「私はやらないって、何度言わせるの?」
「そう言われてもね……。 他に麻雀やりたいって子は無かったかし、麻雀は4人も要るのに相手が同じ先輩しか無い部活は嫌でしょう?」
「そんなの、私とは関係ないんだよね
「私はやらないって、何度言わせるの?」
「そう言われてもね……。 他に麻雀やりたいって子は無かったかし、麻雀は4人も要るのに相手が同じ先輩しか無い部活は嫌でしょう?」
「そんなの、私とは関係ないんだよねー」
少しくらいは冷たい感じで言ってやったけど、
私はこんなにしつこい
「一緒にやればきっと楽しいよ?」
私に向かって笑うその顔で惑わすつもりみたいだけど、小学生もないしそれはない。
何で私だけにしつこく誘われてるのかは解ってる。 でもそれより今は生徒いっぱいの廊下をくぐり抜けるので忙しい。 なのにこの子ったら……人の気は眼中に無い。早く引き離したしのに私も気が弱いのだ。
早く食堂の席を取りたいのだけど、檀はこのまま隣に座って私の話は聞かないヴィジョンが目に浮かぶ。 前々から知ってる事だ。
最近学校に通う唯一の楽しみと言っても過言ではないくらいだし、この時間を奪われてはたまらない。 これがだらしないと自分でも思ってるけど、それが女子高生って事じゃないかな?
ひょっとしてまゆみはこんなにしつこいのもだからなのか。 昔には休日にどこか行こうって誘うような事すら滅多に無かったらしいけど、高校でまた合ってからは変わった気がする。
特に目つきが。
「まゆみは他にも誘うような友達あるじゃない?そう小林さんとか斎藤さんとかー?」
その二人は檀と同じクラスで、ちょくちょく檀と一緒に見かける女の子だちだ。 よく知らないけど、檀とよく絡んでる所を見たような印象があるから名字くらい覚えてるから、その子達の名前を口にしたのに、檀は私の言葉が気に食わない見たいだった。
「もう! 真面目に答えてよ。 今私が話掛けてるのは小林さん達じゃないでしょう?」
すこしは意地悪だったかもだけど、檀はそれを冗談の内には聞けなかったらしい。
私が適当に流そうとすると、まゆみは丁寧だけど眉毛に力が入って声が高くなる。
それでも丁寧なままなので怖くもないし、私の対応は変わらない。
「ならその子達に私から言ってあげようか? 檀は寂しがりだって」
猫を被った私が檀に向けて作り物の笑みを返したら、檀はもっと近くに寄っては私の手首を掴んだ。
「からかわないでよ。 誘うならインターミドルで良い所まで行ったのは
「良いところって……全国行ったのは中1の時に1回だけだけど。 その時も初戦敗退だったのに良い所もなにも……もしかして弄りなのかしらねー?」
危なくも苦笑いを浮かべる所だった。 最終的に冗談で返す事は出来たけど、多分見られたに違いない。
「でも全国だよ? 殆どは行けてないし充分凄いよ」
檀は両手を揃えてお世辞にしか見えない仕草を取る。 私に麻雀部に入ってもらいたい理由として辻褄は合ってるけど、なにより優先すべき人の意思は檀の考慮に入ってないらしい。
私はもう打ちたくないんだけど。
もう食堂が目の前なのに、全く満足なお昼に成る為には何を食べるか思い浮かばない。食事こそが幸せな一日を作るのに。
私は昼の定番の定食の代わりに昔の事を思い返した。
「所詮は中学生の大会だったんだ。 それすらも2年生からは全然駄目だったし、私なんかは弱いよ」
まゆみの目にをはっきりと入るようにわざと辛い顔をした。 大昔の事を思い出すのはめんどいけど、釘付けしないとまた同じ会話はずっと続くだろう。
「続ける気が有ったら他に麻雀やれる学校に行ったよ、龍門渕とか」
半分くらいは本心だ。中2の夏までは風越に行くつもりで寮とかどうすればいいか悩んだ事も有った。
私があの夏に勝ってたら目標を龍門渕高校に変えて、今頃は龍門渕透華にボコボコにされたかも知らない。
「でもまぁ……私には無理だったのよ」
気の弱い私には心が裂ける程の事だけど、檀はこれで引くだろうと期待した。 これも今日か明日くらいまでしか持たないけど、これで今日くらいはお終いになって欲しい。
これでとどめを刺すつもりだったのに、まゆみに腕を引っ張られ足を止められた。
「日詰が無理なら誰が出来るの? 私なんかは絶対無理だろうけど、やるよ」
「応援するから一人でして。 私は戻らないよ、檀は負けても楽しいかも知らないけど」
「負けてもいいでしょ? それに、私は日詰がそんなに簡単に負けるとは思えない」
「はぁ……、私なんか下手な打ちてだよ?」
檀は納得行かない顔をして私を見上げてる。
私の言う事がくだらない言い訳に聞こえて全然理解出来ないのも解るけど、私からは何も知らないで口出しをしてる邪魔者でしか無い。 解ってくれるそうでもない。
「檀は知らないだろうけど、インターミドルとインターハイでは違うの。 今年プロ入りした宮永照と姉帯豊音とか見れば実感する」
「……その例だと分からないんだけど」
少しの間を置いた私は腕を組んでから話初めた。
「白糸台3年連続優勝の宮永照はインターミドルに出てないし、それにまして姉帯豊音は高校3年で初めてインターハイに出たし、なのに今年度デビューしたプロでも通用してるのはその二人だけ。 インターミドルから有名だった愛宕や白水,江口とかは、プロではまだだし」
それは同然の結果だ、何年も先にプロの世界に踏み入れた先輩達を打ち勝つのが可笑しい方。 インターミドルやインターハイですら1年は上級生に歯が立たない場合が多い。 右手の指で数えても収まるくらい僅かな例外だけを除いたらそれは自然だ。
問題は、プロと言う所こそ、すなわちその例外だけが集まった集団なのだ。 その中で波乱を起こしてる宮永照は異常な打ち手。私からしたら宮永まで行かなくても理不尽な世界の片鱗を味わえる。
「学年離れてるから打ったはも無いけど……見れば解るよ。 所詮潜んでる化け物が現れたら凡人は手も付けられないの」
そう。勝てると思うのは負けへの近道だ。 立っている土俵が違う。
でもこの子はそれが知らないから私に向けてこんな顔をするんだ。情けなくてもしょうがない。
「それを確証バイアスって言うんだよ」
私もそんな生易しい事だったらむしろ趣味でも麻雀を打ってたかも知らない。
哀れな者を見る目をしてる檀が、私も気に食わなかった。
「神代小牧、天江衣、松実玄、宮永咲。 麻雀やりたいって言うならこの名前くらい知ってるよね? 中学時代には公式戦に出た事など無いのに、インターハイで突然現れた化け物達だよ。 長野で麻雀をしていればこの中で二人は合う事になる」
「だからもう負けたつもり?」
声は優しいのに檀の口から出されたのは怒ってる言葉だった。 この子は何時も何時も私の底を知ってるフリをするのが一番嫌だ。
「その人たちと打たなかったからまだ負けてないよ。 もう負けるのはごめんなんだよねー」
「日詰は昔から全く変わってないね。 覚えるの速いのに一回でも負けるとか進まないとやらなくなるの」
「判断力が鋭いって言って」
「私に見える日詰は麻雀じゃなくて志しが弱いの」
「はいはいそうですよー、 どっちでも良いですよー」
終わらない話を続けても結果などない。互いを理解出来ないなら話し合う理由もないんだ。続ければ単なる喧嘩になる。高1もなってそれはない。
私は方向変えて教室へ戻ろうと足を運べた。檀と言い争いになるのも嫌だし、のんきにお昼を食べる気分でもなくなった。
檀も私を止めようとはしない。
「私は日詰と部活したいだけなの」
どんな姿なのか見えなかったけど、私の背中に向けてそう言った檀の声は元通りになってる。優しい昔の声だった。
「……なら麻雀部じゃないと考えとくから」
・
(なんでここで一生懸命に麻雀打ってるんだろう)
まだ終わってない東3局。対局室の空気は完全に沈んでいた。精神だけが尖ってぶつかる。
今回は鶴駕の1年二人の話に成りました。
凡人って言ったら末原さんって感じですが(笑)
更新が久しぶりに成りました。
最近仕事が忙しくなってまして……年末だからでしょうか。
今回も読んで頂きありがとうございますとの感謝の気持ちだけです。