既に昼過ぎ。
私はカメリアを背負い、夢月は依然警戒を解かずに歩いている。
私達は少女と咲夜に別室まで案内されながら色々な話を聞いた。
やはり私の予想通り、蝙蝠のような黒い羽を生やした少女の名はレミリア・スカーレットであり、私に紅涙を贈ったその人であった。
先の戦いでレミリアがカメリアの名を呼んでいた事から、知り合いなのかと聞くと「それは後で本人が起きたら話すわ」と言われた。
その一方で咲夜は玉座の間の騒音に気づいた時からどうも浮かない顔をしており、ずっと考え事をしているようである。
非常に触れづらい。
咲夜個人の話だから仕方の無いことだろうとは思うが、こういう時ってどう接したらいいのか分からないから困ったものである。
「さぁ、着いたわよ」
そう言ってレミリアが手をかけた扉は玉座の間に比べたら劣るものの、数ある一部屋にしては充分に豪華な造りであった。
その扉の先の部屋には中央にテーブルが置いてあり、隅に大きなベッドが鎮座していた。
「ん…寝室?」
「えぇ、カメリアがまだ目覚めなさそうだからね」
私の背中でぐったりしているカメリアにレミリアは少し悲しげな微笑みを向けた。
カメリアの現状はレミリアの手によって起こったもの。
それなのに悲しげな瞳を見せるレミリアに不信感を抱く私。
カメリアの常軌を逸した身体能力もあり、私は色々なことを疑っていた。
だが、ひとまず話を聞かない事には何も始まらない。
私はカメリアを安全体位でベッドに寝かせ、レミリア達と共にテーブルについた。
「まずは招待した身でありながら貴女に矛を向けた事を謝罪するわ」
「それはまぁ…良いんだけど。」
開幕早々謝罪の言葉を述べるレミリア。
行動と言動の矛盾、とても普通とは思えない。
しかしその質問をどう切り出そうかと唸っていると、夢月が腕を広げて私を制した。
「いきなり話に割り込むようで悪いんだけど、アンタらなんで戦ってたの?」
ド直球!!
脈略も無く重要な質問を投げかける夢月だが、正直非常にありがたい。
ナイス夢月!さすが私が惚れた悪魔だ!
本気で惚れてるわけじゃないけどね。
その質問に少し驚いたように目を見開くレミリアは、一呼吸おいてからゆっくりと言葉を紡いだ。
「その話をするには…数百年前の話から始めないといけないわね」
「「数百年前…?」」
レミリアのその言葉に驚かされたのは私だけでなく、夢月もであった。
まぁ当然といえば当然で、私はもちろん、夢月もカメリアが人間であることを知っているからだ。
その上、外来人であるカメリアが吸血鬼であるレミリアとの因縁があるという事実。
私達はその後のレミリアの話に強く引き込まれたのであった。