オーバーロード ナザリックのキセキなペット枠 作:キーボス
今まさに、我が春、我が栄華の地、『ユグドラシル』の最後の時が迫っていた。
そう、それは我らが栄光の地ナザリックの最後の時が来たのだ。
格好良く言っては居るが、つまりは自分の青春時代を過ごしたゲームの終わりが来るのだ。
今やギルメンはギルドマスターのモモンガさんと自分だけ。
みな夢に向かって活動しているため、ほとんどが引退している。
そんなギルドに僕は今向かっていたのだ。
『待って待って!』
『急いでください!』
『わかってるよーーー!』
メッセージと言う魔法があり、遠隔で会話が可能なのだが、自分は拠点から離れたエリアにいて、転移を使っても区切りのエリアまでしか飛べず、急いで移動しているのだった。
こんな過疎化したゲームでも、初心者がやり始めたりするわけで、その初心者を助けるチュートリアルナビゲーターのロールプレイをしながら、初心者が中級者になった辺りで実は自分がお助けNPCではなく、プレイヤーでしたーと、ネタバラシをするのが僕の最近のマイブームだった。
『始まりの町からだとナザリック遠すぎィィーー!!』
メッセージでモモンガさんに叫ぶように答える。
「あ!アレクさん!」
「うお!?」
突然声を掛けられて急ブレーキで振り返れば、1ヶ月前まで面倒を見ていた初心者さんだ。
「おぉ!元気っ?」
咄嗟の事で急いで居ることを忘れて返事をしてしまう。
『あと30秒!!!』
だが、急かすギルマスの声にヤバい!と声を漏らす。
「悪いね!」
そう言って、相手の腕を掴んで転移する。
「えっ!?」
ヘルヘイムにやっとの事で転移したのだが--------
『アレクさん!もう時間です!後で連絡します!では!アインズ・ウール・ゴウンに栄光あれ!!!』
「『うぇぇぇぇええ!!えと、えと、ナザリックよ!永遠なれ!!!』」
間に合わなくとも、友と最後の言葉を共有する。
メッセージとその場での発言両方で叫んどく。
引っ張ってきた初心者君には心底迷惑な話だろうけど。
そうして初心者君の方を振り返ったとき、そこには初心者君がいるのだが、その背景は別物でした。
土の香りもする。
草も風も空も、何もかもがユグドラシルよりも鮮明で、これが本物に見えてしまった。
ふむふむ、と感じながらも辺りを見渡す。
だが、明日も仕事な僕は、適当に初心者君に挨拶をしてから、ゲームを落ちようとした。
だって、僕も若干混乱してるんだ。
いつも通りの仕草でコンソールを呼び出す。
出ない、出ない、出ない!
コンソールが出ない!
「・・・ログアウト、出来なくない?」
誰の返事もなかった。