変身ヒロインが守る世界にて十人の変身ヒーローは戦う 作:庫磨鳥
詳しい世界観の説明とかは、出来るときにやります。
前半は掲示板風。後半が普通の小説となっております。
※1/5 活動報告にて一話の大幅な改訂について報告を上げました。気になる方は見て貰えると幸いです。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=253281&uid=109810
【多すぎて】アーマード雑談スレ パート50ぐらい【数え忘れた】 ※改訂済
349:七色
たすけて
350:騎士
どうした? なにかトラブったのか?
351:天使
グレムリン? いまどこにいるの?
352:七色
いま喫茶店に居て四人テーブルに居るんすけど。
俺→□□←銀
金→□□←灰
たすけて
353:騎士
なんだ、いつもの修羅場か。おつかれー
354:天使
全員集合は初めてじゃない?
胸熱だねー。
355:七色
胸熱ってどころじゃないっす! プレッシャ-がすごすぎてもはや胸焼け起きてるっすよ!?
あと三人は彼女じゃないっす!?
356:騎士
いや、手を出しておいて彼女じゃないとかないわー
357:天使
これはヒーロー界のクズですわー
358:七色
だして無いっすよ!?
あ、もしかしてスキルのこといってます!?
だったら、流石に抗議しますっすよ!?
359:天使
だって七色のヒーロースキルって、堕とした魔装少女を自由に出来るやつじゃん。
360:七色
いいかたああああああああああああああ!?
それに自由に出来るのは魔法のみっすよ!?
361:騎士
堕としたの部分は否定しないのか。
362:奈落
それで七色、いまどんな状況なの?
363:騎士
奈落さん。お疲れ様です。なんかすいませんね。こんな話していて。
364:天使
ほんとだよ。七色。奈落さんにあやまんなさい
365:七色
申し訳ないっす! でもまじで助けて欲しいっす!? さっきから三人が俺との出会いから始まって、自分はあれしてもらっただの、自分は一緒にどこそこ行ったのだので会話が成されるたびに雰囲気が太っていくっす!?
366:天使
多分、雰囲気が重くなるって言いたかったのかな?
いやぁ……想像通りすぎてもうちょっと面白みが欲しいよねー。
367:七色
面白みとか言わないでくれますか!?
368:騎士
だってよ。全員がお前のこと好きでー。取られたくない一心でーって話なんでしょ?
いつも言ってるけどもう決意してハーレム……築いちまおうぜ?
369:七色
あんたは単に面倒で言っているだけでしょうがあああ!?
370:騎士
そりゃ何回も似たような話聞かされたら天使みたいな対応になるよ。
お前のスキルを考えたら仲が拗れるのが一番よくないでしょ? だったら全員を責任とるか、現状維持をだらりと続けていくかじゃん? QED
371:七色
いやでもそれは
372:騎士
男には何かを守るために悪いことをしなきゃあかん時があるのよ。
お前もそれを承知で『アーマード』に入ったんでしょ?
だったら責任とっちゃいなYO!
373:七色
……ぱっとみ真面目な話で煙に巻くのやめて貰っていいっすか?
374:騎士
ちっ
375:七色
スレで舌打ちしないで欲しいっす!?
376:七色
あyば89y
377:騎士
あれ? おーい七色ー?
死んだか
378:天使
まだ死んでない(いずれ死ぬ)
今度こそ年貢の納め時かも知れないねー。
379:騎士
魔装少女の魔法が使える唯一のブレイダー。だけど魔法を使うためには、魔装少女と一定以上心を通わせる必要がある。好かれるごとに強くなるのはいいけど……なんというか、七色には悪いけど俺がこのブレイダーベルトをミスターから渡されなくてガチでよかった。
380:天使
そこは完全に同意。ラノベ主人公って見てるだけで充分だってはっきりわかんね。
というか、どうして七色はこうも愛が重い魔装少女と縁を作ってしまうのか?
全員ヤンデレは流石に動画のネタにも出来ませんわ。
381:騎士
もう座る席が納得すぎるのは気のせいかな? 事前に話あったわけでは無いと分かるからこそ凄すぎるし、普通に怖い。
382:天使
ちなみに最近使える魔法が一つ増えたね。朱色の
383:騎士
……今度こそ本当に死ぬんじゃね?
384:天使
いやぁ、人数が減る最初の理由が痴情のもつれとは僕の目を持ってしても予想できなんだね。
385:悪魔
あんまそう言ってやんなよ。結果的にはああなっているけど七色なりに頑張ってるんだからよ
386:天使
悪魔に言われるまでもないよ。冗談だよじょーだん。
387:騎士
悪魔先輩、グレムリン討伐お疲れ様です。戦ってみてどうでしたか?
388:悪魔
おう、みんなが懸念している通り強くなっているのは確かだな。多分
389:天使
どうせ君のことだ一瞬で粉々にしたんでしょ?
そんなんで強さ計れるわけないよねー
390:悪魔
電撃の効きが悪かったのは確かだ。先に戦っていた魔装少女の攻撃も通ってなかったし。単に耐久力が上がったか、それとも別の何かまでは分からんが、強化が入っているのは間違いないな。
天使どうした? 今日は随分と当たりが強いじゃないか?
391:天使
べっつにー? 僕の動画なのに一番人気を取られたのを気にしてるわけじゃないよー? 別にいいもんね。たった二十三票差で負けただけだし。
392:騎士
気にしてるね()
グレムリンに関してはやっぱり強化されているみたいですね。俺達ブレイダーにとっては些細な変化かもしれませんが、魔装少女側からすると魔法が効きづらくなっているのはかなりの大問題ですね。
393:天使
魔装少女の攻撃が通用しなくなったら、流石に手が足りないよねー
これもフェアリーの仕業なのかな? かな?
394:悪魔
わからんが無関係ではないだろうよ。あいつらのことだ。イレギュラーの俺たちをどうにかするためか、あるいは自分たちの悦楽のために実行しても不思議じゃねぇよ。
395:騎士
斬撃や刺突など物理的な攻撃は有効なので、やはり魔法の耐性だけが異常に跳ね上がっているとみて間違いなさそうです。
396:悪魔
この件は『アーマード』全員で一度話さないといけないな。
397:天使
だねぇ。僕の方は強くなったグレムリンのまとめ動画を上げるよ。
398:騎士
やっぱりフェアリーの悪行を公表して、大々的に協会内部の調査を行うべきでは?
399:悪魔
難しいだろうよ。そんなことをしてしまえば善悪関係無くフェアリーとの関係性を改めなきゃいけなくなるし、無関係な魔装少女も被害にあう。それは俺らも望むものじゃない。
400:天使
無用なアンチを沸かすのもノーセンキューってね。それにグレムリン改造に関してはまだ決定的な証拠は無いしねー。
401:騎士
そうですか……すいません、出過ぎたことを言いました。
402:悪魔
気にするな。気持ちは分からんでもない。
403:七色
たすけて
404:騎士
生きていたか!? 七色!?
405:天使
助けてって、まさか四人目が……!?
406:七色
奈落さんが現地入りしました
407:天使
展開が謎すぎて草
408:騎士
え、えぇ? なんで?
409:悪魔
何してんだあいつ。
410:七色
いきなり今まで濁していた別のブレイダーが登場してみんな困惑
俺が一番困惑 カオス
411:混沌
呼んだー?(*⁰▿⁰*)
412:天使
うーんこれはまさしくカオス
413:悪魔
呼んでねぇよ!
414:混沌
(ㆀ˘・з・˘)
415:騎士
いやてゆーか、マジ現場どうなってんの?
早く実況してくれ。
416:七色
え? すご
奈落さんが三人と話したらみんな落ち着いて、俺のことを考えずに色々と暴走してしまったって頭を下げてくれたっす。ああいや。謝罪については俺も非があるからアレなんすけど……。
417:騎士
あの、話し聞くだけでブレーキ壊れているってわかるセブンスガールズを大人しくさせただって!?
奈落さん本当にすごい。
418:七色
ちょっと待つっす!? そんなふうに彼女たちのことを呼称してたんっすか!? 初耳なんっすけど!?
419:天使
というか奈落さんはなんて言って落ち着かせたの?
420:七色
無視!?
……なんか俺にとって君たちはかけがえのない存在っていうのを優しく語りかけてる感じっす
いや……いや、間違ってないんっすけど……ないんすけど。
恥ずかしいっす!
421:悪魔
まあ、魔装少女三人が殺し合うなんて展開にならなくてよかったじゃねぇか。
モテ期の税徴収だと思って諦めな。
422:七色
悪魔先輩の悪魔!?
423:悪魔
悪魔だよ。
424:天使
なんにせよ。修羅場が収まってよかったよかった(つまらん)
425:騎士
平和が訪れてなによりだね(つまらん)
426:七色
このやろー! 本音漏れてるっす!
427:七色
げっ!?
428:天使
いやだってお前、ここではいいけど四人目の魔装少女に好意を持たれたんだろ?
ん? またなにかあったのか?
429:天使
まさかの四人目登場?
430:七色
グレムリンが近くに現れたっす!? というわけで倒しに行くのでこのへんで!
431:騎士
おー。いってらーしゃい。
……ふと、四人目が来るよりマシだったなと思ってしまったんだけど。
432:天使
実際そうじゃん。でも、四人目って誰だろ?
スレで話したことあるっけ?
433:騎士
いや、聞いたことは無いかな?
七色は進んでセブンスガールズのこと話さないからな。いっつもギリギリの状況になってそこで初めて書き込むし。せめて事前に言ってくれれば、やりようがあるんだけどね。
……こっちの方で朱色の魔装少女調べて見るかな?
434:天使
別に修羅場が起きてからじゃいいんじゃないの? 言ってしまえば七色の自己責任なんだし。
435:騎士
今日茶化せたのは、まだ俺達が三人のことを知ってて最悪な事態にならないって確信がどっかにあったからじゃん?
それに知らない魔装少女が、このヤンデレ坩堝に混ざった時にどうなるかって、ある程度予想付かないまま過ごすのは気持ち悪いってのはある
色恋沙汰はマジで取り返しの付かないことが起きやすいよ。
436:天使
あーなるほどね。
それなら、七色に直接聞いた方が早いよね
437:騎士
そうだねー。別枠でスレ建てて聞こうかな。
438:奈落
数が多いから僕も手伝おうかと言ったら全力で止められてしまった。
いま大人しくコーヒー飲んでる。
439:天使
妥当
440:騎士
適切な判断
441:悪魔
お前が出張るのは、グレムリンじゃないだろうが
442:奈落
そうか……ここのコーヒー美味しいな。
ああ、そういえばさっき朱色の魔装少女を見かけたよ。
凄い勢いで店を通り過ぎて行った。
443:天使
あいつ今日どんだけ~!?
+++
話題になっていた朱色の魔装少女の情報に、同じ『アーマード』の仲間たちがスレを消費していくのを眺めながら、奈落の名を持つ男性は穏やかな気持ちでコーヒーを飲む。
「……ずっとこのまま見てるだけかい?」
空っぽになったカップを眺めながら、奈落は“誰も居ない店の中”で語りかける。それがあまりにも無機質で、感情を全て捨てた問いであった。
奈落は、本来グレムリンが片付いてから話しかける積もりだったのだが、こうして一人になった以上、静かに居座るつもりはなかった。
「ボクの想像とは違う思惑があるならば、出来れば説明して欲しい」
中二病と仲間内で揶揄われる魔術師のような顔を隠せる黒染めのコートのフードを取る。その顔は平凡的で、およそ何か特別なものを持っていない青年に見えるが、たった一点。その黒く濁りきった瞳が彼を異常な存在である事を示していた。
「話し合いをする気も無いか……」
奈落は物憂げなため息を吐きながら、先ほどまでスレッドを見ていた、奈落の目と同じ色をしたスマホ状のアイテム『
「だったら、ここで終わらせよう」
すると、奈落の腰の部分から黒い炎が巻き付くように現れて、ベルトが現れた。
――それはまさに、ヒーローが腰に巻くものと似て非なるもので。奈落は慣れた手つきでベルトのバックルの頭にある長方形の穴に『BSF』を差し込んだ。
ベルトから発せられたのは、まるで地の底に住まう怪物の叫びのように聞いたものを例外なく恐怖へと突き落とす意志が感じられる生々しい音声であった。
その怪物を鎮めるかのように、パイプオルガンの調べが鳴り響き。その中で奈落は『BSF』を傾けてバックルの中へと押し込み。仲間の内で決めた台詞を口にする。
靴底から漆黒が床に広がっていき、奈落を染め上げる。黒に塗り固められ立体の影となった彼が前に向かって手を伸ばすと、指先の黒から全身にかけて一気にひび割れていき、そして姿が変わった奈落が露わになる。
まるで人間の骨を象ったアーマースーツ。漆黒色に染められている中で右腕には赤黒い三つのΘが描かれてあった。仮面に描かれている口は“W”のように歪んでおり、黒の世界にペンキを垂らしたかのような白い右目のみが世界を見ていた。
その見た目と行いから、仲間以外の全てに怖れられている“偽善悪”の化身。
その名は『ブレイダー・アビス』。この世界で十人しか存在しない男の変身ヒーローの一人である。
「――燃えろ」
アビスは天井に向かって振り払うように手を振るった。それだけで喫茶店全域が黒い炎に焼かれ始めた。
『――ア、アアアアアツイアツイアツイアツイアツイアツイアイツアイイイイイイイイ!?!?』
どこからかとは違う、まるで店そのものが熱さに悶えて叫び始めた。
「奈落の炎が燃やすのは心の内側にあるもの。“君”という存在も、“魔法”も心から来るものだというのなら燃やせない道理はない」
炎は徐々に喫茶店を燃やしていくが、そもそもここは現実の世界ではない。精巧に作られた箱庭世界であり、現実に実際存在している喫茶店にはなにも影響が無い。
「でも、外から中に入れたのは幸いだったよ。もしも完全に隔離されているなら僕も打つ手がなかったかも知れない……これも君たちの趣味の弊害かな?」
『ど、どうしてっ!? どうやってお前はこの世界を知ったあああああああああ!?』
熱さに悶える中、理解出来ない気持ち悪さに負けて声の主が尋ねる。
『入る事は出来ても気づけないはずだ! 感知出来ないはずだ!? ありとあらゆる探す力を遮断する世界だったはずだ!? それなのにどうして!?』
「悪いけど、ボクたちには目に見える絆があるんだよ」
『BSF』でのみ使用する事が出来る掲示板式メッセージアプリは、たとえ異世界や外宇宙へ行ったとしても書き込む事が出来る。たかだか現実から隔離された箱庭程度で阻害することは出来ない。
奈落は、そもそもこの喫茶店が敵の罠である事を最初から看破していた。それは彼のアビスとしてのスキル『奈落の炎』が関係している。直視でも画面越しでも言葉でも文字でも関係無い。心が宿る何かしらのものであるならば彼の瞳には心の炎が宿る。色と火力の具合で彼は、その心の異常に気づくことが出来る。もっとも炎の形であれやこれやと察する事が出来るのは、奈落という人物が常識外だからというのもあるが。
そのため奈落は、七色の書き込みを見た時、すぐに異常を察知して、彼の活動範囲から推理して心の炎の残り火を追って来たのだ。
「心っていうのは認識の外にあるんだ。君たちだって似たようなものだろ?」
『せっかく、せっかく魔装少女たちの醜い殺し合いが見られると思ったのに! まさかアイツが……アイツが邪魔ものだったなんてっ!?』
「彼女たちの心が燃え上がってるのを沈静化させたよ。もっとも彼女たちが常に強火であることは間違いないんだけどね。それでも君たち好みの良い子さ。何事もなければ同じ色をした炎同士、仲良くなるだろう」
ちなみに仲良くなった結果、七色の身がどうなるかはアビスの管轄外であった。ぶっちゃけ状況が悪くならなければ何でもよかった。
「人を玩具にする諸悪の化身よ。烏滸がましい奈落の死者が――全てを終わらせよう」
バックルの表面に右手の平を翳す。
短い絶望の声が鳴き。右腕の三つのΘが開眼。◎と形を変えて外の世界を見つめる。アビスは右腕を正面へと伸ばした。その挙動は誰かの手を握らんとするもので。
『やめろ、やめろおおおお!! これ以上――痛みを与えないでくれえええええ!?!?!?』
「――『ペイン・オブ・ジ・アビス』」
アビスの前に底が見えぬ円形の穴が現れる。その奥底から黒い火柱が『
「……誰にも夢の邪魔はさせないのさ。もちろん君にもね。フェアリー」
「えっと。お客様?」
「あ、すまない。コーヒーのお代わりを。久しぶりに香りが鼻に合うコーヒーに出会えたよ。今度からご贔屓にしていいかな?」
「ありがとうございます。うち自慢のオリジナルブレンドを、そう言って頂けるのは本当に嬉しいです!」
奈落は自分以外に客がいなくなったこともあり、お代わりのコーヒーを飲みつつ、若い店のマスターとしばらく談笑を楽しんだ。
こうして、奈落は二杯目のコーヒーを堪能し、何事もなかったように後輩たちのドリンクも纏めて代金を支払い店を出て行った。
『BSF』の画面をタッチで操作して掲示板を開けば。七色が、今日何度目かの「助けて」と書き込んでいた。どうやらグレムリンは無事倒せたみたいだが、その途中で朱色の魔法使いが合流して修羅場はさらに加速したらしい。
奈落は頬を緩ませながら新たな書き込みをする。
――頑張って。応援してる。
ちなみにこの後、奈落にも見捨てられたとスレが盛り上がったのを知ったのは、翌日のことだったりする。
書けそうなネタを、ゆっくりと書いていきたいです。