ー16Lab ペルシカ博士の研究フロアー
「フレームは全身ガタガダ、人工筋肉は四肢を中心に断裂や一部が切断、神経回路も同じく。コアは問題ないけど周辺部品は一部ショートして黒焦げ。ここまでくると新しく作り直したほうが早いかなぁ」
愛用のマグカップでコーヒーの飲みつつ、自らカスタマイズを手掛けた
「申し訳ありませんペルシカ博士。貴重な義体をここまで破損させてしまって」
「戦闘データは見たよ。ハイエンド、しかも強化措置が施された相手じゃ仕方ないさ。こうして戻ってきてくれただけで十分よ」
「ありがとうございます。」
「今I.O.Pに頼んで仮の義体・・・じゃなかった。
「分かりました。因みにどのくらいで届くのでしょうか?」
「うーん、ハンドガンタイプとはいえ高級モデルだからねぇ、およそ1週間位かな」
「い、1週間!?あ、あの、もう少し早くなりませんか?」
「早く動きたいって話なら、出来ない事もないよ?ちょうど鹵獲したダイナーゲートが・・・」
「ダイナーゲート!?けっ、けけけ結構です!!」
「冗談よ冗談。さて、悪いけどちょっと出かけてくるから、留守番よろしくね」
「は、はい。差し支えなければどちらまで・・・」
「んー、君の部隊の隊長さんの所さ」
ーG&K本社 社長室ー
「以上が、今回行われたキューブ作戦の内容になります。」
赤い制服を身に纏い、モノクルを掛けた
「内容は把握した。ジャミング装置の件は残念だったが、損傷しているとはいえ鉄血のハイエンド、それも新型を鹵獲出来たのは僥倖だったと言えるか」
椅子に座る男性、G&K社の創設者にして最高責任者であるベレゾヴィッチ・クルーガーは読み終えた報告書を置き呟く。
「はい、それについては既に16Labのペルシカ博士に解析依頼を出しています。ただ、S-117、マスターチーフから気になる報告が・・・」
「かつてエイリアンが運用していた兵器か。」
置かれた報告書の一部、代理人がウロボロスを狙撃した際に使用したと思われる兵器について、マスターチーフからの意見書が添えられていた。
「コヴナントが運用していた狙撃用の粒子ビームライフル。装弾数は10発、高精度スコープ搭載で対歩兵用火器としては優秀なものの、連射するとオーバーヒートを起こし一時的に使用不能になる他、車両に対しては有用性が著しく低下する・・・か。」
「社長はどう思われますか?正直なところ私の理解の範疇を超えているとしか・・・」
「本来なら私も同意見だが、彼という存在がある以上、一応警戒はした方が良いだろうな。とりあえず彼から武器の種類と性能を纏めたリストを作成してもらった方が早いだろう。」
「分かりました。至急手配致します。それでは失礼します。」
そう言って部屋を後にする彼女を見つつ、クルーガーは書類を機密案件として金庫に仕舞うのだった。
後日、依頼を受けたチーフよりコヴナントが当時運用していた軽火器並びに重火器に関する書類を山のように出されるのはまた別のお話である。
ーG&K本社地下 極秘エリアー
「それじゃあチーフ、アーマーを外すからね。何か異常があったらすぐに報告して。」
「了解した。」
ここはG&K本社地下20階に建造されたマスターチーフ専用のメンテナンススペース。書類上、彼は次世代型の軍用人形という設定のため、人目につくのは色々と不味いのである。因みに彼が人間だと知っているのはクルーガーさんとヘリアン、ブルーチーム、そしてメンテナンス要員である私ことペルシカ博士である。
「どう?大丈夫そう?」
「問題ない。続けてくれ。」
腕部を始め、肩、胴体、腰部、脚部、そして最後にヘルメットを外していき、順番通りに並べていく。
「それじゃあこのカプセルに入って頂戴。これでチーフの骨格や筋肉、血管、神経、臓器等など、異常が無いか確認するから。要は健康診断ね。」
「了解した。」
指示通りカプセルに入るチーフを確認し、検査を開始していく。そんな中、予想外の訪問者がここを訪れてきた。
「ペルシカ博士ーいるー?」
「ちょっと!勝手に入るのは流石に不味いでしょ!」
「しょうがないでしょ?こっちだって仕事で来てるんだから。」
だからってハッキング仕掛けてドア開けるのはどうかと思うわよ?と内心思う416であった。
「あれ?404の45に9と416?何のようで来たの?」
「何のようって・・・以前頼まれてたパーツよ。ブラックマーケットで見つけたら買っといてって頼んだのは貴女でしょ?」
いかん、すっかり忘れてた。お金足りるかなーっと頭の中で考えていると9が大声をだして現実に呼び戻される。
「わあー!これってもしかして117の外装パーツ?」
「結構細かいところまで作り込んでるわね。流石次世代型の軍用人形といったところかしら。」
9と45が興味津々な中、416はカプセルについて尋ねる。
「ねぇペルシカ、カプセルに誰か入ってるの?」
「えっ!?いやいや、中には誰も居ませんよぉ?(汗)」
「そう?でも気配が・・・」
『ピーピーピー。登録名S-117マスターチーフの検査が終了しました。カプセルを開放します。』
(あっ、終わった・・・ヘリアンに怒られるやつだこれ)
内心そう思ったらペルシカをよそに、カプセルから出てきた人物に驚く404の3人。身長は約2m、全身は黒の特殊インナーで覆われているが、その上からでも分かるほどに発達した筋肉を持っている。顔はよく見えないが、短髪で皮膚は少し白いと感じた。そして先程の登録名、3人は「まさか」と思っていたが、大男が117のヘルメットを被り
「ペルシカ博士、アーマーの装着を頼む。」
この一言で全てが確信に変わり、45が恐る恐る尋ねる。
「ね、ねぇ117。貴方もしかして・・・人間?」
「ん?ヘリアントスから聞いてなかったのか?」
「「「えぇぇぇぇぇー!!!!!」」」
「もうだめだぁ、おしまいだぁ。」
衝撃の事実に悲鳴にも似た声を上げる中、ペルシカ博士は1人頭を抱えているのだった。
ー1時間後 同極秘エリアー
そこには点検を終え、ミョルニルスーツGen3を身にまとった117ことマスターチーフと未だに衝撃の事実を受け入れられていない404の3人、そして部屋の片隅で頭を抱えるペルシカ博士がいた。
「本当に、ほんとーに117って人間だったの?」
「あぁ。」
9から既に同じような質問を何度も聞かれていた為、少しウンザリした口調で答えるチーフをよそに、今度は416が口を開く。
「そう言われて、はいそうですかって納得できると思う?実は本当に戦術人形でしたって言われたほうがまだ現実味があるわよ。」
先のキューブ作戦のおり、彼女たちは117の戦闘能力を目の前で見ていた。身体能力や射撃能力は勿論、判断力、冷静さ、どれをとっても人間のそれを圧倒的に凌駕していた。もしかしたら
「まぁこの件に関しては後でヘリアンに確認しましょう。どうせ機密事項って事で117も詳細は話せないだろうし。」
「・・・悪いな。」
「慣れてるから平気よ。それより、
「あぁ、彼女なら・・・」
そういってチーフはヘルメットからチップを取り出し近くのテーブルに置く。すると紫色の発光と共にウロボロスの立体映像が現れた。
二頭身で。
束の間の静寂の後、室内は大きな笑い声で包まれた。
「なにこれなにこれ!ホントにウロボロスなの?すっごく可愛いぃ!!」
「プッ・・・以外と似合ってるわよ・・・駄目・・・笑いすぎてお腹痛い・・・」
「随分とちっちゃくなっちゃったわねぇ蛇女。まぁ良いんじゃない?これはこれで。」
「何という屈辱・・・殺せ!今すぐ私を殺せ!!」
二頭身、しかも相当デフォルメされたであろうウロボロスが泣きながら吠える。が、404の3人からしたら子犬が虚勢を張って吠えているようにしか見えなかった。
「ペルシカ博士。いつまでも隅っこで頭抱えてないで、なんでこうなったのか説明してくれる?」
「恐らくだけど、コアの損傷でデータの一部が破損、その状態でチップに転送した結果だと思う。それに自我の維持にリソースを使い果たしたってのもある。因みに今の彼女の脅威レベルは武装がないダイナーゲートとほぼ同じよ。」
45の声で我に返り、ウロボロスの現状について説明するペルシカ博士。安全性を考え16Labの電子牢に入れようとも思ったが、下手をすると今度こそ彼女が消滅する可能性があった為、止む無くチーフが預かる事となったのである。
「なるほどね。そういう事なら任せるわ。じゃあ荷物も渡したし、私達は退散するわ。じゃあね117、また会いましょう?」
そう言って45達は退出する。その10分後、鬼の形相をしたヘリアンが現れペルシカに説教を始め、巻き添えは御免だとチーフも部屋を後にするのであった。
おまけ
「全く!バレたのが
もう少し危機管理意識を持ってくれ!うちの最重要機密なんだぞ!?」
「だからこうやって正座までして謝ってるじゃないか。
今度合コンのセッティングするからそれで機嫌直してくれよ。」
「うっ・・・。まぁ良い。今後は気を付けてくれ。
それと!合コンの件・・・・・・宜しく頼むぞ。」
「はいはい分かってますよ。」
後日、ペルシカ主催の合コンがセッティングされヘリアンも出席したが、結果は≪警告 本文章はG&K社機密事項に抵触したため検閲されました 同様の違反が確認された場合 社内規定の則り処罰の対象になります 御注意下さい≫
書けると思ってので後日談書いちゃいました。後悔はそのへんに捨ててきました。
さて、ウロボロス(ウロちゃん、チビ蛇女)ですが、かなり弱体化してます。一応鉄血無線の傍受位は出来ますが暗号解析、ましてハッキングは現時点では不可能です。
まぁそのへんは考えているので問題はないでしょう。
もうちょっとだけエピローグ続きます