「  」の兄であり、テトの兄   作:主義

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吸血種②

俺は珍しく肩の方の痛みで目を覚ました。こんな風に目を覚める事がないから何だと思って肩の方を手を動かしてみるとそこにはやけに大きな個体が居た。視線をそちらに動かしてもまだ目覚めたばっかだから視界がはっきりしなかった。

 

 

そして少しずつ視界がはっきりしてくるとその大きな個体が何なんのか分かってきた。

「おい....お前、何で俺の血を飲んでいるんだ?......吸血鬼」

 

そう言えば、俺はまだこいつの名前を知らないんだったな。

 

「へぇへぇ....ヌーレ様の血の味が美味しすぎて我慢できなかったんですぅ~」

こいつは目を離すとすぐに俺の血を飲んでいる。別に調子が悪くなることがないから良いが...寝ている間も飲まれているとなると少し対策を考えなくちゃだめかもな。

 

「少しは自重が出来ないものなのか?別に血を飲まないと死ぬなんて事もないんだろ。俺が起きているうちは許可してやるから寝ている時は止めてくれ」

 

 

「.....我慢出来ないんですよぉ~...それもこれもヌーレ様の血が美味しすぎるからですよぉ~」

吸血鬼は今にもとろけそうなほどの顔をしながら言った。自分では自分の血が美味いか不味いか何て分かりはしないからこいつの言っている事を肯定も出来なければ否定も出来ない。

 

 

「はぁ~....それで昨日、聞いてなかったがお前の名前は何て言うんだ?吸血鬼って個体名称で呼ぶのも面倒だし他の吸血鬼と区別するためにもな」

 

 

「僕の名前ですか~~僕の名前はプラム・ストーカーって言います~」

 

 

「プラム・ストーカーか。じゃあ、呼び方はプラムで良いな」

それにしてもこれからどうするべきか。観光はしたいがこの国によく考えたら観光できるところ何てあるか。今にも滅びかけているこの国に何か観光すべきものがあるのか。

 

「なあ、プラム」

 

 

「はぁ~い、何ですか?」

 

 

「この国に今、観光場所なんてあるのか?」

 

 

「うう~ん......ないと思いますよぉ~」

 

まあ、そりゃそうだよな。この国の惨状から考えるに聞くまでもないかもしれないな。でも、そうなると今日は何して過ごすか。正直、観光するために吸血鬼(ダンピール)の国にまで来たと言ってもいいからな。それが出来ないとなると目的が無くなってしまうな。俺は思考を巡らせ何をしようか悩んで...十分ぐらい経つと一つの案が思い浮かんだ。案と言っても大したものではなく只、ゲームをするだけなのだけど...。

 

 

「それじゃプラム。俺とチェスで一勝負しないか」

 

 

「ヌーレ様......とですかぁ~....」

 

 

「ああ、俺とだ。テトもそのうち目を覚ますだろうが、まだ目覚める感じはないからな」

 

俺はテトがベッドの上でぐっすり寝ているのを確認してプラムの方に視線を戻した。あいつは一度寝たら目覚めないからな。軽く見積もっても後二時間ぐらいは起きはしないだろう。

 

 

「いいですよぉ~ヌーレ様が相手だと勝てるとは思ってませんけどゲームには運もあったりしますからねぇ~」

 

 

「それじゃ..懸けるものを決めようか。もし、僕が負けたら一つだけ願いを聞いてあげるよ。プラムは何を賭けてくれる?」

 

プラムも常識の範囲の願いしかしないだろう....もし、血液を全部よこせとか言われたらさすがに聞けないけど命に危険に晒されるような事以外なら聞いてあげてもいいしね。

 

 

「....僕の全てぉ~...」

 

うん?こいつ今、耳を疑うような事を言わなかったか...。これは只の遊びで別にお互いに適当なものを懸けてやるべきもののはずだ。

 

 

「俺の聞き間違いかもしれないからもう一度聞くぞ。プラムは何を賭けるんだ?」

 

 

「....僕の全てぉ~」

 

どうやら聞き間違いではなかったらしい。.......いや、どう考えてもおかしいだろう。普通、自分の全てを賭けるなんて事をするか。負けたら自分が他人のものになってしまうかもしれないんだぞ。普通の奴なら絶対にしない。プラムは狂っているのか。

 

 

「お前、正気か?」

 

 

「うん。正気ですよぉ~」

 

そう言えることが正気ではないと思うがな。正気な奴は正気ですよとは言わないと思う。まあ、これ以上こいつに何を言ったとしても変わらないだろう。

 

 

「...お前がそれで良いんだったら俺は別にこれ以上何も言わない。それじゃ始めるとしようか」

 

どんな勝負になるか楽しみだな。そんな事を考えながら僕は最初の駒を動かした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勝負は思ったよりも長く続いた。正直プラムの事をかなり侮っていた。もう少し短時間で終わると思っていたが試合は予想よりも長い、どうやらプラムは頭の切れがいいらしい。空や白と比べると少し劣っているかもしれないが俺が思っていた予想よりは遥かに上回っていた。

だけどそれは予想を上回っているだけで俺を倒すにはまだ足りない。

 

そして結果は勿論、俺が勝った。

 

「プラム。思っていたよりもやるな」

 

 

「...そうですかぁ~~~ヌーレ様にお褒めいただいて僕は嬉しいですぅ~~」

 

言葉だけを聞けば嬉しいものだけどプラムの顔を見るとそんな気持ちは一瞬で吹っ飛ぶ。だって涎をたらしそうになりながら言っているのだ。今にも俺の腕に飛び掛かってきそうな感じだ。こいつは勝負中ずっとこんな感じだった。

 

 

「お前。もう少し自分の欲を隠すことを出来ないのか?」

 

吸血衝動があるのは知ってはいるが昨日と今日でかなりの量の血液をプラムにあげた気がする。普通の吸血鬼なら一か月程度は満腹の気分でいられるぐらいには。だが、プラムは今でもお腹を空かせているらしい。

もしかして全権代理者だから普通の吸血鬼と何か違うのだろうか。

 

 

「ヌーレ様の血が美味しすぎるんですよぉ~」

 

 

「自分では分らんから何とも言えないな。プラムは俺がここを去った後は大丈夫なのか?」

 

正直、俺の血をかなり飲んでいるはずだからしばらくは大丈夫だろうけど次に俺がいつ帰ってくるのか分からないからな。一応、こういう事も聞いておきたい。

 

 

「...一か月ぐらいは大丈夫だと思いますぅ~」

 

それは一か月を過ぎたら空腹になるという事か。俺も一か月後にここに絶対に帰れる保証は出来ないんだよな。かと言ってプラムを連れて行くのはかなり難しいんだよな。毎日、あの量を飲まれたら俺が貧血で倒れるのは目に見えている。

 

だけどここで見捨てるというのは.....何かな。折角、見つけた吸血鬼の全権代理者だからな。

 

 

「お前は俺と一緒に来る気はあるか?」

 

 

「行きたいですぅ!~~ヌーレ様の血も美味しいですし吸血種(ダンピール)が受けた恩を返すこともせず離れる訳ではいきませんからぁ~」

 

俺はこいつらにそんな大きな事をした覚えは全くと言って良いほどないんだけどな。俺が思い出せないだけなのか、それとも俺にとって小さな事でもこいつらにとっては大きな事だったのかもしれないな。

 

 

「まあ、お前がその気なら一緒に行くか」

 

 

「は~い」

 

 

 

テトがぐっすりと寝ている間に決まった。あいつはまるで目覚める気配がなくて最終的には日が傾き始めるまで起きる事は無かった。




これで吸血種のお話は一応、終わりです。

この中で一番出番を多くして欲しいのは誰ですか?

  • テト
  • プラム
  • アズリール
  • 空白
  • フィール
  • クラミー
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