変身ヒロインが守る世界にて十人の変身ヒーローは戦う   作:庫磨鳥

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感想、お気に入り登録、誤字報告、評価本当にありがとうございます!

特殊タグの組み合わせなど、他作者様のご参考にさせて頂いたりなどして勉強したりしているんですが、難しすぎて無理しない事にしました( ̄▽ ̄)数字ほんとむり。
ですが、これからも色々と試していきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。

作者は基本的にPCで執筆しているため、スマホの方はヨコ画面にすると見やすいかもしれません。

今回は説明回なため戦闘描写は無いです。ごめんなさい! それでも楽しめたら幸いです。

※冒頭文は手動スクロールとなっております。


【天使】こんとおおおおおおおん!?【宣戦布告】

私たちアーマードは数多くの非道を見た。

決して人の眼に映してはいけない邪悪を見た。

悪なる人間、悪なるフェアリーが確かに存在することを私は見た。

 

同時に善きなる人間、善きなるフェアリーも数多く見てきた。

人々の平和を守り傷つきながらも立ち上がり、泥にまみれたはにかむ少女を見た。

その傍らに飛ぶフェアリーが、この世界に向けた愛を謳うのを見た。

 

全てが善であると夢想出来ぬ世界が愛おしく。

悪の全てを否定することの出来ない世界を慈しみ。

過ぎ去りし記憶に映る友に、そんな世界を守ると誓った。

 

故に私たちは沈黙を肯定した。膿を瞳に映し痛みを知る子が現れないようにと。

残酷を混沌に沈め、振りまかれる希望が少しでも多く人の元に届けられるようにと願った。

だが、その願いは管理者によって裏切られることとなる。

 

 

私は過去、信じると背を向けた。だから咎は私にもあるのだろう。

 

 

社会の管理者に任せるほうが正しいのだと。

システムとして、バグを取り除き正常である努力を行うのだと。

だが、管理者は秘密を埋めるだけで全てが解決したとばかりに振る舞った。

 

その結果、沢山の手が届かぬ不幸が生まれた。

決してあってはいけない悲劇が深淵に飲まれて、這い寄ることすら許されなかった。

少なくない魔装少女だった少女たちが絶望に飲まれて今も生きている。

 

故に私たち、第一世代ブレイダー。

カオス、デビル、ジャスティス、エデン、アビスの五人は。

『魔装少女協会』に宣戦布告を行うこととする。

 

魔装少女のために、夢のために、正義のために、弱きもののために、世界のために。

私たちは再び汝らの敵となろう。

 

這い寄れ。 混沌の足下に。

 

 

 

 

 

 

+++

 

1:天使

どういうことか説明せえええええええいいいい!!

 

2:混沌

やっちゃったぜ(・ω<) 三☆

 

3:天使

やっちゃったぜじゃないでしょ~!?

 

4:七色

みんなから連絡来て知りました! なにごとっすか!?

 

5:騎士

プロテイン吹いげほえばっ!?

 

6:七色

騎士が死んだっす!?

 

7:天使

これも全部悪魔ってやつの仕業なんだ!

 

8:悪魔

落ち着け。

 

9:騎士

勝手にころさないで……。それでさっきの放送どういうことですか!?

 

10:天使

数日間裏でこそこそやってると思ったら、協会に喧嘩売る準備をしてたってわけー? 僕たち第二世代に黙って?

 

11:混沌

ごめんね。話し合った結果。君たちにはあと出しで全部話そうってなったんだ(⁎⁍̴̆Ɛ⁍̴̆⁎)

ほんとごめんね(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

 

12:騎士

顔文字もうちょっとシリアスになれるの選んでもらっていいですか?

 

13:七色

とりあえず宣戦布告の件について教えてもらっていいっすか!? ちなみにこのスレみんなと見てるっす!

 

14:悪魔

まっ、魔装少女にとっちゃ気が気じゃないわな。はっきりとお前たちと戦争やるぞって断言したようなもんだしな。

 

15:天使

ああもう! とりあえず今下産業でよろしく!!

 

16:混沌

この間の1件で私マジギレヽ(`Д´#)ノ

協会もうゆるさねぇ(c" ತ,_ತ)

一回しばく(# ゚Д゚)カス!!

 

17:騎士

混沌先輩本気で怒って……る?……怒ってるのか?

 

18:天使

顔文字のせいであんまり分かんないけど、実行に移している以上これはマジギレですねー。

 

あーもうおしまいだ〜(協会が)

 

19:七色

あの、この間の一件ってもしかして俺のっすか?

 

20:奈落

そうだね。第8支部の惨状を目にして、このままではいけないと判断したんだ。

 

21:天使

奈落も来たってことは、シリアス度はMAXだねー。んで、これ正義は来ないの? この宣戦布告やれって言ったのアイツでしょ?

 

22:悪魔

やっぱわかるのか?

 

23:天使

わかるよ。文章は混沌が考えたんだろうけど、わざわざテレビ放送だけなところが正義らしくて、ほんといやらしい。

 

24:奈落

テレビが昔と比べて見てる人が少ないから、情報の遅延がどうしても発生する。その遅れが計画のために必要らしくてね。

ちなみに正義は最後の仕込みの確認をするため来られないってさ。

 

25:七色

正義先輩も動くって……協会と本当に戦争をするつもりっすか!? 魔装少女はどうなるっす!?

 

26:騎士

俺たちと魔装少女が戦うなんて……。

 

27:悪魔

気持ちはわかるが落ち着け、なにも全面戦争をするつもりはない。そんなことは俺がさせねえよ。

 

28:天使

まさかと思うけどミサイルレッツパーティで協会関連の施設全部壊して終わりとか言わないよねー?

 

29:混沌

それは断ったよ(●´ω`●)

 

30:騎士

一つの案として出てたんですね……。

 

31:七色

それじゃどうするつもりっす? できれば早めに答えてくれるとありがたいっす……なんかみんなすごい物騒なこと口走り始めたんで。

 

32:奈落

七色を通して、五色の炎が徐々に燃え上がっていくのが見えるけど大丈夫?

 

33:天使

なんでそんなにヤル気なんですかねー? 

 

34:七色

俺のためってのもあるみたいっす。ただ、みんな協会に碌でもない思い出しかないので……ちょっと過去の思い出とか記憶とかをお掃除をしたいとか……。

 

黒と一緒にいてそのまま合流していた桃ちゃんが怯えてるのでちょっと落ち着かせるっす。

 

35:天使

そういえば、セブンスガールのみんなは協会にいい思い出ないんだっけ……が、頑張ってねー。

まあ七色たちはともかくとして、第一世代の皆さんは第二世代の僕たちにどうして欲しいの?

 

36:混沌

計画に関して話すのはもう少しだけ待って。人( ̄ω ̄;)

いくつかプランがあって、まだどれを実行するか決まってないんだ(>人<;)。

正義の準備がどうなるか次第で、決まったらすぐに説明するから(: ̄ω ̄)人

 

37:悪魔

ただ身の振り方はすぐとは言わんが始まる前に決めてくれ。

 

38:騎士

身の振り方ですか?

 

39:奈落

僕たち第一世代は協会と戦争をする。戦争だからね。どれだけ被害を抑えるように挑んでも色んな人が不幸になることは止められない。ボクたちのやることに関われば辛い思いをすると思う。だからボクたちが始める協会との戦争にどう関わるのか第二世代のみんなには自分で決めて欲しいんだ。

 

40:騎士

そんな急に言われたって……もしもですよ? 俺が止めるって言ったらどうするんですか!?

 

41:悪魔

俺たちも止まるわけには行かないからな。終わるまでベッドの上で祈っていてくれ。

 

42:騎士

……いつものように裏で動いて穏便に解決するとかできないんですか?

 

43:悪魔

戦争をふっかけるのは、そうやって穏便に済ましてきたツケみたいなもんだ。だから俺は賛成した。そもそもこれは『裏案件』じゃないからな。

 

44:天使

第8支部はそれほど酷かったの?

 

45:奈落

行われていた所業だけで言えば他の『裏案件』とあまり大差は無いよ。でも問題なのは協会内部で行われていて、それを協会はしってか知らずか、あるいは僕たち任せか長年放置し続けていた。

 

46:混沌

深淵から這い上がってきたものは、消えるその日まで二度と光を得ることはないだろう。

どうか咎の針を突き刺してほしい。そして願わくば混沌の底にて安寧の温もりに癒されんことを。

 

47:奈落

僕たちがブレイダーになる前から続いていた不幸があった。それを放置し続けていた協会は、僕も一度は丸ごと燃やすべきだと思ったよ。

 

48:騎士

怒りはもっともですが、戦争をするほどですか!? それこそ『裏案件』の情報を公開すれば協会だってちゃんと改革のために動き出すんじゃ? まずはそれから始めましょうよ!

 

49:天使

騎士。そうしたら事態はもっと泥沼化すると思うよ。『裏案件』は表に一個出ただけで、協会の存在そのものを殺せる可能性を秘めた戦略級情報兵器みたいなもんだよ。

そんなもの、あっちは絶対に認めないだろうし、協会は生き残るために本気になって僕たちをどうにかしてくると思う。そうなったら一番被害を受けるのは間違いなく大人たちの保身で戦わされることになる魔装少女。

 

それこそ、どっちかが潰れきるまで終わらない最終戦争待った無しだよ。

 

50:騎士

でもだからって、戦争ですよ? 戦争はダメなんじゃないですか!?

 

51:奈落

騎士。少し訂正をさせて欲しい。たしかに僕たちは戦争という表現をあえて使ってはいるけど、君が教育として見せられた映像のようには決してならない。そのために僕たちは数日前から動いているんだ。

 

52:騎士

……すいません。しばらく黙って様子を見守りたいと思います。身の振り方についてはその時に話します

 

53:混沌

本当にごめんね(´・ω・)

 

54:天使

とりあえず正義のバカちんから話聞かないことにはどうするか本決まりはできないけど、僕は乗るよ。

 

55:悪魔

天使。これはお前が嫌う炎上案件ってやつだぜ? それでもいいのか?

 

56:天使

気遣うの遅すぎるよ。宣戦布告が開始された時点で既に僕のネットアカウント全部、火の海ですよー。

だったら僕も早めに計画に乗って情報管理した方がいいでしょ?

 

57:混沌

正直言って助かるよ。本当にありがとう( ̄^ ̄)ゞ

 

58:天使

きっと僕が乗っかるのも正義は予測しているだろうしねー。むかつくけどこういう時、あいつのやること派手で馬鹿で救いようが無いけど、乗っかった方が良い結果になるからねー。むかつくけど。

 

59:悪魔

やっぱわかるもんなんだな。それともお前がすごいんかね。

 

60:天使

お褒めに預かり光栄だよ。あと言っとくけど今後の生活のためにも悪魔には変わらずヒーロームーブしてもらうからね!

 

61:悪魔

悪いが、その辺は正義と話し合ってくれ。俺はいつものようにしかできないぜ?

 

62:天使

じゃあ別に心配しなくていいや。

 

63:悪魔

それはそれで、文句言いたくなるが?

 

64:王様

此度の知らせ。まことに驚いた。しかしながら余の知慮では到底理解に及ばぬ深い事情があってのことだと考え、妹たちの安全のためにも静観することに決めた。

よって余は、このことに一切の口出しをせず干渉しないことを宣言する。

 

65:混沌

わかったよ。妹さんのそばにいてあげてねヾ(@⌒ー⌒@)ノ

 

66:王様

王らしからぬ消極的な決断を詫びよう。代わりと言ってはなんだがいつでも我が店に食べにきてくれ、馳走しよう。

 

67:奈落

迷惑かけてるのは僕たちの方だからね。今度普通に食べにいくよ。

 

68:天使

王様はそれでいいよ。あり方を変えないブレイダーが居るってのは、不安に思う人たちの緩衝材にも成ると思うしねー。妹さんも不安になるとおもうから傍にいて上げてね。

そういえば希望は?

 

69:混沌

よく分かっていないってのはあるんだろうけど、私を信じるといってくれたよ(T ^ T)

 

70:七色

金が先輩たちに聞きたいことがあるらしくって、事前にどこまで話が済んでいるのかって。

 

71:奈落

やっぱり彼女は、君たちをマネジメントしているだけあってもっとも知慮深いんだね。

 

72:天使

正義がなんも考えなしで、あんなきちんとした宣戦布告させるとは僕も思ってないけどねー。んで、この数日なにしてたの?

 

73:悪魔

まっ、言っちまえば関係各所に戦争するぜって報告とかだな。そんでまあ色々と大人の話し合いをな。俺はほとんど関わってねぇけど。

 

74:天使

ガチやん。

 

75:奈落

混沌は魔装少女塾や幾人かの魔装少女やフェアリーたちに。

悪魔は秋葉自警団と落葉会、協会北陸支部に。

僕も何人かの知人に協力や支援を頼んだりだね。みんな考えの差はあれどスムーズに了承してくれたよ。

 

76:混沌

外堀から埋めたよね(^ω^)

 

77:天使

ガチやん(語彙力)

 

78:七色

今みんな話し込んじゃってるんっすけど、なんか話が難しくって桃ちゃんと一緒になって首傾げてるっす。

 

79:天使

ていうかさっき指摘忘れたけど、桃ちゃん一応部外者だから聞かせたらダメじゃないの?

 

80:七色

黒の友達だし、不安にさせたまま放置するってのも……。

あとみんなはよくわかってないみたいなのでセーフって言ってるっす。

 

81:混沌

セフセフ(=^▽^)b

 

82:悪魔

いいのか?

 

83:混沌

彼女は塾寄りの魔装少女だからね。なにかしらの形で塾学長から説明はあったと思うよ(=^ェ^=)

そういうところちゃんとしてる魔装少女だから(๑╹ω╹๑ )

いつもストレスで死にそうだけど(o´・ω・`)

 

84:天使

胃に良い飲み物用意するから今度持っていってあげてねー?

エデンの名前出してたけど、失楽園と連絡取ったの?

 

85:奈落

いいや、でも話は聞いていた。本気で嫌なら言う人だから、ここまで連絡が一つも無いって事は良いんだと思うよ。ボクの眼から見ても、いつもの調子だったしね。

 

86:天使

そっか……さて、とりあえず最後の質問になるんだけどー。聞きたくないんだけどー。マジで聞きたくないんだけどー。正義のやつほんとなにしてんの?

 

87:混沌

うーん。OHANASHI(^^;)?

 

88:奈落

交渉かな?

 

89:悪魔

脅迫でいいだろ。

 

90:七色

とりあえず碌でもないことをしてるのだけは分かったっす。

 

91:天使

ホントニネ。

 

92:混沌

といっても、本人が直接しているわけじゃないんだけどね( ˘ω˘ )

 

 

+++

 

「――だから言ったよね? なるはやで対応したほうがよくねって」

≪だ、だけど本気で協会と事を構えるなんて想像出来るわけがないじゃないですか。それに言っていることの大半が抽象的で本当に協会に向けた宣戦布告であるかどうかも……≫

「最後にはっきりと宣戦布告するって言ってんじゃんかよ。それにテレビ放送なんて面倒なことまでして悪戯するようなやつらじゃないって分かってっしょ?」

 

すみれ色の家具が多く置かれている執務室にて、すみれ色のバンド系衣服を着た金髪ギャルが、怒気を含んだ声色で壁に埋まっている大型モニターに映る十数人の女性たちを黙らせる。

 

彼女たちは『魔装少女協会』を管理する側の人間であり、支部代表から本部の重鎮たちと勢揃いしている。二時間前に放送された混沌の宣戦布告に関して話し合いが行われた。

 

≪あ、貴女のような魔装少女と違って、私たち管理者側は常に忙しい。だからどうしても動きが遅く――≫

「ちょっと、あーしも“管理者側”なんだけど? OK?」

≪そ、それは……存じています。魔装少女協会第十支部リーダーにて支部代表、魔装少女ヴァイオレット≫

「自己紹介あざーっす。まっ、そういうわけだからあーしも運営の大変さは承知なわけで、それでもこれは地震雷火事グレムリン並にヤバイ案件じゃんって、はようごけってメールしたよね? なのに会議が始まったの五分前って、ぜんぜんうけないんですけど?」

 

魔装少女協会には、本部を含めて全国に80以上の支部が存在する。バンギャ系の魔装少女。ヴァイオレッドは、第十支部の運営を行う立場の支部代表でありながら、その支部に属する魔装少女たちのリーダーを兼任している魔装少女であり、“敏腕”の名で知られていた。

 

「管理一本のあんたたちが、あーしに遅れをとるなんてめちゃヤバっしょ?」

≪こ、ここは大事な話し合いをする場ですからもっと言葉を丁寧に――≫

「――確かに独特の言葉を使って、意味が通じず情報の齟齬が発生したら問題になるよね。でも、いま話題そらす意味ある? こんな大事な話わざと逸らそうとしてんならまじ性格わるすぎじゃね?」

≪そ、そんなこと!≫

「自分がどれだけヤババなことしてんのか自覚してちょ」

 

魔装少女でありながら、支部代表であることは極めて異例であり、この会議に参加している魔装少女は彼女だけである。それ故かヴァイオレットは日常において、他の経営者から非協力的な態度(特別扱い)を受けている。

 

しかし、完全に孤立しているからこそ彼女にブレーキをかけられる人物がおらず、管理者たちは正論の暴力に黙ることしか出来なかった。

 

「現場の魔装少女から、ぴえん通り越したぱおんテルがたくさん来てんの。あーしの第十支部だけじゃなくて、東京内外関係無く他支部の魔装少女からたくさんね。そんで揃いも揃って言うんだわ。あんたたちが塩対応すぎて不安しかないって」

≪そ、それは――≫

てめぇら揃いも揃って恥ずかしくねぇんかよ!!

 

猛々しく怒声を上げるヴァイオレット。年齢立場関係無く経営者たちは全員何も言えず黙りこむ。

 

「そもそも、どうして宣戦布告されたか分かってるやつ、ここにおる?」

≪……現在調査中です≫

 

答えたのは管理者たちの中でも、上層部に位置する人物。

 

「タイミング的に、どう考えても第八支部が関係あるでしょ? あそこに何があったのか、なんでカオスやアビスに潰されたんか、理由まであーしも教えてもらってないんだけど?」

≪…………現在、調査中です……≫

 

――言えるわけないよね。身内の恥ってレベルじゃないんだしー?

 

「あっそ。まあそれはどうでもいいわ」

 

不気味なほどにさっさと話を終わらせたヴァイオレットは、駆け足気味に“本題”に移る。

 

「んで、宣戦布告。どうするか決めてるやつおる? 先に言っとくけどさ。魔装少女に戦わせるなんて鬼ヤバなこと考えているやつ流石におらんよね?」

≪で、ですがもしも本当に協会を襲撃された際には魔装少女の力でなければブレイダーに対抗出来ません≫

「なんで戦争すること前提なん? まずは『アーマード』と交渉するとか、そういうこと考えないわけ?」

≪あのジャスティスが交渉を受けてくれるとは……≫

「あのジャスティスだからこそ魔装少女たちに戦わせるなんて二度としちゃいかんのでしょうよ!!」

 

第二世代が現れる前、魔装少女とブレイダーは様々な大人の事情で衝突したことがあった。その結果はブレイダーの全勝。負けた魔装少女の末路は戦ったブレイダーによって変わった。

 

一番穏便だったのはデビルだったのだろう。彼は紳士的に魔装少女たちと戦い。最後には魔装少女たち全員と和解を果たして、未曾有の危機を乗り切った。

 

一番残酷だったのはジャスティスだったのだろう。彼はどこまでも平等的に魔装少女たちを扱った。“敵は撃つ”。大人たちの都合によって、ただ振り回されていただけの魔装少女たちは、一部を除き普通の少女に戻った後でも鉛の味を忘れられないでいる。

 

この事件後、『協会』は大人の事情で魔装少女たちを戦わせたことが世間に暴露されて、魔装少女や支援者(スポンサー)からの信用を落とす事となり、傾きかけたことがある。それを阻止した一人がヴァイオレットであり、その功績と得た信頼から支部代表にまで上り詰めた。

 

上層部は言葉を詰らせる。ブレイダーを真っ向から相手取るのが、どれだけ愚かな事か理解はしている。しかし、ブレイダーが宣戦布告してきた理由を察せられるからこそ、下手に争う事を回避する選択肢もとれず、八方塞がりとなっていた。

 

フェアリーたちの愚行(わがまま)、魔装少女の犯罪(失敗)そして自分たち普通の大人たちが得ている権力()。戦争をするにせよ、しないにせよ埋めたはずの秘密を暴かれてしまえば、どちらにせよ自分たちは終わるのだ。

 

「――もういいわ。お前らが案山子になるんだったらあーしにだって考えがあるし」

『な、なに?』

「あーしが、直接ブレイダーと交渉するわ」

『ま、まって、と、とにかく、もっと意見を募れば、より良い案が浮かぶかもしれないわ……』

「宣戦布告してんのにブレイダーたちが、そんな悠長に待ってくれるってマジで思ってる? 一秒がダイヤ並に貴重だってわかれ。成功したら万々歳だし、失敗したらあーしが全部責任とるわ。それでいいっしょ?」

 

交渉が上手く行ったとしても、“秘密”が暴かれてしまえば意味がないと、上層部たちはとにかく会議を長引かせてうやむやにすると、数人が口を開きかけた時にはもう遅く、事態は動いてしまった。

 

≪わたしは……賛同します≫

≪そ、そうですね。とりあえずはヴァイオレットさんに任せてもいいのでは?≫

≪彼女ならうまくやってくれるでしょう≫

 

真っ先に賛同を口にしたのは“秘密”を知らない中堅の管理者たち、彼女たちの頭にあるのは常に自分の保身である。そのため自分から渦中の栗を拾ってくれるというのならば反対意見なんて出るはずがない。

 

「まっ、あーしに任せるっしょ! とにかく全面戦争だけは回避してみるからさ、応援よろしくっ!」

 

中堅以下の“民主的判断(多数決)”によって出来た強固な流れは上層部とはいえど止められず。胸を張って答えるヴァイオレットに映像のラグだけが理由ではない、まばらな拍手が送られる。

 

ヴァイオレットは平和の使者としてブレイダーと交渉する事が決まり、会議は号令をかけることなく終わる。連鎖的に管理者たちは映像を切っていく。

 

≪――滅びの魔女の癖に!≫

「陰口は誰かに聞かれたら悪口なのよ。勉強になったっしょ?」

≪ッ!!――≫

 

その最中、上層部の一人が通話を切り忘れて、ヴァイオレットの忌名を口にする。それを本人はあくまでも笑いながら指摘した。

 

適当に手を振りながら最後の通話が切れると同時に、ヴァイオレットは疲れたーとソファに寝っ転がるが、その表情は疲労が感じられない、むしろ達成感に満ち溢れたにんまり顔であった。

 

ヴァイオレットは休むことなくスマホを操作して連絡を掛ける。音が鳴ってすぐに相手に繋がった事に、さらに笑顔を深くする。

 

「お、お。すぐでたじゃーん! そんなにあーしのテルを待っててくれたの~!」

 

先ほどの会議の刺々しい声とは違い、ヴァイオレットは甘えるような声を出す。それだけで完全に気を許している人物だというのが分かる。

 

≪そうだな。飯が喉を通らないぐらい待ち遠しかったぜ≫

「それ単にご飯食べた後だからっしょ?」

≪初めて行くパン屋だったが、カツサンドは中々に美味かった≫

「後で店教えてちょ。って言うか会議の結果とか聞かんのかーい?」

≪全部上手く行ったんだろ。じゃなきゃそんな嬉しそうにしてねぇだろうが≫

「きゃ、やだー。あーしの事なんでも知ってるって? まじ惚れ直したわー」

≪元からいい女だとは知ってるぜ?≫

「ぶー。たまには好きの一言ぐらい語るに落ちろってのさー。まさよしー」

≪ナハハ。ちょっと機嫌悪くなると、俺の本名言う癖直したら考えてやるよ≫

「それは出来ませーん……んで、あーしマジで几帳面だからちゃんと話すけどさ。計画通りあーし単独での『アーマード』との交渉権勝ち取ったから、いっちょよろしくおなしゃすね――“正義”」

 

――ヴァイオレットが話している人物。それは先ほど会議で決まったはずの交渉先の相手であるブレイダー・ジャスティスこと正義、その人であった。

 

そう交渉役を担ったヴァイオレットはジャスティスと繋がっており、先の会議でのヴァイオレットの言動は、交渉相手(ブレイダー側)によって事前に決められていたものだった。

 

≪戦争を止めるなんてのは外交官の仕事だ。普通の会社員どもでしかない協会の管理者なんぞ、お前の敵じゃなかっただろ?≫

「敵にもならんかったわー。仕事が出来る中堅勢は保身に秒ダッシュしたし、上層部もすぐ黙ったし。そっちはどうなってんの?」

≪外部組織との話し合いはすでに終わってるぜ。『塾』は身内を守るので手一杯だろうから元から動きはねぇと思ってるし、ほぼ独立している魔装少女やフェアリー含めて協会の“秘密”の事は勘付いているだろうしな、それを知るためにも傍観するだろう≫

「会場の方は?」

≪『落葉会』と『秋葉自警団』の連中とは話が付いた。そろそろイメージアップも行いたいんだろうよ。こっち側に付いて大盤振る舞いしてくれるってよ≫

「完璧じゃーん」

≪ついでに『北陸支部』はいつもどおりだぜ≫

「何でもいいから稼がせろっしょ? 上層部雑魚すぎて逆に何してくんのか予測できんし、あーしの方でも魔装少女を派遣してもらうようにテルろうかなー?」

≪それも良いが、お前の護衛はアビスに懐いているガキたちに頼もうと思ってる≫

「アビスっちの? マ? どんな子?」

≪元懲罰部隊の連中だな≫

「それマ!? いまあの子たちアビスっちの所にいんの!? どこいったしと思ってたから安心したわー。あーしの安全具合にも安心したわー」

≪フェアリーたちの動きはどうだ?≫

「特に変なところはないかんじ? いつもどおり人間のやることは難しって投げっぱなしっぽい。といっても、あーしの力じゃ動向探れるのは表で限界っすわ……」

≪元から食欲が動かない限りは、なにも興味を持たないやつらだ。人間側の問題に積極的に関わることはないだろうよ。表も裏も、自分の尻に火が付くまでな≫

 

たった一つでも、関係者の耳に入れば大混乱は免れない情報たちが、日常会話のような気軽さで交換されていき、会話の内容は戦争そのものへとシフトする。

 

「それで、正義の話聞いてる感じ。これって戦争っていうかー……“祭り”って言うやつじゃね?」

≪戦争だぜ? どんな形にせよ負けたら大切なものを失うんだからな。さらにはチップは不平等で、始まる前から八百長もあると来た。そんなものはスポーツとも言えんだろ?≫

「ぶっちゃけ言うとさ、やる意味がわかんねーんだけど? いつも通りパパッとしてドーンとやんないわけ?」

≪俺は今回脇役でしかねぇからな。『協会』を別に敵とは思っちゃいねぇぜ。だから俺が直接どうのこうのするってことはしねぇ。頼まれた以上、あいつらの望みを叶えるなら、これが一番“効率”がいいと思ったまでだ≫

「正義は仲間思いだねー、そんでもって――すっげー冷たいね」

 

仲間思いではあるのだろう、優しさもあるのだろう、その中に含む絶対的な冷酷さをヴァイオレットは指摘する。

 

――暖かな正義は、常に誰かを焼く光であるものだ。

 

「これが最後まで上手く行ったら、確かに被害は最小限で、成果は最大限になるんだろうけどさー。そのために四人、いや五人は生贄確定じゃん」

 

ヴァイオレットが語った数字は魔装少女、そしてブレイダーを指したものだった。

 

≪あいつらも承知の上だ。どれだけいい子ちゃんぶってもやることは戦争だからな。魔装少女も、そんで俺たちからも、多少の犠牲はあって当然ってやつだぜ≫

「まさよしのほんとそういうところさーマジヤババ。まっ、あーしは好きだけどね!」

≪あんがとよ。俺もお前のこと好きだぜ?≫

「ライク的な意味でっていうんでしょ、ほんとこのメンズはちょっとはデレろし!」

 

ヴァイオレットは隙あらば“いつも”のように告白し、正義もまた“いつも”のように適当に流す。これが初めて出会ってから十年間続く、彼と彼女のいつもの光景である。

 

「つーわけで、なんとか折衷案をもぎ取ってきたぜって、この話を持っていくにしてもちょっち時間を置かないとダメなわけよ。あーしに対するお礼も兼ねて久しぶりにご飯たべに行くしかねっしょこれは!」

≪おおいいぜ、牛丼屋でいいか?≫

「摩天楼の天辺星フレンチレストラン予約してっから、迎えにきてちょ」

≪ナハハ。ほんといい女だよ、お前は≫

「でしょ? んじゃ、また後でばいばーい」

 

通話を切ったヴァイオレットはウキウキとした様子で準備を始める。話題は戦争のことばかりになり、ロマンスの欠片もない食事会になると分かっているが、ヴァイオレットはそれでよかった。なにせ惚れた男と肩を並べられる機会が訪れたのだから。

 

「……怒られるから誰にも言わんけど、そこだけはあーしマジで感謝してんよ。ばかばっかな人間に、それにひっどいフェアリーたちにはね。マジで誰にも言えんけど」

 

――だったら俺ん家でも来るか? かわいそうな家出娘。

 

10年前に救われてから抱いた自分の夢が一つ叶ったのは事実だと、正義が迎えに来るまでヴァイオレットは鼻歌をうたい続けた。

 

+++

 

――その翌日、ヴァイオレットが事前に決まっていた(必死にもぎ取ってきた)折衷案を、『協会』が受諾した。

 

 

ブレイダーVS魔装少女

 

戦争決闘五番勝負

 

 

準備は急ピッチに進められて、二週間後役者と舞台が揃い戦争()は始まった。

 




情報が思いのほか小出しになってしまったことが無念です。

そういえば一章最後の会話に失楽園が居たことはお気づきになったでしょうか? 実はしれっといました。

多くの組織名などが出たかと思いますが、今はあんまし覚えなくていいです()。ノリでお楽しみください。今後ちゃんと全部出せればいいなぁ……あとこれ前にも言った気がするな……。

今後の投稿は、一試合ごとに書けたら投稿していく予定です。文量がどうしても多くなるので、その分遅くなると思われますが、待って頂けると幸いです。
……なんか作者予定を守ったことない気がしますが、多分今度はちゃんとそうなります多分。
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