優希-Yūki-、再び全国へ   作:瑞華

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1,2話を読んで頂きありがとうございます。
これからも書きたい所まで頑張るつもりです。


第2話、三人目

 卓を囲む四人は、当たり前だと言えるが起家の片岡優希とその下家順に南浦数絵、染谷まこ、竹井久で東1局が始まる。

 

(そうか、これは数絵ちゃんもかけにでたーと言う場決めかな?)

 

 久は意味有りげな目つきで牌をツモる。あまり良くない、整理してもリーチのみかドラ1くらいに成りそうな手から対子を落としながら回す。様子を見ようとした瞬間優希の先制がきた。

 

「リーチだじぇ!」

「ロンです、タンピンドラドラ 7700」

「ひえっ」

 

 燕返しは付かないが優希のリーチ牌をロンした数絵は赤を抜いてるのにも関わらずあっさりと満貫に近い手を見せる。

 

「まこ、優希の調整は?」

「指示どうりじゃ」

「なら始まりかな?」

 

 その後優希は気を取り直し跳満と満貫を上がる。場を流すようにまこの適当な上がりで南入すると風の向きが変わった。

再び東家に優希、南家に数絵。だが今は南場で南家に座ると言う場面だ。南浦数絵の南風が優希の首に近づいた。降りようとした東の風は罠だった。

 

 

「ロン、ダブ南混一色混老頭対々和三暗刻の24000です」

 

 数絵が開いた手は北と東の双碰待ち、2順前に久からの東を見逃している完全な狙い撃ちだった。

 

「そんなーやられたー私をマントに包んで眠らせてくれーギク」

 

 口でガッカリ状態のを表現するタイプの優希はわざとする茶番の後、まだまだ終わってない限り直ぐ目を光らせながら牌を握る。

優希が一気に吐き出された点は残りの局で優希のロン、久とまこのツモ和了で動いたが順位の変わりはなかった。

 数絵の1位と久、まこ、優希の順になった。

 

「東風の神、ここで死す」

「大げさだね優希は、全部計画の内だから安心して」

「久曰く、最高状態を早く出せるように調整を行えば逆に頂点が維持出来る時間が短くなる、だから逆に最高状態を長時間維持出来る様にグラフの幅を伸ばすのが今年の戦略だそうじゃ」

 

 タコスの追加分量を持ってきたまこが匂いを撒き散らしながら優希が倒れている雀卓の横のテーブルにそれを置いたらすぐ立ち上がる優希。

 

「だからネット麻雀続けだったのか?」

「人数不足も含めての理由だがのう」

「勿論、二次元上の関数自体をY軸上で上昇させるのがネット麻雀で調整過程に加えている、そうしないと全国団体戦と個人戦両方を制する事は不可能」

 

 久の計画はもっと大きく成りつつあった。

 

「それと数絵ちゃんの一人浮きは計画通り、優希に対してはじめからの南家は意図的だったよね?」

「はい、起家で東1局から最速で連荘する片岡さんを一番効率良く塞ぐ策としては試してもらいましたが、どうやら成功でも成功では無さそうですね」

「優希の飛翔はこれからだから」

 

 期待と信頼、確信がこもったその言葉にちょっと恥ずかしめに顔が痒くなっている優希に向かって久はニコリと笑う。

 

「でも新たな武器を得たから、私のメニューで調整した甲斐があったわよね?」

「結果は前から感じていました、前からお祖父様もそう言ってくれましたし、今のはそのお披露目です」

「結果が出てたのならなんで前もって言ってくれなかったの? 凄くよかったです! 久さんのお陰で、私もっと強くなれました! これからもお世話になります、監督! くらい言ってくれれば良かったのに」

 

 久のからかいに数絵は嫌そうに顔を顰めた。

 

「誰がそんな事言いますか」

「監督? 久がか?」

「そうよ」

 

 

 自分の疑問に直ぐ応えなくわざと咳払いをする久に対してまこはニヤけた顔をする。

 

「大学生だろ、なんの公認された資格も無いただの大学生の」

「いや、その言い方はちょっとキツイな」

「でも本当の事だじょ」

 

 吹き治った優希は残りのタコスを口にガンと入れ込みながらそう言った。

 

「その何の資格の無いただの大学生の竹井久が清澄高校麻雀部の監督を勤める事になったわ」

「えぇー学校の誰がそんな事は許してくれるんじゃー」

「非公式だからあなた達さえ認めればいいよ、別に学校に出入りするつもり無いし、基本的に遠隔で指示するだけでやる」

「ワシらにとっては有り難い話じゃがあんたのインカレは?」

「両方結果出してプロに行き、最終的には本当の監督になる」

「また、とんでもない悪待ちが来たじぇ」

 

 高校から直接プロになる最短の道に乗り込む強者達の中には入れなかったが、それですら久にとっては勝つ為の悪待ちに取る。その顔には自信有り過ぎだ。

 

「それでどうよ、認める? 染谷部長、南浦副部長、そして優希」

 

 その言葉に続いてまこより先に優希から大声がなった。

 

「なんで私だけ呼び捨てでただの優希なんだじょ? いや何で南浦副部長だ?」

「優希には不動のエースになって欲しいからだよ、姫松の主将って事かな? 昨年のあいつ、主将っいっても部をまとめる人種じゃなかったし、自分の強さを見せつける事で部が一つになる様なタイプだったよね」

「私がエースなのはいい! けど今はその事じゃないじょ!」

「前に数絵ちゃんには清澄に転校してくれといっておいた、祖父である南浦プロとの家庭事情もあるから答えはここで聞かせてもらう約束で」

「竹井さんに誘わられましたのは一ヶ月前でした」

「それで、答えは?」

「平滝高校でインターハイに出る者は私一人だけだから学校に拘りが有るのでも無いし、今まで導いてくれたお祖父様もそれが良いとこの前言ってくれました」

 

 キリッとした姿勢からとても冗談には思えなかった。まこと優希にはこれ以上と言えような好カードはない。むしろなんのカードも無い。久が持ってきたくじ引きは大当たりになってくれた。

 

「仲間が居る所こそ学び舎だから別に学校を移しても変じゃ無いって言っといた?」

「流石にそれは言ってません、お祖父様は私にとって最も良い様に進んでくれたまでです」

「これでやっと三人めが揃ったか」

「道のりはまだまだ遠いけど一つの山は超えたね」

 

 久もまこも考えるのは同じだ。両方とも髪をいじりながら笑う。

二人が脳内でこれからを考える段階に移していると優希はやっと興奮気味になってくれた。

 

「後、二人だじょー!」

 

 安心したように椅子に倒れて力が抜くまこの前に立った数絵は真剣そうに問う。

 

「お二人さんは私が清澄の麻雀部に入るのを認めてくれるんですか?」

「当たり前だじぇ! これから友達だからな!エースである私に続けろ、かずちゃん!」

「弱小部だから渡せる仕事がおるか知らんがのう、ワシの手伝いする覚悟がおったらよい、もともと優希には仕事を期待しておらん、あんたがしてくれ副部長」

「何を言うのだ染谷部長!!」

 

 皆のかわかれ役の優希はキレた声を上げた。




南浦数絵も好きですが未だに原作の方では出ていません。全国の後世界ジュニア選手権が期待ですね。
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