更識簪さんがジオウの力を手にして令和に平成をキメる話 作:モノズエラ
ジオウに鳴滝さん出なかったからSSで出そうと思ったんだった。
もう何年前の話だっけ…?
仮面ライダーカブトの最強形態、ハイパーフォーム――通称ハイパーカブトが持つ特殊能力、ハイパークロックアップ。クロックアップ以上の超高速移動能力と時間移動能力、ついでに飛行能力まで兼ね備えたチート能力だが、公式からは半ば無かったことのようにされているが実はさらに時間逆行をも可能としていた。
実際、その能力が使われたことはほぼ無いのだが、劇場版で仮面ライダーコーカサスに殺された加賀美を助けた時や三十四話で爆死した加賀美を助けた時がそれに該当する。
時間を巻き戻すという形なので逆行した過去における自分は存在しない。それが時間移動との最大の違いと言えるだろう。
【HYPER CLOCK UP!】
ハイパークロックアップの発動により、時は福音が現れた直後にまで巻き戻されていく。
ライダーカンザシは過去への時間移動を行うことでの歴史改変を目論んだが、その前にまず時間を巻き戻すことを選んだ。
一度に時間逆行せずに過去の自分が存在してしまう時間移動を行う理由は、長時間の時間逆行が難しかったことにある。ハイパーカブトが行った際も、巻き戻したのはごく短い時間だったのだ。
そして過去へ時間移動して歴史改変するにもかかわらず、それでもあえて一度時間逆行を挟んだ理由は、簪が自分の巻き添えによって起きた一夏とラウラの死に耐えられず、巻き戻すことで無かったことにしたがったからだった。
ラウラについてはあの時点ではまだ無事だとしても、重症だろう身で海中で搭乗者保護機能が切れた状態なので、あそこから救助するまでの時間を考えると厳しかったという推測だ。
そこで水落ち=生存フラグという感覚を持てなかったのが、界隈のルールを熟知しているはずの簪の限界だったのかもしれない。
【HYPER CLOCK OVER】
時間逆行を終え、周囲を見渡すと一夏とラウラの健在な姿が確認される。間違いなく、銀の福音が現れた直後だ。
「……修正は、終わった。とりあえず、一旦」
ラウラを標的に定め、襲い掛からんとしていた福音が、一瞬前まで存在しなかった謎の
右手を頭上に掲げて人差し指で天を指すライダーカンザシの勇姿だ。
銀の福音には暴走状態でもなお遂行するよう組み込まれた命令が二つ、存在した。
一つは敵に白式が存在し、さらに自機が撃墜されうる状況に陥るなどの一定の条件を満たした場合、攻撃反復システム『MAD』を起動させて白式を対消滅させること。
そしてもう一つは、上記の白式抹消命令をも覆す最優先事項。
もしも、更識簪が動いてカメンライダーと思われる存在が現れた際には、全てを投げうって挑んで捨て石となることだ。
『La-----!!』
福音が光翼を広げ、真っすぐにライダー目掛けて突撃する。しかし、それが射程圏内に届く間際で、左手でウォッチが押される。
「……ハイパークロックアップ」
【HYPER CLOCK UP!】
再び時間流を移動して、ハイパークロックアップの世界に誘われる。そしてライダーカンザシは過去へ飛び――無事に世界は改変されたのだ。
● 〇 ● 〇
海馬を駆け巡った記憶の一部始終を見届けて、夜のIS学園廊下で簪は静かに目を開いた。
そして、平成ライダーにおける2クール目から3クール目の展開のような先の見えなさに、思わず頭を抱えてしまう。
「時間移動モノは、二つの次元において因果関係にある事象を説明するのが一番厄介で面倒……みたいなこと、ウォズも言ってたけど……うわぁ……」
とりあえず状況を整理すると、今回の世界線では篠ノ之博士はその本性を見せなかった。
銀の福音を倒されたことが理由だと思うが、福音の自爆で織斑一夏を始末できなかったことが彼女の気を変えたのだろうか。
思うように盤面を整理できなかったので表に出てくる気になれなかった、つまりはこの世界の主人公を消すという行為が博士にとってそれだけ必要だったということになる。
仮にそうだとして、それこそ自ら動いて白式を破壊しようと思わなかったのは疑問だ。そもそも最初から彼女自身が動けば福音など使う必要がないのだ。
もしかすると、王の力と言っていたあのキル=プロセスもどきの自壊システムで白式を破壊することは出来なかったのだろうか?
だとすると白式が破壊されたことで姿を見せたと考えれば話は繋がるが、篠ノ之博士がISの創造主であることや同じく王の力を持つらしい紅紫なるISが自壊していたことから、それも違和感を禁じ得ない。
他にもいくつか推測を重ねるが当然、それらしい結論は出ない。天災とまで称されている彼女の考えは世界中の誰にも分からないのだ。
ただし、分かっていることもある。それはこの世界線においても篠ノ之博士がライダーカンザシによる介入を見抜いただろうことだ。
姿も手口も絶対に分からないようにしたが、そもそも打鉄弐式のコアから情報を抜かれているので更識簪=合体無人機を倒したライダーということまではバレているのだ。
面倒なことになったと、憂鬱さに思わず溜息が零れてしまう。
本当ならISコアを調べられること自体を避けたかったが、そもそも彼女による限定解除なしに亡国機業相手に勝てたかどうか怪しい以上はどうすることも出来なかった。
「……ソウゴなら、もっと上手にやれてた。我が魔王の機転……私にはとても真似できない」
前の世界線でも篠ノ之博士が明かした真相に動揺し、突如起こった友人達の死に頭が真っ白になった。今思えば、もしかするとあそこで博士を倒すことが最善だったのかもしれない。
何せこの十年、世界を一人で転がしてきた相手だ。次に姿を見せた時にどういう手段を講じてくるのか、まるで読めない。
けれど、目を向けるべきは今だ。
今、やるべきことは決まっている。この世界線を確定させるために、前世界線の簪と同じように過去の自分へと干渉することだ。
【KANZASHI!】
自らのライドウォッチを握る。
わざわざIS学園まで探りに来たことや打鉄弐式のコアから情報を抜いたことからも、篠ノ之博士は遠隔でこちらの詳細な情報までは探れない。
彼女が既にIS学園を去って、なおかつ簪がISを持っていない今が動くべき好機なのだ。
「変身っ……!」
【KAMEN RIDER KANZASHI KA・N・ZA・SHI!】
【ARMOR TIME! ADVENT! RYUKI!】
ライダーへの変身と同時にアーマータイムを発動させ、纏ったリュウキアーマーの力でミラーワールドへと入り込む。
「いよいよ、これを使う時が来た……」
高鳴る気持ちを抑え、ライダーカンザシは腕につけたウォッチを外して起動する。
【TIME MAZINE!】
タイムマジーン。仮面ライダージオウが持つ、タイムマシンにして戦闘ロボな大型マシンだ。
設定としてはジオウ用として存在するが作中的にはどう見てもツクヨミ機だったので、カンザシの装備としては正直用意されてないかもしれないと不安に思っていたが、いつの間にかホルダーにバイクウォッチと一緒に巻かれていた。
ジオウ本編のように過去へ飛ぶ必要があり、行き先が分かっていて、そして持っているのならこれはもう使うしかない。
ディケイドのライドウォッチがあるから使う機会ないかもと思ったが、どうにかノルマ達成だ。
「時空転移システム、作動……!」
2022 年 5 月 24 日
予想通り、過去へ戻ってもハイパークロックアップで未来から来た簪の存在は見あたらなかった。やはり融合したことで消滅したのだろう。
ならば、前の世界線での彼女の行動をなぞってこの時間軸の自分へ干渉し、銀の福音が倒される流れを確定させることが簪のやるべきことである。
そうしてまず簪は〝次の自分〟に断片的なヒントをいくつか送った。
間違っても束に察知されたり解読されないよう細心の注意を払った結果、姿を見せずにミラーワールド越しのグロンギ語での注意喚起となったのだが、自分なら間違いなく理解できる。
「
「
彼女に対しても自分の時と同じように、後で鏡越しで事情を説明しなければならない。流石に前世界線の簪と違って無茶な逆行や改変はしてないため消滅しないので、融合することはないけど。
それを済ませると次は裏切ったダリルとフォルテの二人を相手に劣勢だったという姉の様子を心配だったので見に行ったり。
福音と空中戦を繰り広げている仲間達の姿をタイムマジーンで追いかけながら見守りつつ、小説版鎧武を思い出しながらキャッチフレーズ的なのを考えてみたり。
そうしてじっと待ち続けて、ついにその時が訪れた。
攻撃反復システム『MAD』と連動して、福音が疑似第三形態移行を発動させる。
誕生と引き換えの崩壊という重い代償によって、ここに最強のIS――狂銀の福音が産声をあげた。
【ZI-O!】
ディケイドライドウォッチにジオウライドウォッチを装填し、ジクウドライバーのリュウキライドウォッチと差し替える。
【FINAL FORM TIME! ZI-ZI-ZI ZI-O!】
仮面ライダーカンザシ ディケイドアーマージオウフォーム、降臨。
魔王に相応しい力、時の王者の本領が発揮されたジオウⅡの力を持った形態である。
お前それ中間フォームだよな? おかしいだろその能力? ……等と一部の視聴者が思っただろう、あのジオウⅡである。
これが実質、第二の基本形態なのはキバのエンペラーフォームに次ぐ反則ではなかろうか。
ジオウフォームとなったライダーカンザシが外の世界の戦いへと目を向けると、白式・雪羅がAICで動きを縛られた福音へと斬りかかろうとしていた。
頭部の長針が回転し、その目に袈裟斬りにされる狂銀の福音とその胸部からの光によって跡形もなく消滅する白式の光景が映し出される。
「未来が、見えた……!」
「これで、終わりだぁぁぁぁ!!」
白式・雪羅が必殺の零落白夜を振りかざし、白と銀のISが交錯する寸前――時が止まる。
「足切りライン、突破……!」
静止した時間の中でライダーカンザシはほっと胸を撫で下ろした。
ジオウⅡは未来の事象を観測し、観測した時間を限定的ながら操作する能力を持つ。
その力はタイムジャッカーの時間停止と異なり*1、停止させた対象に認識させない形で時間停止を行うことも可能なのだ。
この能力は留年しかけていた正史のソウゴはあまり使いこなせず、全国模試トップクラスという第四の歴史のソウゴはろくに分からないまま十全に使いこなしていた。おそらくは平ジェネFOREVERのA判定ソウゴもなんか行ける確率が高そうだ。
そしてライダーカンザシもジオウⅡの能力を把握していたことを加味しつつもセーフだったらしく、無事に発動できたということだ。
ちなみに学力ということで、普段はオリジナルには到底及ばないと自認する簪が、まあこれはソウゴよりは上だろうと判断した稀有な例である。
タイムマジーンから飛び出し、そのまま海中へと飛び込むと海面越しに福音の真下へ移動し、自らと福音を結ぶ直線上に一夏やラウラが重ならないように位置取りをするライダーカンザシ。
これで海面を鏡としてミラーワールド越しに福音へと攻撃が可能となった。
【RIDE HEISABER】
ドライバーに手を当て、光と共に現出させたるは超針回転剣ライドヘイセイバー。そのスロットにディケイドライドウォッチを差し込む。
その由来を簪は知らないが、あれが間違いなく仮面ライダーが倒すべき敵であると肌で感じ取っていた。
「ついに……令和に平成をキメる時が来た……!」
時は2022年、令和4年。
ゴーレムⅡとの戦いの時のように2018年の世界でもない。この令和という時代に平成ライダーの力と技を刻むのだ。
ついにサブタイトル回収の時が来たのだ。
【FINISH TIME!】
ヘイセイバーの長針を連続で三回転させ、フィニッシュタイムを発動させる。
【HEY!KAMEN RIDERS!】
【HEY!SAY!HEY!SAY!HEY!SAY!HEY!SAY! HE-HE-HEY!SAY! HEY!SAY!HEY!SAY!HEY!SAY!】
「平成っ、平成っ、平成っ、ヘヘ平成っ♪」
延々と流れる平成のフレーズに、思わず口ずさんでしまう。
いつまでも聞いていたい名残惜しさを感じつつ、ヘイセイバーのトリガーを引いた。
【DE-DE-DE DECADE!】
【HEISEI RIDERS! ULTIMATE TIME BREAK!】
ヘイセイバーを突き刺すように水平に突き出すと、切っ先から放たれた虹色の斬撃が眼前に浮かぶクウガ、アギト、龍騎のライダーズクレストを通過する。
同時に通常空間の海面にも龍騎のクレストが浮かび、さらに続いて一直線に並ぶ17枚のクレストを通り抜けた斬撃が福音のコアを内包するエネルギーごと貫く!
「止まった時の中で破壊された存在に、コンティニューの道はない。
静止した時間が動き出すと同時に狂銀の福音は糸が切れたように停止し、零落白夜によって両断されるのだった。
◆ ◆
こうして長い一日が終わり、亡国機業襲撃事件及び福音事件は幕を閉じた。
現在へと戻った簪は、再びここまでの事柄を整理してみる。
篠ノ之束が織斑一夏抹殺に用意した銀の福音はおそらく本来この世界に存在しない、少なくとも彼と戦うはずではなかった完全なイレギュラーだろう。*4
この世界が一夏と亡国機業の戦いを主とする世界なら、ライダーの存在が本来動くことのないはずの篠ノ之束という存在を動かしてしまったのだ。*5
(けど、篠ノ之博士はどの段階で動きだしたの……?)
簪が合体無人機を破壊したことで束が直接探りに現れ、打鉄弐式のコアからライダーカンザシの戦闘データや鳴滝との会話を抜かれた。その過程で並行世界と<ISの世界>について知った。
そしてライダーカンザシとの戦いを求めるために、全てのISを破壊して一夏を抹殺し、<ISの世界>を終わらせた。ここまでは間違いないだろう。
だが、そうするとゴーレムと呼ばれていたアリーナで一夏を襲った無人機についての疑問が生まれる。
(あのゴーレムは抹殺が目的じゃなかったから織斑君に倒された? なら、何のために送り込まれたの……?)
さらに言えば合体無人機の目的も不明だ。あれが調査用に送り込まれたものならIS側から逐一、束に情報を送るようにするはずで、相対した時点で情報を盗られていないのは腑に落ちない。
「……これ以上考えても答えは出ないし、尺の無駄。こうなったら、
ここ数話で何度か答えの出ない推理を繰り返す前段を置くことで、入ってみたかった地球の本棚を使う理屈を捻りだした簪はライドウォッチを起動させる。
【W!】
「検索を始めよう、翔太郎。キーワードは三つ。無人機襲撃事件、篠ノ之束、そして……ゴーレムだ」
なお、ダブルライドウォッチを使ってもフィリップぶっても、簪は地球の本棚に入れなかった。
残念、無念。
◆ ◇
襲撃事件当日深夜のIS学園地下特別区画、そこに千冬と真耶の姿があった。
「大使館経由でのスコール・ミューゼルの引き渡し、完了しました」
「ご苦労様でした。かの国によってすぐに解き放たれるでしょうが、おそらくは釘を刺され、しばらくは動かないでしょう」
各国にとって、亡国機業は表立って仕掛けられないIS学園へぶつける駒として価値を見出されている。表立っての支援をするリスクは避けたいだろうが、あっさりとISを所持する実働部隊を壊滅させられたままでは面白くないに違いない。
故にIS学園で拘束したままでは奪還に動かれることが分かっていたのであえて引き渡したのだ。おそらくこの方が時間を稼げると千冬は見込でいる。
「織斑先生は、今回の事件についてどうお考えなのですか?」
「……各国の思惑もあるでしょう、亡国機業も完全にはその制御下にはないでしょう。だが、それらも一人の天災に踊らされているに過ぎない」
「篠ノ之束、博士……」
「結局は奴が動き出したその時、私が抑えられるか否かにかかっている……そのはずだったが、ここにきて奴の行動は読めなくなった」
目を向けた先には、数多のケーブルが繋がれた石像――否、石像となったISの姿。
千冬は暫し瞑目する。束が執着する、彼女をも上回る力の持ち主が、一夏以外のあの五人の代表候補生の中に存在するという。
それが何をもたらすのか、もはや千冬ですら分からなくなってしまった。
「……IS学園としては、現状維持でいきます。迂闊に動くのはあいつを刺激するだけだ。
未だ眠る暮桜が目覚めた時こそが、篠ノ之束に唯一、対抗できるとされた
それがいたずらに決戦の時を早めるとの危惧から、あえてこれまで目覚めを促さなかった。
だが、それがもはや意味をなさないというのなら。
(もはや私の時代が終わったというのなら、それもいい。だが、このまま何もせずにお前の好きにさせるわけにはいかんのさ、束)
◇ ◇
IS学園で消息を絶って一週間後、篠ノ之束の姿は月の裏側に秘密裏に作り上げた
彼女が地球を離れたのには理由があり、さらにそのために一週間かけて『時空石』と名付けた特殊な人造結晶体をも作りだしていた。
『時結晶』と呼ばれる希少鉱石を加工して作られたそれはISコアと素材、精製法を同じくする同種のものだが、その用途はまったく異なっていた。
「まー、平たく言えばガチャなんだよね! ウォッチのガチャ!!」
時空石を一つ宇宙へと放り投げると数瞬の後に輝きを放ち、時空を揺るがす。そして石が砕け散ると同時に虚空に小さな穴が開いた。
束が地球を離れ、時空石を用意した理由――それは無作為に数多の別宇宙とのゲートを開き、異界からライドウォッチを召喚するためだった。
「全力全壊でいくよーーっ☆」
そう宣言すると束は次々に時空石を暴走させ、その消滅と引き換えに時空に穴を開けていく。
既に砕いた石はISコア相当にして一万と二千を超えているが、それだけの時空石と引き換えに手に入ったのはブランクウォッチがいくつかのみ。大爆死である。
「石を溶かしても溶かしても先が見えないぃぃ、脳みそ溶けちゃうぅぅっ! あっ、もう十連にして四十回は超えたや。*7いやぁ、天井無しのガチャは怖いねぇ」
破滅していく廃人のような軽口を叩いているが、束としてはこの結果は上々のものだった。
予想通り、既にこの世界に存在するライダーの力に別の世界のライダーの力が引き寄せられている。
「――束様、例の無機物体がラボめがけて突撃してきます」
「え? またあいつら?」
ここ月面ラボにも同行させていたクロエ・クロニクルが敵襲を知らせた直後、時空石を砕き続けることで開いた無数の空間の穴のいくつかから隕石に擬態した形で無機物の昆虫や植物のような異形達が現れ、ラボへと次々に突撃してくる。
月面に来てから既に何度も繰り返されてきた光景に束は呆れた。
「そりゃ知性のカケラも無さそうな奴らだけど、こいつらも学習しないなあ。このラボの正面シールドはブルーアダマンタイトで作ってるから絶対に突破できないのにさぁ」
その束の言葉通り、無機物の異形が物凄い勢いで殺到するもシールドには傷一つつくことなく、逆に異形の群れがバラバラに砕け散る。
異形の無機物生命群はISのフィールドに似た結界を展開して敵意を露わにとめどなく突撃してくるが、ブルーアダマンタイトはそれらを一切寄せ付けていなかった。
「って、言ってる側からついにアタリがキタ━━(゚∀゚)━━!!」
一つの空間の穴からエネルギーの力場を形成したライドウォッチが現れる。
あれこそが自らの求めるものの一つだという確信、ウォッチから感じられる繋がりのような何かに引かれ、束は生身でラボから飛び出した。
「最初に束さんが手に入れるべき、束さんのための力ぁぁぁっ!!」
怨敵を前に殺気立つ異形が群れなす中を踊るようにすり抜け、虚空に浮かんだウォッチをその手に掴む。
「それじゃあ、早速やってみっかぁ」
【EVOL RABBIT】
ウォッチを起動すると禍々しい黒光が束を包み、そして重力が歪み、空間が軋んだ。
それは火星からの侵略者*8にして、地球を狙う悪のライダー。そのフェーズ3の力を宿したアナザーライダー。
その名は、アナザーエボルラビット。
「フハハハハ……!!」
アナザーエボルラビットと化した束が左手を掲げる。
極小のブラックホールが次々と生み出され、イマージュ・オリジスと呼ばれたかもしれなかった怪物が次々と消される。
そしてそのブラックホールの数々からライドウォッチがいくつか現れた。
「流っ石、最初に選ばれたウォッチだね。力も馴染むし、目的にも合ってる。そして、今度のウォッチは~」
掴み取った掌中のそれを見て、仮面の下で束はニンマリと笑った。
そこには目当ての代物――アナザークロノスのウォッチがあった。
Q:今回の話ってどういうことだってばよ?
A:のび太の大魔境展開。
バイス「元気だせ! 自分で自分を助けにいくんだ、もんくあるか!」
・カンザシがハイパークロックアップを選んだのは、あの場で瞬時に使えた手段でなおかつ時間逆行と時間移動を併用できたから。
・簪さんの推理はだいたい外れ。考察材料が少ないから仕方ないよね。