変身ヒロインが守る世界にて十人の変身ヒーローは戦う   作:庫磨鳥

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お気に入り1000件いきました、べらぼうに驚きまいた、日刊ランキング三位、オリ日刊二位になってました、死ぬほど驚きました。その日は仕事に集中出来ませんでした( ̄▽ ̄)。
誤字報告。感想。評価、ここすきも含めて本当にありがとうございます!

それとちょっとだけ、どうするかと悩みましたが、自分の好きなものを書いていきたいと思います。

今回の話は、三部構成になる予定です。

※変身シーンを変更しました。また作者の技術が向上したらさらに手を加えるかもしれません。

※幸太の独白に関して違和感があったので少し修正しました。


七色編
【七色】相談に乗って欲しいっす!【緊急】 前編


――そりゃおめぇ。あん時は俺しかいなかったからだよ。

 

両親が死んだことで一人になった俺を引き取ってくれた親戚の爺さん。気持ちの整理がつきはじめ新しい環境に慣れ始めたころ、どうして俺を引き取ってくれたんだと尋ねたときの答えがそれだった。

 

――ボウズ。この無駄に長い人生の中ではな、どうしても自分だけしかいねぇ、代わりに動いてくれるやつが周りにいねぇ。でも俺がうごかねぇといま目の前にいるこいつは間違いなく不幸になる。そんな奴に出会う時が来る。それがあん時だったわけだ。だからなボウズ。お前がそういったやつに出くわしたら――。

 

俺がしてもらったように助ければいいのか、言い終わる前にそう尋ねると爺さんは笑ってこう答えた。

 

――自分で決めろ。

 

 

1:七色

たすけて

 

2:騎士

なんか最近似たようなの見たな?

ついにセブンスガールに監禁されたの?

 

3:天使

パーティの時、金が「最終目標は七色様を監禁して一生飼うことですわ」って言ってたけど、それが実行されたの?

 

4:騎士

あー。それだ。

個室で二人っきりになった時やばかったよね。

Sだとは思っていたけど、実際目にしたらドが付くSだった。

 

5:天使

大手会社の社長令嬢とは知っていたけど、お嬢様じゃなくて女王様だったのは本当に草だったねー。

 

6:騎士

ねー。

 

……書き込みないけど、これはマジでやばいやつだったのでは?

 

7:天使

これはガチのガチで年貢納めてなう?

 

8:騎士

でもパーティの時に少し話したけど、無理強いは怖がられるのが嫌だからしないって言っていたから、もしかしたら別のトラブルじゃない?

 

9:天使

狼少年ってわけじゃないけど、これはやらかしちゃったかも。

 

10:七色

すいませんっす! 最初に書き込んでからいままで全力で逃げてたっす!

いま、公園の男子トイレに隠れて書き込んでるっす。

 

11:騎士

よかった。不安にさせるなよ。

というかガチ逃げじゃん。何してんの?

 

12:天使

よかった、まだ無事だったー。

それでいったいどうして逃げてんの?

ほぼ間違いなくセブンスガールに関わることだと思うけどさー。

 

13:七色

先に言っときます。

オレナニモシテナイ

 

14:天使

犯人は必ずそう言うんだよ!!

さあ何したか吐いてもらおうか!!

 

15:騎士

カツ丼食べるか? もちろんソースでいいよな?

 

16:天使

えー。そこは卵でしょ?

 

17:騎士

は?

 

18:天使

は?

 

19:七色

適当なことで喧嘩して煙に撒こうとするのやめてもらっていいっすか!(泣)

 

20:騎士

俺たちだって心の準備が必要な時がある!

 

21:天使

そうだそうだ!

はい、すんだので解説どうぞー。

 

22:七色

 

五人で集まって出かけててグレムリン現れて変身

 

変身すると黒色が増えてた、知らない魔法も増えてた。

 

みんなガン見、俺なにも知らない。

 

グレムリン瞬コロ、俺もまとめてコロがされかける。

 

逃げてトイレ引きこもる←今ここっす

 

23:騎士

ごめんまず先に言わしせて欲しいんだけど。

字面が浮気がバレてトイレに逃げ込んでスレに助けを求めるクズ男にしか見えないよね。

 

24:七色

自分でもそう思ったので勘弁してくださいっす……。

 

25:天使

あっはっはー。本当大変だよねーww

 

あー、本当どうしよう。想像を遥かに超えたのきたよ。

 

26:騎士

その黒色、魔装少女に関してどこかで会ったことがあるとか、話をしたことがあるとか七色はマジでなにも知らないのか?

 

27:七色

いえっす

 

28:騎士

えぇ……

 

29:天使

えぇ……

 

30:七色

な に が ど う し て

こ う な っ た っ す

 

31:騎士

知らないよ

 

32:正義

なんか随分と面白いことになってるじゃないか、なぁ?

 

33:天使

ぎゃああああああ!! でたあああああああああ!!!

 

34:騎士

立ち去りたまええええええ!!(お疲れ様です)

 

35:七色

あんぎゃ

 

36:正義

まったく反抗心バリバリで可愛げしかねぇ後輩たちだなぁ。ナハハ。

 

37:天使

というかヒーローショーそろそろ始まるけど準備できてるの?

こっちから姿が確認できないんだけど?

 

38:正義

そりゃ舞台裏にいるんだ。観客席の機材置き場じゃ見えんだろ?

 

39:天使

あ、居たわ。もうお客さん入ってきたんだから大人しくしておいてね!

 

40:正義

はいはいっと。

お、俺の方でも見えたぜ。手振ってやろうか?

 

41:天使

やめて! 演出のために音響スタッフの振りしてバレないようにしてるの知ってるでしょ!?

というか、正義は顔だししてないんだから素顔のままで目立つ行動はNGでしょ?

 

42:正義

誰が素顔でって言った?

 

43:天使

ほんとやめて、ラスボス戦以外でマジで顔出さないで、ヒーローショー台無しにするきなの!?

 

あーもー。なんで出るんだよ! おかげで予定に無かった苦労することになったじゃん!

正義、自分の悪名知らないわけないでしょ!? 炎上ふかひーだよ!

 

44:正義

面白そうだったからな。ナハハ。

悪魔も了承してくれたし、これで出ねぇと勿体ねぇだろ?

それに奈落と混沌の出演を許可したんだ、俺だけ仲間外れは寂しいじゃないか。

 

45:天使

奈落さんと混沌の許可出してから、俺も出たいって話持ちかけてきたのはズルすぎるでしょ……。絶対狙ってやったよね!

おかげでホール借りることになったし、機材から人材までその道のプロに頼むことになりましたよ……。

 

……悪魔に『アーマードchannel』に投稿する動画は、アーカイブか編集動画どっちがいーい? とか言ってたのが懐かしーなー(遠い目)。

 

46:正義

【混沌】裏案件書き込み板パート18【報告】を最後まで見て無かったお前が悪い。ナハハ

 

47:天使

届いた出前の対応に忙しかったんですー!

というか改めて言うけど、今回はアクロバティックな動きするだけで銃とか実際に撃たないでね!

 

48:正義

分かってるって、俺だって流石にショーってことを弁えてるよ。

 

49:天使

君がショーって言葉使うと、絶対碌でもないやつにしか聞こえないよね。

 

50:正義

さあ、ショーを始めようか!

 

51:天使

絶対、死人でるやつー! バトロワとか始まるやーつ!!

 

52:正義

偏見はヒーローとしてよくないんじゃないのか? ナハハ

 

53:七色

あの

 

54:天使

正当な評価ってやつだよ。どうせ否定しないんでしょ?

 

55:騎士

そこまでにしようっか? 話が完全に脱線しちゃってる。

ここは七色の話を聞くスレでしょ?

 

56:天使

あーごめん。完全に熱くなってた。

それで、本人が知らないうちに色が増えてたってことだよね?

つまり顔も知らない魔装少女に愛されちゃったってことだー。

 

57:騎士

またヤンデレなんですかねぇ……。

 

58:天使

だと思うよ。七色は人気投票で最下位だったけど、ファンがいないって訳じゃ無いし、魔装少女の中もセブンスのファンって言う子がいるの確認出来ている。

それでも新しい魔法が発現しないってことは、必要な好意の度合いが言わば「異常な愛」、まあぶっちゃけヤンデレに本気で好かれるってことがスキル発動の条件。それが今までの話し合いで出てきた結論。

 

59:騎士

四人の時は、スキルが発現する前に面識はあったから、すぐに分かったけど、今回はまったく黒色の魔装少女に関して身に覚えがないってのは初めてだな。

これが本当なら、顔の知らない魔装少女に異常な愛を抱かれたって事になるんだが……七色ならあり得そうなんだよなー。

 

60:天使

>>53 ……七色?

 

61:正義

>>53 ナハハ……お前だれだ?

 

62:七色

ごめんなさい。このスマホを拾ったものなんですけど大変なんです。公園のトイレから男の人が出てきたと思ったら、四人の魔装少女っぽい人たちに一瞬で連れ去られちゃって、それでわたしの友達が追いかけていったんですけど、これが落ちててみなさんが話してて、えっとこれってなんなんですか? というかみなさんってもしかしてアーマードなんですか!?

 

63:七色

わたしの使ってるスマホとは違うから使い方とかいまいち分からなくって、お返事遅くなりました。

 

64:七色

あの、なにかお返事を聞かせて貰いたいんですけど。

 

65:騎士

……ごめん、ちょっとなにからツッコンでいいか分からなくって、とりあえず……なにしてんのあいつ!?

 

66:天使

『B.S.F』落としたのはだめでしょー!?

というかてーへんだてーへんだ! 誘拐だ拉致監禁だ!?

 

67:正義 

誘拐自体は>>35に起きていたか?

なんにせよ事件だなぁ。ナハハ。

 

68:天使

笑い事じゃないんだよー! 四人って間違いなくセブンスガールだよね!? 

ついにヤっちゃうために動き出したってことだよね!?

 

69:騎士

おおおちつけ、ままままだ慌てるような時間じゃない。嫌われるのが怖いから無理矢理はしないって言ってた。

可能性としては黒のことを追求するだけで連れて行ったかもしれんでしょ。

 

70:正義

そんなお行儀のいいやつらには見えなかったがね。

なぁ、天使よ。弱い心に浸って生きてるやつらが依存先が関わることに手段なんて選ぶと思うか?

 

71:天使

その言い方、本当にやめた方が良いよ。

それで、落とし物を拾ってくれた人。ごめん状況が分からなくて混乱してるよね?

 

とりあえず、僕たちのことどこまで知ってる?

 

72:七色

もうなにがなにやらです……。

 

アーマードchannelの動画いつも見てます!

 

73:天使

ありがとー。じゃあ、ボクたちに関しては省略して君が見たものを三行で説明すると。

 

痴情のもつれに巻き込まれなう。

by

セブンス。

 

 

74:騎士

一行でよかったよね?

ていうかbyの使い方間違ってるよね?

 

75:七色

あの男の人セブンスさんだったんだ。だから魔装少女に連れ去られたんですね。わかりました!

 

76:騎士

……こうやって、変な方向で有名なのを実感すると、なんだか普通に可哀想になってくるよね。

 

77:天使

有名だからねー。

 

78:騎士

うっし、出かける準備が出来た。

今からセブンスの『B.S.F』を回収してくるわ。

拾ってくれた人。悪いんだけど左下端のアプリアイコンタッチしてくれない? それ起動したらボクたちの端末に居場所が分かるようになるんだよ。

言っちゃえばGPSアプリだね。

 

 

79:七色

こうですか?

 

80:騎士

そうそう。

 

うわぁ、結構近かった……もしかして、さっきちょっと騒がしかったのって七色関係だったのか?

……行かなくてよかったと思うべきか、確認しなかったことを悔やむべきか……。

 

81:七色

わたしはここで待っていればいいですか?

 

82:騎士

どこか人の目から隠れそうなところに置いて貰えればそれでいいよ。

 

83:七色

いえ、もしかしたらまた誰かに拾われるかもなので直接渡したいと思います。

 

84:天使

ごめんこっちはショーが始まるから動けそうにないし、スレは見れるけど書き込める隙が無いかも。

というか二世代のみんなも動けない。希望と王様には連絡はした。

 

85:騎士

七色<<ありがとう。だったら分かりやすい目印になるものを教えて欲しい。

 

天使<<助かる。俺は『B.S.F』を受け取ったら、そのまま七色の行方を捜してヤバイことになっていたら彼女たちを止めることにするよ。

乗り気にはなれないけど、強引なのはダメだと思うからね。

 

86:天使

フラグ不足のハーレムエンドは大体バッドだって相場が決まってるしね。

騎士、よろしくね。

 

87:騎士

時間との勝負だね。

 

 

88:七色

名前は桃川暖子っていいます。見つけやすいように噴水のところでピンク色の魔装少女で杖掲げてますのでよろしくお願いします。

はやめにおねがいします。

 

89:騎士

すぐ行くわ(迫真)

てことで俺は一回落ちる。なにか分かったらメールを送って。

 

90:天使

んー。うん。見つけやすいようにしてくれたんだね。ありがとう。

でも本名とかこういうのに書き込んじゃダメだからね!

 

91:希望

きたよ

七色さがす?

 

92:天使

希望、突然呼び出してごめんねー! 

お願い! 探して位置がわかったらメールで送って! ついでに王様にも送って!

 

93:希望

わかった。

 

94:希望

わかったよ。七色ここにいる

 

95:天使

ありがとーってラブホじゃねぇか!!

あなたたち未成年でしょ!! なんで入れたの!? 管理がばぁ!

 

96:希望

ラブホってなに?

 

97:天使

え?

……えーと、恋人同士が好きを確認するために泊まるホテルかな!

 

98:希望

七色にぴったりなばしょだ。

 

99:天使

………………ウンソウダネ

 

 

+++

 

騎士はバイクに跨がり、七色がセブンスガールによって連れ去られたとされる公園へ向かう。

 

「……あれは?」

 

その道中、人混みに紛れ込んで見覚えのある銀髪の人物を見つけた。

 

「……こっちへ来いか」

 

顎を一度振るい背中を見せる彼女の意図を読み取った騎士はスレに≪銀を見つけた。桃川ちゃんごめん、取りに行けそうにない≫と書き込み、進路を変更する。

 

銀はすでに姿を消していたが、ここ周辺の地理を把握している騎士は方角を指し示されただけで、どこで彼女が待っているかすぐに分かった。

 

そこは数年前にグレムリンの被害にあい、その後も様々なトラブルに見舞われたことで復興の目処が経っておらず、人々から見放された区画。半壊した商店街の道に銀髪の女性が立っていた。

 

「……間違ってたら申し訳ないんだけど、お名前『銀毘 麻胡(かねび まこう)』さんであってる?」

「ええ、出来れば下の名前で呼んで欲しいわ。なんなら七色君のようにマコちゃんとでも」

「よかった。じゃあマコちゃんって呼ばせてもらうね。最後にあったのはパーティの時だから二週間ぶりになるかな?」

 

銀毘はセブンスガールの一員の魔装少女だ。クールビューティを体現させたかのような美貌を持ち、四人の中で最年長の高校三年生。騎士はパーティの時に彼女が七色と離れるため高校を卒業するのが嫌だと語っていたことを記憶している。

 

「それで? 僕をここに呼びつけたのはなにか用事でもあったの?」

 

騎士がヘルメットを脱ぎ、素顔を露わにする。その顔は天使曰く、特撮のヒーローそのものと呼ばれた事があるイケメンと呼ぶに相応しい黒髪褐色肌の青年だった。

 

「分かってるくせに」

「正直なこと言うとね。状況は大体把握してるけど全部憶測でしかないんだ。君たちが七色にあれやこれやするのはいつものことだし、今日も特になにも起こらないんじゃないかって楽観視してるところもあるよ」

「私は……私たちは今回は本気よ」

 

真剣(マジ)な声色に、騎士は困惑の表情を浮かべる。

 

「この前、無理矢理はよくないって言ってたよね? 随分と早い心変わりじゃん」

「思春期なのよ……って、話をぼかしても意味は無いわね――〈チェンジリング〉」

 

銀毘は変身魔法を発動。すると瞬く一瞬のうちに魔装少女の姿へと変貌する。

 

可愛いというかかっこよさが際立つ銀色の軍服風のデザイン。ただしズボンではなく黒タイツにスカートとなっていることで女の子らしさが出ていた。両手には一丁のマスケット銃が握られており、“まだ”戦う気はないという現れなのか銃口は空に向けられていた。

 

「今日、セブンスに新たな色が現れたわ」

「知ってる。俺たちのほうでも結構な騒ぎになったよ。黒色だってね。七色は会った記憶が無いって言っていたけど、君たちはなにか知らないの?」

「私たちも覚えがないし、黒が誰かってのは興味が無いの」

 

七色を誘拐したのは黒のことを追求するのが目的じゃないと言外に語る銀毘。騎士は彼女の本気度を理解して、『B.S.F』を手に取った。

 

「五番目が現れた時、私たちは気が狂いそうなほどの不安に襲われたわ。私たちが知らない誰かが七色を狙っていて、もしも横からかすめられたらどうしようって」

「……そうはならないかもしれないよ?」

「なるかもしれないわ。少なくとも可能性はゼロにはならない。これは女の勘……いいえもっと理論的なものよ。私は私を自覚しているわ。ヤンデレと呼ばれる壊れものだってね。その黒も間違いなくそう。奇跡的に皆とは友達や仲間として歩んでいけてるけど、その黒はどうなのかしらね? 視界は彼を見ることにのみ機能していて、私たちと徒党を組むって考えは毛ほども無くて、そうして大事なものを全部壊して、欲しいものを手に入れようと手を伸ばす」

「そうと決まったわけじゃないでしょ?」

「ええ、分かってる。これは全部私たちの被害妄想でしかないって。でも、このままだと私たちは不安に殺されそうなのよ」

 

理屈ではなく感情の問題だと断言する銀毘に、騎士はやっぱり言葉の説得は無理かと早々に諦める。

 

「だから実行することにしたわ。私たちセブンスガールで女子会を開いた時にとりあえずで練っていた計画をね」

「……正直、マジで聞きたくないんだけど、その計画の内容をよろしければ聞かせていただけませんかね?」

「ラブホで一発よ」

「女の子が言っていい言葉じゃないよ!?」

 

ただでさえ、半分ぐらいしか無かった騎士のやる気がゼロになりかける。なにを好き好んで仲間の童貞を守るために戦わなきゃ行けないのか。こんなこと掲げた騎士道の誓いにねぇよと帰りたくて仕方が無かった。

 

「分かっていたけどね、でも実際に聞くとダメージでかいよね」

「ああ、それと聞きたい事があったの」

「聞きたくないけど、なにかな?」

「一回でも事後になったら、私たちを止める理由は無くなるわよね?」

「あまりにも酷すぎて答えたくない」

 

因みに答えていたら騎士は首を縦に振っていた。どのセブンスガールかは知らないが、その子と七色の合体がすんでしまった場合、中途半端に止めた場合別の致命的なトラブルが発生するだけであり、こうなったら最後まで責任を持てってなる。騎士の心情的にも、本番すました奴らになにも言う気が起きないってのもある。

 

「もう答えてるようなものよ。そうだと思ったから譲ってあげたの。ちょっと悔しいけどね。友達として報われるべきと思うから」

「……灰か」

「七色君。私たちのことよく話しているみたいね」

「困った事があればすぐに、たすけてって言ってくるからね。それと同じぐらいみんなのこと幸せそうに話してるけど」

 

七色がセブンスガールのことで書き込むのは、なにも自分の身に危機が陥った時だけではない。雑談スレでは結構頻繁に彼女たちとどう過ごしたのかが書かれており、振り回されることに困りながらもどこか幸せそうに感じた。

 

「どうする? あなたが七色君の元に行かないのなら、私は戦う理由がないんだけど」

「……逆に、ここはお互い穏便に済まさない? とりあえず黒がどんな子が分かってからでも遅くないでしょ?」

「そうかもしれないわね。でも、元から我慢の限界なのよ」

 

銀毘はマスケット銃のトリガーに指を置く。

 

「これから私は七色君と寝るわ――そして卒業式の時には分かりやすくお腹を膨らませたいわね。みんなに幸せになりますって見せつけたいから。大学には予定通り進学するわ。新しい生活に慣れはじめた頃に赤ちゃんが産まれるの。男の子だったら彼に似て、女の子でも彼に似て欲しいわ。そうね、出来れば私の遺伝子は遠慮して完全敗北してほしいわね。もしも私に似てしまったら子供に申し訳なさすぎるもの。魔装少女は活動年数と倒してきたグレムリンの数によって引退支援金が国と協会から貰えるから、しばらくはお金の心配しなくてもいいわね。もしもの場合は弁金(わかね)が支援してくれるって言うし、シングルマザーでもやっていけそうよ。もちろん、彼女も子育てに忙しいから頼り切りにならないようにするわ。こういう時一人じゃ無いって思えるのはハーレムの強みなのかしら? 許されないことだと分かっているけど、孤独を感じるよりかはましかもしれないわね? ああ、心配しないで七色君に無理はさせないわ。彼だって進学したいだろうし、ヒーローとしての活動もあるから。ただ、みんなで決めるシフト通りに私と子供に会いに来て、三人揃って川の字に寝てくれればいいの。そうしてくれたら絶対頑張れるから、でも子供の誕生日や七五三にはお祝いに来て欲しいわね。心配はしていないけどやっぱり都合が合わなくて行けなくなるかもしれないから、そこは不安。大学を卒業したら二人目が欲しいわね。なんなら双子で一気に三人とかだったら、ものすごく嬉しい。一番目の子供が小学校に入って少し顔に皺が出来はじめるの、その顔を七色君が褒めてくれたら嬉しいわ。変わっていく君も綺麗っすよなんて言ってね、そうやって三回目のハッスルしたいわね……いけないわね。すこし先走り過ぎたわ。なにも子供の成長だけがイベントってわけじゃないのに。家族でクリスマスに正月、花見にひな祭り、海に登山に花火に祭り、紅葉狩りにも栗拾いに出かけてもいいわね、太ったと思ったら子供が出来ていたなんてことがあったりしてね。外に出かけなくても家でゲームやるのも良いわね。ソシャゲにコンシューマー将棋オセロ囲碁トランプ麻雀チェスマンカラ、七色君や子供だけじゃなくって、セブンスガールみんなで集まったら間違いなく楽しいわ。その様子や子供たちの楽しい部分を動画にしてネットに流すの、私たちはこんなにも幸せですってね。……ああ、だめね予定と言いながら滅茶苦茶だわ。考えれば考えるほどやりたいことが浮かび上がってくる。これは予定じゃないわね。そうまだ夢よ夢。確定された未来じゃないわ。だからね――私はこの夢を現実にしたいと思ってるの」

あ、はい……。いや、はいじゃないけども!」

 

めっちゃ早口で語られた未来設計に騎士はドン引きする。ブレーキがぶっ壊れているはずなのに独占欲は控えめ。七色だけではなく他のセブンスガールの事も考えており、みんなで幸せになることをしっかりと計画している。人はここまで冷静に狂えるのだろうかと、騎士はなんだか七色に文句のひとつでも言いたくなってきて、ほんと帰りたいなと遠くを見る。

 

 

――クールヤンデレの銀毘麻胡が魔装少女になったのは12歳の頃だった。正義感に満ちあふれる子だった。だけど他の子とは違う、天才的な魔装少女センス、ストイックな性格、大人びて冷静沈着に見える姿形、銃と遠距離武器による一撃必殺のスタイル。それらが重なりあい彼女にとってある種の災いとなる。

 

彼女の不幸はどこまでも小さな積み重ねだった。仲間であるはずの魔装少女からは冷たいと怖がられ、向上心をうざがられ、才能を嫉妬される。

 

市民からはグレムリンを倒しても魔装少女らしくないと評価が付けられて、見た目や能力から兵器を連想させるからと訳の分からない批判を受ける。そんな言葉に大人な対応をすれば可愛くないと言葉を投げかけられる。ネットでは擁護する声も少なくは無かったが、そのどれもが結局は数の暴力によって潰されてしまった。

 

魔装少女の理想から正反対の道を行く彼女は気がついたら一人になっていた。

 

――すげぇ! あんな強そうなグレムリンを一発で倒したっす! めっちゃ格好良い!!

 

そして孤独に耐えられなくて、自分のやってきたことが間違いであったと人生を一度捨てた少女を救ったのが、七色であった。

孤独が死にたくなるほど辛いと知っている銀毘は彼と、その周囲と誰もが一人にならない未来を望む。幸いに他の三人も喧嘩や嫉妬はあっても気持ちは同じだった。だからこそ唐突に現れた未知の黒が銀毘は怖くて仕方ないのだ。騎士に語った通り、もしかしたら私たちの関係が壊れる切っ掛けになるかもしれないと、だからその不安に負けないように、彼女たちは七色に絶対的な繋がりを渇望する。

 

「馬鹿みたいでしょう? でも、私は……私たちは本気よ」

「……そうだね。またいつものような騒ぎって軽い気持ちだった。君たちの心を理解出来ていなかった。ごめん」

 

銀毘の本気を理解し、まずは軽い気持ちで対応したことを謝った。

 

「俺は別に、君たちと七色がおせっせしても不幸になるとは思ってないよ。でもやっぱり合意の上での話だと思うんだ。もしもさ、ここで強引にしちゃったら、君たちが癒えない傷を追うことになる」

「……」

「七色も、それが分かって抵抗してるんだ。そんな彼の“覚悟”を守るのも仲間の務めでしょ」

 

騎士の人差し指の爪先に光が宿り、『B.S.F』の画面に向かって十字を切った。すると画面に十字架のエンブレムが現れ、『B.S.F』が太陽の如く赤黄色のベルトへと変化して自動で腰に巻かれる。

 

[覚醒せよ! 我らが光の守護者!!]

 

他の『ブレイダーベルト』と比べると人間味が強い男の機械音声が発せられ、テンポアップ気味にアレンジされたファンファーレが鳴り響く。

 

[おまえが~いなっきゃはっじっまっらっないっ!]

 

音楽に会わせて機械音声が歌い出すと、騎士の背後に等身大のメカメカしい十字架が現れる。騎士は両手を水平に伸ばして十字架に背中を預けた。

 

[せっかいをてっらすたっめに~~!!]

 

「変身」

 

[かっがやいて~! イカ~~ナイト~!!]

 

十字架に触れている部分から六角形の金属が騎士の体を包み込んでいき。最後には十字架を背負い、騎士甲冑のような太陽色のアーマースーツを着用した『ブレイダー・ナイト』が現界した。

 

「……個人的にね。私の銀弾()と、ブレイダー・ナイトの十字架()。どちらが強いか試してみたかったの」

「それに関しては俺もすごい興味がある」

 

ナイトは背負っていた十字架型大盾『クロスベル』を手に持ち、前方の銀毘に向かって構える。

 

「……ブレイダーナイト。この盾がお前の全てを防ぐ!」

「……『シルバー・バレット』よ。名前の通り銀弾があなたの全てを貫くわ」

 

興が乗った二人は名乗り上げる。銀毘ことシルバー・バレットはマスケット銃を構える。

 

――誰もいない打ち棄てられた商店街に、一発の銃声音が響いた。

 

 

+++

 

 

灰色の女の子が今にも泣きそうに俯いていた。傍には誰もいなくて、そもそも俺だけが気付いているようで、このままだと消えてしまいそうだったから。

 

俺は手を差し出せたんだ。

 

 

「……幸太……幸太……幸太――起きて、幸太(こうた)

 

七色じゃなくって、俺の本名を呼ぶ声がする。こうやって自分の名前を呼ぶのは今のところ一人しかおらず、まだ夢半ばの思考は考えるよりも前に名前を呼んだ。

 

比恵(ひめ)……?」

「はい。幸太くんの比恵ですよ」

「えっと……ここはどこっす? というかなんで俺寝てるんっすか?」

 

見覚えのない天井に、なにやら様子がおかしいことに気づき起き上がる。

 

「というか、なんで比恵……が……」

 

小学校のころからの幼馴染みである『灰稲(はいいな)比恵』が正面にこちらを見ながら立っているのを見つけ、七色は眠気ごと思考が吹き飛び頭の中が真っ白になる。

 

――なんということでしょう。背中まで伸びてるくせっ毛が強い灰色の髪の幼馴染みが生まれた姿で立っているのではありませんか。

 

そんな風にパニックになり硬直していると灰稲はベッドの上に乗り、四つん這いの姿勢で七色にゆっくりと近づいていく。

 

「あの……比恵? なにやってるんですっかね?」

「幸太が悪いんだよ……」

「あ……あ……なんだ、いつものか」

 

比恵の光が失われた瞳を見た七色は襲われ慣れてしまっていたためむしろ冷静になった。今回もまたどこぞのホテルにでも連れてこられたのだと状況を把握する。

 

ここ最近では、魔装少女に変身してまで既成事実を作ろうとしてくる彼女たち。七色は『B.S.F』をズボンのポッケから取り出そうとして……無いことに気付く。

 

「幸太……」

「あ、終わったかもっす……」

 

迫り来る灰稲に、幸太は絶望の二文字を思い出した。

 

 

 




桃川(うう、みんなこっち見てる……恥ずかしすぎて死にそう。写真撮らないで~!)
モググ(べつにそこまでしなくても分かると思うんだけどな~)

桃川が様子がおかしいことに気付きスレを確認したのはこれから五分後の事だった。



唐突感はどうしても出ると思われますが、ノリとテンポ重視で行きたいとおもいます。
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