僕と広町七深という女の子   作:小鴉丸

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1話 彼女の考えはいつも理解できない

 季節は夏。外を歩けば蝉が元気に鳴いているのが尚更その季節を実感させる。人によってはのんびりしたり、部活で汗を流したりと極端に行動が分かれる時期……だと僕こと、天宮 幸(あまみや こう)は思う。

 因みに僕は前者、部には所属してなく学校が終われば家に帰る生活をしているのんびり者。

 

 高校最初の夏休みは中学3年間の夏休みよりも充実している。過去の失敗から早めに課題を終わらせ、自分の時間を確保しているからだ。

 中学の頃は課題を後回しにして夏休みギリギリに慌てて終わらせたり、ゲームをしてて忘れたり、なんかもう忘れてたり色々あった……ような気がする。

 

「……平和だ」

 

 思わずそう呟いてしまう。

 

 誰かにその呟きが聞かれる事はそうそう無い。なんせこの公園にはあまり人が来ないからだ。

 

 小学生の頃にたまたま見つけたこの公園はいつの間にか僕のお気に入りの場所になっていた。ある種の秘密基地のようなものなのかもしれない。

 “秘密”と言っても知ってる人は知ってる公園なので、というか公園なので普通に掃除をしてる地域の人はこの場所を普通に知っているし、お年寄りの方はおそらく別ルートからこの公園に来てのんびりと腰を下ろして休憩してたりする。

 

 ……とまぁ、そんな場所で僕はのんびりと過ごすのが日常となっている。「家に居ればいいのでは?」というのは野暮というもの、ここまで歩く事によって軽い、本当に軽い運動になるからわざわざここに歩いてくるのだ。

 それに家は妹が居るからそこそこに騒がしく、中々のんびり出来ないからというものある。

 

「(今日は何聴こう)」

 

 イヤホンをスマホと耳に付け聴く曲を選ぶ。

 

 今日は昼寝か読書か……何をして過ごそうか。と考えていると──。

 

 

「こーくんっ」

 

 

「(ん)」

 

 蝉の鳴き声に混じりながら女の子の声が聞こえた。

 

 イヤホン越しに聞こえた声の方を見ると、風にスカートと髪を揺らしながら無邪気な笑顔をこちらに向けている少女が立っていた。

 

 僕はイヤホンを外してその少女に挨拶をする。

 

「こんにちは広町さん」

 

「うんうん。こんにちはこーくん」

 

 彼女の名前は広町七深。

 お嬢様学校である月ノ森女子学園の生徒で所謂お嬢様というやつだ。

 

 後ろで手を組みながらトンっ、トンっ──、とテンポよくこちらに近付いてくるのはいつもの事。広町さんが“何か”を考えて(企んで)いる時の足取りだ。

 

 どうやらそれは今回も同じだったようで……。

 

「ねーねー、こーくん」

 

「んー?」

 

「私達ー付き合おっか」

 

 何の前触れもなくこういう事を唐突に言い始める。今回だってまた──。

 

「んー…………ん?」

 

 訳の分からない事を言い始めたようだ。

 

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