優希-Yūki-、再び全国へ   作:瑞華

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第4話、龍門渕の最強

「さぁ、遠慮なく上がってくださいな」

 

 龍門渕透華の声は何時聴いても頭の中で高らかに響く透明な音であった。

真っ先に玄関から飛び入りたのは言うまでもなく優希だった。目の前に有るのは懐かしいほどではないが、見て笑える顔ぶれ達だ。

 

「お久しぶりだじぇ、ノッポと衣!」

「やぁ~優希、本当に御無沙汰でおったぞ、今日こそ遊びを楽しむからな」

「私のことは無視ですの!?」

「別にのどちゃんのストーカーにのどちゃんの情報渡さないじょ」

「何ですって!?」

「まぁまぁ~いいじゃないかのぅ、アイツなりに親近感を表れてるんじゃぁ」

 

 流石に笑いを堪えなかったまこは唖然としている透華の肩を叩きながら奥に入る。その後ろから久と数絵がまこに続く様に透華に挨拶をした。

 

「元気だった?二つ返事で受け入れたってね?ありがとう、今日はうちの子たちとの相手よろしくね」

「確か正式の顔合せは初めてですね?清澄高校2年の南浦数絵です。皆さんの事は存じております、よろしくお願いします」

「お前、平滝のなんちゃらだったな?俺達とは一回も公式戦で直接対決した事がなかっけど知ってるさ」

「それはどうも」

 

 純は両腕に一人づつ絡んでいる優希と衣が騒ぐのを敢えて無視しながら数絵に声掛けた。とても笑いを堪えるのは無理にしか思えない場面だったが、突っ立った数絵は普通に話を続ける。

 

「国麻では1年生と2,3年生が別の大会になるから残念でした、今日は一つ教わる事を願います」

「お世辞は要りませんわ、教えるつもり何か一切有りませんから強い相手で無いとお引き取り願うだけのお話です」

「何だとう?」

 

 棘が生えた透華の言葉に優希が一気に純から透華の方へ突進して襲いかかる。でも誰も止めようとする者はなかった。

 

「透華はいつもこうだから大丈夫」

「その言い草はなんですの智紀!それにあんたはもう放しなさい!」

「大丈夫です、私の言い方が間違いました。優希も、もう良いから龍門渕さんから離れてくれ」

「いな、雀士なら悪口や暴力じゃなく牌で語るもんだじぇ!」

「お前が今、透華にしているそれは何なんだよ」

 

 ちょっとした騒ぎの後、透華を襲った東風の怪物と、龍門渕透華、染谷まこ、井上純が囲んだ一つ目の卓ではスパークと炎がぶつかり、天江衣、竹井久、沢村智紀、南浦数絵の座った二つ目の卓では平和な雰囲気の中で久の手によってサイが回された。

 

(この可愛げなど一切ない野生動物、生意気な仲間ごと一気に吹き飛ばしてさいあげますわ!)

(ふふ!アンタなんかまだ完全でもなかったのどちゃんに負けたくせに、我らの相手にならないじぇ!)

 

 怪物を前にしながらも血が登りそうな興奮状態に落ちいて冷静さを失った透華が豹変するのはできなかった。勿論、透華は透華自身が自分の麻雀だと決めたデジタルの打ち筋を貫くつもりだから望むところだろう。

 

「テンパイ」「ノーテン」「ノーテン」「テンパイ」

 

 東一局では優希より速く効率面でも優れた形で透華の先制リーチが掛かったが、最終的に透華の攻撃は不発で優希は手を回しながらもテンパイを維持した中身を見せつけた。

 

(私のお株が速度と火力の攻撃だけではないって知りな!)

(ふっ、これくらい麻雀あるあるですわ!今こそデジタル麻雀の最前線を行くわたくしの打ち筋を見せて差し上げますわよ〜!)

 

 続いた一本場では純によって加速されたまこがあっさりと和了って水を指す。

 

「本来の麻雀は正々堂々な決闘とは違うもんじゃぁ、卓を囲む四人がおるけぇ」

「おい透華、また原村と打った時みたいになってるぜ、ちょっとくらい周りを見たらどうだ?」

 

 殺気が飛び回る隣に比べれば衣の一向聴地獄も穏やかな所だった。次々と手が進む方向を変わる久とは違い、数絵は衣に対してどう動くべきかまだまだ感がはかどらなかった。

 周りを翻弄する衣の親を奪ったのは当たり牌をツモり豪快な手捌きで卓にパンと打つ久だ。

 

「ツモ!2000,4000!私ってば、まだまだ使えるじゃない」

「ノノカと咲だけじゃ無いって事だな……良かろう!だが、衣はまだ深まる途中にある、そこの南風はまだ吹けそうには見えない」

 

 リーチもせず、衣の五面張を躱してからの地獄嵌張待ちをツモで決めた。笑いながら久に点棒を渡した衣はその勢いに刺激された。

 支配による海の波がもっと荒ぶくなると天江衣にたいする覚悟をしていた数絵は一気に固まってしまう。

 

(何だ?この場、全てに及ぶプレッシャーは……身動きすら取れない)

(衣の支配と圧迫に耐えられる人材のチェック、まだ観ておこう)

 

 

 しんどい半荘数回が終えて疲れ気味の部屋にちょっと遅い目のお昼飯を用意した二人が入って来る。国広一とハギヨシだった。

 

「お待たせ致しました、透華お嬢様」

「まぁ、一!遅すぎですは!」

「ごめんね透華、ハギヨシさんに行ってたんで手伝いをしたら余計遅くなったよ、ボクのせいだ」

「まぁ、いいです一はやればデキますから」

 

 最後をボコボコと派手に飛ばされ終わった久はパッと立ち透華と一の間に割り込んだ。

 

「国広さん、今日は居ないかと思ったよ」

 

 親しく近寄る久に嫌味を感じた一は距離をとって目線だけで挨拶した。

 

「後で衣ちゃんと龍門渕さん、国広さんで優希を倒して欲しい」

「先ほど既に私の勝ちでしたよ、今更ですわ!」

 

 自動雀卓とパソコンしかなかった部屋だったのに、お金持ち好みの派手すぎる食器が並ぶテーブルが現れている。ハギヨシが引き出した椅子に着席した透華は不満そうな表情だっだ。

 透華に向けて「ごめんごめん」と謝るフリをした久は身向きを一の方に変える。

 

「でも私は優希に与えられる最大の圧迫を経験させたい……衣ちゃんは最大の力を発揮して麻雀を楽しむスタイルだからいいとして、国広さんは見てないけど龍門渕さんを優希と座らせるとまた先の様に興奮して打つと思う。私が欲しがるのはちょっと違う者、国広さんなら私が言っている意味が解ると思うんだけど?」

「嫌だよ、ボクは透華に透華の麻雀を打って欲しいからその話には乗らないよ」

「和にとってエトペンが一番安心して落ち着けるアイテムだとしたら、龍門渕さんには何だと思う?」

「ボクにその質問の答えを求めてるの?」

 

 一はその言葉が自分への挑発だと分かりながらも卓の上に残っている牌からひとつを取る。それこそが久の狙いであった。

 

「ボクと衣が卓に付いている限り、誰も透華には勝てないよ」

「さぁ、ハギヨシさんのタコスで優希が充電完了になったら2回戦始まるよ!」




龍門渕透華、大好きです。
頭のアンテナが大好きで本当カワイイです、和のストーカーなのも好き。
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