時にめちゃくちゃ驚いてたけど、何かあったのかな? もしかしてロリコンとか? いや、この好青年に限ってそれはないか。

 

「お兄さんこの村に来たばっかりでしょ? 私が案内してあげるよ!」

 

「なるほど・・・そういうことならお願いしようかな」

 

「うん! ついて来て!!」

 

ーーーーーー

 

 鬼門番(笑)の紹介も終わったしこれで案内は終わりかな? にしてもなんであのニートはお兄さんに高圧的だったんだろ? やっぱニートの考えてることは分かんないな。

 

「カエデちゃん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

 

「なーにー?」

 

 お兄さんが私に質問してくるが、村について聞くような雰囲気じゃないな・・・こんなところで危ないことはしないだろうけど、一応警戒しとくかな?

 

「ユクモ村の美味しい食べ物ってどんなのがある?」

 

「ん?んー、全部美味しいけどユクモ村だけの食べ物なら竹の子に松茸、温泉卵とかかなー。温泉卵はそこから勝手に取ってっても良いよー」

 

 想像以上にしょうもない質問で気が抜けたけど、意外とグルメなのかな?

 あー、ご飯のこと考えてたらお腹減って来ちゃった。ユクモ村は日本に近い食文化だから良かったけどポッケ村とかに転生してたら日本食が恋しくなってたかも。

 

「へー、そうなんだ、今日の夜ご飯はたけのこにしてみようかな」

 

「ねぇねぇ、お兄さんの故郷には美味しい食べ物はないの?」

 

 ユクモ村は日本に近い食文化をしてるけどお米はないからな、お兄さんの故郷にワンチャンかけて聞いてみる。

 

「んー、僕の故郷の美味しい物かー、カレーとかお寿司とかかなー」

 

「カレー!!!お寿司!!!」

 

 私は今、この世界に来てから最大の衝撃を受けてるかもしれない。カレーにお寿司があるってのもそうだけど、その二つがあるってことはお米があるってことだ。いつかお兄さんに故郷に連れてってもらうか? いや、もういっそのこと自分で行っちゃうか?

 私がそんなことを考えていると、お兄さんは何かを確信した様子で私を見てから口を開く。

 

「カエデちゃん転生者でしょ」

 

 周りに聞こえない程小さな声で言われたその言葉は私の頭に嫌に響いた。

 

 今お兄さんはなんて言った? 転生者って言わなかったか? まさか私と同じ転生者なのか? 転生してから半年間同じ転生者に会わなかったからてっきり一人ずつ並行世界的なものに飛ばされたかと思ってたけど、もしかしなくても全員同じ世界にいるってこと?

 

 私の頭の中でいくつもの考えが浮かび上がる中、思考を強制的に止めるようにお兄さんから声がかかる。

 

「ここで話すような話じゃないし一旦僕の家に行かないかい?」

 

 私は中途半端にしか機能してない頭で半ば反射的にお兄さんの言葉に頷き手を引かれるのに従い歩き出す。

 

ーーーーーー

 

「さて、此処に来るまでにある程度落ち着いたと思うけど君は転生者ってことで間違いないかい?」

 

「うん」

 

「じゃあ、色々聞きたいこともあるだろうけど一旦僕の話を聞いてくれ」

 

 私は多少は落ち着いた頭でお兄さんの言葉に頷く。

 

「まず一番気になってると思う同胞のことから話すね。今居場所が分かっていて連絡の取れる同胞の数は僕と君を含めて8人、みんな2人ずつでココット村、ポッケ村、バルバレでハンターをしていて、1人以外は訓練所を出てからハンターになってて僕も昨日から訓練所に通ってる」

 

 8人か・・・多いのか少ないのかよく分からないな。あの空間にいた人間の数を考えると少なすぎるように思えるけどモンハン世界だし8人もいるだけマシなのかもしれない。それに連絡をとってるって言ったけどどうやってるんだろ?ココットとポッケの距離を考えるとお互いの生存確認なんて絶望的じゃないかなぁ? 転生特典だとしても連絡取れるのが8人ってのは少なすぎるしなぁ。

 私が考えに浸っていると、話を理解したと判断したのかお兄さんが再び話だす。

 

「気になってると思う連絡方法だけど、おそらくはあの空間にいた人型製の脳内掲示板だよ。睡眠中に入れるようになってるんだ。ただし、転生者なら誰でも使えるってわけじゃなくて、大型モンスターを狩ることが条件だよ。僕もこの前村に襲いかかって来たドスジャギィを倒してから使えるようになったんだ。ほら、これがその時の傷だよ」

 

 お兄さんはそう言って左腕の袖をまくる。

 う、うわぁ、肘から手首にかけてめちゃくちゃデカイ傷跡があるよ。爪でやられたのかなぁ? てか、訓練所行ってないのにドスジャギィ倒すってこのお兄さん超人かなんかか?それに掲示板開放の条件が大型モンスター討伐とか厳しすぎるでしょ、よく8人もいるなぁ。

 

「まぁ、そんなこんなで同胞が8人もいるのは奇跡だね。僕たちは積極的に同胞を探す方針で活動してるからね、君が同胞だと分かったから今日の掲示板は盛り上がると思うよ」

 

「積極的に探すってことはいろんな村を回ってるの?」

 

 私はお兄さんの話が終わったと判断して質問をする。

 

「いや、今は転生者の中で一番強い人でもクック先生を倒せるくらいだからね、計画はしてるけどお金が足りなくて実行に移せてないんだ。取り敢えず今やってるのは焦らずにハンターとしての腕を上げながら近隣の村を回るくらいかな」

 

 半年でクック先生か、早いのかな? いや、半年であんな火を吐くクソデカイ化け物を狩れるようになったんだ、速いに決まってる。

 にしても最強系のチートを頼む人はいなかったんだろうか? 持ってたら分かるだろうし多分いないんだろうけど。

 

「聞きたいんだけど、君のその見た目は転生時の要望かい?」

 

「うん、そうだよ」

 

「うーーむ・・・大幅な若返りと性転換は可能なのか、それなら何人かは有用な特典を持ってそうだが、上限がないと思考が単純になりやすいのか? ますます人型の悪辣さが浮き出るな・・・」

 

 お兄さんがゴニョゴニョと考察し始めたが、間違いがあるから訂正する。

 

「お兄さん、私は若返ってないよ」

 

「ん? いや、君は完全に幼女じゃないか、あの空間にはそこまで幼い人間はいなかったが・・・ん?まてよ、そういえば竜人族は寿命が長かったんだ!なるほど年齢は変わらないが竜人族的には幼女だったということか」

 

「いや、竜人族的に幼女なのは間違ってないけど、私は半竜人だし見た目は完全に成長しきってるよ。村長と加工屋のおじいちゃんが言ってたよ」

 

「むむむ・・・」

 

 私が教えるとお兄さんはまた悩み出す。

 結構考察とか好きなタイプなのかな? 竜人族の寿命のこと知ってたし。

 

「ねぇねぇ!こっちも聞きたいことがあるんだけど!!」

 

「・・・ん?なんだい?」

 

「カレーとお寿司って前の世界とおんなじなの?」

 

 私はずっと気になっていたことを聞く。

 なんなら同胞のことよりもこっちの方が気になるまである。

 

「ん?あぁ、いや、あれは君が転生者かどうか確かめる為に言った嘘だよ。僕がいた村の食事はユクモ村の劣化版みたいな感じさ」

 私はこの世界に来てから最大の悲しみを味わうと同時に、初めて殺意というものを覚えた。




次の話は明日投稿です。

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