マリオと奇妙な館   作:スダチ

1 / 10
ピーチ城に現れたクッパ

「やっぱりさあ、高すぎないか? あそこ」

 

「そうね……今度キノじいに何とかしてもらうよう頼んでみるわ」

 

カップをすすり、ふう、と一息つくのは城の主、ピーチ。今日は自らマリオとルイージをお茶会に誘った所だった。

 

「しかし美味しいねこのお茶。ハーブティーだよね?」

 

「それ、うちの庭で育てたハーブを使ったのよ」

 

「どうりで美味いわけだな!」

 

ニッと笑って持ち上げるマリオにピーチは少し照れる。時刻は午後2時過ぎ。この熱い夏の中、3人はクーラーの効いたピーチの部屋で優雅に一時を楽しんでいた。

 

本来一国の姫の部屋など入れるものではないが、マリオとルイージはこれまで幾度となく攫われたピーチを救って来た。それだけでも偉業であるが、攫われ騒動やスポーツなどで顔を合わせる内に仲良くなった為、最早両者は友達感覚で会うような関係になっていた。

 

「そうだわ。台所に私が作ったクッキーがあるのだけど、食べない?」

 

「食べます」

 

「おークッキー、おねがいするよ」

 

ピーチの提案に即答するマリオとそれに苦笑いしながら答えるルイージ。ニコッと笑って席を立ち、台所へ向かった。

 

「……」

 

ピーチが居なくなったら否や、マリオは身体を後ろにやり、椅子にもたれかかる。ルイージはカップを置き、髪をかき上げる。

 

──クッキー、チョコクッキーだったらいいなぁ。

 

──明日晴れるかな。商店街行きたいし……。

 

無言ではあったが、二人はそんな事を思いながら、ピーチがくるまでの時間を潰した。

 

 

 

 

一方ピーチは、台所へ向かって足を進めていた。──が、妙に騒がしい気がする。音が聞こえる方向はマリオ達のいる方角ではなく、城の入り口の方だ。

 

「何かしら……?」

 

気になって入り口の方へ向かってみることにする。近づくにつれて、段々大きく聞こえる声に、ピーチは違和感を感じた。

 

──この声は聞いたことがある……。低めの声でガラガラした……。もしかして。

 

ピーチの中にある人物の顔が浮かんだ。その人物はピーチにとってあまり好ましくないものであったので、足取りは重くなる。それでもどんな状況になっているのかが気になっていたので、歩みを止めずに進む。

 

入り口に着き、扉を開ける。

 

「だから! ピーチ姫の部屋はどこだと聞いているのだ!」

 

「ですから! 貴方みたいなすぐ攫おうとするバカには教えませんよ!」

 

「なんだと! ワガハイもキノコ王国の国民なんだぞ! ウガー!」

 

「ギャー! アチアチアチアチ!」

 

ピーチの眼前には、頭が燃えているキノピオ兵と、炎を吐いているクッパが映った。

 

「クッパ 、やっぱり貴方だったのね」

 

「ん? おお! ピーチ姫ではないか。探したぞ!」

 

キノピオ兵が慌てて近くの噴水に頭を突っ込む中、二人は向かい合う。

 

「一人で来るなんて、珍しいのね」

 

「ああ、本当はいつものように攻め入る予定だったのだが、今は部下に夏季休暇を取っていてな。ワガハイ一人で攫いに来たという訳だ」

 

ピーチは少しでも攫い目的で来たのではないと期待した事を後悔した。

 

「という訳で攫われてくれ!」

 

「冗談じゃないわ!」

 

クッパは二階のドアにいるピーチの方へ向かって階段を登りだす。その行動を見てピーチはマリオ達の元に逃げようと振り返る。幸い距離はまだ空いており、クッパはその図体のせいか、階段を登る事に時間がかかっている。ピーチはドレスが引っかからないように少し手で持ち上げながら、来た道を走って戻り始めた。

 

 

 

 

「いや、あいつはクリボーじゃなくてクリボンだ」

 

「へぇー、どうりで丸くてちょっと違うなーって思ったんだよね」

 

舞台は戻ってピーチの部屋、マリオとルイージは椅子をカタカタ動かしながら、ピーチとクッキーを待っていた。

 

「まぁ間違えるのも無理はないな。いつものクリボーポジションがあいつだったからな」

 

「そっか。そういえばあの冒険の時クリボー見かけなかったね」

 

そんな他愛もない話をしながら待っていると、ドアががちゃ、と開き、ピーチが現れる。二人は振り返るが、ピーチが息を切らしている事に驚く。

 

「マリオ……ルイージ……一大事よ」

 

ピーチはクッパが来たことを話そうとすると、ピーチの後ろにドアに入りきらない程大きな身体が現れる。そして、ピーチの頭にポン、と手を置くと話し出す。

 

「ゼェ……ゼェ……マリオ、ルイージ……。いたのか……」

 

「おいおい、マジか!」

 

「というか、クッパも息切れしてるじゃん……」

 

ピーチは置かれた手を払い除けて部屋に入る。

 

「また攫いに来たなクッパ!」

 

「おうともよ。だが、マリオ! お前がピーチ城でお茶会してるのは計算外だ! 忌々しい……」

 

クッパは単独でピーチ城に乗り込んだので、わざわざマリオの相手までするつもりでは無かったのだ。ドアからマリオが見えるように覗き込むクッパとマリオは睨み合う……。ピーチとルイージはそれを見守るが、そこに緊張感は無い。──両者ともこのままでは埒が明かないので、話し合いで無いような話し合いをした結果、城の庭で決着をつける事になった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。