あの後、私の気付かぬ間に夢月達の方の戦いも終わっていた。
理解不能な大きさの蔓に、幻月の戦闘不能。
非常に苛烈な戦いになっていたようだが、その後意識を取り戻した幻月が復帰し、姉妹の圧倒的な攻勢によって大きな勝利を手にしたとのこと。
まぁこれは夢月一人から聞いた話だから、少しくらいは盛っていてもおかしく無さそうだが。
夢月と幻月は夢幻館の所有権を取り戻したが、幽香達を追い出すことはしなかった。
かつて幽香に夢幻館を奪われた時と同じことをしているのか、知らぬ間に情が生まれていたのか、それはわからない。
夢幻姉妹、花妖怪の幽香、吸血少女のくるみ、第二門番のエリー。
主導は違えど、夢幻館はこれからもこの五人で動いていくのだそうな。
ちなみにエリーだが、私が彼女の片足を切断してしまったので責任をもって永遠亭に連れて行った。
いくら天下の永遠亭と言えど、失った片足を再生するなんてことは不可能…
ということもなく、鈴仙と永琳は何の問題もないといった様子でエリーの足を再生してみせた。
そもそも片足を失った患者を見ても何の同様もしない二人…流石に医者をやっているだけあって、そういう患者も見慣れているのだろうか。
お医者さんって、すごいね。
カメリアは夢幻館メンバーとの別れ際、くるみに「またやりましょうね」と微笑んでみせたが、当のくるみは顔を真っ青に染めて必死で首を横に振っていた。
きっと相当な目に遭ったのだろう、何したのカメリア。
私とエリーは険悪の仲で終わる…と思っていたのだが、足を切断されたにも関わらずエリーは手を横にぶんぶん振って「いいのよ、楽しかったわ」と言ってくれた。
どうもエリーは戦闘が相当久しかったらしく、その上私のように力を持つ人間と戦ったのは初めてだったとのこと。
良い経験にもなったし、何より楽しかった。
まさか敵だった人…いや妖怪にそんなこと言われるとは、やはり昨日の敵は今日の友ということなのだろうか。
エリーと近いうちに食事に赴こうという約束を交し、私達は彼女と別れて帰路についていた。
「…やっと終わったね。」
「そうね、思えば結構長かったわ」
既に夜も明け、空は暁闇に支配されていた。
そんな空の下で、煙草を吸いながら歩き続ける二人。
或いは人、或いは半吸血鬼。
常識的に見れば絶対に相容れない筈の二種族だが、その二人だけは手を繋いで歩いていた。
かつて現世では共に戦場を走り、幻想郷では時にぶつかり合いながらも共に歩んできた。
二人にとって、互いはそんなかけがえの無い存在であったのだ。
「家に着いたら、良いかな…? 」
「良いって…?……いや、もちろん良いわよ」
私の突拍子も無い発言に一瞬困惑した様子を見せたカメリアだが、すぐに私の意図していることを理解したようで、快く快諾してくれた。
本当に、カメリアが居なければ私はとうに壊れていたかもしれない。
改めて、カメリアには感謝の念しかないなと思うのであった。
「ありがと、カメリア…。」
「気にしないの。私達はもう、そういう仲でしょう?」
「…うん、ありがとね。」
カメリアが居てくれて本当に良かった。
改めて考えてみると、カメリアが居ないと私はダメダメだなと実感するのだ。
カメリアと出会えたこと、カメリアが無事に生き残ってくれたこと。
今回の戦い、更に細かいものをあげればキリがない。
私はカメリアの手を握る力を強め、喜びに満ちた笑みを零すのであった。