更識簪さんがジオウの力を手にして令和に平成をキメる話 作:モノズエラ
ところで、うっかりこんな発言をさせてしまいましたが
数回前の簪「こんな合格通知って仮面ライダーの歴史の中でも流石にいないと思います……」
まさか2022年のライダー的には割と普通の話だったとは…
♯3-1
銀の福音の有様を見て、篠ノ之束は小さく吐き捨てるように零した。
――“あいつ、暴走してるな”と。
IS学園と亡国機業の戦いに突如として第三勢力として乱入してきた暴走IS、銀の福音。その脅威に対抗しうるのは、白式の
一夏は発動させた零落白夜でエネルギー弾をかき消し、そのまま福音へと瞬時加速で迫る。
弾幕を止めて白式を迎撃せんと翼をはためかせる福音と、間合いを詰めて被弾覚悟で零落白夜を振りかぶる白式が衝突する。
「おおおぉぉぉぉ!!」
裂帛の気合と共に放たれた零落白夜の一撃が、空を切った。
福音はサイレント・ゼフィルスをも圧倒した速度を以て、正面から振りかぶった一撃が振り下ろされるまでの僅かな間で最小の動きで白式の背後に回り込んだのだ。
一夏には目前の福音が突然消えたように見えた。
「一夏さん、離れてっ!」
背後を取った福音が両翼で白式を抱き締める。零落白夜に全エネルギーを集中させていた白式ではその高熱に耐えきれず、絶対防御の上から焼かれていく。
「ぐぁぁぁぁあああ!!」
「離せっ!!」
半ば反射的に、すぐさま鈴音が龍咆で一夏を吹き飛ばす形で助け出す。一夏は既に意識がないのだろう、海へと落ちてそのままゆっくりと海中に没していった。
誰もがそれを助けに行くことはない。ISの操縦者保護機能ならば海中でも生存に問題はないこともあるが、隙を見せたら次は自分が二の舞となるからだ。
目下の脅威を排除したからか、福音は動きを止めて再び静かに佇んでいる。
「間違いない、あの異常な性能……第二形態移行してますわね」
「それに無人機だからかな、あの尋常じゃない飛行速度を保っての旋回性能……困ったね、しばらく一夏を救出に行けそうにない」
リミッターなしの第三世代最新鋭軍用機で、さらに無人機で第二形態移行済み。おそらくは現行で考えられる限りの最強のISだろう。
先程まで苦戦していた亡国機業のISを苦も無く撃墜したことからも、ここまで現れた全勢力の中で一番強力な敵であるのは間違いない。
「お姉ちゃんも先生達もまだ亡国機業との戦いで来れそうにない……」
「限定解除されてないISでは戦力の足しになるまい。白式の零落白夜なしであれを仕留めるとなると、相当に骨だが……やるしかないな」
援軍は期待できず、福音への相性が良かった白式も敗れてしまった。戦況は著しく不利となってしまっている。だが、なんとしてでも撃退しなくてはならない。
「あいつ、来るわよ!!」
再始動した福音がラーラーと歌いだし、全身を包む翼から羽が舞い散るように眼前の各ISへとエネルギー弾が降り注ぐ。
その弾雨を避けきれずシャルロットが何発か実体シールドで攻撃を受け止めたが、その威力は想像以上に大きく、シールドが完全に破壊されてしまった。
「小さい羽のようでいて、とんでもないエネルギーですわね……」
「凝縮された高エネルギー羽弾って、軍用ISにしてもエネルギー量が桁違いすぎよ!」
第二形態と化したことで元々から膨大な量であるエネルギーが爆発的に増大しているのだろう。福音はそのエネルギーをより有効に攻撃に転じさせるため、全身にさらにエネルギー翼を生やしていく。
「あのエネルギー翼による奴の消耗などまず期待できまい。それに持久戦はこちらが持たん。どうする、どうすれば奴に勝てる……!?」
福音が攻撃を止めて高速で動きながら翼を増やし始めている隙に、劣勢の状況を覆さんとラウラは必死に勝利への糸口を探す。
シールドバリアと光翼の二重の防壁に守られた福音を倒すには相当の火力を一気に叩き込む必要がある。ビームなどのエネルギー攻撃では突破できない。シャルロットのバンカーは既に使い切っている。
「そうなると……おい、日本代表候補。更識簪」
「……なに?」
「お前のISには連装ミサイルが積んであったな?」
「うん。まだ温存してる……」
「決まりだな。それを使って奴を仕留める」
「けど、どうやって……? あの福音を落とすには全弾近く当てる必要があるけど、あの翼をどうにかしないと迎撃されて全弾ぶつけるのは無理……」
「残りの三人にも無理をしてもらうが……私がどうにかする」
そう言ってラウラが眼帯を取ると、その左目に埋め込まれた
◇ ◇
(歌が聞こえる……)
銀の福音のそれとも違う、どこかで聞いたような誰かの歌声に目を覚ますと、いつの間にか一夏は砂浜に転がっていた。
福音によって海に叩き落とされた記憶までは朧気ながらにある。どれぐらい時間が経ったのかわからないが、ここまで流されたのだろうか。
まだ体を包んでいる倦怠感に逆らって起き上がると、目の前の波打ち際に白い甲冑姿の女性がこちらの方を向いて立っていた。ぎょっとして思わず周囲に目を向けると、反対側では白い流木に腰掛けた白いワンピース姿の少女が何故かカゴを持って歌っていた。
さらに連れだろうか、そんな少女の横に座って熊手を片手に潮干狩りに勤しむ、どこかで見覚えのあるトレンチコートの男の姿もあった。
「……ん? んん??」
「目覚めたかね、織斑クン」
男が一夏に声をかけると少女が歌をやめた。どこか困り顔な風だったが、黙って貝をカゴに入れている。
「あんた、いつかの朝の……。ここはいったい……」
「……力を求めますか?」
男に問いかけようとすると、それを遮って今度は甲冑姿の女性が声を投げかけてきた。
「あなたは、何のために力を求めますか?」
続けて問いかけられる。
思い出せないが誰かに似ているような気がするその女性は、顔の上半分がバイザーの様なもので隠れて表情は窺えない。
唐突な問いかけだが、不思議と答えなければならないと思わせられる声と口調だった。
――自分は何のために、誰がために力を求めるのか。
「……それは」
そんな本質的な問いかけに、一夏はいつしか自分が大切なものを見失いかけていたことに気が付いた。
過去のトラウマに振り回されて、不甲斐ない自分への嫌悪に胸を焦がしていた。
独りで戦えるような、敵を倒すための力を求めていた。
そうじゃないのだ。
姉を、仲間を、友達を、みんなを守りたい。そのために強くなりたい。
それが一夏の信じる原初の強さであり、変わらぬ願いだ。
「俺が力を求めるのは、強くなってみんなを……誰かを守れるようになるためだ」
「だったら、急いで戻らなきゃね」
今度は少女が言葉を発する。先程とは違って満面の笑みだ。
「時空の歪みか彼女の思惑か、歴史が加速している。このままでは間に合わんだろう。本来は私はライダーの味方だが、今回は特別に君に力を貸そうじゃないか」
男が一枚のカードを取り出し、それと籠とを交換して少女に渡す。このおじさん誰だろう?と先程から少女が思っていることは一夏には内緒だ。
「なにこれ、白式のパワーアップカード*1!? すごい、これならすぐに形態移行ができるよ!」
不思議そうに見つめる少女の表情が驚きと興奮に変わり、そのまま彼女がカードをかざすと眩い光が空間を真っ白に染め上げる。
「行くよ、一夏。これが新しい白式……白式・雪羅!」
◇ ◇
ラウラの作戦はシンプルなものだった。
まずセシリアと鈴音とシャルロットの三人で銀の福音を相手取り、ラウラが福音に迫る隙を見せるまで粘る。あとはラウラが福音に接近戦を挑み、AICで動きを封じる。抑えた数秒で簪の山嵐で迎撃不能の福音を落とすというものだ。
「かなり無茶じゃない? AICは零落白夜と違って使用中でもシールドバリアは万全に機能すると思うけど、巻き添え食らうよ」
「仕方あるまい。確実に奴を倒せる手は他に無いのだからな」
「問題はあんたがあいつを抑え込めるかの方よ。あいつのスピード、見たでしょ?」
「そうですわね。その瞳での補助程度で埋まるものとは思えませんわ」
各々から作戦への疑問の声があがる。サイレント・ゼフィルスも白式もシュヴァルツェア・レーゲン以上の機動力だが、福音には通じなかった。多少の反応速度の向上程度で、停止結界に陥れることが可能とは言い難い。
「問題ない。今回限りのものだが、奥の手がある。むしろお前達が奴の攻撃を凌ぎきれるかが問題だ」
それらの疑問をラウラが切り捨てた直後、沈黙を続けていた福音が動きを変えた。
全身に纏う銀翼の数を圧倒的に増やした福音が、全方位に光弾をばら撒いた次の瞬間、瞬時加速を連発して迫ってくる。その狙いは、レーザーライフルとBTビットという福音にとって脅威度の低い装備のセシリアだった。
「まずい!!」
「くっ!? い、一夏さんっ……!」
「俺の仲間は誰一人としてやらせはしねえ!!」
福音がブルー・ティアーズを掴み上げ、セシリアがその名を呼んだ瞬間、海面が爆ぜて飛び出した白い機影が福音を弾き飛ばす。
それは先刻、海中へと没した白式の新たな姿であり……傷一つない織斑一夏の姿であった。
「そんなに時間は経ってないと思うけど、みんな無事みたいだな。よかった」
「そっちこそ、あんた無事だったの!? いや、なんか一番ダメージ無さそうな感じだけど」
「それに、白式のその姿……まさか、第二形態?」
あれだけのダメージを受けて五体満足どころか無傷なだけでなく、白式を進化させて戻ってきた一夏に一同は安堵以上に驚きに包まれる。
福音も同様なのだろう。第二形態の白式を脅威とみなしてか、攻撃を止めて周囲を無軌道に飛び回っている。
「形態移行してパワーアップしたか……作戦変更だ。とどめはお前がやれ、織斑一夏」
「ああ、今度は一人で突っ走ったりしない。任せといてくれ!」
◇ ◇
「なるほどお前が難しいといった通り、福音をあいつらが抑えられるかは五分といったところか」
「まあ無理とは言ってないからねぇ。抑え込める材料と撃墜できる材料はそれぞれあるし、ギリギリ倒せるって感じかな?」
ラウラが福音打倒の手段を考えていた頃、IS学園地下特別区画オペレーションルームでは一夏の撃墜に項垂れる箒を真耶が介抱する傍ら、千冬による束への追及が始まっていた。
「ところで、そこの亡国機業はお前に裏切られたような物言いだったな。お前の配下を捕らえて脅したとは思えん口ぶりだ」
「んー、そうだっけ? お粗末な計算が狂って八つ当たりしてるだけじゃない?」
「そういえば、無人機を十機奪われたという話だったな。前回撃退した二機と今回現れた八機、そして前回の襲撃の際に目撃されて姿を眩ませたままの小型IS五機。おかしいな、数が合わない」
「あはは、ゴーレムⅡのこと知ってたんだ」
「お前の無軌道ぶりは今に始まった話ではないが、今回はあまりにも辻褄が合わない。おそらく、合わせるのに飽きたといった所か」
「さっすが、私のことよく分かってるねえ」
淡々と彼女の発言の粗を指摘していく千冬だが、それを聞きながらも束はどこ吹く風の笑顔だ。
「さて、そろそろ今回の一件について何を企んでいるのか白状してもらおうか。今日のお前は常にも増して不可解だ、このまま捨ておけん」
「……いやぁ、ちーちゃんからそんなに熱くラブコールされると嬉しいもんだね。だけど今日はちーちゃんと遊べないんだ」
「ほう? それはまたお前らしくもないな」
だが、詰め寄る千冬に対して束の答えは意外なものだった。
「いっくんがやられてちーちゃんカリカリしてるけどさ、束さん的にもいっくんがあんな風にやられて脱落するとか想定外もいいとこなんだよ。これじゃ種明かしもやれないし、どうしたもんだかって困ってんだ」
「なに……?」
「ほんっと、
本気で苛立った表情の束に千冬はどうしようもなく違和感を感じた。そもそも今回現れた束の行動の全てが千冬の知る束らしさがない。
あえて言うなら遠い昔、どこかISを作る前の彼女のような――。
「えっ、海中から高エネルギー反応……!? この認識コード……びゃ、白式です!!」
「なっ!? ぶ、無事だったのか、一夏!?」
この場の険悪な空気を切り裂いたのは一夏復活の報だった。真耶と箒の歓声の中、スクリーンに海中から舞い戻る白式の雄姿が映し出される。
千冬もそれまでの思考を止めて、スクリーン上の一夏の姿に目を向けた。
「生体再生か……白式の第二形態移行に助けられたな、バカモノ」
(……へぇー。そうくるか、いっくん。となると結果的にはこの展開で良いわけか。じゃあ計画、再開だね)
感慨深げな千冬の横で、束の口が弧を描いた。
◇ ◇
白式の帰還により、戦場の空気も一気に変わった。防戦一方だった銀の福音に対してのIS学園の反抗がついに始まり、決戦の火蓋が切って落とされようとしていた。
「まずは私が動きを絞り込む……!」
簪が無軌道に飛び回る福音を抑えるべくミサイル斉射による先制攻撃を仕掛ける。
第二形態のISの機動力でさえ回避が難しい程の広範囲断続攻撃に、福音は『
光の羽弾がミサイルの悉くを打ち落とさんと放たれ、さらにその隙に福音の四方を包囲してきた敵ISへの攻撃へとそのまま転じる。
「狙い通りだな、じゃあ行くぜ!」
他の全員が『銀の鈴』による弾雨を避ける中、新装備・雪羅のエネルギー無効化シールドを構えて一夏が真っ先に飛び込んでいく。
(最強を継ぐ決意固きその姿は、暗雲かき消す純白の守護騎士――白式)
「一夏さん、援護しますわ!」
福音の攻勢を少しでも止めようとセシリアが弾頭型ビットで牽制する。
(清純と高貴で象るその姿は、優雅振舞う蒼穹の狙撃手――ブルーティアーズ)
迎撃している山嵐の連装ミサイルに追加で混ざってきたミサイルビットの攻撃に、ほんの少し福音の動きが鈍った。
「ナイス、セシリア! 隙を見せたわね!」
そこへすかさず鈴音が衝撃砲による追撃を重ねる。
(天衣無縫に駆け昇るその姿は、闘魂溢れる神龍の化身――甲龍)
不可視の空間圧攻撃に流石に吹き飛ぶ福音だが、その威力を逆手にとって距離を取る。
「いい位置に来てくれたね! 歓迎するよ!」
だが、それを読んでいたかのようにその先にはシャルロットが待ち受けていた。
(情熱と勇壮を秘めて立つその姿は、技巧確かな再臨の疾風――ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ)
杭打ち機を構えて迫るシャルロットに対し、勢いを殺さず光翼を広げて接近し、返り討ちにせんとする福音……のさらに裏をかき、ギリギリで福音を避けて転進するシャルロット。
「残念、僕はオトリだよ」
「そう、本命は私だ」
シャルロットの影に隠れて近付いていたラウラが、越界の瞳を輝かせて躍り出る。
(憧憬さえ鉄の規律で制すその姿は、百戦錬磨たる黒の雨兵――シュヴァルツェア・レーゲン)
「篠ノ之博士に調整してもらった切り札だ……
ラウラの姿と意思はそのままにその動きだけが
改良されたVTシステムを意識下で使える制限時間は最長でも五秒、だがその制限時間はAICによる慣性停止結界が福音を捉え、その動きを封じ込めるには十分だった。
「さあ、お膳立てはしてやったぞ!」
「とどめを頼むよ!」
「織斑君……!」
「一夏!」
「一夏さん!」
ラウラが、シャルロットが、簪が、鈴音が、セシリアが、幕引きを一夏に託す。
そして、ついに白式・雪羅が必殺の零落白夜を起動した!
「これで、終わりだぁぁぁぁ!!」
◇ ◇
「――やっぱり、いっくんは自分で決めたがるよね」
一夏達の攻勢が始まった直後、束が笑った。スクリーンは彼らの音声は拾っておらず、ラウラの作戦も束は聞いていなかったが、その意図も連携の流れも彼女には読めていた。
「……福音がエネルギー翼を攻防に使っている仕様上、白式が一番相性が良いのは確かだ」
「ところがどっこい、ぎっちょんちょん! そうでもないんだよなぁ~」
「なに?」
「それはどういうことですか、姉さん!?」
箒が声を荒げる。千冬が箒の同行を許していたのは束の意向もあったが、同時に束への抑えの意味も大きい。そんな妹の問いかけにはおそらく偽りなく答えるだろう。
「あの福音には攻撃反復システム『MAD』ってのが搭載されててさー、致命傷になりうる攻撃に対して倍返しにしてカウンターを入れて、確実に相討ちに持ち込むように動くんだ」
「まさか、相互確証破壊の……!?」
「ISコアを暴走させた自爆前提のコアからの独立攻撃に対して、白式は零落白夜にエネルギーを集中させてほぼ無防備で受ける羽目になる。そう、つまり白式にとってはあの
「……っ、一夏!!」
真っ青になった箒が部屋を飛び出していった。
「そ、そんな機構が組み込まれているなんて、無人機実験直前に取られた福音のデータにもありませんでした! 亡国機業がやったとしてもタイミング的に不可能です!」
「そんなこと言ったってさー、組み込まれてるんだから仕方ないじゃんさー」
「束、お前……!!」
ここに来て千冬は理解した。束が福音を差し向けた理由は、いやおそらく亡国機業の襲来も先日の無人機襲撃も、全ては一夏の排除が目的だったのだ。
当初は妹に専用機を与えるための筋書きと思っていた。だがそれは今回の戦いに紅椿を間に合わせなかったことで疑わしくなった。しかしまさか、束が段階を踏んでまで個人の明確な排除を企むなどとは考えもしなかった。
「今更タネを知っても、今ここで福音を倒さないと大勢が殺されちゃう。教えたところでいっくんは止まらない」
スクリーンには、白式が零落白夜を発動させて再び福音へと斬りかかろうとしている光景。
事態はもはや誰にも止められない。
「さてさて。
感情の赴くままにアリーナの外へ飛び出した箒だが、ISを持たない身では一夏の所へは向かえない。今にも迫る想い人の危機にも、今の箒には茫然と空を見上げることしか出来なかった。
(負けないで……いや、死なないでくれ……ただ、生き延びて帰ってきてくれればいい……)
届かない想いを胸に、箒はたった一つの祈りを込めて叫んだ。
「一夏ぁぁぁぁぁ!!!」
◇ ◇
白式・雪羅の強化された零落白夜が自らに致命傷を与える威力であることを福音は理解していた。その上、動きを封じられた現状では回避どころか防御も迎撃も難しい。
このままでは敗北し、破壊される……その判断が、ついに銀の福音に攻撃反復システム『MAD』を起動させる。
それにより第二形態からさらなる変貌を遂げた
そして――決戦の瞬間、
「これで決まりだ! うおぉぉぉぉぉぉっ!!!」
それは一夏の気迫が押し通した必然か、創造主の妹の祈りが生んだ奇跡か、仲間達の奮闘が呼んだ福音の計算の誤差か、はたまた別の要因か――。
結果として福音による相互確証破壊は不発で終わった。そのまま零落白夜の直撃でエネルギーの大半をかき消された福音は両断されて海に落下、大爆発を起こして四散するのであった。
◇ ◇
「あっははははは! あるいは
無事に福音が撃破されたことに胸を撫で下ろす千冬と真耶らを他所に狂笑をあげる束がいた。
思惑が外れたにも関わらず、いまだかつて見せたことのない興奮した様子の旧友に流石の千冬も困惑したが、そんな彼女にお構いなしに束は楽しげに語りかけた。
「いやまいったよ、ちーちゃん! ちゃんと
「束……お前……?」
「最初に言ったように今回は
「なん…だと…!?」
「ちーちゃん、この世界は思ってたよりずっと面白くなってるよ! それに世界の主役はもう私でもちーちゃんでもいっくんでも無くなってるみたいだ。しっかし、まさか私が挑戦者として挑まなきゃならない立場になっちゃってたなんてねぇ。ウフフ、まいったなぁ……」
目に涙を浮かべながら楽しそうに笑うその姿が心底からのものであると千冬には理解できた。そして分かった。今回、束が来た時からずっと感じていた違和感、それは――。
「……楽しそうだな、束」
「……そうだねえ。私が生まれてきた理由は今この時のためだったんだって、思ってるよ」
瞬きの間に、篠ノ之束の姿は忽然と消え去った。
かつて束がISを開発した時以来の先の見えない不穏さがあったが、あれを制御することは不可能だと誰よりも知る千冬は弟の無事を喜ぶべきと切り替える。
亡国機業撃退作戦終了の指令が出されたのは、それから間もなくだった。
各ISへの評はさすがに福音と戦闘中の簪さんのものではありません。
簪ちゃん(小4)「贖罪と決意を胸に立つその姿は、絶技冴え渡る若き龍――アーマードライダー龍玄!」(キリッ
楯無ちゃん(小5)「ゴメンもう一回」
簪ちゃん(小4)「英雄を胸に燃やして戦うその姿は、烈風まといし
楯無ちゃん(小5)「ちょっとお姉ちゃんには分からないわ」