ゾンビアーミー モダン・ザ・ウォー   作:ダス・ライヒ

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これで最終回です。

ここで黒子猫様が提供してくださったキャラクターが登場します。


俺の最終勝利(エンドジーク)!

 ドイツ連邦軍の攻撃を物ともしない巨大ゾンビヒトラーに対し、ライトンは無策に突っ走った。

 そのライトンの行く先には、無数のナチゾンビと数々の強敵たちが待ち受けていたが、そんな障害を気にすることなく、死んでいる兵士より拾ったMG4軽機関銃を乱射しながら突っ込み、数十体を倒しながら進む。

 弾切れになれば手近なナチゾンビに投げ付け、そのナチゾンビが持っていた斧を奪い、それで次々と邪魔になるナチゾンビを切り裂いていく。

 ライトン単独で、百体以上のナチゾンビを掃討していた。それを物語るのか、彼の衣服はボロボロとなり、全身が返り血で赤く染まっている。

 遂に巨大ゾンビヒトラーの前に立てば、倒すと大声で宣言する。

 

「このちょび髭野郎! 何が世界が見るに堪えない物で溢れてるだ!? 地獄にすっこんでやがれ!!」

 

『ほぅ、中々肝の据わった男だ。敬意を表しようではないか。だが、貴様は純潔のゲルマン人ではない! 純潔なら、余に忠誠を誓い、共に世界浄化の旅に同行するはずだ。余に逆らうと言うことは、劣等人種(ウンターメッシュ)の血が混ざっていると見える! よって貴様を踏み潰す!!』

 

 巨大な自分を前にしても、戦意を保つライトンにゾンビヒトラーは敬意を表したが、自分が嫌う劣等人種の血が混じっていると言う理由で踏み潰そうと巨大な右足を上げた。

 自分を踏み潰そうと迫りくる巨人の右足に対し、ライトンは躱して股の下に回り込み、背負っていたパンツァーファウストⅢを、ゾンビヒトラーの股間に向けて発射した。

 

「あっちぃぃぃ!?」

 

 真上に向けて撃ち込んだため、両足に高熱のガスが当たるが、これに合わせて三重にも履いていた靴下のおかげで火傷せずに済んだ。

 

『ぐあぁぁぁ!! ひ、卑劣なッ!? やはり劣等人種だ!!』

 

 現代戦車ですら破壊する対戦車弾頭を股間に受けたゾンビヒトラーは、余りの痛さに倒れ込んでしまい、ライトンに対して怒りを燃やす。

 

『余自らが捻り潰してもいいが、泣き喚いて命乞いをする貴様を殺すことにしよう! 出でよ、余の分身達よ!!』

 

「っ!? ヒトラーの大群だ!」

 

 ただ握り潰すのでは飽き足らないのか、ゾンビヒトラーは自分の分身を大量に召還させ、ライトンに襲わせる。

 このゾンビヒトラーの大群に対し、ライトンは臆することなく道路に落ちているスコップを拾い上げ、それで次々と襲い掛かるゾンビヒトラーを撲殺し始める。

 スコップは鉄製と言うかナチゾンビが持っていた物であり、ゾンビヒトラーことクローンゾンビは次々とライトンに撲殺される。だが、その数は尽きることなく湧いて出て来るので、スコップの柄の部分は折れてしまう。

 それでも別の狂気を拾い上げ、クローンゾンビを殺し続ける。

 そんな孤軍奮闘するライトンを見兼ねてか、脱出しようとするカールはヘリを降りて加勢に入る。

 

「ちっ、見てられへん!」

 

「待てよカール! 何処へ行く!?」

 

「助けに行くんや! あいつを!」

 

「わしもそう思ってたところじゃぜ!」

 

 カールがツヴァイハンダーを持ってヘリを降り、英輔に問われれば、ライトンを助けに行くと答える。ベッカーも見兼ねてか、KS-23散弾銃を持って加勢に向かう。

 

「おい、なんで降りてんだ!?」

 

「ここで乗ってたら、後悔する!」

 

「みんなあいつみたいに、馬鹿になっちまったんだね!」

 

「民間人を放置できないわ!」

 

「私も、馬鹿になっちゃったかしら?」

 

 ヘリのパイロットが降りていくカールとベッカーに問う中、彼らに続いて英輔やオルガも武器を持ってヘリを降りていく。更にジークリンデ、リビーもヘリを降りてライトンの加勢に向かった。

 

「降りないの?」

 

「済まないが、我々は工作員だ。激情に駆られて向かうのは、工作員として愚の骨頂だ」

 

「それもそうね。でっ、あんたは降りないの?」

 

 シムハとナオミは工作員らしく冷静であり、釣られて降りることは無かった。エルナの方は違うようで、ナオミに共に行かないのかと問われた。

 

「わ、私は…私は…!」

 

「降りるなら、これを持っていきなさい。素人は二脚を立て、しっかりと構えていれば大丈夫だわ」

 

「えっ? ありがと。じゃあ私も、行って来る!」

 

 降りてライトンを助けに行く決心を付ければ、ナオミは自分のミニミ軽機関銃を渡した。

 それを抱えたエルナは機関銃を持ってヘリを降り、ライトンの加勢に向かう一団に加わる。自分の武器を素人に渡したナオミに、シムハは注意しようとしたが、ここは敢えて見て見ぬ振りをした。

 

「武器を損失したようだな。まぁ、流石のこの渦中では仕方あるまい」

 

「そうね。こんな状況なら、仕方ないわ」

 

 そうシムハに言ってから、ナオミはヘリのパイロットに離陸するように命じた。

 

「っ!? お前ら!?」

 

「あんたじゃ無理だからやって来たのよ!」

 

 無数のクローンゾンビ相手に孤軍奮闘するライトンに、加勢に向かった一団は間に合い、周辺に居たクローンゾンビを一掃する。

 助けに来るとは思わなかった生存者らにライトンが驚く中、リビーはトンカチを振るいながら襲い掛かるクローンゾンビを撲殺しまくる。カールはツヴァイハンダーで数体纏めて切り裂き、時には突いて殺し、英輔はチェーンソーを振り回して数十体を切り裂いて血の雨を降らせる。

 ベッカーは散弾銃を弾切れまで撃てば、PSMピストルを取り出して手近なクローンゾンビを撃ち、更にはトマホークで暴れ回る。オルガはアーミーナイフで斬り殺し回り、背後から迫るクローンゾンビを義足のパイルバンカーで打ち抜く。

 ジークリンデはG36ライフルの単発で数体を仕留めた後、DM51手榴弾を投げ込んでクローンゾンビを纏めて吹き飛ばした。

 

「これ使って!」

 

「エルナっ!? ダンケだぜ!」

 

 駆け寄ってきたエルナより、ミニミ軽機関銃を受け取ったライトンは安全装置を外し、目に見えるクローンゾンビに向けて掃射して一掃する。

 彼らの救援により、巨人ゾンビヒトラーのクローンゾンビは全滅した。これに立ち上がっていたゾンビヒトラーは怒り、怒りの拳を振り下ろす。

 

『ぬぅ…! ネズミ共が! 余の怒りの拳を受けよッ!!』

 

「みんな離れろ!」

 

 これに気付いたライトンは大声を出して、一団を散会させた。振り下ろされたゾンビヒトラーの巨大な拳は道路のアスファルトを粉砕し、クレーターを作るほどだが、ライトン一行の誰一人潰せていない。

 

『ネズミ共め! 総員直ちに集結せよ! ネズミ共を駆り立てるのだ!』

 

 散会して攻撃してくるライトン一行に業を煮やしたゾンビヒトラーは、配下のナチゾンビ等に彼らの始末を命じる。総統であるゾンビヒトラーの指示にナチゾンビ等は応じ、ライトン一行を殺そうと一斉に殺しに掛かる。

 一人はぐれたエルナはナチゾンビに包囲され、惨殺されようとしていた。

 

「キャッー!!」

 

「危ない!」

 

 周囲のナチゾンビを一掃し、ゾンビヒトラーに挑もうとしたライトンはエルナの危機に気付き、直ぐに彼女の元へ駆け付け、周辺のナチゾンビを機関銃で撃ち殺すか、手にしている鉄パイプで撲殺する。

 助け出されたエルナは礼を言おうとしたが、既にゾンビヒトラーの巨大な右足による蹴りがライトンに迫っていた。

 

「後ろに!!」

 

「なにっ!? うわぁぁぁ!!」

 

『余の民族の蹴りを受け、ただでは済まんぞ!』

 

 エルナが知らせたが、時すでに遅く、ライトンは蹴飛ばされ、近くのビルまで吹き飛ばされた。

 

 

 

「おのれェ! この蛆虫共がァーッ!!」

 

 一方でヘリをゾンビヒトラーに撃墜され、墜落して死んだかに見えたクラウスであったが、全身傷だらけでもまだ生きており、両手にMG4軽機関銃を持って迫りくるナチゾンビを一掃する。

 連隊本部のスタッフの大部分は死傷しており、まだ戦闘が可能な者たちが彼らを守ろうと必死に戦っている。生き残りの連隊の将兵も合流し、ハリネズミの陣を築いて防戦していた。だが、敵の数は多く、数名がナチゾンビによって惨殺される。

 

「ぐわぁぁぁ!!」

 

「ハンスーッ!」

 

「えぇい! 迎えはまだかァーッ!?」

 

 一名がナチゾンビに惨殺されれば、クラウスは迎えはまだかと問う。

 あの巨人ゾンビヒトラーの出現は師団本部と対策本部に見られており、最悪の場合、彼らはこの街を吹き飛ばす決断をするだろう。そうなっては、残っている者たちは全て死ぬ。

 何とか脱出しようと、車両部隊かヘリ部隊を待っているのだが、まだ来ない。ゾンビヒトラーの攻撃でやられているだろうが。

 そんなクラウスたちの元へ、爆走する特殊救急車がナチゾンビを跳ね飛ばしながら近付いてくる。

 

「れ、連隊長殿! あ、あれを! 特殊救急車がこちらに接近してきます!」

 

「なにィ!? まだ生き残りがいたと言うのかァ!?」

 

 部下からナチゾンビを轢き殺しながら向かってくる特殊救急車の存在を知らされ、クラウスはあのような生存者がいたことに驚きの声を上げる。

 そんな特殊救急車はクラウス達の前で停車し、運転席より一人の若い女性が出て来る。

 

「乗って!」

 

「き、貴様はイギリス人!? なぜここにッ!?」

 

「良いから、置いてちゃうわよ!」

 

「ぬぅ…! 良かろう、総員、救急車に乗り込め! 負傷者が先だァ! 健全な者は、屋上に乗れィ!!」

 

 運転席より出てきた女性、エローナ・ローゼンシュヴァルツの指示に従い、クラウス達は彼女が乗ってきた特殊救急車に乗り込んだ。

 

「全員が乗ったぞ! 早く出せィ! イギリス人!!」

 

「言われなくても!!」

 

 クラウスは全員が乗ったことを確認すれば、それを確認したエローナは特殊救急車を急発進させてその場から脱出した。屋根にドイツ軍の将兵らが必死に振り落とされまいと、しがみ付いている。

 そんな彼らのことを気にすることなく、エローナはハンドルを巧みに動かし、ナチゾンビを跳ね飛ばしながら街を脱出するルートを突き進んだ。

 

 

 

 ゾンビヒトラーに蹴飛ばされ、付近の建物まで吹き飛ばされたライトンは、自分がドイツ連邦陸軍を除隊になった経験の夢を見ていた。

 

「今日はブリュンヒルトちゃんの生配信だ。ファンとしては、見なくちゃならねぇな」

 

 現役時代、ライトンは兵舎を抜け出し、警備兵の目を盗んでパソコンルームに潜入してパソコンを起動させ、そこでブリュンヒルトの生放送を見ようと待っていた。

 尚、出入り口には誰かが入って来るのが分かるように、簡単な警報装置を仕掛けてある。れっきとした軍機違反である。

 時間になると生放送が始まり、自分の身体つきを露わにしている露出度の高い衣装を着た金髪碧眼の美女がカメラに向かって喋り始める。

 

『どうも~、ブリュンヒルトちゃんで~す! 今回は生配信で、このお兄さんと、これから生配信だから、生でハメちゃいま~す!』

 

「おぉ、まさか生とかけて生ハメとは…! ブリュンヒルトちゃんは相変わらず過激だな!」

 

 いかがわしい動画の生配信であり、内容を聞いたライトンは喜んでいたが、物の数分で憲兵たちのお縄となり、後日、軍法会議に掛けられた。

 

「ライトン・ブラウナー伍長、君は就寝時間に関わらず、兵舎を抜け出し、当基地のパソコンルームにて、如何わしい動画を視聴していた。間違いないか?」

 

「や、はい(ヤー)…そうであります…!」

 

 士官に問われたライトンは、正直に恥ずかしそうに答える。

 無論、ライトンのやった行為は処分物であり、軍法会議を取り仕切る将校らは、彼に除隊処分の判決を下す。

 

「ライトン・ブラウナー伍長、君はプロイセン王国軍の伝統を受け継ぐドイツ連邦陸軍の経歴に傷を付ける行為をした。よって、退職金無しの除隊処分を下す! これにて当軍法会議は終了する! 解散!!」

 

 こうしてライトンは陸軍を除隊した訳で、両親から絶縁まで言い渡されたが、めげずにアルバイトで資金を稼ぎ、彼女探しに世界中を渡り歩いた。

 だが、誰も長くは続かず、ドイツに舞い戻り、自棄酒にバイエルン州のこの都市に来た訳だ。そこで、ナチゾンビ騒動に巻き込まれたのだ。

 しかし、これがライトンの人生の転換期であった。最初は自暴自棄であったが、従軍時代に着けた技術が役立ち、更には憧れのブリュンヒルトことエルナと偶然出会い、ライトンはライトン・イェーガーになれた。

 それらの思い出の後、直ぐにライトンは目を覚ます。

 

「こうしちゃいられねぇ! このライトン・イェーガー様が、ヒトラーを再び地獄に叩き返す!」

 

 目を覚ましたライトンはそう叫び、仲間たちを襲うゾンビヒトラーに挑むべく、飛び出そうとしたが、近くに落ちてある物に気付いた。

 

「これは…!? それにこの原形を留めない死体。どうやらここが発生源のようだな」

 

 ライトンは周囲を見て、ここが発生源だと分かった。

 彼が今いる場所は、ネオナチたちがナチゾンビを召還した部屋なのだ。そこに偶然にも、ライトンは蹴飛ばされたようだ。

 

「あいつを倒せるのに使えそうだ…! 役に立てばの話だが…」

 

 ライトンはナチゾンビを召還した置物を拾い上げ、それを取りながらゾンビヒトラーに挑んだ。

 

 

 

『ムハハハ! 余は不死身なのだ!』

 

 ライトンを蹴飛ばした巨人ゾンビヒトラーは、配下のナチゾンビ追い回される生存者たちを嘲笑っていた。

 時よりドイツ連邦軍の攻撃が行われているが、ゾンビヒトラーには一切通じない。そんな現代のドイツ軍に対し、ゾンビヒトラーは無情に口から光線を吐いて粉砕する。

 

『無駄なことを。余のいない敗北したドイツは既に死んだも同然。貴様らが余に勝てる通りは無いのだっ! ドイツを徹底的に破壊した後は、欧州を破壊し、次は憎きスラブ人共の東方を破壊する! そしてその次はアジアとオセアニア、中東、アフリカ全土だ! 最後にアメリカ大陸全土も破壊するぞ!!』

 

 向かってくるドイツ軍部隊を破壊しつつ、ゾンビヒトラーは世界破壊宣言をする。

 縦横無尽に破壊し尽くすゾンビヒトラーであったが、ライトンによって終わりを迎える。

 

「このちょび髭野郎! こっちだ!!」

 

『ん? 貴様は!? まさか生きていたとは…! ゴキブリ並みにしぶとい奴だ! 蹴飛ばしても生きているなど! 余の破壊の咆哮で消し飛ばしてくれるわ!!』

 

「勃起ィーッ!!」

 

 ライトンの大声で、彼が生きていることに驚いたゾンビヒトラーであったが、破壊光線で消し飛ばそうと口を大きく開いて光線を吐こうとした。それと同時に、ライトンはナチゾンビの召還に使われた置物を、ゾンビヒトラーに向けて野球選手のピッチャーの如く豪速球で投げる。

 凄まじい力を込めて投げられた置物は、ゾンビヒトラーの破壊光線を吐く瞬間に命中した。その置物を当てられた巨人ゾンビヒトラーは苦しみ始める。

 

『ぐっ、グアァァァ!? か、身体が!? い、痛い! 痛いぞぉ…!? く、苦しい…!』

 

 地面に倒れ、余りの痛さに悶え苦しむゾンビヒトラーは、暫くしてから体中が膨らみ始める。

 

『うぉぉぉ!? 身体が! 身体が爆発する!? 余の、余の身体が! うわぁぁぁ!!』

 

 全身が膨張したゾンビヒトラーは、断末魔と共に大爆発を起こした。

 爆発の衝撃で、周辺には血の雨が降り注ぐ。儀式に必要な置物を投げ付けて当てるだけで、ゾンビヒトラーを退治したライトンは、呆気に取られて両膝をついて茫然としていた。

 

「や、やったのか…? この俺が…? この、ライトン・イェーガー様が…!?」

 

 自分があの巨人ゾンビヒトラーを倒したことに実感がわかないライトンは、その場で茫然としていた。

 

「いや、まだ終わってないわ! あいつ等、総統が死んだのにまだ生きてる!!」

 

 ゾンビヒトラーはあっさりと破れた物の、まだナチゾンビは活動を続けており、生存者たちに未だに襲い掛かって来る。

 そんな死闘がまだ続く中、エルナの足元にあの儀式の置物が転がってきた。

 

「これは…?」

 

 それを拾ったエルナは何かと思って調べる中、その視線に通常のサイズに戻ったゾンビヒトラーが見えた。この場から逃げようと、右往左往しながら歩いている。

 

「私にも、やれるかも…!」

 

 逃げるゾンビヒトラーに、とどめを刺せると思ったエルナは役に立とうと思い、置物を持って大き過ぎる胸を揺らしながらゾンビ総統を追った。

 

 

 

 置物を持って追って来るエルナに気付かず、ゾンビヒトラーは逆転を狙おうとベルリンの方向へと向かっていた。

 

「余さえ生きていれば、英霊たちは何度でも復活できるのだ! ベルリンにさえ到着すれば、余はフリードリヒ大王の如く大逆転ができる! まだ余は負けておらんぞ!」

 

 ベルリンに行き、そこでナチゾンビ等を召還すれば、ゾンビヒトラーは再び世界破壊侵攻を再開できると思っているようだ。

 だが、背後から自分を殺せる置物を持ったエルナが迫り、ゾンビヒトラーの背中をその置物で殴り付けた。これを受けたゾンビヒトラーは背中に凄まじい激痛を感じ、地面に倒れてのた打ち回り、置物を持って殺そうと迫って来るエルナに振り替えり、ゾンビなのに命乞いを始める。

 

「うわぁぁぁ! や、やめろ! よ、余はドイツ帝国の総統なるぞ!? 無礼である!!」

 

 エルナを自分と同じオーストリア出身だと分かったゾンビヒトラーは、同じ郷土の人間として見逃してもらえるように頼むが、彼女は聞く耳持たず、怒りに任せて置物で顔面を殴り始める。

 

「あんたの所為で! あんたの所為で滅茶苦茶よ! ブロンドに染めた髪は血でベタベタするし! 作った衣装も台無し! オマケに殺されそうになる! 変な奴のヒロインにされる! なんで、なんで私がこんな目に遭わなくちゃならないの!?」

 

 怒りの分だけゾンビヒトラーの顔面を殴り続ければ、顔は原形を留めない程に砕けていた。それでもゾンビヒトラーは生きており、命乞いを続ける。

 

「よ、止すのだ同じ郷土の娘よ…! 余は、余は欧州を統一する希望なのだぞォ…!?」

 

「それが、それがどうだって言うのよぉぉぉ!!」

 

「グァァァ!? き、消える!? 余が消える!? ワァァァ!!」

 

 自分は欧州の希望だと言うゾンビヒトラーに更に怒りを抱いたエルナは、置物を意志あるゾンビの胸に突き刺し、更には踏み付けて更に押し込めば、ゾンビヒトラーは浮かび上がり、爆発して消滅した。

 それと同時に、生存者たちを襲っていたナチゾンビ等の頭が破裂し始める。全てのナチゾンビの頭が破裂しているのだ。

 

「な、なんだッ!? ナチゾンビの頭部が破裂しているッ!?」

 

 エローナが運転する特殊救急車より、追ってくるナチゾンビの頭が破裂しているのを目撃したクラウスは驚きの声を上げる。

 

「ナチゾンビ共の頭は破裂している…!? ゾンビヒトラーを倒せば終わりだったのか…!」

 

 この場に見えないエルナを探していたライトンは、次々と頭が破裂して倒れていくナチゾンビを見て、ゾンビヒトラーを倒せば終わりだったことに気付き、彼女の元へ急ぐ。

 やがて全てのナチゾンビの頭が破裂し、死体も跡形もなく無くなれば、空は晴れて太陽が上がる朝が来た。ドイツのバイエルン州は、否、世界がナチゾンビから救われたのである。

 

「や、やったーッ! やったぞォーッ! ドイツは救われたのだァーッ!!」

 

『おぉぉぉ!!』

 

 全ての脅威が消えた後、クラウスは大声を上げて歓喜した。部下たちや他のドイツ軍の部隊の将兵も続き、空へ向けて祝砲と言わんばかりに銃を空に向けて撃ち始める。

 

「これって…? 私が終わらせちゃったの…?」

 

 ゾンビヒトラーを倒し、全てのナチゾンビの頭を破裂させて惨状を終わらせたエルナは、実感が湧かずにその場で両膝を付く。そんな彼女の元へ、ほぼ全裸状態の血塗れなライトンが姿を現す。

 

「はい…! このライトン・イェーガー様ではなく、貴方が終わらせたんです…!」

 

「とっ、言うことは…私ヒーロー!? って言うかヒロイン!?」

 

「はい! 俺のヒロインです!!」

 

 この惨状を終わらせたのは自分だと問うエルナに対し、ライトンはそうだと答えて彼女の元へ駆け寄った。

 

「ほ、本当にヒロインになっちゃって…私、私はそれで…」

 

 ヒーロー、女性ならヒロインになってしまったエルナは感極まって涙する中、ライトンは雄叫びを上げながら向かってくる。

 自分を抱きしめてくれるかと思っていたが、ライトンの行動は予想を遥かに上回る物であった。

 

「勃起ッ!!」

 

「えっ!? ここで!? ちょっと! 待って! それらめーっ!!」

 

 唯一残っていたパンツを脱ぎ払い、全裸で突っ込んできたのだ。

 これに驚いたエルナは逃げようとしたが、恐ろしい速さで向かってくるライトンから逃れられず、そのまま彼女はこの場で抱かれた。




えぇ、こんな阿保な企画に参加してくださった方々には、感謝の言葉しか思いつきません。
どうも、ありがとうございました!

妄想のKiokuさん
影騎士さん
黒鷹商会組合さん
オリーブドライブさん
黒子猫さん

キャラクターご提供、ありがとうございます!

なんでこの読者参加型のSSを書いて、ナチスでゾンビなゲームであるゾンビアーミーにしたかは、バイオハザードじゃありきたり過ぎましてね。
これにした訳ですよ。でっ、いざ募集を掛けてみれば、最初の期間は全く集まりませんでした。
もう止めて別のにしようかと考えていたら、妄想のKiokuさんがご参加してくださいました。その後は影騎士さん、黒鷹商会組合さん、オリーブドライブさんと続々と来ましてね、連載が決定しました。
募集期間は過ぎましたが、黒子猫さんがとんでもないキャラを提供してくださったので、特別に採用させて頂きました。

でっ、肝心のSSの内容は、ひたすらバカ路線で行きました。
もうツッコミどころ満載です。勢いで書いてました、すいません(笑)。
総統がゾンビになって、口から光線吐くのもネタです。原作のゲームでは光線は吐きません(笑)。

さて、もう語ることが思いつかないので、成人版の方を書いてみようかと思います。
黒子猫さまを初め、オリーブドライブ様も提供したキャラを好きにして良いとの許可が下りましたので、全力で特殊性癖なR18なSSを書こうかと思います。

では、これにて失礼!

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