Doll meets Human?   作:敵前逃亡兵士

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前回が今年最後といったな、あれは嘘だ(作者が崖に落ちる音)


今回は少々短めとなっております。年明けは低体温症で始められたらなぁと一応考えております。


感想、誤字脱字報告などありましたらよろしくお願いします。




act.20 post process and・・・

 

 

 

 

 

 

ーG&K本社 社長室ー

 

 

「まさか鉄血があの様な手段で襲撃に来るとは・・・。正直予想外だったな」

 

 

薄暗い部屋の中、プロジェクターに映る紫色をした流線型の大型の物体を見つつ、ベレゾヴィッチ・クルーガーが低い声で喋る。

 

 

「エントランスホールは大破、一般社員と警備隊に負傷者が多数出ましたが、死者が出なかったのが不幸中の幸い、といった所でしょうか」

 

 

報告書を見つつヘリアントスが事務的に話す。

 

 

「それでチーフ、君はあれが何なのか分かるかね?」

 

「コヴナントが当時運用していた兵員輸送機の一つだ。名称はファントム。輸送数は約20人ほどで、特定の武装車両の輸送にも使われる。本来は光学迷彩機能は搭載してなかった筈だ。恐らく後付けだろう」

 

「破壊は可能かね?」

 

「可能だが、高性能爆薬を使用したロケットランチャーで4.5発といった所だ。後はそれこそ、戦車でも用意しないと無理だな」

 

 

それを聞いたクルーガーは大きく唸る。

 

 

「私個人としてはファントムよりも此方のほうが脅威だと思います」

 

 

チーフはそう言うとプロジェクターを操作しとある画像にたどり着く。

 

 

「以前チーフが提出した資料にあった宇宙人の武器か」

 

「あぁ、今回確認できたのはプラズマガン、エネルギーシールド、エナジーソードの3つだが、一番危険なのはプラズマガンだ。威力や射程は短いがコヴナントで最も普及している武器の一つであり、大量に生産されている武器だ。先の戦闘でエネルギーシールドを含め回収しなかったという事は、既に向こうに十分な量の武器があるという事になる」

 

 

「ペルシカ博士によるとこのプラズマガンですが、着弾時に強い電子機器の破壊作用があるとのことです。また、戦術人形に対しても効果は絶大で、命中箇所の回路が焼き切れ、頭や胸部のコアに命中すれば行動不能になると報告が出ています」

 

 

「問題はそれらの出どころ・・・か」

 

「やはり遺跡・・・でしょうか?」

 

「恐らくな。対策についてペルシカ博士は何か言っていたか?」

 

「『専門外だから時間が掛かる。とりあえず解析から始める』とのことです」

 

「そうか。とりあえず前線の基地には警告を、万が一遭遇した場合は無理に交戦せず本社の指示に従うよう通達を出しておいてくれ」

 

「分かりました」

 

 

2人を下がらせたクルーガーは徐ろに受話器を取り、とある人物へと連絡を取るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー鉄血支配領域 夢想家のラボー

 

 

 

「あーもう、なんで私がドリーマーのお使いなんてやんなきゃならないのよ!」

 

 

そう苛立ちを隠さず大声で愚痴をこぼすのは鉄血ハイエンドのデストロイヤー。ここ最近暇だという理由で夢想家の仕事のパシリ・・・雑務・・・手伝いをしていた。

 

 

「にしたってあんな数の人間、一体何に使うのやら・・・」

 

 

そう、夢想家の手伝いとは実験に使うモルモット(人間)の確保であった。わざわざ崩壊液汚染のある荒野を中心にである。大半は流浪の避難民や捨てられ行く宛のない子供であり、中には追い剥ぎで生計を立てる連中も居た。その数ざっと200弱の人間をデストロイヤーは部下と共にせっせと集めたのだった。無論、表向きは保護の名目で、である。

 

 

「あらぁ、そんなに気になるのかしらぁ?」

 

「うひゃあ!!き、急に後ろから声かけないでよドリーマー!び、ビックリするじゃない!」

 

「あらぁ、それは悪い事したわねぇ。で、気になるんでしょ?」

 

「そ、そりゃあ・・・まあね」

 

「なら丁度いいわぁ。これからテストするからアンタも来なさい」

 

「え!?良いの!?」

 

「勿論よぉ。テストが出来るのはアンタのお陰なんだし。こっちよぉ」

 

薄暗いラボの奥深くへと進む夢想家とデストロイヤー。途中、山積みになった緑色の蛍光色の液体の入ったケースの横を通り、暫くすると目的地に着いた。

 

 

「ここよぉ。準備はどうかしらぁ」

 

「予定通りです、ドリーマー様」

 

「そう。デストロイヤー、アンタは特別ゲストだからここに座ってなさい。今からとぉーっても面白いことが始まるから」

 

 

それを聞いてデストロイヤーは少し後悔した。ドリーマーの面白いことは大抵ろくでもない事ー具体的には彼女の加虐心を満たす物ーだからだ。そんなデストロイヤーの心情を知ってか知らずか、ドリーマーの部下が最終チェックを始める。

 

 

「ライト点灯。サンプルはグループAから30人。崩壊液濃度は50%。ケース、散布装置に固定完了。換気システム停止を確認。最終安全装置解除。」

 

 

ライトが点灯しガラス越しに内部が見えるようになる。中に居る人間達にはデストロイヤーは見覚えがあった。ここ数日、ドリーマーの手伝いで集めた人間達だ。部屋の中央には大型の散布装置が設置してあり、金属製のケースが既にセットされていた。ここで漸く何のテストなのかデストロイヤーは理解した。

 

 

「さぁデストロイヤー。特別にテスト開始のボタンを押させてあげるわぁ。眼の前の赤いボタンを押しなさぁい」

 

「わ、私が押さなきゃダメ?ドリーマーが責任者なんだから、アンタが押せば良いじゃない!」

 

「あら優しいのねぇ。じゃあ一緒に押しましょう?」

 

 

そう言いつつデストロイヤーの背後に回る夢想家。そしてあっという間に片腕を取られ一緒にボタンを押してしまう。

 

 

「あっ」

 

 

『最終シークエンスが承認されました。崩壊液の散布を開始します。』そう機械的な音声と共に噴霧される崩壊液。中にいる人間たちは突然の出来事にパニックになる。

 

 

「ここから出してくれぇ!!」

 

「ドアを開けろぉ!!」

 

「助けてくれぇ!!」

 

 

実験室内部はさながら阿鼻叫喚の図であった。怒鳴る者、泣き散らす者、ガスを吸いまいと衣服で防ごうとする者。そんな内部も2.3分すると様子が変わっていった。

 

 

「か、体中が痛い!!」

 

「痛ぇ!痛ぇよぉ!!」

 

「・・・・・・」

 

 

10分程経つと叫び声は聞こえなくなり、『何か』が闊歩する音のみが聞こえるようになった。

 

 

「そろそろ時間ねぇ。中の様子も確認したいし、換気システムを再起動しなさい」

 

「了解しました」

 

 

夢想家の指示で実験室内部の空気が換気され、中の様子が次第に鮮明になる。そこに居たのは人類共通の敵である十数体のE.L.I.Dであった。

 

 

「実験終了。ドリーマー様、崩壊液濃度50%の場合では散布直後に約半数が変異に耐えきれず死亡、残りはE.L.I.Dへと変異に成功しました。」

 

「やっぱり濃度が高すぎるのが原因かしらねぇ。今後は濃度を5%づつ下げてテストするわよぉ。」

 

「了解しました、ドリーマー様」

 

「さぁてデストロイヤー、実験の感想は・・・あら、居ないわねぇ」

 

「デストロイヤー様でしたら先程急いで出ていかれました」

 

「あらそう。まぁ、お子様には刺激が強すぎたみたいねぇ。あとの処理は任せるわぁ」

 

「承知しました」

 

ドリーマーはそう言うと部屋を後にする。残った夢想家の部下は操作パネルの『焼却』のボタンを押し、実験室を火の海にする。E.L.I.Dがその動きを止めるまで・・・。

 

 

 

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