東方空蝉録   作:Amaryllis___

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夢幻大決戦

灯音の眼前に突如現れた赤黒の女が手に持っていた物、それは剣と言うにはあまりにも大きすぎた。

大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把すぎた。

 

 

 

「な……なんだ、あの剣は……!?」

 

 

「夢月、ベルセルクごっこはやめなさい。」

 

 

「はい…。」

 

 

 

すぐ他作品に頼るのは作者の悪い癖だ、治らないね。

…これ何回目だよ。

 

さて、私は今幻月姉さんと肩を並べて幽香と睨み合っている訳だが…。

幽香は傘で花を貫く事で数多の巨大な蔓を召喚し、依然その蔓を蠢かせている。

 

一方、突如として隕石のように現れた女はずっと灯音と何か話しているようだ。

灯音の隣にはカメリアが居るので大丈夫だとは思うが、灯音は先程頭を抑えて崩れ落ちていたので、警戒しておいて損はなさそうである。

 

それにしても灯音とあの女、なんか面影似てるなぁ。

親子だったり?感動の再会じゃん!とてもそんな雰囲気じゃあなさそうだけど。

 

私は灯音の方を見ながら、不意打ちのように伸びてきた蔓をノールックで斬り裂いた。

使っている武器が鎌なだけあり、植物である蔓には相性が良いのだろう。

とはいえいつまでも灯音の方を見ている訳にもいかないので、私は強敵幽香を倒す為に動き出すことにした。

 

 

 

「姉さん、蔓は私に任せて」

 

 

「わかった、じゃあ私は本体を叩くことにするよ」

 

 

「OK姉さん、行こう」

 

 

 

仲良し姉妹の意思疎通により、数秒の間に完璧な作戦を立てた私達は同時に地を蹴った。

いくら植物相手の相性が良いとはいえ、相手は幽香。

油断など出来ようはずもない。

 

 

 

「あら貴女達、何も考えずに突っ込んで来たの?」

 

 

 

同時に地を蹴って真っ直ぐ走り抜けようとする私達を見た幽香は、しめしめといった表情で私達に無数の蔓を伸ばしてきた。

幽香には先程の作戦会議は聞かれていない、というよりも離れているので聞こえるはずがない。

勘違いも甚だしいもので、幽香は蔓があれば私達を完封できると思っているようだ。

 

 

 

「姉さん見て!馬鹿な怪物!」

 

 

「夢月見て!愚かな怪物!」

 

 

 

私達は襲いかかる無数の蔓を切り落としながら、出しうる限りの最高速度で幽香に肉薄した。

 

鬼のような突撃に多少の焦りを見せた幽香は、先程までとは比にならない程の蔓を同時に放つ。

それも、先端が尖っていて側面に大量の棘を持った凶悪なものである。

 

迫り来る数多の蔓に対し、幻月は敢えて私の後ろに隠れた。

所謂、私を盾にするような感じである。

それにより、無数の蔓は全て私に牙を剥くわけだ。

 

 

 

「あらあら、妹に対して無慈悲な姉なのねぇ?」

 

 

「くそー!姉さんなんて事を!!」

 

 

「私さえ生き残れば良いんだよー!」

 

 

 

私を盾にした姉さんに文句を言う…演技をする私に、姉さんもそれを一瞬で理解して上手いことノってくれた。

その演技により、幽香は本当に幻月が裏切ったと思い込んでくれたようである。

 

私は迫り来る無数の蔓に向けて大鎌を振り回し、一瞬で幽香への道を切り開いた。

その瞬間を見計らった幻月が私を飛び越え、切り開かれた道を一直線に駆け抜ける。

 

 

 

「センキュー夢月!“瀉血ノ劍(しゃけつのつるぎ)”!」

 

 

「なッ!?」

 

 

 

一瞬で幽香に肉薄した幻月は、自らの血で作った大剣を幽香に振り下ろした。

真っ赤な血で出来た大剣は赤い剣閃を生み出し、幽香を切り裂く

 

 

 

はずだった。

 

 

 

「なーんてね、ふふっ」

 

 

「ぐあッ!」

 

 

 

突如足元から伸びてきた蔓によって幻月は遠くに吹き飛ばされ、壁に激突して血に倒れ伏した。

すると間髪入れずに数多の蔓が幻月に迫り、倒れたまま為す術もない幻月に次々と襲いかかる。

 

先端が尖った蔓は幻月を何度も何度も突き刺し続け、白い花畑のその一部分を真っ赤に染めていった。

 

 

 

「…なに…?」

 

 

 

あまりにも速い、あまりにも一瞬の出来事。

私は数秒間、理解が出来ずに硬直した。

 

しかし、ニタニタと下品な笑みを浮かべる幽香を見て正気を取り戻す。

 

 

 

「…幽香……」

 

 

「あら、何かしら?」

 

 

 

数多の蔓に貫かれた幻月はついに動かなくなり、傍から見れば既に死に絶えたものと思うだろう。

幻月が人間であればその認識は間違っていないだろうが、幻月は悪魔であるので既に死んでいるということは無い。

もし死んでいたらなんて事を考えたら、私はとても正気ではいられないので考えないようにした。

 

とにかく、幻月は死んでいない。

しかし、それでも幻月が幽香によって数多の傷を負わされたのは事実だ。

そして私の不甲斐なさで幻月が倒れたのも事実。

 

私はその二つの事象がとても許せず、全ての怒りを魔力へと変換した。

 

私の右手から眩い紫電が迸り、辺り一面を紫色に染める。

バチバチと咽び泣く紫電は幽香の蔓を全て焼き払い、更に大きくなっていった。

その威力に驚いたように目を見開く幽香に、私は怒りでマトモに回らない舌で言い放つ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

「オ前ハ、私ガ、殺ス」

 

 

「ッ……!」

 

 

 

この瞬間に限り、月から見た地球は紫色の恒星へと変容していたとか

 

していなかったとか…?

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