暫くの間が空いた後、先程と同じく愛想の良い店員が頼んでいた料理達を運んで来てくれた。
注文した通り、日替わり定食が二膳と“悪魔的だァ…キンキンに冷えてやがるぜハイボール”、“デビルメイクラムチャウダー”だ。
…何度聞いてもインパクトの強い品名だこと。
「さて、夢月も起きたことだし食べよっか。」
「そうね、美味しそうな定食ねぇ」
「とりあえず乾杯しよー!」
夢月が“悪魔的だァ…キンキンに冷えてやがるぜハイボール”を掲げてニコリとはにかんだ。
それに対し顔を見合せた私とカメリアは冷水を手に取って同時に掲げる。
「お疲れKP〜!!」
「KP〜!」
「かんぱ…?KP〜!」
私とカメリアのノリが分からずに一瞬困惑した夢月だが、ノリを悟って合わせてくれた。
なんていい子なんだ。
ガチーンと良い音を響かせた三つのグラスは内部の水面を揺らせた。
そして三人が同時にグラスを傾けてそれぞれの飲み物を舌で転がす。
まぁ私とカメリアは水なんだけれどね。
「っかぁ〜!うまげなぁ〜!」
「え、どこの人?」
「悪魔でしょう」
グビグビと“悪魔的だァ(ry”を喉に通した夢月は幸せいっぱいといった表情で感嘆の声をあげた。
うまげなってどっかの方言じゃなかったっけ、知らんけど。
知らんけどは関西か。
「さて、それぞれ食べよ。」
「えぇ」
「食べるぞー!」
やけにテンションが高い夢月は妙に可愛らしい。
なんか人生の全てを楽しんでるようなそんな気がして微笑ましくなっちゃうよね。
いや悪魔だから人生じゃなくて悪魔生?まあなんでもいっか。
さて、私の目の前に置かれた定食は日替わりである。
本日の日替わり定食は鮎の塩焼きに味噌汁、白米、漬物である。
質素なメニューながら非常に香ばしい香りが鼻をつき、やはり家で作るものとはひと味もふた味も違ったような趣を感じさせていた。
いただきますと手を合わせた私達はそれぞれの食事に手をつけ始める。
「ん〜、この“デビルメイクラムチャウダー”美味しいね!」
「癖の強い名前よね、この定食も美味しいわ」
「ここの料理は何をとっても美味しいよ、まぁ日替わり定食しか食べたことないけど。」
幸せそうに頬に手を当てる夢月とカメリアに常連ならではの知識をひけらかす私だが、実際日替わり定食しか食べていないのだからなんの説得力もない。
本当に中身のない女だ私は。
そうしてそれぞれの食事を済ませた私達は早々に会計を済ませ、店を出たのであった。
〇
【ここから作者が酩酊!※飲み過ぎには注意しようね。】
(非常に分かりづらいのでセリフに名前を付けてます。)
定食屋での食事を済ませ、その後色々寄り道をして帰った私達。
日は既に暮れており、空には綺麗な白い月が浮かんでいた。
気温も下がるこの時間、私達はそんな寒さも感じさせないような赤い顔で仲良く肩を組んで自宅の玄関扉を開けたのだった。
灯音「たっだいまぁ〜!!!」
カメリア「えへへへ、灯音〜!ちゅっちゅっちゅっ!」
夢月「幻月姉さんが空飛んでるよ〜!トんでるのは私か!ギャハハハハ!!」
既に日の暮れたこの時間帯、人里の大抵の住人は家の扉に錠をかけ、雨戸も全て締め切るほどに外界との遮断を図っている。
そんな中、大声で騒ぎながら帰宅する成人女性三人組。
近所の住人も驚いたのだろう、雨戸を開けて此方を覗いていた。覗くなよ、いや悪いのは私達か。わりーな!
普段静かな私とカメリアですらゲラゲラと笑う程の酩酊ぶり。
とはいえカメリアの行動は相変わらずずっと私の頬にキスをしている。いや相変わらずじゃないな、シラフの時はやんないもんね。
夢月はある意味相変わらず…といった様子でゲラゲラ騒いでいた。これは相変わらずかも。
夢月「いやあの夜雀の屋台は格別だなぁ!!!」
カメリア「そうね、焼き鳥屋かと思って入ったら鳥が店主って!!!」
灯音「ギャハハハハハ!!!アレはマジで笑ったわぁ!!!!!」
もはや文面では誰が誰か分からないほどにキャラが変容している私達は、馬鹿みたいに酔っ払って馬鹿みたいに騒いでいた。
帰り道に寄った屋台が非常に美味しい鰻やおでんを出していて、私達はそれを摘みに呑んで呑んで飲みまくっていた。
大体午後4時半くらいからその屋台にいた訳だが、会計を済ませて屋台を出たのは午後8時くらいの事であった。
ほんと、馬鹿みたいに呑んだよ。
灯音「とりあえずお風呂入らない??」
カメリア「入りましょー!でも早く寝たい気もするわね」
夢月「もーこの際三人で入ろーよ!!!」
灯音「いいね!うち狭いから銭湯いこー!さぁ出発だァ〜!!!!」
カメリア「灯音!キャラ崩壊してるわよ!!」
灯・カ・夢「「「ギャハハハハハハ!!!!」」」
この馬鹿共三人は帰宅して早々にタオルや着替えの用意を済ませ、銭湯へ向かうことにした。
ちなみに銭湯はこの人里とはいえ、夜中でも営業している所がある。
闇の中には妖怪が紛れるという話が広まっているとはいえ、人が入浴を求めるのは同じく闇の中なのだ。
そんな都合のいい話があるか!って思うでしょ?
私も思う!実際作者が都合良く設定を書き換えてるだけだもん!!!
メタいんだよ馬鹿!!!!!
ガラガラっと家の扉を乱暴に開け、私達三人は再びゲラゲラ騒ぎながら歩き出した。
灯音「うぇ〜い!酩酊トリオのお通りじゃ〜い!」
カメリア「頭を垂れなさい!平伏しなさい!」
夢月「ゴミ共がよォ!どけゴミカスゥ!私に触れるなァ!!」
そろそろヤバいなという自覚を抱き始めた私達は同時に煙草を取り出し、ジッポライターを擦って煙草に火を灯した。
煙草はいつでも精神を落ち着かせる万能薬ぅ…ですからね。
図ったかのように同じタイミングで吐き出される煙が三つ編み状に絡まり合って暗黒の空へと旅立つ。
フーッと煙を吐いて落ち着いた私達は顔を見合せ、同時にプッと吹き出した。
灯音「ギャハハハハ!私達ただの酔っ払いじゃん!!」
カメリア「本当ね!タバコ吸わなきゃ気づかなかったわ!」
夢月「ウケんだけどマジで!一生笑えるぅ〜!」
この時、私達は煙草によって落ち着きを取り戻して笑っていたものだと勘違いしていた。
でも今思い出して思うよ、いくら煙草とはいえ酩酊した馬鹿共につけるクスリなんぞ存在しないんだ…ってね。
はーーーー……ウケる。
実際これを書いてる作者が今酩酊状態だからこんな頭のおかしい話しか書けないんだけどさ。
思い返してみれば、いつもいつも頭のおかしい無計画な展開ばっかりだよね。
まぁそれもこの空蝉録を書き始めたのも突発的な思考だったから仕方ないっちゃ仕方ないんだけどね。
こういう話は前書きや後書きで書けって?ははは、私もそう思う。ごめんね。
そんなこんなで私達はゲラゲラ騒いで煙を煽ってゲラゲラ騒いで…といったことを繰り返しながら歩き、漸くお目当ての銭湯に着いたのであった。
灯音「ここがお気に入りの銭湯、極楽浄土!」
カメリア「戦闘した後に行きたいわね、
灯・夢「「ッッ!?!?!?」」
灯音「戦闘後に……!!」
夢月「銭湯……ッ!?」
灯・夢「「…………」」
灯音「おもしれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
夢月「菩薩の言葉ぁぁぁぁぁ〜〜〜〜!!!!」
灯・カ・夢「「「ギャハハハハハハハ!!!!」」」
こうして私達は銭湯に入り、流石に店の中ということで多少大声を控えて入浴を始める。
私の心は昼間のように明るくとも、空は暗黒を貫くままであった。
本当に……この時は楽しかったな。