ありふれてない研究者(車椅子)が異世界に来ちゃった話《凍結》   作:排他的

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ハジメとの再会

……………………清水が居なくなった。

はァァァァマジか。ウルに着いて1週間経つがな、最近何故か

キリアさんが迫ってくるわ、剣の量産、鎧の量産…………

忙しい。正直に言おう。下半身不随の身体で、よくここまで頑張れたと

思う。あぁハジメが居れば楽しい話が聞けるのに。

 

まだここにいられる最大の理由は、

米だ。米。握り飯だけで活力が手に入る。

フォスさんにたまに悩みを聞いてもらったりしている。

 

まぁ私的にはここで暮らしたい。

王宮めんどくさい。あと、デビッド達がたまにうるさい。

愛子ー愛子ーって叫ぶの!本当うるさい。

 

あぁそういえば、バースの魔力効率が変身効率が1割に、

Clawsも全部作り終わり、バース単体なら10分動けるようになった。

ちなみにバースディも試した。30秒と持ちませんでした。

Clawsの1から2個の装備ならまだ使える。Claws使うと7分、

2個使うと5分みたいになる。

 

メダルは100枚ストック出来た。有限収納でしまってある。

 

バースバスターも完成。出力自由自在。

 

さて今日もフォスさんのとこで飯食おう。

 

………………なんだ?この違和感。何かが迫ってきている?

 

まぁキリアさんと私は強いし大丈夫!だよな。

 

キリアさんの装備も新調してある。全ステータスが+6000されている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、今日も手掛かりはなしですか……清水君、

一体どこに行ってしまったんですか……」

 

悄然と肩を落とし、ウルの町の表通りをトボトボと歩くのは

召喚組の一人にして教師、畑山教諭だ。

普段の快活……珍妙?な様子がなりを潜め、

今は、不安と心配に苛まれて陰鬱な雰囲気を漂わせている。

心なしか、表通りを彩る街灯の灯りすら、いつもより薄暗い気がする。

 

「愛子、あまり気を落とすな。まだ、何も分かっていないんだ。

無事という可能性は十分にある。お前が信じなくてどうするんだ」

 

「そうですよ、愛ちゃん先生。清水君の部屋だって荒らされた様子は

なかったんです。

自分で何処かに行った可能性だって高いんですよ? 

悪い方にばかり考えないでください」

 

元気のない教諭に、そう声をかけたのは愛子専属護衛隊隊長の

デビッドと生徒の園部優花だ。周りには他にも、

毎度お馴染みに騎士達と生徒達がいる。

彼等も口々に愛子を気遣うような言葉をかけた。

 

デビッド……なんでそうなったんだ……前は真面目だったのにな。

 

 クラスメイトの一人、清水幸利が失踪してから既に二週間と少し。

教諭達は八方手を尽くして清水を探したが、

その行方はようとして知れなかった。町中に目撃情報はなく、

近隣の町や村にも使いを出して目撃情報を求めたが、

全て空振りだった。

 

私は忙しくて探してなかったが。

 

当初は事件に巻き込まれたのではと騒然となったのだが、

清水の部屋が荒らされていなかったこと、

清水自身が〝闇術師〟という闇系魔法に特別才能を持つ天職を

所持しており、他の系統魔法についても高い適性を持っていた

ことから、そうそう、その辺のゴロツキにやられるとは思えず、

今では自発的な失踪と考える者が多かった。

 

元々、清水は、大人しいインドアタイプの人間で

社交性もあまり高くなかった。クラスメイトとも、特別親しい友人は

おらず、愛ちゃん護衛隊に参加したことも驚かれたぐらいだ。

そんなわけで、既に教諭以外の生徒は、清水の安否より、

それを憂いて日に日に元気がなくなっていく教諭の方が心配だった。

護衛隊の騎士達に至っては言わずもがなである。

 

酷いな清水可哀想。

 

ちなみに、王国と教会には報告済みであり、捜索隊を

編成して応援に来るようだ。清水も、魔法の才能に関しては

召喚された者らしく極めて優秀なので、

ハジメの時のように、上層部は楽観視していない。

捜索隊が到着するまで、あと二、三日といったところだ。

 

ちょっとイラついてます。ハジメは組まれなかったよなぁ。

 

次々とかけられる気遣いの言葉に、教諭は内心で自分を殴りつけた。

事件に巻き込まれようが、自発的な失踪であろうが心配であることに

変わりはない。しかし、それを表に出して、今、傍にいる生徒達を

不安にさせるどころか、気遣わせてどうするのだと。

それでも、自分はこの子達の教師なのか! と。教諭は、

一度深呼吸するとペシッと両手で頬を叩き気持ちを立て直した。

 

「皆さん、心配かけてごめんなさい。そうですよね。

悩んでばかりいても解決しません。清水君は優秀な魔法使いです。

きっと大丈夫。今は、無事を信じて出来ることをしましょう。

取り敢えずは、本日の晩御飯です! 

お腹いっぱい食べて、明日に備えましょう!」

 

「あー仕事終わったーあ、畑山教諭、みんな。朝ぶり〜。」

 

「あ、終わったんですか!キリアさんもお疲れ様です。」

 

「剣の量産…………運ぶの大変。疲れる」

 

「キリアさん!キリアさん!しっかりしてください!」

 

目眩がしているキリアさんでした。

 

 

 

「ああ、相変わらず美味しいぃ~

異世界に来てカレーが食べれるとは思わなかったよ」

 

「まぁ、見た目はシチューなんだけどな……

いや、ホワイトカレーってあったけ?」

「いや、それよりも天丼だろ? このタレとか絶品だぞ?

 日本負けてんじゃない?」

 

「それは、玉井君がちゃんとした天丼食べたことないからでしょ?

 ホカ弁の天丼と比べちゃだめだよ」

 

「いや、チャーハンモドキ一択で。これやめられないよ」

 

極めて地球の料理に近い米料理に

毎晩生徒達のテンションは上がりっぱなしだ。

見た目や微妙な味の違いはあるのだが

料理の発想自体はとても似通っている。

素材が豊富というのも、ウルの町の料理の質を押し上げている

理由の一つだろう。米は言うに及ばず、

ウルディア湖で取れる魚、山脈地帯の山菜や香辛料などもある。

 

「はァァァ生き返ります〜」

 

「疲れてるなら言ってくださいよ。」

 

「いや仕事量が多すぎて、2人でこなせませんよ!」

 

美味しい料理で一時の幸せを噛み締めている私達のもとへ、

六十代くらいの口ひげが見事な男性がにこやかに近寄ってきた。

 

「皆様、本日のお食事はいかがですか? 

何かございましたら、どうぞ、遠慮なくお申し付けください」

「あ、オーナーさん」

 

私たちに話しかけたのは、この〝水妖精の宿〟の

オーナーであるフォス・セルオである。

スっと伸びた背筋に、穏やかに細められた瞳、白髪交じりの髪をオールバックにしている。宿の落ち着いた雰囲気がよく似合う男性だ。

 

ちなみに愚痴を聞いてくれる数少ない人でもある。

 

「いえ、今日もとてもおいしいですよ。毎日、癒されてます」

 

教諭が代表してニッコリ笑いながら答えると、

フォスも嬉しそうに「それはようございました」と微笑んだ。

しかし、次の瞬間には、その表情を申し訳なさそうに曇らせた。

何時も穏やかに微笑んでいるフォスには似つかわしくない表情だ。

何事かと、食事の手を止めて皆がフォスに注目した。

 

「実は、大変申し訳ないのですが……香辛料を使った料理は

今日限りとなります」

「えっ!? それって、もうこのニルシッシル(異世界版カレー)

食べれないってことですか?」

 

「おい論点そこじゃねぇぞ?」

 

カレーが大好物の園部優花がショックを受けたように問い返した。

 

「はい、申し訳ございません。何分、材料が切れまして……

いつもならこのような事がないように在庫を確保しているのですが……ここ一ヶ月ほど北山脈が不穏ということで採取に行くものが

激減しております。つい先日も、調査に来た高ランク冒険者の

一行が行方不明となりまして、ますます採取に行く者が

いなくなりました。

当店にも次にいつ入荷するかわかりかねる状況なのです」

 

「あの……不穏っていうのは具体的には?」

 

「何でも魔物の群れを見たとか……北山脈は山を越えなければ

比較的安全な場所です。山を一つ越えるごとに強力な魔物がいるようですが、わざわざ山を越えてまでこちらには来ません。

ですが、何人かの者がいるはずのない山向こうの魔物の群れを

見たのだとか」

 

「それは、心配ですね……」

 

愛子が眉をしかめる。他の皆も若干沈んだ様子で互いに

顔を見合わせた。フォスは、

「食事中にする話ではありませんでしたね」と申し訳なさそうな表情をすると、場の雰囲気を盛り返すように明るい口調で話を続けた。

 

「しかし、その異変ももしかするともう直ぐ収まるかもしれませんよ」

 

「どういうことですか?」

 

「実は、今日のちょうど日の入り位に新規のお客様が

宿泊にいらしたのですが、何でも先の冒険者方の捜索のため

北山脈へ行かれるらしいのです。フューレンのギルド支部長様の

指名依頼らしく、相当な実力者のようですね。

もしかしたら、異変の原因も突き止めてくれるやもしれません」

 

「……違和感の原因はそれですか。」

 

教諭達はピンと来ないようだが、食事を共にしていた

デビッド達護衛の騎士は一様に「ほぅ」と感心半分興味半分の声を

上げた。フューレンの支部長と言えばギルド全体でも

最上級クラスの幹部職員である。その支部長に指名依頼されるという

のは、相当どころではない実力者のはずだ。

同じ戦闘に通じる者としては好奇心をそそられるのである。

騎士達の頭には、有名な〝金〟クラスの冒険者が

リストアップされていた。

 

教諭達が、デビッド達騎士のざわめきに不思議そうな顔を

していると、二階へ通じる階段の方から声が聞こえ始めた。

男の声と少女二人の声だ。何やら少女の一人が男に文句を

言っているらしい。それに反応したのはフォスだ。

 

「おや、噂をすれば。彼等ですよ。騎士様、彼等は明朝には

ここを出るそうなので、もしお話になるのでしたら、

今のうちがよろしいかと」

 

「そうか、わかった。しかし、随分と若い声だ。

〝金〟に、こんな若い者がいたか?」

 

 デビッド達騎士は、脳内でリストアップした有名な〝金〟クラスに、今聞こえているような若い声の持ち主がいないので、

若干、困惑したように顔を見合わせた。

 

「キリアさん出してくれ。」

 

「え、あはい。」

 

全員が何をしているのか分からないと思っていると、

 

 

「もうっ、何度言えばわかるんですか。

私を放置してユエさんと二人の世界を作るのは止めて下さいよぉ。

ホント凄く虚しいんですよ、あれ。聞いてます? 〝ハジメ〟さん」

 

「聞いてるよ。ごめんね、でも見なければいいんじゃない?」

 

「んまっ! 聞きました? ユエさん。

〝ハジメ〟さんが冷たいこと言いますぅ」

 

「……〝ハジメ〟……メッ!」

 

「ごめんねってうお!」

 

「ハジメ、だな?」

 

「えっと君は……あっ!咲人!」

 

「やっぱりそうか!ハジメ!済まなかった!私がもっと早く前線に

出ていれば!」

 

「いやちょっと待って!なんでここにいるの!」

 

「ハジメから離れて!」

 

「離れてください!」

 

「無粋だねぇ……まぁいいや。ハジメおかえり。」

 

「あぁただい」

 

シャァァァ!!

 

 存外に大きく響いたカーテンの引かれる音に、

ギョッとして思わず立ち止まる4人の少年少女。

 

 愛子は、相手を確認する余裕もなく叫んだ。大切な教え子の名前を。

 

「南雲君!」

「え?……………………………………………先生?」

 

 愛子の目の前にいたのは、片目を大きく見開き驚愕を

あらわにする、眼帯をした白髪の少年だった。

記憶の中にある南雲ハジメとは大きく異なった外見だ。

外見だけでなく、雰囲気も大きく異なっている。

教諭の知る南雲ハジメは、何時もどこかボーとした、

穏やかな性格の大人しい少年だった。実は、苦笑いが

一番似合う子と認識していたのは教諭の秘密である だが、

目の前の少年は鷹のように鋭い目と、どこか近寄りがたい鋭い雰囲気を纏っている。あまりに記憶と異なっており、普通に町ですれ違っただけなら、きっと目の前の少年を南雲ハジメだとは思わなかっただろう。

 

 だが、よくよく見れば顔立ちや声は記憶のものと一致する。

そして何より……咲人が飛び出したことと

目の前の少年は自分を何と呼んだのか。

そう、〝先生〟だ。教諭は確信した。

外見も雰囲気も大きく変わってしまっているが、目の前の少年は、

確かに自分の教え子である〝南雲ハジメ〟であると!

 

「はい。久しぶりです。先生」

 

「やっぱり、やっぱり南雲君なんですね……生きていたんですね……」

 

再び涙目になる愛子に、ハジメは特に感慨を抱いては

いないようで肩を竦めている

 

「そうですね、色々ありましたが、何とか生き残ってます。」

 

「よかった。本当によかったです」

 

 それ以上言葉が出ない様子の教諭を一瞥すると、

ハジメは近くのテーブルに歩み寄りそのまま座席についた。

それを見て、金髪とうさ耳も席に着く。

うさ耳は困惑しながらだったが。

ハジメの突然の行動にキョトンとする教諭達。

ハジメは、完全に調子を取り戻したようで、周囲の事を見渡し、生徒達の後ろに佇んで事の成り行きを見守っているフォスを手招きする。

 

「ええと、ハジメさん。いいんですか? 

お知り合いですよね? 多分ですけど……元の世界の……」

 

「……まぁ咲人にあえて少し混乱してる。

いきなり現れて、びっくりしてるよシア。でもそれだけだ。

元々晩飯食いに来たんだし、さっさと注文しよう。

本当に楽しみだったんだよ。知ってる? 

ここカレー……じゃわからないか。ニルシッシルっていうスパイシーな飯があるんだって。想像した通りの味なら嬉しいんだけど……」

 

「……なら、私もそれにする。ハジメの好きな味知りたい」

 

「あっ、そういうところでさり気ないアピールを……流石ユエさん。

というわけで私もそれにします。

店員さぁ~ん、注文お願いしまぁ~す」

 

最初は、教諭達をチラチラ見ながら、

おずおずしていたシアという子も、

ハジメがそう言うならいいかと意識を切り替えて、

困った笑みで寄って来たフォスに注文を始めた。

 

だが、当然、そこで待ったがかかる。 ハジメがあまりにも自然に

テーブルにつき何事もなかったように注文を始めたので

再び呆然としていた教諭が息を吹き返し、

ツカツカとハジメのテーブルに近寄ると「先生、怒ってます!」

と実にわかりやすい表情でテーブルをペシッと叩いた。

 

「南雲君、まだ話は終わっていませんよ。なに、物凄く自然に注文しているんですか。大体、こちらの女性達はどちら様ですか?」

 

教諭の言い分は、その場の全員の気持ちを代弁していたので、

ようやくハジメが四ヶ月前に亡くなったと聞いた愛子の教え子

であると察した騎士達や、教諭の背後に控える生徒達も、

皆一様に「うんうん」と頷き、ハジメの回答を待った。

 

私は別に気にしてない。

 

ハジメは少し面倒そうに眉をしかめるが、どうせ答えない限り教諭が

持ち前の行動力を発揮して喰い下がり、落ち着いて食事も出来ないだろうと想い、仕方なさそうに視線を教諭に戻した。

 

「依頼のせいで一日以上ノンストップでここまで来たんです。

お腹減ってますし、飯くらいじっくり食べさせてください。

それと、ユエとシアは……」

 

 ハジメが視線をユエとシアに向けると、

二人は、ハジメが話す前に、教諭達にとって衝撃的な自己紹介した。

 

「……ユエ」

 

「シアです」

 

「ハジメの女」「ハジメさんの女ですぅ!」

 

「お、女?」

 

 愛子が若干どもりながら「えっ? えっ?」と

ハジメと二人の美少女を交互に見る。

上手く情報を処理出来ていないらしい。後ろの生徒達も困惑したように顔を見合わせている。いや、男子生徒は「まさか!」と言った表情で

ユエとシアを忙しなく交互に見ている。徐々に、その美貌に見蕩れ

顔を赤く染めながら。

 

「ねぇ、ユエはともかく、シアさん。君は違うよね?」

 

「そんなっ! 酷いですよハジメさん。私のファーストキスを

奪っておいて!」

「いや、何時まで引っ張るの?あれはきゅ『南雲君?』……

どうしました、先生?」

 

 シアの〝ファーストキスを奪った〟という発言で、

遂に情報処理が追いついたらしく、教諭の声が一段低くなる。

教諭の頭の中では、ハジメが二人の美少女を両手に侍らして

高笑いしている光景が再生されているようだった。

表情がそれを物語っている。

 

顔を真っ赤にして、ハジメの言葉を遮る教諭。

その顔は、非行に走る生徒を何としても正道に戻してみせる

という決意に満ちていた。

そして、〝先生の怒り〟という特大の雷が、

ウルの町一番の高級宿に落ちる。

 

「女の子のファーストキスを奪った挙句、ふ、二股なんて! 

直ぐに帰ってこなかったのは、遊び歩いていたからなんですか!

 もしそうなら……許しません! ええ、先生は絶対許しませんよ! お説教です! そこに直りなさい、南雲君!」

 

 きゃんきゃんと吠える教諭を尻目に、

面倒な事になったとハジメは深い深い溜息を吐いていた。

 

《次回に続く》

 




…………また連投をしてしまった。まぁ楽しいからね。
楽しいから。仕方ない。
ハジメが僕口調に出来た。やったぜ!

次回もよろしくお願い致します!
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