変身ヒロインが守る世界にて十人の変身ヒーローは戦う   作:庫磨鳥

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月初めは寒暖差で死んでいて、二週目はトレーナーになっていましたが、なんとか予定範囲内には投稿できて安堵しています……ごめんね!

楽しみにしている方が沢山いると思われる今回ですが、そもそも作者あんまり得意ではなく、期待にはそえないかもしれませんが、それでも楽しんで頂けたら幸いです。




二回戦 本番

≪さあ、始まってしまいました二回戦。『アーマードchannel』では引き続き僕ことブレイダーアンギルとグレイ・プライドから変わりましてー≫

≪愛する人の心臓を射貫きたい。銀の弾丸ことシルバー・バレットよ≫

≪物理的な意味で人生を墓場にボッシュートだねー。……さーて始まる前から動きがあった二人だけど、試合開始の合図がなってからが動かなくなったねー≫

≪エリアル・アイスの方はグラウンドに咲き乱れた花を警戒しているのかしら?≫

 

エリアル・アイスの『固有魔法』。〈凍りの結晶〉はあらゆる物質を凍らせる氷晶を生成する魔法。調整が難しく凍らせることだけに特化しているが、その威力及び効果範囲は最強クラスであり、渇いた砂土のグラウンド全面を一瞬にして凍らせるほどである。

 

ただその強力な『固有魔法』を宿した代償か、エリアル・アイスは通常魔法の適性が極端に低く、『固有魔法』以外でダメージを与える手段が無いに等しい。なのでグレムリン相手では近づくことなく氷像にして、同じ第20支部に所属する魔装少女にトドメを任せるかそのまま放置して自然消滅(飢え死に)させるのを基本している。

 

(めんどくさいなもう)

 

上層部が彼女を選んだのは、エリアル・アイスであれば完封あるいはエデンの“植物を操るスキル”に対して無力化もしくは弱体化を行える期待からだった。

 

だが、いざ蓋を開けてみればエデンは凍った砂土などお構いなしに花畑を生み出してみせた。聞いていた話が何もかも違うと、エリアル・アイスは今度は氷晶が出ないように気をつけながらため息を吐く。

 

「……画像で見た時から素敵と思ったけど直接目に入れたらもっと素敵。原石だからこそ持つ美しさに目眩がしそうだわ」

「…………」

「あらやだ? 不快にさせちゃったかしら?」

 

美人とされている容姿、それに関係するものは嫌いな面倒ごとがセットで舞い込んでくるのが常だったエリアル・アイスは不快な空気を醸し出し、エデンは正確にそれを読み取った。

 

「嫌がらせるつもりはなかったの。本当に素敵だったからつい言葉にしちゃったわ。ごめんなさいね」

「……べつにいい」

「優しい子。ますます好きになったわ」

(……なんか聞いていた話と違う?)

 

ブレイダー・エデンと言えば変態オカマ。誰でもどこでも口が開けば性の事ばかりであり、男性も女性も性対象とみており、そういったトラブルを何度か起こしたことがあるらしい。それがエリアル・アイスが聞いていたエデンの人物像であった。

 

そのためエリアル・アイスは中年エロジジイみたいなのを想像していたのだが、言葉の節々に自分に対する気遣いを感じられて、態度もいたって淑女(紳士)的、気持ち悪さを一切感じず。変に敷居を高く設定してしまっただけに無意識的に警戒度を下げてしまう。

 

≪数秒で剥がれる化けの皮被って口説いてるんじゃないよ≫

≪アンギル?≫

 

実況席にてこんな発言があったのだが、会場には一切聞こえていない。

 

「貴女のこともっと知りたいけど、もうちょっと後にしましょう――最初は優しくいくわよ」

 

エデンがそう言うと足下から太い蔓が四本ほど生えて、個々が独立してエリアル・アイスに襲いかかる。案の定、気温や雪の影響は受けていない。

 

(こうなったらやるだけやる!)

 

エリアル・アイスは息を吸って肺に息を溜め込む。

 

「凍って」

 

右から左へと首を動かしながら口を細めて息を吐き出した。全てを凍らせる氷晶はエリアル・アイスが生み出した“風”の中に生まれる。

 

氷晶が含まれた白い息風は目に見えて分かるほど遠くへと素早く飛んでいき、蔓たちをあっという間に凍らせる。芯まで凍った蔓たちは宙に固定され、自らの重さに耐えきれなくなって崩れていく。

 

「前戯は始まったばかりよ!」

 

≪ブレイダー・エデン。グラウンドのあらゆる場所から蔓を生やし始めたわね。エリアル・アイスを捕縛するつもりなのかしら?≫

≪多分ねー。……亀甲縛りとかしなければいいけど≫

≪あれ完成するのに時間掛かるから違うんじゃないかしら? アイビーが来てからしなくなったけど難しいのよね≫

≪シルバー・バレットさん?≫

 

(埒が明かない!)

 

迫り来る無数の蔓を凍らせ続ける。このままだと押し切られるとエリアル・アイスは酸素を腹に溜め込み始める。その間にも幾多の蔓たちはエリアル・アイスに群がる。

 

「――っ!」

 

息を溜めきるのが間に合わないと判断したエリアル・アイスは魔道具を生成する。粒子が集まり生成されたのは大きめの白い団扇。それを握りしめ勢いよく一回転、自分を囲うように真白い風を生む。

 

≪息じゃなくても凍るんだ!?≫

≪自身が生み出した風ならなんでも良いみたい、凍らせられる距離(キルレンジ)は2.2メートルぐらいかしら? かなり短いけど防御手段としては最強クラスかもしれないわね≫

 

(これで、おわり!)

 

襲いかかってきた蔦を凍らせたエリアル・アイスは溜めきった息を全力で吐いた。

 

――吹雪、暖かく夏向かう季節を逆転させる災害。太陽の出番は訪れず北風が大地を襲い、全てを凍らせて粉々に散らせていく、そうして呆気もなく花の楽園は失墜した。

 

≪猛吹雪でグラウンドが見えなくなっちゃったねーって、というか会場内の温度どうなって……マイナス20!? 不味いって、ナイト! どうにかできる!?≫

 

暖房の意味を無くす冷気が観客席にも流れ込む。観客たちは寒さによって震えて、その身をどうにか暖めようと躍起になる。実況席で天使が叫ぶとほぼ同時、グラウンドと観客席を分断するバリアに変化が起きる。先ほどまで突き抜けてきた冷風が無くなり、気温が少しずつ戻り始める。

 

バリアに阻まれて外に出ることが叶わない吹雪は、半球を描くようにグラウンド内で吹き荒れる。外から様子が見えなくなって二人がどうなったか分からない。

 

≪……スノードームの中身って、案外試されている大地なのかもねー≫

 

吹雪が大人しくなり静かな粉雪へと変わる。花園は雪によって埋まり、それを踏みしめて立つエリアル・アイスは帽子に積もった雪を落とす。エデンは見える範囲ではどこにもおらず、元居た場所には雪山が出来ていた。

 

湯気立つエリアル・アイスは浮き出た汗を袖で拭いながら息を整える。

 

(……やりすぎた?)

 

――どさ。

 

「ん?……」

 

埋めるつもりで全力を出しはしたが、流石に加減をすればよかったかもしれないと後悔している最中、雪山の“表面”が崩れ落ちて中身が見えた、茶色系の荒い表面、いわゆる“樹皮”と呼ばれるものだった。

 

「しまっ――きゃっ!?」

 

エリアル・アイスは気づくのが遅すぎた。ブレイダー・エデンは雪の中を這わせていた蔓を地上に出して、エリアル・アイスの両手両足を縛り上げて宙に浮かせて、雪山の方の傍まで引っ張られる。

 

≪そのまま埋まっていればよかったのになー≫

≪さっきからエデンに厳しいわね?≫

「なにをもがっ!?」

≪うわー。この絵面配信していいのかなー?≫

 

両腕両足を縛っているものより遙かに小さい蔓がエリアル・アイスの口元を塞ぐ、山の雪が落ちて姿が露わになる。それは不自然に捻れ渦巻き状となっている木だった。

 

ミシミシと音を出しながら木々が動き出す、それは逆再生そのもので、木は段々と小さくなって最後に雪の中へと消えてしまった。そして、吹雪の間中に居たエデンだけが残った。

 

「な、なにするつもり?」

「安心してちょうだい。レ○プは性癖じゃないの」

≪なにひとつ安心出来る要素がねー!≫

 

目と鼻の先まで連れてこられたエリアル・アイスは、ここに来てエデンの噂を思い出して脅える。それに対してエデンは優しく宥めるように話しかける。そんな中、実況席でアンギルが頭を抱えた。

 

≪コホン……エリアル・アイスは完全に捕まった形になったわね この状況を脱する手段が無ければブレイダー・エデンの勝ちね≫

(鼻呼吸は出来るけど、凍らせたところで……これは詰んだ?)

 

自分を拘束する蔓を凍らそうとすれば、繋がっている自分もそのまま一緒に凍ってしまい結局は身動き取れない。エリアル・アイスは〈凍る結晶〉に特化した魔装少女であり、他の魔法は殆ど使えない。捕まった時点で勝てる見込みが無く、これはもうダメかと諦め気味となる。

 

「間近で見たらもっと素敵ね。でも不思議。わたしから見る貴女はこういった戦いに出るような子に見えないけど?」

「……」

「なにか事情があるなら聞かせて欲しいわ」

「……どういうつもり? なに考えてるの?」

≪そいつエロいことしか考えてないとおもうよ≫

 

塞がれていた口が解かれる。近い距離息を吹きかければ凍らせることは容易くなったが、エデンの行動があまりにも不可解すぎてエリアル・アイスは行動の理由を問う。

 

「頑張る子には応援したいじゃない? それで、どうして戦おうと思ったの?」

「……」

「そうね……。私も仲間のために戦ってるけど……」

≪嘘付いてないとは思うけどいけしゃあしゃあが過ぎるわ!≫

≪ツッコミが止まらないわね≫

 

エリアル・アイスが『戦争決闘五番勝負』に出た理由は、出場するか否かを聞いてきた第20支部代表が見たことない顔をしており、エリアル・アイスは嫌でも上層部になにを言われたかを理解して意志を曲げてまで首を縦に振ったのだ。

 

「事情によっては勝ちをプレゼントしてあげても良いわよ?」

≪……いいの?≫

≪僕は今回あくまで実況役でしかないからねー。どうにでもなーれー≫

≪単に投げやりになってない?≫

 

エデンの発言に、少なからず周囲はざわついた。そんな中でアンギルは仕方ないといった態度で適当に流す。そもそも2回戦は不戦敗のつもりで予定を立てているので、ここで負けたとしても当初の予定通りでしかないのだ。むしろアンギルが懸念するのは、ここから先の展開、配信者的には何でもいいので終わって欲しいまである。

 

「な。なんで?」

「わたし、あなたのことが好きになっちゃった」

「ほんとなに言ってるの?」

「だから、傷つけたくないのよね。んーどうしようかしら?」

 

様子をうかがってもマスク越しでよく分からない。どういった意味での“好き”なのか、めんどくさがって惚れた腫れたの経験がまったく無いエリアル・アイスには分からず、突然の告白にエリアル・アイスは戸惑うことしか出来ない。

 

「そうね、こうしましょう。貴女から今日ここに居る事情を聞いたらわたしの勝ち、最後まで言わなかったら貴女の勝ち」

「……なにをするつもり?」

「そう怖がらないで、わたしが使うのは自分の手と声だけ、それに、触れるのは貴女の顔だけにするわ、どう?」

≪同人誌の冒頭なやつー!≫

 

エリアル・アイスは答えない。しかし沈黙は承諾と言わんばかりにエデンは答えを待たずに勝手に動き始める。バックルの右側に差し込まれた『B.S.F』を抜き、反対にして再度差し込んだ。

 

UTUWATOINOTCHI

▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

 

EVA

 

 

 

▲▲▲▲▲▲▲▲

◀◀◀◀◀◀◀◀

◀◀◀

 ◥BODYANDLIFE◤ 

 

 

TilT EVA

 

全身のアーマーから葉が生えていきエデンを完全に多い隠したと思えば、ものの数秒で葉は飛び散って、姿が変わったエデンが露わになる。

 

茶色が消えて緑色のみになったエデン。男性にしては細かった腕や脚はより細く、体型は骨格そのものが変わりより滑らかに、そしてその胸部にはアーマー越しでも分かる明らかな膨らみがあった。

 

「怖がらないでね――優しくするから」

「――っ!?」

 

≪……噂には聞いていたけど、本当に性別を変えられるのね? それともスーツの形だけなのかしら?≫

≪いんや。本人曰く中身も完全に女性になっているみたい≫

≪変身するとほかに何が変わるのか聞いても?≫

≪話す機会が無かったってだけで隠しているわけじゃないから別にいいよー。エデンのスキルは方向性が二つあってね。茶色と緑の姿は、そのどっちも半々で使えるフォーム。そんで今の『Tilt-EVA』ともう一個『Tilt-ADAM』は、各々の方向性に特化させたフォームになるよ≫

≪ブレイダー・エデンは何をするつもりなの?≫

≪あー、多分というか間違いなく――≫

 

 

「わたしの声に全部委ねて」

≪女声でASMRボイスするためだけにフォームチェンジしましたねアイツ≫

 

――エリアル・アイスの耳元で囁かれた声は間違いなく女の人のもので、怠惰で興味すら湧かなかったために錆ついていた扉から、カチリと音がした。

 

「まずは、そうねこの体勢は辛いでしょ?」

 

雪の中から数本の細い木が地上へと伸び、絡み合って一席のリクライニングチェアとなる。エリアル・アイスは蔓に操られるままに椅子に身体を預ける。

 

「え?」

 

エリアル・アイスは思わず驚きの声を上げてしまう。木で作られた椅子ではあるが、まったく固くなく、むしろ綿が詰っているかのようにクッション性が抜群だった。ほぼ無意識に身体の力を抜いてしまったエリアル・アイスは、続いて斜めに傾く背もたれに膝部分にある山は己の身体に完璧にフィットしている事に気づき、まるで重力から解き放たれたかのような開放感を得ることとなる。

 

≪エリアル・アイス。もの凄く顔が緩んだー≫

≪事前情報では寝ながら動画を見るのを趣味としている話だから、拘束力は絶大ね≫

 

「どうかしら? あなたのために作ってみたのだけど? 気に入ってくれた?」

「っ!? ……べ、べつに」

「そう? でも緊張が無くなった貴女の表情、とても愛くるしいわ」

 

緊張と言う壁を壊されたエリアル・アイスは、エデンの囁き声をまともに受けてしまう。とっさに否定的な態度をとるも、その対抗は無意味に近かった。

 

今まで感じたことの無い、鼓膜手前に湧き出る小さくも主張が激しい痒さにエリアル・アイスは、ただただ戸惑うことしか出来ない。

 

「触るわよ」

「ま、まって……っ!?」

 

エデンはエリアル・アイスの囁いている耳元の反対の頬を覆った。グローブ越しであるはずなのに、感触は素手そのもので、少し冷ための温度に優しく愛されるように撫でられる。こそばゆさは痒さと混ざり合い、先ほどまであった数え切れない人々に見られているという理性が霧散する。

 

「ねぇ、教えてくれない? どうして貴女はわたしと戦ったの?」

≪エデンのエロボイスに、エリアル・アイス思わず身を仰け反らせる。そして配信切断ボタンにカーソルを合わせる僕ー≫

≪優しく撫でているだけに見えるけど、よく見れば重心を抑えつけて起き上がれないようにしているわね、芸が細かいわ。エリアル・アイス随分と効いているわね? 事前情報から分析した感じでは彼女こういった事に興味すら湧かないタイプに見えたけど分からないものね?≫

≪エデンに目を付けられた時点で枯れているって事は無いんだよなー≫

≪それにしても声だけでああなるものかしら?≫

≪僕も把握してるってわけじゃないけど、エリアル・アイスが最も反応するであろう好みドストライクの声作って聞かせてるんだと思う。実際、僕が聞いたことあるエデンの女性声はもっと高かったよ≫

≪彼女は怠惰に過ごす事を趣味としているようだから、何でも世話してくれそうな甘やかし系年上お姉さんの声を好むのは納得できるわ。驚くべきなのは、今日初めて出会ったばかりであろう彼女の好みを的確に当ててきた多彩な技を持つエデンね≫

≪うん、ちゃんと実況してくれてくれるのはありがたいんだけど具体的に内容を述べないであげて?≫

 

実況でエリアル・アイスの性癖が暴露されている間にも、エデンは彼女の耳元で囁き続けていた。始まってから数分。視聴者のどよめきは収まらず、自分たちは何を見せられているんだろうというコメントがそこら中で沸き続ける。それらに紛れて喉を鳴らすものが少なくないのはきっと仕方の無いことだろう。

 

「もっと力を抜いてもいいのよ? わたしに全部委ねて、ね?」

 

エリアル・アイスの反応もそうだが、エデンの声があまりにも耳が通るのだ。声フェチたちは己のヘッドフォンの質に一喜一憂しながら(彼女)の声に集中する。

 

「ここ弱いのね?」

「だ、だめ……!」

 

段々とエリアル・アイスの弱いところを把握していくエデン。触り方を最適化していき刺激を増やしていく。

 

――痒い、痒い、とにかく痒い。耳の穴を綿棒でそっと擦られているような、背中の中心部を首筋から腰まで指の表面で撫でられたような、内股にシャワーを強めに当て続けられているような、脚の裏を爪を立てて掻かれているような、そんな痒さに苛まれ続ける。それでも身体が動こうとしないのは、その痒さがエリアル・アイスにとって心地良いものであるからだ。

 

「わたしね。優しくて可愛い貴女の力になりたいの」

≪試合に関係無い話になるけど、ああいうのいいわね。私もセブンスに頼んで安眠ボイス作って貰おうかしら?≫

≪≪≪≪ガタガタガタガタッ!!≫≫≫≫

≪ステイステイ! 試合中!≫

≪シチュエーンはそうね。夜寝れない私を心配して声を掛けるの、不安そうな様子から段々と事情を聞いていって安心して、寝付けない私に添い寝を提案するの、それともピロートーブツッ――≫

 

影響は広がる。協会たちは大混乱となっていた。エリアル・アイスの反応が強まっていく様子に完全にコンプライアンスアウトで、すぐにでも試合を中止させるべきだと意見が出るが、この『戦争決闘』に人生を賭けている管理者たちは何がなんでも“勝つまで”試合を続行させるべきだと意見を却下する。

 

「わたしの声で感じてくれてるの? 嬉しいわ」

「そ……んな……こと……!」

 

エデンはどこまでもマイペースにエリアル・アイスを堕としていく、痒みはどんどんと蓄積されていき耐えきれなくなる。思考はもはや蕩けており、自分がここまでして耐えている理由を思い出せないでいた。

 

「フゥ~」

「ひゃん!?」

 

耳に息を吹きかけられたエリアル・アイス。その口からとても、とても艶やかな声が零れた。理性か崩れ、本能が強く主張し始める。考えることそのものがもの凄くめんどうになっていき、強くなり続ける痒さと熱さに悶え始める。

 

(……痒い……熱い……(へそ)下あたりが熱くて痒い……掻きたい……掻きたい……)

「ねぇ、教えて?」

(なにを?)

「あなたはどうしてここにいるの?」

(それを答えれば――)

 

――エリアル・アイスは自分がこのとき何を求めたのか、思い出すことは終ぞ無かった。

 

「わ、私は――」

 

エリアル・アイスは自分が出場した経緯を話した。本部の魔の手から第20支部を守るためエリアル・アイスの話はあくまで彼女による主観であったが、エデンのみならずこの話を聞いた殆どの人物が権力を利用した脅迫だと判断するには十分だった。

 

――会場の外、喫茶店にて正義がめんどくせぇなといつものように笑う。

 

(これで……これで……? これでどうなるの……?)

「話してくれてありがとう」

 

妖艶さだけを消した同じ声。それを聞いた途端エリアル・アイスを苛んでいた痒みがすっと引いていく。完全に無くなったが頭の中はふわふわしており、思考は微睡みに浸り続けている。寝てもいないのに寝起きの時の全てがどうでもよくなるあの瞬間のような、エリアル・アイスは強い睡魔に襲われる。

 

(――なにか、なにか大事な事を忘れている?)

 

このまま寝てしまったら後悔しそうな気がして、瞼に力を入れる。

 

「安心して、私たちが貴女たちを守ってあげるから、いまはゆっくりお休みなさい」

 

――それならいっか。

 

エリアル・アイスは今度こそ完全に力を完全に抜いた。時間も掛からず瞼を閉じた魔装少女から静かな寝息が立つ。エデンはエリアル・アイスを優しくお姫様だっこして、ゆっくりな歩幅でグラウンドを去った。

 

≪お客様ー。なにしれっとお持ち帰りしようとしてるんですかダメですよー! お客様ー!≫

 

 

――『戦争決闘五番勝負、第二回戦。勝者ブレイダー・エデン』と知らせが出たのは、混乱止まぬ数分後のことだった。

 




エリアル・アイスは痒さのあまり大事な所を掻こうとする寸前だったらしいですね。

流石にここまで凝ると終わりが見えなかったので、フォームチェンジは簡易的にしましたなにか思いついたら変えるかもです。

次はコメント回となりますので、次の日曜日までに投稿できればいいなと祈っています。それでは。


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