「  」の兄であり、テトの兄   作:主義

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予想外

だが、予想外の事が起こるのはいつもの事だが.....まさかこんなところに...森精種(エルフ)が居るとは思わなかった。何故かエルフとフードをかぶっている奴が一人、俺たちの行く手を阻んでいる。

 

 

「...何でお前は俺の行く手を塞いでいるんだ。要件が無いようなら俺たちは行かせてもらう」

 

そう言って二人の隣を横切った瞬間に俺たちぐらいにしか聞こえない声で森精種(エルフ)はこう言った。

 

 

「...まさかこんなところに最古の英雄が居ますとは驚きなのですよぉ~」

 

俺は足を止めてしまった。何でこいつにはバレている.....少なくともバレないように行動してきたと思うんだがな。

 

 

 

「やっぱりそうでしたか...まさかと思っていましたがこんなところにいらっしゃるとは....」

 

 

「何の事だ?最古の英雄だとかなんとか言っているがそれは俺じゃない。お前の人違いだ」

 

 

 

ここは早く立ち去った方が良いな。下手に暴露でもしてしまったら何をしてくるか分からないからな。

 

「今さらそんな事言っても無理なのですよぉ~あなたの事は父様から聞かされたことがありますから特徴や人相に至るまで大体な事は把握しているのですよぉ~それに........」

 

 

テトは隣でだんまりを決め込んでいる。今、テトが話し出せば話は確実にややこしくなる事は目に見えている。

 

「違う。お前が俺の事をその目的の人物と思い込むのは勝手だが俺たちは急いでいる。道を空けてくれないか?」

 

 

俺はここに戻ってきてから一度もしたことがないぐらい鋭い目つきで森精種(エルフ)の事を睨んだ。だが、森精種(エルフ)は決して怖がる様子も無いが.....何でか笑みを浮かべている。不気味としか言いようがない。

 

「良いのですよぉ~まずは確認が取れただけで.....だけどいつかあなた様を...............」

 

 

俺はこの場から立ち去る事を第一に考えていたからか森精種(エルフ)の言葉が途中までしか聞こえる事は無かった。だが、一つ確かな事があるとすれば森精種(エルフ)は俺が見る限り..立ち去るまでの間ずっと気味の悪い笑みを浮かべていた。

 

 

「気味がわりぃな」

 

 

森精種(エルフ)から一定の距離を保つと俺はやっと一息をついた。追ってくる気配もないし何かを探ってくる感じもない。

 

 

「なぁ、テト」

 

 

「な~に?」

 

 

「あいつの事をどう思う」

 

 

「...森精種(エルフ)の事だね。う...何であの森精種(エルフ)が兄さんの正体に気づけたのかは大体わかるよ」

 

 

「分かるのか!?じゃあ、何で奴らは俺の正体に気付いたと思う?」

 

 

「兄さんの腕だよ」

 

 

「腕...そう言うことか....だが、なるべく見えないようにしていたつもりだったしこの腕の事まで現代に伝わっているのか...」

俺は少し思考してすぐに気づいた。腕がかなり長いコートを羽織っているんだが隙間から見えてしまったと言うところか。

 

「うん。伝わってる、兄さんの秘密にまでは気付けてないけど....あの大戦のあの場に居たものは皆、見たものを書物に残したり、口頭で伝えたり色々な形で伝わっているからね。今を生きている人達にも知られているんだろうね」

 

 

「それはかなり面倒だな...俺の特徴とかが出回っていると言う事だろう...下手に外に出ない方が良かったのかもしれないと今になって思ってしまうな」

 

 

「大丈夫だよ!.....ほとんどの人が兄さんの事を死んだと思ってるからね。それでこれからどうする?」

 

 

「今までと変わらない。まずは、吸血種(ダンピール)に行く」

森精種(エルフ)の事が気にならないと言ったら嘘になってしまうけど今は...第一目的地を変える気にはならない。吸血種(ダンピール)が一番16種族の中で危機的な状況だろうからな。

 

 

「兄さんがそういうならそれに従うよ!じゃあ、そろそろ向かおうか」

 

テトはいつもと変わらぬ笑みを浮かべながら僕に手を差し伸べてきた。これは握れと言うことで良いのか...分からんが握ってみて..もし、嫌そうだったらすぐに握るのを止めれば良い話だしな。

 

 

「そうだな」

 

握っても別に嫌そうでなかったら俺はそのままエルキアを出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フィー」

 

 

「...............」

 

 

「フィー」

 

 

「...あ..クラミー..ごめんなのです」

 

 

「どうしたの?あのフードをかぶっている奴が去ってからずっと立ち尽くしているけど....さっきの人は知り合いだったの?」

 

 

「ううん。今日、初めて会った。...だけどまさか生きているとは思いませんしたよぉ~もうかなり昔に死んだと父から聞いていましたから。だけど生きていたのですよぉ~」

 

 

「そんなにあの人は凄い人なの?」

 

 

「凄い人ですよぉ~クラミーでも大戦中の英雄って言ったら聞いた事があるんじゃないですか?」

 

 

「英雄...あ..ヌース」

 

 

「うん、大戦中に命を落としたと聞いていましたが..生きているとは..思いもしませんでしたよぉ~」

 

 

「え...さっきの人がヌースだと言うの!!...フィーの見間違いでしょ。死んでいる人がここにいる訳がないもの」

 

 

「死んで無かったとしたら......歴史何てほとんど間違いで構成されている事が多いんですし歴史でも決して彼の死体は見つからなかったとされていますし」

 

 

「でも、何であの人がそうだと思ったの?そこまで言うにはなんか根拠があるのよね」

 

 

「うん....あの人は腕を隠していたから..最初は分からなかったですけど~.....彼の腕には文章が書かれていたのですよぉ~」

 

 

「文章?」

 

 

「...父から聞いた通りなら遠い昔...悠久の大戦が行われていた時代..........15種族が忠誠を誓った時にヌーレ様は15種族の安全と安心を保障する事を自らの両腕に刻み込んだと言われているのですよぉ~まだ、じっくり見た訳ではないけど...外見とあの目の鋭さも聞いた話と合致しますし両腕に文章が書かれており、私が「...まさかこんなところに最古の英雄が居ますとは驚きなのですよぉ~」と言った時に歩みを止めた。あれはまさかバレるとは思わなかったと言ったところでしょうね」

 

 

「....最古の英雄....ヌーレ......かつてこの大戦を終結させるために命を懸けた男.....」

 

 

 

 

「あ~~~~~~~~~まさか..ヌーレ様にこんなところで出会えるなんて...///」

 

 

 

 

 




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  • テト
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