Doll meets Human?   作:敵前逃亡兵士

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どうも、作者です。メンタルが死んでたり役所で手続きしながらちまちま書いた結果約一年ぶりの投稿となりました。



そしたら何か1万文字近くにまで増えてしまいました(笑)


とりあえず今後は不定期で更新する予定(出来たら良いなぁ)なので長い目で見ていただけると幸いです。

それでは本編をどうぞ






act.16 Rebel army

 

 

 

 

 

ーG&K本社 作戦会議室ー

 

 

 

「支援要請・・・ですか?」

 

「そうだ。先刻、D22地区の指揮官から基地周辺を鉄血部隊に包囲され身動きが取れないと連絡があった。当該基地は僻地、しかも小規模な施設であり所属する人員では対処が困難だ。現在は両者睨み合いの状況だが、いつ戦闘が始まるか分からん。早急に現地に向かい、鉄血部隊を排除してくれ」

 

 

AR小隊の隊長であるM4A1に対しヘリアントス上級代行官は淡々と任務内容を説明する。

 

 

「鉄血部隊の規模は?」

 

M16A1がヘリアンに尋ねる。

 

 

「ハイエンドクラスは現時点では確認出来ていないが、人形兵と機械兵の混成部隊が6〜7つと言ったところだ」

 

「そんなに!?幾ら私達でも手に余る数じゃない!」

 

「もちろん、鉄血の包囲が緩んだ時点で基地所属の部隊も迎撃に出る。それに・・・」

 

 

ST AR-15の抗議を声を抑えつつ、ヘリアントスは更に続ける。

 

 

「本作戦にはもう1人、参加する人形がいる。入ってきてくれ」

 

 

ヘリアントスの呼びかけに応じ会議室に入る人物。それを見たSOPⅡ以外のAR小隊のメンバーは苦笑いにも似た表情と、電脳内にて思い思いの愚痴をこぼしていた。

 

 

(嘘でしょ・・・)

 

(ははは、マジかぁ・・・)

 

(・・・最悪ね)

 

(誰だっけ?)

 

 

上から順にM4、M16、AR-15、SOPⅡである。

 

 

 

「面識はキルハウスでの模擬戦であると思うが、一応紹介しよう。彼はS-(シエラ)117、16Labが開発した次世代型の軍用人形だ」

 

「宜しく頼む」

 

 

全身を緑色の特殊なアーマーに身を包んだ巨体、チーフはそう言ってM4に対し右手を差し出す

 

 

「こ、こちらこそ宜しくお願いします」

 

 

やや緊張気味にM4は返しチーフと握手をする。

 

 

「さて、挨拶も済んだ様だしお前達にはすぐにでも現地へ飛んでもらう。既にヘリの準備は終わっている、各員の健闘を祈る」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー3時間後 D22地区上空 輸送ヘリ内ー

 

 

「案外呆気なかったな・・・」

 

 

帰還中のヘリの中でM16A1は小声でそう言うと隠し持っていたスキットルの中身を一口飲む。もちろん中身は水・・・ではなく、彼女が愛飲している蒸留酒(ジャックダニエル)だ。窓越しに広がる荒野を見つつ、彼女はもう一口飲みつつ先程行われた戦闘について思い返す。

 

 

私達が到着した時点ではまだ鉄血部隊は基地に攻め入っておらず、基地全体を覆う様に部隊を展開していた。そこでM4は少し離れた場所にヘリを着陸させ、気付かれないように接近し背後を奇襲する方法を提案、私とSOPⅡ、AR-15は了承しようとした。だが(S-117)は「俺が囮になる。その隙に基地近くに着陸しろ」と言った。すかさずM4が「貴方が囮に?一体・・・」どうやって?と言おうとした時にはヘリのドアが開かれ、彼は地上へと飛び降りていた。

 

 

「「「「・・・は?」」」」

 

 

(M16A1)を含めたAR小隊全員が同時に気の抜けた声を発すると同じく、ヘリを操縦していたパイロットが「ドアの開閉ランプが点灯したんだが、着陸にはまだ速いぞ?」と声をかけてきた。それに対し現状を未だに理解しきれていないM4が若干狼狽えながら説明すると、「冗談だろ!?今高度2000フィートだぞ!?人間はおろか、人形だってこの高さから落ちたら潰れたトマトになっちまうぞ!!」そう声を荒げるパイロットに同感しつつ、(M16A1)は持ってきていた双眼鏡で(S-117)の行方を追っていた。余談ではあるが、この時(S-117)の無線から女の悲鳴が聞こえていたが全員それを無視せざるを得なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーD22地区基地 上空約2000フィートー

 

「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!死ぬぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 

「少し静かにしろ、大丈夫だ」

 

「何が大丈夫よ!?この高さから落ちて無事な訳ないでしょ!こんな所でアンタと心中なんて聞いてないわよ!?」

 

 

M4達の心配を他所に落下しながら絶賛口論中のウロボロスと、体を大の字にし空気抵抗を上げつつ、着地(落下)ポイントを探すチーフ。みるみるうちに基地と周囲を囲む鉄血兵との距離が近づく中、上空から接近するチーフを発見した部隊が攻撃を開始する。

 

 

「ちょ、ちょっと!撃ってきたわよ!早く反撃しなさいよ!」

 

「まだだ」

 

 

焦るウロボロスに対し冷静なチーフ。もう少しで敵の有効射程圏内という所で左腕のグラップルワイヤーを起動、基地の壁面に撃ち込み落下軌道を修整し、敵部隊の頭上を飛び越える。

 

 

「いくぞ」

 

「へ?」

 

 

チーフの合図と共にワイヤーのロックを解除、前方にいる『Vespid』に対し突撃体勢を取る。次の瞬間、背後からチーフのタックルの直撃を受けたVespidは文字通り粉々に砕け散った。チーフはそのまま更に勢いを殺すべく一度前転、近くにいたStriker二体をKSGですぐさまスクラップにする。ここでようやく異変に気が付いた鉄血兵達が動きだすもチーフにとってはそれも想定内、銃をKSGからSVU−Aに持ち替え、的確に鉄血兵を排除していく。

SMGを持ったRipperは近付かれる前にHS(ヘッドショット)、盾持ちのGuardは膝関節に数発撃ち込みバランスを崩した所にHS(ヘッドショット)を決めていく。

 

 

「ん?あれは・・・」

 

「あぁ、ダイナーゲートか。単体では大した脅威ではないが、ああやって大群で敵を喰らい尽くす奴よ。どうする?貴様の持ってる銃じゃ厳しいんじゃない?」

 

 

チーフの視線の先、そこには4−50体程の小型犬サイズの4足ロボット兵が我先へと群がって来ていた。確かにウロボロスの言う通り、手持ちの銃では少し厳しいかと思ったその時、ある銃を見つけ、それを手に取る。

 

 

「問題ない」

 

 

チーフはそう言ってある銃、Strikerが持っていたマシンガンを構え、ダイナーゲートの群れに掃射を開始する。吐き出される弾丸の嵐に為すすべもなく引き裂かれるダイナーゲート達。その全てがスクラップになった所でマシンガンの残弾が尽き、無造作に投げ捨てたところであちこちで複数の銃声が聞こえ始めた。

 

 

「やっと来たか」

 

「こちらM4A1、S−117応答してください。無事ですか!」

 

「こちらS−117、問題ない。そっちはどうだ?」

 

「私達は基地所属の部隊と南側で合流、左右に展開して背後から鉄血部隊を攻撃中です」

 

「了解した。北側の敵はこちらで片付けた。今から援護に向かう」

 

「分かりました。それと、作戦終了後に話がありますので覚悟していて下さい!」

 

「クックック。どうやらあの小隊長殿はお怒りらしいぞ?どうするんだ?」

 

「どうもしない」

 

 

内容を聞いていたウロボロスが茶化すもチーフは冷静に答える。

 

 

「任務を遂行するだけだ」

 

 

この後、基地周辺の鉄血部隊は完全に排除され、基地の拡大及び部隊の増設案が申請され、受理される事になる。余談であるが、チーフはM4A1から有り難いお説教(独断専行の件や自分を大事にしろ等)を受けていたが、当の本人は涼しい顔?をしていたとの事。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は戻り・・・

 

 

ーD22地区上空 輸送ヘリ内ー

 

 

 

一通り回想が終わったM16A1は再度スキットルの中身を一口飲み辺りを見回す。M4とAR15、そして彼は休憩中。SOPⅡは・・・戦利品(・・・)の確認に勤しんでいる。実に平和な物だ。毎回このくらいの戦闘だったら楽なんだが、と思いつつもう一口飲もうとした時、ヘリの通信機から男の声が聞こえた。

 

 

 

「こち・・正規軍第二・・・・所属・・・・・・中隊。誰・・・聞こ・・・返事・・・」

 

「なんだ?オープンチャンネル・・・、いや救助チャンネルか?」

 

「どうしました?」

 

 

異変に気付いたM4がパイロットに尋ねる。

 

 

「えぇと、多分ですが正規軍のどっかの部隊が救助チャンネルで救援要請出してるみたいでして・・・。周波数は・・・これか?」

 

 

パイロットが通信機の周波数を調整すると、それまでノイズ混じりだった男の声が鮮明に聞こえてきた。

 

 

「こちら、正規軍第二駐屯基地所属の偵察中隊。現在、反乱軍の奇襲を受け被害が拡大している!誰か!聞こえていたら返事をしてくれ!繰り返す・・・」

 

「・・・どうしますか?」

 

「私達には関係無いわ。このまま本部へ帰還よ」

 

 

パイロットの困惑混じりの質問にAR15が冷たく答える。

 

 

「ま、わざわざ正規軍のいざこざに首を突っ込むのもなぁ」

 

「そうですね。私達の任務は既に完了しています。残念ですが、余計なリスクを取る事は出来ません。」

 

 

M16に続いて部隊長であるM4が答える。それを聞いたパイロットは通信機の電源を落とそうとした時、誰かが肩を掴んだ。

 

 

「応答用のマイクを貸してくれ。彼と話をする」

 

「ちょっ、S-117!勝手なことはしないで下さい!」

 

「彼らを見殺しにするのか?」

 

「彼らは正規軍です!民間企業である私達が関わるべきではありません!」

 

「軍人と言っても人には変わり無い。それでもか?」

 

 

「それはっ・・・!」

 

 

「ここで言い争っている時間はない。パイロット、応答用のマイクを」

 

 

「っ!まだ話は終わって・・・姉さん!?」

 

「はいはい、今回はお前の負けだよ。M4」

 

 

反論しようとするM4の頭を軽く叩き、諫めるM16A1。

 

 

「確かにお前が言ってる事は正しい。隊長として隊員を無事に連れて帰るのは重要な事だ。でもそれだけじゃない。私達には擬似的とはいえ心がある。鉄血みたいな血も涙もない連中とは違う。誰かが助けを求めてるんなら、それに答えるのが私達の役目ってやつなんじゃないか?」

 

「姉さん・・・」

 

「それに、SOPⅡは既にヤル気充分みたいたぜ?」

 

 

M16が親指で指す先には、既に戦闘準備を終えたSOPⅡが『全員蜂の巣にしてやるー!』と大声で叫んでいた。

 

 

「はぁ、仕方ないですね。AR15、貴方も良いですね?」

 

「貴女の判断に従うわ、M4」

 

「分かりました。S-117、交信を許可します」

 

「分かった。こちらG&K所属のAR小隊、S-117だ。貴官の現在地と敵戦力を教えてくれ、救援に向かう」

 

「G&K!?あのI.O.P製の戦術人形を使ったPMCか?伍長、どうしますか・・・。分かりました。先ずは救援要請に答えてくれたことに感謝する。現在地はD22地区のポイント13、マーク7だ。敵戦力は旧式の戦車が6両に歩兵の数は正直わからん。だが、あんた達とは別のPMCを雇ったのか戦術人形も確認している。」

 

「状況は分かった。我々が到着するまで持ち堪えてくれ」

 

「あぁ!頼んだぞ!」

 

「目的地の特定できました。ここからなら15分程で着きます。皆さんはそれまでに準備をお願いします」

 

「しっかし旧式とはいえ戦車が相手か。この面子だとちーと厳しくないか?」

 

「戦車は俺が相手をする。M4たちは歩兵の対応を頼む」

 

「何か策があるんですね?分かりました。とりあえず現地に到着してからの行動について決めましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー15分後 D22地区指定座標3000フィート上空ー

 

 

 

「こりゃ酷いな。完全に包囲されてるぜ」

 

 

双眼鏡で戦場を確認しながらM16A1が独りごちる。破壊されたCyclopsやAegis、大破して機能停止したHydraに混じって正規軍の軍人の死体も見られる。一部は五体満足で残ってるものの、大半は四肢が欠損しているか、上半身もしくは下半身が綺麗に無くなっていた。生き残った部隊は岩の陰や地殻変動によって生まれた天然の塹壕に身を潜めつつ抵抗しているものの、制圧されるのは時間の問題だった。

 

 

「戦車は右翼、中央、左翼に2両づつ。その周囲を随伴歩兵がガチガチに固めてる。こりゃ確かに、正攻法じゃあ無理だわな」

 

「なら予定通り一番近い左翼の戦車から潰しに行く」

 

 

M16の報告に(S-117)はそう言い、ヘリのドアを開け降下の体勢に入る。

 

 

「な、なぁ。やっぱり私は必要ないんじゃ・・・」

 

「行ってくる」

 

「ま、まて!まだ心の準備g嫌ぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

ウロボロスの懇願も虚しく、ヘリから地上へ落下していくチーフ。前回は空気抵抗を上げるため大の字だったが、今回はスピードを稼ぐために垂直に、目標へと落下していく。

 

 

「嫌ぁぁぁぁぁぁぁ!!まだ死にたくなぃぃぃぃ!!」

 

「いい加減慣れろ」

 

「慣れるわけ無いだろこの馬鹿ぁぁ!!」

 

「そろそろ目標に接触する。準備しろ」

 

「衝突の間違いだろぉ!!あぁもう!こうなったらヤケクソだぁ!カウント開始!3・・2・・1・・今!!」

 

 

ウロボロスの合図で体を180°回転させ、戦車の真上に着地(という名の衝突)するチーフ。その衝撃で車体は大きく歪み、周囲に砂埃を撒き散らす。

 

 

「おい!大丈夫か!?」

 

「シールドが6割程削れたが問題ない。このまま作戦を続行する」

 

 

チーフはそう言うと大きく歪んだハッチをこじ開け、用意していた破砕手榴弾を2つ車内に投げ込み即座に離脱する。その直後、周囲に居た兵士たちを巻き込み戦車が大爆発し、砲塔部が大きく吹き飛んでいった。

 

 

「もう一両の戦車は何処だ?」

 

「右後方約200m。周辺に敵兵士がわんさか居るぞ」

 

「問題ない。撃ちまくって強行突破する」

 

 

砂埃から脱出したチーフはウロボロスの指示通りの方向へ移動する。途中接敵した兵士はKSG、もしくはSVU−Aで対処しつつ、目標へと近付いていく。敵兵士をあらかた排除し終えると今度は戦車目掛けて閃光手榴弾を投げ視界を潰し、その隙にグラップルワイヤーで戦車上部に取り付く。後はハッチをこじ開け車内に焼夷手榴弾を投げ込み離脱。数千度の熱により中にいた兵士は勿論、戦車が耐え切れる訳もなく、砲弾や燃料に引火し爆発、炎上した。

 

 

「左翼の戦車2両の破壊を確認!降りるならいまだぜ!」

 

「分かりました。皆さんしっかり掴まってて下さい!急降下します!」

 

 

M16の合図で急降下を開始する輸送ヘリ。幸い、S-117の奇襲兼陽動のお陰で被害もなく正規軍の残存部隊近くまで降下する事ができた。

 

 

「それでは皆さん、私は一旦後方に退避します。ご武運を」

 

 

M4達AR小隊を降ろしたパイロットはそう言い、戦闘エリアを離脱していく。それを見送る事はせず、M4達は残存部隊との合流を目指すべく走り出す。そして数分後、無事残存部隊と合流を果たすことが出来た。

 

 

「G&K所属、AR小隊隊長のM4A1です」

 

「正規軍第二駐屯基地所属の偵察中隊、伍長のジェンキンスだ。救援要請に応えてくれて感謝するよ」

 

「左翼に展開していた戦車部隊は既に排除が完了しています」

 

「あぁ、こちらでも確認した。まるで隕石みたいだったよ。お陰で左翼に振っていた戦力を手薄だった右翼に回すことが出来た。彼には感謝してもしきれないよ」

 

「?失礼ですが、今指揮を執っているのはジェンキンスさんなんですか?」

 

「あぁ、そうだよ。恥ずかしい話、最初の奇襲で指揮官を始め、私より階級が上の人間は皆戦車の餌食にされてしまってね。だから今は臨時で部隊の指揮を執ってる訳さ」

 

「そうでしたか。ところで、私達は右翼と中央、どちらに対応すれば宜しいですか?」

 

「出来れば中央の敵部隊を相手にしてほしい。正直どちらも厳しいが、中央の部隊はPMC所属の戦術人形が中心となっている。精度で言えば、こっちがより脅威になる」

 

「分かりました。ではそれでいきましょう」

 

「助かるよ。私は右翼の指揮に戻るが、何かあればすぐ呼んでくれ。可能な限り対応するよ」

 

 

そう言ってジェンキンスは軽く敬礼した後、右翼の指揮に戻っていった。同時にM4達も中央の敵部隊に対応すべく、岩陰や天然の塹壕に身を潜めつつ、攻撃を開始していく。

 

 

「見知った顔を撃つってのも、何か妙な気分だな」

 

「仕方無いでしょ。所属は違えど製造は同じI.O.P産、気にするだけ無駄よ。それに、SOPⅡは全く気にしてないみたいよ?」

 

 

M16の愚痴に反応したAR15は隣に居る仲間を指差す。そこには笑い叫びながら敵戦術人形を銃撃するSOPⅡが居た。孤立した人形は蜂の巣に、集団で固まっている場所にはグレネード弾を撃ち込み次々と屠っていく。

 

 

「・・・みたいだな。全く、SOPⅡの能天気さが羨ましく思える日が来るとはねぇ」

 

「・・・同感ね」

 

 

M16の言葉に少々呆れつつも同意し、不用意に頭を出した敵戦術人形をHS(ヘッドショット)で仕留めるAR15。そんな中、S-117からM4へ無線が入る。

 

 

「こちらS-117。そちらの状況は?」

 

「こちらM4。予定通り正規軍の指揮官と接触、現在中央の敵部隊と交戦中です」

 

「了解した。こちらも中央の戦車を1両破壊した所だ。このまま残りを・・・」

 

 

破壊でき次第合流する、とS-117が言いかけたその時、青白い光線が右翼に展開していた正規軍のHydraを貫き爆散、周囲に居たCyclopsやAegisが巻き込まれる。

 

 

「今のは一体・・・」

 

「おいおい!ありゃ正規軍のTyphonだぞ!?いくらなんでもあれはナシだろ!」

 

 

岩陰から双眼鏡で光線が放たれた場所を確認して驚愕するM16。そこには本来、正規軍が運用している筈の主力戦車であり、E.L.I.Dの殲滅を目的とする強力な兵器が鎮座していた。

 

 

「S-117!作戦変更です!至急右翼に急行し、新たに出現した戦車を排除してください!あれは本来、正規軍が運用している物で、このまま放置するのは危険です!中央の戦車は私達で対処します!」

 

 

M4の指示に『マジかよ・・・』といった表情を浮かべるM16とAR15。確かに大戦前の旧式戦車と最新の軍用戦車とでは驚異度は天と地程の差があるが、腐っても戦車。厄介な相手なのには変わらない。それを私達だけで対処するのは荷が重すぎるだろう、と2人は電脳内で抗議した。

 

 

「姉さん!SOPⅡ!今から私と3人であの戦車を無力化します。AR15はここで私達のカバーをお願いします」

 

「了解」

 

「マジかー。ま、仕方ないか。行くぞSOPⅡ!」

 

「わーい!突撃だぁぁぁ!!」

 

 

3人は意を決して岩陰から飛び出し、弾幕を張りつつ敵戦車へと向かっていった。

 

 

 

一方、M4との通信を終えたチーフは指示どおり右翼へと走り出していた。

 

 

「おい!もう1両の戦車は良いのか?」

 

「状況が変わった。右翼に新手の戦車が現れたらしい」

 

 

ウロボロスの疑問に敵兵士を撃ち殺しながらチーフは答える。

 

 

「新手の戦車?今更1両2両増えても大して変わらないだろう?」

 

「そうでもない。M4は正規軍の戦車だと言っていた」

 

「正規軍の戦車・・・。あぁ、Typhonか。確かに厄介だなそれは」

 

「知ってるのか?」

 

「鉄血にいた頃データベースで見たことがある。夢想家(ドリーマー)がコピー品を作ろうとしてたがコスパが悪すぎて止めたとか言ってたな」

 

「操縦の仕方は分かるか?」

 

「そりゃ一通り資料には目を通したからな。まて。お前、何をする気だ?」

 

「今に分かるさ。場所は分かるか?」

 

「右前方約500m先だ。周囲に護衛の兵士は居ないようだな」

 

「好都合だ」

 

 

暫く走っていると、これまで破壊してきた戦車とは明らかに形状が異る、迷彩処理が施された戦車らしき兵器が見えてきた。気付かれる前にチーフは閃光手榴弾を投擲、戦車の正面手前で炸裂する。

 

 

「ハッチの場所は?」

 

「砲身が付いてる車体の先端上部だ。お前まさか・・・」

 

「そのまさかだ」

 

 

チーフはウロボロスにそう言うとTyphonの砲身、側面の真ん中にグラップルワイヤーを撃ち込み車体へ取り付く事に成功する。そして右腕を大きく振り上げ、思いっきりハッチを殴りつけた。そのまま5発程殴りつけるとハッチと装甲の間に隙間が生じ、そこへ手を差し込み強引にハッチをこじ開け、中にいた兵士の服を掴み『降りろ』と言って強引に引きずり出した。

 

 

 

「まさか本当にやるとはな。で?次は何をするんだ?」

 

「コイツで敵戦車を破壊する」

 

「アッハッハッハ!!そいつは愉快だな!ここからなら2両とも狙い撃てるぞ?なに、最新式と言っても操作はそう変わらん。ただエネルギーチャージに10秒程掛かるがな」

 

「なら問題ない。手前から破壊する」

 

「了解だ♪」

 

 

それから程なくして、Typhonが主砲のレールガンを発射。右翼に展開していた戦車の装甲を、熱したナイフでバターを切るように容易く貫き破壊する。異変に気付いたもう1両の戦車が回避行動を取ろうとするも既に遅く、側面を貫かれあえなく爆散していった。それとほぼ同時に赤い信号弾が空高く撃ち出され、PMC所属の戦術人形を含めた敵部隊は撤退していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー20分後 正規軍残存部隊臨時指揮所ー

 

 

 

「Typhonが出てきたときは流石に駄目かと思いましたが、貴方達のお陰で生き残ることが出来ました。部隊を代表して、お礼を言います。有難うございました」

 

 

臨時で指揮を執っていたジェンキンス伍長が軍帽を取り深々と頭を下げる。全身砂まみれで所々血とも油とも判らぬシミが付いており、戦闘の激しさを物語っていた。

 

 

「いえ、私達は義務を果たしただけです。それに間に合って良かったです、ジェンキンスさん」

 

 

全身砂まみれのM4が答える。こちらも旧式の戦車相手に大立ち回りを演じ、破壊こそ出来なかったもののキャタピラと砲身に損傷を与え無力化する事に成功していた。

 

 

「それはそうと、彼等は一体何者何ですか?救助要請の時は確か反乱軍と言っていましたが・・・」

 

「文字通りですよ。現政権や軍のやり方が気に入らない者が中心の民兵組織ですよ。私達がここに来たのも、元々は連中の出没情報があったので、その確認のために派遣されたんです。まぁ、結果はご覧の有様ですが」

 

「ただの民兵組織にしては装備や兵の練度が高いのが気になるな」

 

 

鹵獲したTyphonを運び終えたチーフが2人の会話に入ってきた。

 

 

「貴方は・・・」

 

「彼は16Labで開発された次世代型の軍用戦術人形です」

 

S-(シエラ)117だ。宜しく頼む」

 

「そうでしたか。私は正規軍第二駐屯基地、偵察中隊所属のウォレス・ジェンキンス伍長です。今回は救援要請に応えてくれて有難うございました」

 

「気にするな。それより民兵組織と言ったが、あの動きは明らかに軍事訓練を受けた動きだった。何か裏があるのでは?」

 

「・・・はい。確かに表向きは素人の民兵集団という事になってますが、実際は周辺の国々から軍事支援を受けた準軍事組織です。もちろん各国は否定していますが」

 

「!何故そんな・・・」

 

「政治的な問題もあるのでしょうが、一番の要因は我々正規軍の軍事力、と言った所でしょうか。ご存知の通り、我々はE.L.I.Dの対策として強大な軍事力を有しています。しかし周辺の国々、特に崩壊液(コーラップス)汚染が少ない国からはその軍事力を危険視する声があり、力を削ぐ目的で反乱軍を支援している。というのが我々の認識です」

 

「厄介だな」

 

 

苦い表情をしつつジェンキンスは話を続ける。

 

 

「全くです。ただでさえE.L.I.Dの対応で手が回らないというのに・・・。それに最近は軍施設に侵入して物資を強奪される事件も発生しています。大方、あのTyphonもそれで手に入れたのでしょう。おっと、失礼。つい愚痴になってしまいましたね。もうじき基地から救助部隊が到着するので、後は我々だけで大丈夫です。我々を救ってくれて、本当に有難うございました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー30分後 輸送ヘリ内ー

 

 

「あ〜一時はどうなるかと思ったが、無事終わったな」

 

 

M16がスキットルの中身を呑みながら呟く。

 

 

「そうね。良い経験にはなったけど、二度とやりたくはないわね」

 

 

AR15の言葉に『違いない』とM16が相づちをうつ。そんな中、SOPⅡが2人の間にやって来る。

 

 

「ねぇねぇ!これどう?似合う?」

 

 

フカフカの白い帽子を被り、片目に眼帯をしたSOPⅡがはしゃぎながら聞いてくる。

 

 

「おぉー似合ってるぞSOPⅡ・・・まて、それ何処で手に入れた?」

 

「まさかさっきの戦場でじゃないでしょうね?」

 

「そうだよー♪実はこれ前から欲しかったんだぁ」

 

 

SOPⅡの返事に青ざめるM16とAR15。恐らく前の持ち主は先の戦闘にいたPMC所属のI.O.P製戦術人形だろう。そしてG&Kにも同型の戦術人形は存在する。もしSOPⅡが『うっかり』入手方法を話したら・・・。そう考えた2人は心?を鬼にしてそれらを外へ投げ捨てたのだった。

 

 

「あたしの戦利品がぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

帰路につくヘリの中でSOPⅡの嘆きが響くのであった。

 

 

 

 

 

 

 







SOPⅡの戦利品は犠牲になったのだ。AR小隊の評判、その犠牲にな・・・



今回はHALOシリーズ伝統の落下を組み込んでみました。チーフと言えば落下、落下といえばチーフですから(暴論)


偵察中隊のジェンキンス伍長は無印で登場したキャラになります。何気に好きなキャラなんです(すぐ死んだけど)


そんな彼がゲームよりも活躍する小説版HALO ザ フラッドという作品がありますので興味がある方は是非読みましょう。


次は久しぶりにブルーチームの登場になります。ついでにチーフと因縁のある「アイツ」が出てきます(予定)


誤字、脱字、その他が有りましたらご報告宜しくお願いします。
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