テトとの勝負は思ったよりも楽しくて...もう何戦目なのか憶えていない。時が経つのさえ忘れてしまっていた。
「...強くなったがまだ俺には勝てないな」
俺は前に座っているテトの方を見据えながら言った。テトはチェスが始まったからずっと笑顔を絶やしていない。ここまで笑顔でこちらを見られると少し気味が悪かったりするがそれを決して本人には言えないな。
「確かに強いね。ゲームの強さはやっぱり相変わらずだね。唯一神の僕でさえ勝てない唯一が兄さんだからね。昔も僕が兄さんに勝てた事は一度も無かったからね。もしかしたら今回は勝てると思ったんだどな~」
テトは上空を見上げている。
俺はそこである違和感に気づいた。こんな....場所があったか。最初は疑問に思う事は無かったがこんな場所は俺が前に生きていた時には無かったはずだ。それにさっきテトは自分の事を『唯一神』と言った。
「お前は唯一神なのか?」
「そうだよ。そう言えば、教えていなかったね」
「....そうか。それでこの場所を作ったのはお前か?」
「そうだよ。僕が退屈にならないように僕は...大戦を生き残った16種族にチェスの駒を1種族に付き一個の駒を渡してる。所謂、種の駒。兄さんならここまで言えば分かるんじゃないかな?」
分かるだろうと言う顔をされてもな.....16種族に駒を一つ.....チェス....そして種の駒.......そう言うことか。
「...予測だが....誰かは知らないか誰か種の駒を集めるもしくは種の駒を持ち寄り...テトに挑戦すると言ったところか。挑戦.....いや、唯一神の座を掛ける戦いを行うために必要な条件と言った方が正しいかもしれないな。そのゲームが行われるのがこの場所と言ったところか」
遊び心という範疇を超えてはいるが....面白い。唯一神の座さえゲームで決まると言う事だ。それは16種族の中の誰かが唯一神になりたいと思えば...なれないわけではない。つまりこの世界に生きる全員に唯一神になるチャンスは転がっているということだ。
「お前がこれを考えたんだろう?」
「うん!」
「相変わらず、面白い事を考えるな。それでお前のところまで誰かが来るとは思うか?」
「....来るよ。...君の兄弟がね」
「兄弟.....って事はあいつらもこっちに来ているのか!??」
俺は今まで俺一人だけがこっちの世界に来たと勝手に思い込んでいたが.......確かにこいつは今まで俺だけを呼んだとは一言も言っていなかった。
「うん!そうだよ!だって兄さんとあそこまでやりあえる何てどう考えてもこっちの世界にいるべき人間だよ」
確かにあいつらのゲームの腕に関して言えば尋常じゃない。あいつらの敵になる奴が言えばそれは多分……………異世界にいる奴らだろう。少なくともあの世界にあいつらの相手になる奴はいないな。
「…………まあ、そこら辺に関して否定はしないがいくらゲームが強いからと言って本人の同意もなくやって良いことではないだろう」
あいつらがあの世界を壊滅的に好いていないのは明らかだったがそれでも……………生まれ育ったあの世界に未練が一つもないとは限らない。
「………大丈夫!僕らはメッセージであの子達にこう尋ねたんだ。「君たちは生まれる世界を間違ったとは思わないか?」その時の二人の返答はその問いに対して肯定的な言葉であったから」
まあ、あいつらなら肯定的な返信をするだろうな。だってその問いに肯定的な返事をしたからたと言って異世界に飛ばされるとは思わないだろうからな。
「………………であいつらは今、どこにいるんだ?」
「多分、エルキアに向かっているんじゃないかな。あの場所からならそれが一番近いだろうし……彼らはこの世界で言う
「エルキア…………?」
「あ、そうだったね。兄さんは大戦が終わってからの事を何も知らないんだったね。まず、どこから説明しようかな………それじゃあ、僕が盟約を作った辺りからしようかな」
それから一時間ぐらいこの世界についての説明をしてくれた。どうやら俺が居た頃とかなり変わったようで争いで暴力が行われる事は本当にないらしいな。
「...皆、幸せになれる世界になったんだな」
「そうだね。誰も争いで死なない世界になったんだよ。兄さんのような犠牲者や大戦の犠牲者が出ないようにね」
「同じ過ちを繰り返す事がないように...切に願うよ」
「それで兄さんに二つお願いがある」
「お願い?」
「うん!一つ目、誰かが16種族を全部まとめてここまで来たときは...僕と兄さんで迎え撃つ」
「俺とお前?いや、お前だけで良いだろう」
「ううん。それじゃダメ。だって僕は兄さんが近くに居てこそ本領を発揮出来るんだから。それに僕たちは兄弟だ。「 」と同じで僕たちも二人で一人なんだから」
二人で一人か..........良い響きだな。
「そして二つ目、兄さんは絶対に....人間...いや、どの種族の味方にもならないで欲しいんだ」
味方になるなと言うことか...って事は俺が関わると何か面倒な事が起こるという事か。どういうことだ。
「何でだ?」
「それは...兄さんの影響力が強すぎるからだよ」
「影響力?」
「そう。君が一度生きていると分かって...これは仮定だけど
俺にそんな影響力があるとは到底思えないけどな。それにそんな影響力があるのなら
「今、自分にそんな影響力が無いだろうとか思ってるでしょ」
「顔に出てたか?」
「うん!それに兄さんは何年経っても癖は変わらないね。何か考え事をしている時に眉間に人差し指を当てる癖があるんだよ」
そうなのか。俺に癖なんかあるんだな。今の今まで気付く事が無かった。
「兄さんは気付いていないんだよ....いや、来たばっかだったから分からないのかもしれないけど..この世界で兄さんは英雄としてどの種族でも語り継がれている。それぐらい兄さんは凄かった。そして16種族の中でも
「何でそんな事が分かるんだ。それはお前の勘違いと言う可能性だってあるだろ」
「いや、ないね。断言出来るよ。絶対にその4種族は兄さんへの忠誠が強い」
「じゃあ、聞くが何でそう思うんだ?そう言い切るからには何か根拠があるんだろ」
「うん。あるよ。兄さんの死後、この4種族は荒れたんだ。兄さんを殺したのが誰なのか突き止めるのに一番力を入れたと言っても良いと思うよ。血眼になってどの一族が兄さんを殺したのか突き止めようとしていたよ。まあ、見つけるために何万..いや、何十万という命を犠牲にしていたけどね」
俺の死後の事を俺が知っているわけも無いからテトから聞く話を全部信じるとすると...その4種族は何故か俺を殺したのが誰なのか捜索に力を入れたと言うことか。
だが、その4種族に特に思入れがあるわけではないがな。それにどうやらあいつらは約束を守る事がさっきの話を聞く限り出来なかったらしいな。
「...そうか....俺が死んでからそんな事になったか...」
「うん....それほど兄さんの存在は大きかったんだと思うよ。だから今回はどこか一つの種族に味方だけはしないで欲しい。お願い!」
テトは俺の前で両手を合わせてお願いをしてきた。
「...分かった。介入しない方が良いなら介入はしない...空と白が心配ではあるが...たまにお忍びで行けば良いか。あの二人ならこの世界をうまく渡っていく事が出来るだろうしな」
「それで兄さんはこれからどうするの?」
テトは真っすぐ俺の方を見ながら聞いてきた。
「どうするって?」
「..この後、どうするのかだよ。ここにずっと居ても良いけど、どうせ兄さんの事だから久しぶりに色々なところを見て回りたいんじゃない?」
もう変わっているだろうからな。この世界の行く末を見れなかった俺としては大戦が終結して一体どの程度変わったのか見てみたいな。
「そうだな...俺が居ない間でどのくらいこの世界は変化を遂げたのか。興味がないと言えば嘘になるな」
正確に俺が死んでから何年経っているのかは知らないが...かなりの年月は絶対に経っている。どの世界でも百年ぐらい経てばかなりの変化を遂げるものだ。だとしたらこの世界の俺が知っている知識は一度リセットした方が良いかもな。テトから教えられた知識も前に俺が生きていたものとは大きく違ったしな。
でも、口頭で聞くよりやっぱりこの目で見るまでは半信半疑だからな。
「じゃあ、行こうか!僕も暫くは暇だし兄さんの観光に同行するとするよ」
「別にお前は来なくても良いが......来ると言うなら止めもしないが.」
「絶対について行くよ。だって兄さんといるとトラブルが絶えなくて面白い気がするんだもん」
テトは満面の笑みを浮かべていた。こいつがここまで満面の笑みを浮かべている時は何か企んでいる時と相場が決まっている。
「お前、何か企んでいるんだろう」
「そんな事ないよ。只」
「只?」
「兄さんと一緒に居られるのが嬉しいんだよ」
今さっきより数段良い笑顔を浮かべながらテトは言っていた。
俺はこの笑顔を俺を一生忘れる事はないだろう。
この中で一番出番を多くして欲しいのは誰ですか?
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テト
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プラム
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アズリール
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空白
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フィール
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クラミー