「あっちもあっちで凄いことになってるわね」
「だね、これからこっちもそうなるんだろうけど。」
夢月達が派手に戦っている様を横目に見ながら、私とカメリアは軽口を言い合う。
突然眩い光が視界を覆ったと思ったら夢月が紫電を纏っていたり、背後から冥い怨念のようなものを出していたりで酷く驚いた。
流石は悪魔というべきか、私は改めて夢月に畏敬の念を抱いたのであった。
「灯音、ミニガン貰えるかしら?」
「いいよ。」
気を取り直して改めて燻莉に向き合った私達は、燻莉に対抗すべく装備を整えることにする。
カメリアに頼まれてミニガンを召喚したが、ミニガンとは所謂ガトリング砲のようなもので、本来は人間が片手間に扱えるような代物ではない。
人知を超えた膂力を持つカメリアだからこそこの武器を選んだのだろうが、いくらハーフヴァンパイアとはいえ一方に刀、もう一方にミニガンを持つその姿はある種狩人のようであった。
そういえば、かつて夜に獣が蔓延していた時代には狩人と呼ばれる者達がそれらを退治して回っていたらしい。
もしかしたらカメリアもまたその時代に生きていた狩人なのかもしれないが、それはまた別のお話。
片手にミニガンを携えたカメリアは、軽くその手を上下に動かして微笑んだ。
「ふふっ、種族を気にせず膂力を発揮できるって良いわね」
「そのうち集落の一つくらい落としそうだね、カメリア。」
ミニガンを片手に持ってそんな事を言われたら、流石の私も多少の恐怖を覚えるものだ。
彼女が恋び…いや、仲間の立場に立ってくれていて本当に良かった。
それにしても色白な細いラインの体に不相応な厳つい武器だが、何故かその姿は妙にカメリアの魅力を際立たせている。
そんなカメリアを見ると、不思議と心が安らぐのだ。
こんな想いも、カメリアが居るからこそ抱けるのだろう。
そう思うと私は再び恐怖に苛まれそうになるが、夕方にカメリアから貰った勇気でそれらを打ち払った。
「…早く終わらせて、帰ろ。」
「…ふふっ、そうね」
いざって時、カメリアは私が守る。
守ってもらうばかりじゃあ不平等だろう?
私の右手には切っ先の存在しない大剣、左手にはソ連のショットガン。
カメリアの右手には仄かに緋い打刀、左手には無骨なミニガン。
対する燻莉は、鉄塊と相違無き大剣を肩に乗せている。
「さぁ、殺されないうちに食らいついて来なさいな。
陰りの刺した燻莉の瞳に閃く赫き魔力。
その様はまるで御伽噺にてしばしば語られる魔王のようで、対峙した私達の精神をより引き締める。
醜く惨い殺し合いが、今、この瞬間から始まったのであった。