ドライブの二次創作書きたいンゴ…
せや!バイクのライダーおるしシンフォギアと絡ませたろ!
……という浅はかな考えからこの小説は生まれました。

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風鳴翼は、友を愛し、歌を愛し、妻を愛しながら、その羽を散らした。彼女の友も、歌も、そして妻も、その様を見守り、見送った。彼女の、防人としての役目は終わったのだ。



「どういう…事だ…」


そう思われていた。彼女が病室で目を覚ますまでは。




クリム・スタインベルトは一人の女性と結ばれ、一人の娘を授かった。
彼は少女に、「翼」と名付けた。いや、正確には名付けたのは妻の方であった。クリムも名前を挙げたが、その名前はあまりにも「キラキラ」していたのでそんなものをこのご時世に大事な一人娘に与えてはいけないと妻が制止した。
「翼」はすくすくと成長し、研究にその身を費やすクリムの支えとなった。…その時までは。
彼の研究していた「ロイミュード」。奴らが突如を反旗を翻したのだ。その悲劇は数多の犠牲を生み出した。スタインベルト一家ももれなくその被害に遭い、父母は死亡。翼も頭骨を瓦礫で強打、瀕死に陥る重傷を負った。
しかし、運命の女神は「翼」に微笑んだ。翼の手術は無事に成功し、後遺症も無く彼女は無事に目を覚ました。歴史の歯車はそのまま平然と廻っていくと思われていた。その時までは。
その時までは、女神の笑顔が、どこまでも醜く歪んでいるとは誰も思うよしも無かった。


ドライブの復活にオマケが付いてきた。

風鳴翼は、警視庁特捜課に所属し、人々から平和な日々を防人(さきも)る日々を送っていた。いや、正確には()()()()()()()()()がその日々を送っていた。翼は風鳴翼の容姿を持ち、性格も、記憶も翼のものであったが、彼女は翼・スタインベルトであった。

「さぁ、行くぞ」

今日も翼は相棒の青い単車に乗り、彼女の職場に向かった。翼はその単車にブレードが付いていないのをどうにももどかしく思っていた。それならば、人々を脅かしている()()からもすぐに戦えるというのに。そんなことを考えている間に、単車の足は警視庁の駐車場のアスファルトを踏み、やけにゴツゴツとした赤い車の隣に止まった。翼は単車から鍵を抜き取り、建物の中に入る。警備員が翼に会釈したので、彼女も会釈した。去り際に、警備員が小さく鼻で笑ったのが聞こえたが、彼女はそれを無視して自身の職場に向かった。

しばらく歩いて見えたのは、()()()()()()()()()()と書かれた看板のしたで仁王立ちしている鉄の扉だった。翼はそれを開け、その見慣れた風景を目に押し込んだ。

「んん?あらぁー!翼ちゃんおはよぉー!」

翼が入った直後、右手にガラケーを握った()()()()が翼を間延びした声で出迎えた。

「あっおはよう翼ちゃん!…にしても今日もまた乱れてるわね」

横から()()()()()が翼のその長い髪を弄りながら呟いた。

「やめてください沢神さん。これくらいすぐに直せます!」

「ふーん。だといいけどねぇ…?」

りんなから髪を引き剥がした翼に西()()()が皮肉っぽく言った。究は続けて「昨日も一昨日もそう言って乱れてたし」と言った。

「ちょっと究ちゃぁん?それってセクハラですかぁ?」

「違いますよ課長!僕ってそんな風に思われてるんですか!?」

「ジョーダンですよ。…それよりも!見てくださいよ今日の占い!」

純は嬉しそうに携帯電話を掲げ、液晶を翼に見せつけた。そしてそこには「ラッキーカラー 赤」の文字がこうこうときらめいていた。

「いいでしょう?張り切ってネクタイ赤色にしてきちゃいましたよぉ…」

「何でも運任せですね課長は…。そういえば、今日は部屋が随分と広いですがどうかしたんですか?」

「いつものだよ。泊くんまたサボってる」

翼の問いに究は抱えたモノクロの人形を弄りながら応える。その言葉が響いた部屋は皆の顔を渋くさせた。

「おはようございます」

刹那、少々イラついた様子の女性の声が部屋に響く。扉の方を見ると、手錠を持った()()()()と、その手錠に捕らえられた()()()()がそこに居た。

「わおー!ナイスキャァッチ!お疲れ霧子ちゃぁん」

純が霧子に称賛の声を送ると同時に部屋に拍手が響く。その中には翼も混じっていた。

「服の色が良かったんだなぁー!今日の君のラッキーカラーは青だから、ね?ほら、ね?」

純はそう言って嬉しそうに霧子に画面を見せつける。霧子はそれに目もくれず進ノ介の手錠を外していた。

「ほんっと。日常の全てが占い頼りなんだよなぁ…課長」

進ノ介が解放された手をダラリと下げながら呟く。その言葉を聞いた課長から笑みが消えた。ただ、それは怒っているのではなく、真剣な表情であった。

「さて。翼ちゃんが出勤してきて、サボり魔の泊ちゃんが捕まった所で、いよいよ発表でーす!」

そう宣言する純の顔はさっきより渋く、シワが濃くなっていた。

「我が特状課が本格的に捜査活動に参加する事になっちゃったんですよぉー?しょぼんぼんでしょぉ…」

「ええっ!?」

「やなの?」

純の言葉にりんなと究が二人掛かりでツッコんだ。それに目を見開いてドキマギしている純だったが、それに翼が追い打ちをかける。

「職務怠慢か?だらしないですよ」

「くぅー!翼ちゃん今日も包丁だねぇー!」

「捜査に参加?何の事件に?」

その言葉に一行は驚愕の表情で進ノ介を見たが、究がすぐさまタブレット片手に語る。

「知らないのかい?会議に参加してないだけの事はあるね。ここ一週間で頻発してる連続殺害未遂事件、その現場で重加速現象が頻発してるのさ」

「重加速?」

進ノ介の腑抜けた声に一行は肩透かしを食らったように体が一瞬傾いた。

「そっからか!」

「…ああ、どんよりの事だ。りんなさんが名付けたんすよね?」

「そーそ。忘れないでよね進ノ介くん」

こうして進ノ介の知識不足を埋める会話を挟みつつも会議は進行し、翼ら三人の実働部隊が現場に赴く事になった。

 

 

 

「……やはり、分からんな」

翼は単車に跨り、鍵を刺しながら誰に向けるでも無く呟いた。

「(何故私はクリムという男の娘として生き返ったのか。何故私は他者とは違う単車を支給されたのか。何故私は…)」

考えていくと無限に出てくる謎を掻き消し、翼は鍵を回した。エンジンが唸り、機体が僅かに震える。

「…考えていても始まらない。行くぞ」

翼はアクセルを捻り、先行している二人を追った。

 

 

 

「…やはり、キツい」

翼はそのアンテナをゆっくり振り回しながら呟いた。

「仕方ないでしょう。これが仕事なんですから」

霧子が後ろで()()()()()と喧嘩をしている進ノ介を横目に言った。

直後、アンテナに装着された警報装置から警報音が鳴り響く。

「おい!静かにしろよ!」

現八郎が怒鳴るが、警報音はお構いなしに響き続ける。

ドグョン!

体が重く、鈍くなる。その変化に耐え切れず、体はバランスを崩す。特状課の三人も同じく体がブレていた。

「(どんよりだ!)」

「(これがか!)」

一行は異常に驚き叫ぼうとするが、体が思考に追いつかず叫びは心の中に閉じ込められた。

ふと階段の方へ目をやると、一人の男性がこちらへ歩いてきていた。そう、平然と。まるでいつも通りのように。

「(奴、重加速の中でも平気なのか…?)」

そんな事を考えた直後、男の体がモザイクのようなものに包まれたかと思うと、奴の体は鉄塊を思わせるおぞましい怪物に変化した。怪物は翼との距離を詰め拳を振るい、足で蹴った。かの少女の拳に比べるのもおこがましい程の速度であったが、重加速の影響で翼はどうすることも出来ずやられてしまった。怪物はたて続けに翼の首を掴み、そのまま持ち上げる。

「お前、イキが良さそうだな」

怪物はそう言い、さらにその手に力を込める。

「シフトカーズ、集合!」

突如、男の声が響く。それは翼がこれまで聞いた事が無く、「翼」がいつも聴いていた声だった。

「なっ!?」

そして怪物はふっとばされた、その「ミニカー」に。確認できるだけで四体、その小さな体で怪物と戦い、翻弄していた。怪物は指から光弾を撃つ事で抵抗していたが、それでも彼らには敵わずされるがままになっていた。

「ぬぅん!」

突如、怪物は地面に光弾を撃った。そこから土煙が上がり、晴れた頃には怪物は居なくなっており、居たのは四台のミニカーだけであった。…正確にはその内の一台はバイクだった。

グシュゥーン…

怪物が去った為か、重加速は納まり、皆が元の動きを始めた。といってもその動きは動揺しており元の動きとは若干違っている。

「何だったんだ…あの機械は…?」

「仲間さ」

翼の問いにそう答えたのは進ノ介だった。だが彼の顔は声の様に落ち着いてはおらず、むしろ困惑していた。それに翼の記憶通りならば彼の声はそこまで低く無かった筈だ。

「さっきの声の主は誰だ?」

「俺じゃねぇよ!」

「イグザクトリィ。私だ」

そう話したのは彼に巻き付いた、かなりゴテゴテしたベルトだった。組み込まれた画面に顔のようなものが表示されている。

 

 

 

特状課の部屋では一行が襲撃の対応に追われていた…という訳では無かった。一行はかなりまったりしていた。…が、そこに翼と進ノ介の姿は無かった。

「初めまして追田警部補!…で、人生初の重加速反応はいかがでしたかぁー?」

「いっ、いや俺はまだ信じねぇぞ!」

りんなの質問に現八郎は堂々たる言葉で応えたが、かなり動揺しておりロッカーに頭をぶつけた挙句、衝撃で落ちて来たカゴに追い打ちをかけられていた。

「なんて潔くない人なんだ。重加速は怪物たちの破壊活動の前兆、もはやネットの世界では常識さ!」

そう言い放ちながら究は課長用の椅子にふんぞり返った。

「くだらん!俺は見てない。見てないものは真実じゃない」

「じゃあ俺が真実を解き明かしてやるよ、現さん」

自信満々に現八郎にそう返しながら部屋に入ってきたのは進ノ介だった。その後ろには翼が仁王立ちしている。進ノ介はそのままテーブルの前までやってきて一枚の写真を叩きつけた。

「おい、そいつは…」

「俺が作ったモンタージュだ。まずはコイツを見つけ出す」

彼はそう言ってネクタイを締めた。そしてそのまま回れ右して走り出してしまった。

「おい待て!刑事は二人一組が基本だろう!」

「一課の俺を出し抜こうってのか!?」

二人も彼を追って走り出す。……廊下から誰かの怒鳴る声と謝る声が聞こえた。

「ギアが…入ったっぽい…」

「ギア?何のギア?」

「脳細胞のギア、エンジンかかってきたのかも」

りんなの言葉に答えた霧子は進ノ介の事が事細かに記されたノートを見た。

「泊さんのギアが上がった時の行動一覧

一、 ネクタイをしめなおす」

その事を確認した霧子は小さく心の中で笑った。

 

 

 

 

「増田のぶお、あのスポーツクラブの常連客。コイツに間違いない」

進ノ介は物陰に隠れ、二つの写真を睨みながら確信した声でそう言った。二人は向かい側の道路の側にあるスポーツクラブを見張る為に誰かも分からない車の影で張り込みをしていた。

「顔は確かに似ているが、髪が違う」

「そうだ。それに体格も別人だ」

進ノ介の言葉に翼とベルトが異議を言ったが、それは進ノ介の「黙ってろ」の一言で打ち消された。進ノ介はそのまま見張りに戻る。ふと、誰かが自動ドアから駆け足で出てくる。それをフードを被った男がゆっくりと追いかける。

「来たか。追うぞ…!」

「承知」

 

 

ドグョン!

「(え?どんより!)」

駆け足の男はその重たい体に驚き足を止める。第一、体の動きはゆっくりになっているので今は片足立ちの状態だが。

グシュゥーン…

いきなり元に戻った自身の体に驚愕しつつも男はバランスを取る。噴水の水は地面に落ち、鳥はいつものようにさえずっていた。ふと気配を感じ振り返ると、そこには冷たい顔をした増田が立っていた。

「増田君!?感じが違うんで、誰かと思ったよ。…最近来ないけど、どうしてるの」

「人間を襲ってた」

怪物に変化した増田は男と距離を詰め、その首を持ち上げる。男はもがくが怪物には無意味だった。

「助けてくれ…!」

「やめろ!」「貴様ぁ!」

翼と進ノ介が二方向から走ってくる。挟み撃ちの形だ。が、怪物はそれらを一瞥した後、小さく唸った。直後二人の体が重くなる。

「たすけっ…」

助けを呼ぶ声も虚しく男は地面に足を打ち付けられ、首をさっきよりも強く掴まれる。そして、男の顔が赤く染まる。何かを堪えているのではないと分かる、異様で異常な赤だった。

「いかん、()()()()()()()()()()()()()()()!」

ベルトの声に応じてやってきたのはあの時、怪物を攻撃した橙と青のミニカーだった。橙は進ノ介に、青は翼に、まるで元からそこに居たというように彼らの腰に納まった。

「動ける!」「これは…!」

「シフトカーの力だ」

二人は自身の体の感覚を確かめた後、怪物の下へ走った。

「離れろ!」

まず先手を打ったのは進ノ介だった。怪物を男から引き剥がそうとする。が、簡単に振り払われ、地面に倒れ込んだ。

「イヤァ!」

翼もかの師匠から教わった武術で対抗しようとするが、20年のブランクはどうにも出来ず、怪物にやられてしまう。

「多少動けても…このままじゃ…!?」

「ぬぅっ!」

どこからかさっきとは違う、二体の怪物が指から光弾を二人に放つ。それはなんとか避けたが、怪物の追撃に成す術無く傷を負う。

「仲間が居たか…」

「ぬぁぁ…」

怪物達がまた唸る。そして二人はまた男と同じ様に体が重くなった。怪物はそんな事もお構いなしに光弾を撃つ。が、それは二体のマシンによって防がれた。一体は進ノ介の乗っている赤いマシン、もう一体は翼の乗っている青い単車であった。しかし単車の方には誰も乗って居なかった。怪物達は動かしている者が車に居ると考え、その方へ向かう。

「タァ!」

が、ドアを用いたカウンターで怪物は出鼻をくじかれた。しかしそれで怪物達へ襲い掛かる反撃は止まらなかった。

「ハァ!」

車から出て来たのは霧子だった。両手で持ったリボルバー銃で怪物達を撃ち抜いていく。もう一体がようやくこちらへやってきたがそれにも見事な体術で対処していた。

「ハァッ!」

霧子は拳銃を撃ちながらいきなり車の向かい側、つまる所進ノ介が居る方へ跳び込んできた。そして審査員がいるなら全員が10点を出しそうな程の綺麗な着地をした。すぐさま影から顔を出し、反撃を続けようとする。そのさなか、進ノ介はその腰に納まった二体のミニカーを見た。

「霧子、お前…」

「何してるんですか泊さん!エンジンかかったんでしょう!?」

霧子は怒鳴りながら進ノ介のジャケットを開け、ベルトを露わにさせる。

「だったら戦って、彼と一緒に!」

「何でこのベルトの事知ってるんだ?」

二人が話している間に怪物は立て直していたが、それを感づいたマシン達に轢かれていた。

「おいベルト!」

「呼び捨ては失礼だねぇ」

「じゃあベルトさんよ!俺はどうすればいい!?」

()()したまえ」

「変身?」

「他人の運転は嫌なんだろう?君自身で、乗り過ごすんだ」

その言葉を合図に、彼の左手首にはゴツゴツしたブレスレットが、左手には赤いミニカーが握られていた。ミニカーを持ち換え、よく分からずにまじまじと見ていると霧子がベルトさんに付いたつまみを捻った。

「シフトカーを回転、レバーに変えてシフトブレスに装填しろ」

言われた通りにやってみると、何か起こったらしくベルトから何かの待機音が流れ始めた。

「君は過去に、大切なものを失った。だが今なら救える。私と仲間達が居ればこの重加速の中でも誰よりも速く動ける。それが、戦士()()()()だ」

「だったら…今この場から走り出して、あの人を救えるなら…!もう考えるのはやめた!変身!」

進ノ介はその左腕を掲げ、レバーを動かした。瞬間、彼は赤い装甲に覆われ、戦士となった。

「…なんだ貴様は?」

「悪いが俺も知らない。これから初乗りだ。怪物共、ひとっ走り付き合えよ」

それだけ言い放つと、進ノ介は怪物向かって走り出し、拳を喰らわせた。ドライブの力は凄まじく、また怪物達が油断していたのも相まって多くのダメージを与える事が出来た。しかし優勢は長くは続かず、怪物から反撃を喰らう。そしてさらに霧状の爆発物により進ノ介の体は遠くへ吹っ飛ばされた。それに乗じて二体の怪物が進ノ介に飛び掛かる。

「シフトレバーで加速しろ」

ベルトさんの助言通りに動かすと、進ノ介の体は怪物の光弾よりも速く動き、本体に連撃を喰らわせる事が出来た。

「俺が相手だ…!」

霧の攻撃をした怪物が仲間を蹴飛ばしながら進ノ介に向かって行く。それに進ノ介は対処しようとするが、加速の影響もあり体が鈍り攻撃を喰らってしまう。

「おい!私にもベルトを寄越せ!」

ようやく霧子の下に辿り着いた翼が霧子の肩を掴みながら叫ぶ。

「えっ!?…駄目です。あれはまだ…」

「その様子だと持っているようだな!?私がどうなってもいい、早く寄越せ!」

その叫びに霧子は長考した後、車から一つの機械を持って来た。灰色の、メタリックな機械だった。中央がポッカリと空いており、帯は無い。

「これを腰に添えれば勝手に装着されます。ですが、変身すれば強い衝撃に襲われるかもしれません。お気をつけて」

「ああ!ありがとう」

翼は霧子に礼を言った後、機械を腰に添えた。すると機械から二本の帯が伸び、背中でガッチリと固定された。

「(強い衝撃…か。まるで、あの時の奏みたいだ。私も戦う為に耐えてみせよう)」

空いた所を動かし、入り口を作る。そしてそこから青いミニカーを押し込む。

「シグナルバイク!」

「はん!単車乗りの私にはあつらえ向きだな!…変身!」

ミニカーで埋まった空いていた所を閉じ、変身の構えを取る。

「あぐがぁあっ!?」

が、翼の体は青い雷光に包まれ、翼は悲鳴を上げる。

「今すぐ取ってください早く!」

そう叫びながら霧子が近寄ってくるが翼はそれを制止する。

「私を…誰だと思っている…?……剣だ!」

翼は立て直し、しっかりとした姿勢を取る。

「ライダー!ブレード!」

青い装甲が翼を包み込む。そして、翼は再び、戦士となった。

「…行くぞ」

小さく、そう呟くと翼は進ノ介の下へ走った。

「ぐぁっ!」

進ノ介はフェンスごと倉庫の中に蹴飛ばされていた。

「貴様の相手は私だ!」

翼は怪物を蹴飛ばし、地面へ追いやる。しかし怪物は腕の力のみで立ち上がり、翼に反撃を開始する。そうして翼はいとも簡単に地面に這いつくばった。

「ハッ、ザコが。今ぶち殺してやる」

怪物はカカトを振り上げ、翼へ叩き込もうとする。その瞬間、翼はベルトをぶっ叩いた。

「ズーット!ブレード!」

刹那、怪物の脚が真っ二つになった。脚からはまるでそこから生えているかのように青い刃が突き出ていた。脚の間から粘っこい何かがポタポタと漏れている。

「お前…!?」

「私の剣を…翼を…ナメるなぁ!」

翼は跳び上がり、怪物に襲い掛かろうとする。が、怪物はこちらに走って来ていた怪物を盾にそれを回避する。しかしその斬撃を受けた怪物は爆ぜた。

「クソが!」

「こっちを忘れてもらっちゃ困るぜ!」

声のした方を見ると、装甲に付いたタイヤが橙になった進ノ介が怪物に向かって走っていた。

「二人掛かりで潰せ!」

「ぬぁ!」

進ノ介はそれを見てシフトレバーを三回動かす。

「フレ、フレ、フレア!」

直後、炎の渦が生まれ、一体の怪物を巻き込みながら爆発する。怪物は渦を一緒に四散した。それに自身の身の危険を感じた怪物は逃げ出そうとする。

「逃がすな、スピードタイヤに戻してフィニッシュだ!」

「りょーかい!」

進ノ介は赤いシフトカーをシフトブレスに入れ、また三回動かした。

「ヒッサーツ!フルスロットル!」

その声で何処からともなくタイヤが怪物の前に出現、進ノ介の前に突き飛ばした。その間に彼の車が高速で周回、赤い渦を生み出していた。彼はそれを蹴り、その反射した勢いで怪物を蹴る。そしてまた車を蹴り、怪物を蹴る。そう、何度も、何度も。

「ダァーッ!」

そして彼は最高まで高まった速度と共に怪物を蹴り貫いた。勢いを怪物で殺しきれず地面に足を擦りつけようやく彼の体は停止した。そして立ち上がった頃、怪物の体は破裂した。

 

 

 

二人は怪物の被害に遭った男の下へ駆け寄った。近くで霧子が容体を見ていた。…どうやら怪物に受けた毒のようなものは引いたようだ。二人は各々のベルトから各々のミニカーを取り出し、変身状態を解除する。そしてその後、翼は地面に倒れ込んだ。

 

 

 

「はっ!」

翼は何処かのベッドの上で目を覚ました。…しかしそこはベッドよりは跳ねず、布団よりは硬かった。見える天井は鉄板が見えており、粗悪な印象を翼に与えた。

「…何処だここは」

「ここはドライブピット。私達の拠点だ」

そう話したのは、タイヤの付いた、やけに背の高い機械に装着されたベルトさんだった。

「ひとまず。初陣、ご苦労だった。他の被害者たちの症状も治まったらしい。進ノ介は何か悩んでいたが」

「そうですか」

翼は起き上がろうとして小さく悲鳴を上げた。

「君の体は酷い疲労に見舞われているらしい。その痛みは、まあ言ってしまえば度を超えた筋肉痛だ。今夜は寝ていたまえ」

「……はい」

そして、静寂がドライブピットを、空間を埋め尽くした。その気まずい雰囲気を破ってベルトさんが声を出した。

「なぁ、翼」

「……どうしたんですか?」

「昔のようには、接してくれないのかい?」

「………どういう意味ですか?」

その言葉にベルトさんは酷く傷ついた顔を見せた。といっても、それはただの液晶だが。

「…いや、それはそれで…いいんだ。おやすみだ、翼」

「…おやすみなさい…?」

翼は、困惑しながらもその瞼を下ろした。




どうでしたか「仮面ライダードライブ」!…知ってる奴ど違うって?誤差だよ誤差。
すんません調子乗りました。一応の解説です。
翼さんにはベルトさんの娘として転生して頂きました。といってもあの日までは普通に「翼・スタインベルト」でした。つまり憑依ですね。ちなみに一応解説致しますと本編にベルトさんの娘は居ません。生涯独身でした。
して、シグナルブレードですね。ブレードですよ、ブレイドじゃないです。当然ですが、そんなもの本編にはありません。ただ、あのプロトドライブがあるんだからダチのプロトタイプもあっていいんじゃないかと思い、作りました。設定としては強いには強いですが使用にはかなりの体力が消耗される…って感じです。ヨモツフグリみたいだぁ。
とまぁ、こんなもんですかね。…そして、一番大切な事です。
これ、続きません。誰か続き書いて♡
はい、以上!


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