めでたしめでたしの先……   作:こべりん

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ウザいほど告られて 振るのにも疲れて


そんな感じ夢見てるそろそろモテてやる
コンビニにタキシードで熱視線good

ボクだけ見てくれ プリティガールズ
イカした車 (no) ないけど
ファミレスでなら ゴージャスに
モテたいんだ (yes) ウザいほど



モテたいぜトゥナイト

これは,共に一生孤独に生きていくことを誓った(誓ってない)強敵手(とも)に裏切られ,絶望に打ちひしがれながらも自らの鞘となる(かのじょ)を見つけることにした一振りの刀()の物語である……

 

***放課後,奉仕部にて…

 

「はーちまぁーーん!!!貴様ァ!なぜ我を裏切ったァ!なぜ貴様如きが学園1の美少女と付き合っておるのだぁ!!はちまんばっかりずるい!なぜ僕には彼女ができないんだぁーー!!!」

 

「なんか…キモい……」

 

「お兄ちゃんの男の人のオトモダチってこんなのばっかりだったりするの?なんかお兄ちゃん少し心配だよ…」

 

ゴミを見るような目でそう言う由比ヶ浜と小町

 

「おい。結衣。ストレートすぎるその言葉は最悪人を殺すぞ。気を付けろ。小町。大丈夫だ。こいつはただの知り合いだ。俺の男友達は戸塚だけで十分だ。あれ?戸塚って男だよな?あと材木座。そういうところだぞ。んで途中から素に戻ってんぞ。キャラを通せキャラを」

 

急に部室に入ってきたと思ったら開口一番これで地面に寝っ転がり駄々をこねる17歳の巨漢。やっていることは幼児らしいが絵面は地獄である。

 

「ここは寝るところではないわよ。用がないなら帰って頂戴。依頼があるなら簡潔に言って。財津くん。」

 

不機嫌そうに紅茶を飲みながらいう雪ノ下。

 

「八幡!我も彼女が欲しいのだ!なんとかしてくれ!」

 

「んなこた言われたって無理だ。諦めろ。」

 

「貴方は八幡個人に依頼に来たの?それとも奉仕部に依頼に来たの?依頼があるのかどうか聞いたのは私よ?」

 

「八幡そう言わずに!頼む!いつもの誰も思いつかないような方法で我にモテ期を迎えさせてくれ!」

 

「聞こえなかったのかしら?私は貴方に話しかけているのよ?なぜ無視するの?」

 

「ひっ…」

 

縮こまる材木座。ただやはり雪乃とも結衣とも目を合わせようとしない。

 

「雪乃。とりあえず今日は抑えろ。こいつの依頼は「彼女を作ってくれ。」だそうだ。無理そうだが。」

 

「そもそも不可能そうな依頼は受けたくないのだけれど…コミュニケーションの取れない相手の要望に応えるのは難しいわ。まずは女の子とまともに喋れるようにならないと行けなそうね。財津くん。貴方私の目を見ることはできる?」

 

そういって材木座の前に行く雪乃。

 

「ひっ!ひゃ、ひゃい!」

 

ものすごい怯えながら雪乃と向き合う材木座。さながら虎に睨まれている子猫のようだが,決して可愛くはない。

 

「貴方は恋人が欲しいのよね?」

 

「さ…そこまでは行かなくとも…き…気軽に話せる女子の知り合いが…最終的には彼女になってくれれば…」

 

「最初に言っておくわ。根本的な所が間違えてる。そんな「あわよくば彼女に…」なんて考えながら近づいてきたような下心丸出しの男に食いつくバカはほとんど存在しないわ。しかもそれができるのはほんの一部だけ。そして恋人っていうのは,世界中で1番素敵に見える人なの。私にとって八幡は確かに目は腐っているし捻くれているけれど誰と比べても誰よりも素敵な人なの。貴方の恋人になる人っていうのは貴方にとって私や由比ヶ浜さんや小町さんよりももっと可愛くて素敵だと感じる子なの。私達ともまともに目を合わせられないのに仲良くなんてできるの?」

 

真剣な顔で材木座にそう語る雪乃。誰のどんなにふざけた内容の依頼にも真剣に向き合おうとする雪乃。やっぱりすげぇな。

 

「わ…わかった。頑張ってみます…これから…毎日…奉仕部に来てもいいですか?」

 

もはやキャラを忘れる材木座。

 

「えぇ。もちろん。貴方に「女の子に慣れたい」という強い意志があるなら良いわ。ただそれは脱いできて。もう季節はほぼ夏よ?熱中症で倒れられても困るし,それに暑苦しいし少し匂うわ。まず女の子に慣れるのはいいけれど最低限の清潔さは無いといくら頑張っても無理よ。」

 

「ひでぶっ……わ…わかりました…明日はちゃんと夏服できます…」

 

魂が抜けたようにとぼとぼと出て行く材木座。

 

しばらくの沈黙が訪れる。

 

沈黙を破ったのは小町だった。

 

「いやー,嵐のような人でしたね〜…あと雪乃さんも惚気るなら休み休みしてくださいね。お砂糖吐きそうです。」

 

あー…そういや材木座を諭してたとき色々言ってたな…思い出したら恥ずかしくなってきた。多分今顔赤いな俺

 

雪乃の方を見てみると湯気が出ているように見えるくらい赤くなっていた。

 

「そ…それは仕方ないじゃない…それ以外彼にできる話がなかったのよ…」

 

「ねぇ,それはいいんだけどさ。あのざいもくざ?くん明日から毎日来るって言ってるけどどうするの?」

 

何気に結衣も依頼についてちゃんと考えているようだ。

 

「そうだなぁ…とは言っても具体的に何するかは難しいよなぁ」

 

「じゃ!皆さん!ファミレスかどこかでご飯食べながら作戦会議しません?」

 

「お!小町ちゃんナイスアイディア!ね?ヒッキー,ゆきのんどこ行く?」

 

「小町。今日冷蔵庫の中空っぽで夕飯当番が面倒くさいからって逃げようとすんな。まぁ,それならサイゼだな。」

 

「ヒッキー…結局許しちゃうんだ…ゆきのんもくるでしょ?」

 

「まぁ…いいわ……どうして貴女はいつもほぼ断れない状況になってから聞いてくるのよ…一応貴女受験生なのだけれどその自覚はあるの?」

 

いや雪乃さん。何気に断れそうな結衣からの「お願い」は今までにいくらでもあったからね。

 

***サイゼにて***

 

「ねぇ。お兄ちゃんってなんで割とあってすぐくらいの時から雪乃さん達と普通に話せたの?」

 

やわらか青豆の温サラダを頬張りながら聞いてくる小町。

 

「中学校の時に色々あっただろ?そのトラウマを増やし続けた結果女子と話すときに一周回って冷静になれるようになっただけだ。あと家では普通に小町と喋ってたからな。身内に年が近い女子がいれば自然となれるんだろ。知らんけど。」

 

「なんか全く参考にならなかった…さすがごみいちゃん」

 

「それだよそれ。毎日そんな風に言われてたら耐性もつくっつーの。」

 

「じゃあ誰かがざいもくざ?くんの兄妹になる?」

 

「「は?」」

 

一度に2人からの冷たい視線を浴び「だって……」と言いながら縮こまる結衣。

 

「由比ヶ浜さんの案は却下するとして,やはり会話に慣れてもらうっていうのが重要になるでしょうね…ただ私達に彼と共通の話題があるとは思えないわ…」

 

「そうなんだよなぁ…ただでさえこの部活50%がコミュ障なのにコミュ障かつ共通の話題がない人間と話さなきゃいけないか…」

 

「そうね…八幡と似ているのかと思ったけれど割と根本的なところから違うみたいだし…彼って何が好きなの?」

 

「アニメとサイゼだろ。サイゼはコスパ良いし美味ぇしまじ最高。さすが千葉だ。」

 

「途中からサイゼの話になってるし…でも今回は良いとして女の子との話題にサイゼとかヲタクみたいなアニメって無しよりの無しじゃない?」

 

「そうですね…小町的にもポイント低いです…なんかおしゃれなカフェとかの話ならまだいいんですけど…」

 

「八幡にそんなスタイリッシュさ求めたってしょうがないわ。こないだだってラーメン屋連れて行かれたしサイゼも数え切れないくらい来ているし…偶にはお洒落なところに連れて行ってくれないかしら?」

 

「なんか途中から俺ディスってない?あとおしゃれなところはおれは知らん。頑張って調べてはいるからもう少し待ってくれ。本当に申し訳ないとは思ってる。」

 

「そうね。最近着てくる服はマシになってきたしいいわ。小町さんから聞いたけれど洋服とかも自分で買ったりするようになったそうね。」

 

「本当なんで俺のプライベートはこう簡単に侵入されるのだろうか…」

 

「ヒッキー。おしゃれなカフェあたし知ってるから今度連れて行こうか?」

 

「お、おう…たのむ…」

 

「貴方彼女の前で堂々と浮気宣言?良い度胸しているわね。」

 

「いや今のは不可抗力だろ。」

 

「ヒッキー最低」

 

「誰のせいでこんな修羅場になってると思ってるんだ」

 

***帰り道***

 

修羅場(?)を潜り抜け2人と別れ、小町と帰る。

 

「はぁ…なんで夕飯食っただけなはずなのにこんなに疲れるんだ…」

 

「まぁ、とりあえず雪乃さんとは相変わらず仲良いってことがわかったから安心したよ。」

 

「それでさ…材木座さんって、やっぱりお兄ちゃんと同じようなことがあって今あんな感じになってると思うんだ。ただお兄ちゃんより心が繊細だっただけで。だから雪乃さんと結衣さんは真剣に向き合おうとしたんだと思う。多分「彼女を作る」まではできなくても,小町はあの人のお友達にはなってみたいなぁ。ちょっと気持ち悪い人だけどね。」

 

小町は俺の方を向くことなくそう言った。俺に話しかけているようで独り言でもあるような言葉だった。

 

「そうだな。」

 

俺はその一言だけ返し,家までの残りの距離を今日解けなかった数学の問題の解き方について考えながら帰った。え?材木座の依頼はどうするんだって?どうにかなるだろ。

 

***放課後***

 

「お前…誰…?」

 

目の前には夏服を着て髪をワックスでピッシリ固めたピザデブがいる。

 

「僕…の…ことかい?僕は…材木座義輝さ…」

 

奉仕部全員+一色で顔を見合わせる。雪乃に手招きをされた。作戦会議か?

 

「彼はどうしちゃったの?ちゅーにびょう?のあの剣豪将軍じゃなくなったと思ったら今度は何?」

 

「おそらくだが「女子となんの抵抗もなく話せるやつ=クールなイケメン」っていうゲームやアニメで培った知識をもとにクールキャラで行こうとしているように見える。どうするか?想像の斜め下を行ったぞ?tanθが負の値をとってんぞ?」

 

「貴方から数学ネタを聞くことになるなんて感激だわ。それよりこのままだと根本的な解決にならないでしょうし,やめさせようにも彼のメンタルをズタボロにしすぎてしまうわ。どうすればいいかしら?」

 

「えー?もうズバッと言っちゃっていいんじゃないですかねー?しょーじきキモいですし。変にかっこつけるところは若干先輩に似てる気がしますけどー」

 

「俺がいつカッコつけたんだ?カッコ悪すぎて逆にかっこいいまである。」

 

「彼女の前でくらいカッコつけてみてくれてもいいのだけれど。で?お洒落なお店は見つけた?」

 

「善処してます…」

 

「ねね,忘れてるかもしれないけどざいもくざ?くんてもちぶさたになってるよ?ヒッキー相手してあげなよ。」

 

「よくそんな言葉知ってたな。依頼の内容的に相手すんのはお前らだろ。」

 

「いつまでこうやってるんですか…もう小町行きますからね。」

 

小町が材木座の方に向き直る。材木座はもう悪口を言われていると思っているのか(あながち間違いではない)泣きそうな顔をしている。

 

「そういえば改めてお話しする機会ってなかったですよね!私比企谷八幡の妹の比企ヶ谷小町です!兄がいつもお世話になっておりますー。ところで,材木座さんって今どのアニメが好きなんですかー?」

 

小町。それは悪手だ。まずいぞ。

 

急激に顔色が良くなりみるみるテンションが上がっていく材木座。

 

「其方は八幡の妹氏であったな?アニメの作品に今も昔もないわァ!我の好きなジャンルのアニメは10年以上前のものから最近のものまで神作品が多くてだな………-

 

ほーら。言わんこっちゃない。長々とアニメについて語り出す材木座。ドン引きしながらもスイッチを押してしまった以上引き返せない為適当に相槌を打つ小町。他の3人も絶句している。その様子を見てため息をつく。

 

***

 

下校時刻になり,材木座が帰る。今日の出来事をまとめると,小町が犠牲になり,奉仕部員全員+一色が昭和から続く恋愛系アニメとそこに登場するラッキースケベについての知識を得た。

 

「お…お兄ちゃん…小町…あの人と仲良くできる自信ないよ………」

 

「昨日と言ってることが違うぞ小町。まぁ,アレはもうしょうがない気がするな。」

 

「なんか…ヒッキーってもしかしてさっきの話みたいなこと考えてたりする…?」

 

「ばっかお前ここでそんなん聞いたらどう答えたって地獄だろ」

 

「まー先輩はむっつりですからねー。」

 

「ヒッキー最低…」

 

「だからごみいちゃんなんだよ…」

 

「お前ら勝手に俺をあいつと同じにするな。俺をいじめて楽しいか?」

 

「本当に聞いていてこっちが恥ずかしくなるような内容だったわね…まぁ…好きなものについてなら女の子云々関係無く喋れる。ということがわかっただけ収穫はあったのかしら…」

 

「そうだな…だがやっぱり明日ダメ出しはしたほうがいいな。俺らの身が持たん。」

 

「そうね。今日やられた分やり返さないと気が収まらないわ。」

 

「程々にな。」

 

***

次の日

 

「いらっしゃい。材…木座君。とりあえずそこに座りなさい。」

 

雪乃が指さしたのは…床である。

 

「床…ですか…?我何かしました?八幡?我何かした?」

 

「今日生き残れれば多分大丈夫だ。我慢しろ。」

 

「材木崎君。昨日のことを振り返ってもらえればわかると思うけれど。貴方は私たちの話を聞こうとしたかしら?貴方の一方的な話を聞くのは本当に苦痛だったのだけれど。依頼だから我慢していたけれど本当に苦痛だった。内容は専門用語が多くてわかりにくいわ聞き取れる内容はセクハラじみているわで本当に最低だったわ。貴方の元々の依頼はなんだったか覚えてる?そんなんで彼女とかできると思う?」

 

「も…申し訳…ありません…」

 

「雪乃。その辺にしとけ。材木座。俺からも言わせてもらうが,相手の話に合わせるっつーのも会話をする上では重要になるらしい。あとお前の話が全てダメってわけじゃない。お前と同じ趣味のやつが集まるところにいるような女子と仲良くなればいいんじゃねえの?声をかけるのは難しそうだがなんか…サークルとかであんだろ。そういうの。知らんけど。実際お前は自分のフィールドの話ならここにいる美少女相手に堂々と話せたんだ。元々お前は話せない訳じゃねぇんだよ。多分。」

 

「そ…そうか…そうだよな…そこな御三方。本当に申し訳なかった!我…自分の趣味について聞かれたことがあまり無くつい調子にのってしまった!」

 

「うん。あたしはいいよ。ちゃんと喋れんじゃん。今みたいな感じでいいんじゃない?話し方少し変だけど。」

 

「そうですねー。ちょっとキモかったですけど。大体の男子って,「俺こんなの知ってんだぜー」みたいな知識のひけらかしが多い印象でしたけど,そうじゃなくて全力で布教しにきている感があって内容は最低でしたけど実際私は面白いと思いましたよ。若干苦痛でしたけどね。」

 

「小町も何も考えずにあんな質問してごめんなさいでした。あんまりアニメとかわからないですけど,今度また教えてもらえたら嬉しいです。」

 

「そ…そうであるか。本当にありがとう…」

 

「そういえば材木座先輩は最近駅にできたカフェ知ってます?」

 

一色が質問する。知ってるわけねぇだろ。

 

「あそこであるか。我こないだ勇気を出して一人で行ってみたがチョコミントパンケーキは美味であったぞ。」

 

「本当ですか!今度行こうと思ってたんですよねー。チョコミント好きなんですかー?」

 

「うむ。稀に歯磨き粉なんていう輩がいるが其奴らの舌がおかしいのだ。」

 

「小町も割と好きですよー。チョコミントあるのかー。今度行ってみようかなー」

 

「え?んじゃ小町ちゃんといろはちゃん今から行かない?ゆきのんも行こ?あたし場所知らないから材木座君案内してくれる?」

 

「さ、さようであるか。では案内しよう。」

 

う…嘘だろ…材木座がそんなリア充空間に足を踏み入れている…だと…?

 

雪乃が近づいてくる。

 

「材木座君ですらおしゃれなお店知っていたのにね。どう?貴方を頼ってきた筈の人に無意識のうちに負けていた気分は?」

 

意地悪く笑う雪乃。

 

「お…俺だって穴場見つけてやらぁ…」

 

いいもん。俺には安くて美味いサイゼがあるし…サイゼでならゴージャスにディナーを楽しめるし。

 

「彼女が他の男とカフェに行こうとしているのよ?止めなくて良いのかしら?」

 

ふざけたことを考えている場合じゃなかった。

 

「俺も行く。勉強させてもらうわ。」

 

「ん。ふふ。そうね。正解。戸締りして早く行くわよ。皆待たせちゃうから。」

 

女の子は難しいな。やっぱ。あと俺も今まで避けてた学校周辺の遊べるスポットとかも覚えるようにするか。

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