「いたた。腰をうったぞ……」
突然床が抜けて、下に落ちてきてしまったクッパ。落下時の衝撃で腰をうってしまった。
周りを見渡す。見たところ先に進める所は無い。鉄で出来てるような灰色の壁。ポタポタと水滴が垂れている天井。ガレキで塞がれている道。白と赤色の蓋がついたゴミ箱。広さは縦長で8畳くらいであった。
……白と赤色の蓋だと?
クッパは違和感を感じる。こんな不思議な色合いの蓋が存在するのかと。何やら怪しく思い、ゴミ箱をまじまじと見つめる。
カタッ
「……!」
今蓋が動いたような……と思うのも束の間。
「すみません。誰かいらっしゃるんですかー?」
「ぬあー! 蓋が喋ったぞ!?」
クッパは驚きで口をあんぐり開ける。
「蓋じゃないですよっ! キノピオです!」
「ピノキオ?」
「キノピオですっ!」
キノピオか。
ふとクッパは城であったキノピオの事を思い出して腹が立ったが、このキノピオは関係ないのでひとまずおいておく事にした。
「なんでこんな所にいる」
「すみません、それは後から話しますので、どなたか存じ上げませんがボクをこのゴミ箱から抜いて貰えないでしょうか……」
なんとキノピオはゴミ箱に挟まっていたのだ。大きな頭が中途半端に嵌ったせいで、ゴミ箱の底に足もつかず、どうしようもない状態であった。
「おう、良いぞ」
クッパは了承し、ゴミ箱を持つと、大きな手でキノピオの頭をしっかり掴む。
「ぎゃー! イタタタタ!」
「少し我慢しろ!」
クッパはゴミ箱とキノピオを力任せに引き離す。
「うう……乱暴ですよ。でも助かりました」
「うむ」
「ありがとうございます。お名前は……って」
キノピオは埃を手で払い、クッパの方を向く。──と、途端に震えだす。
「ク……ク……クッパだー! うわあああああ襲われる!」
「馬鹿を言うな! ワガハイはお前を助けてやっただろうが」
「た、確かに……」
キノピオの震えは少し止まるが、まだ怯えているようだ。
「まあ、最も今のような態度を取ったなら襲うかもしれんがな……」
不適に笑うクッパにゴクリと唾を飲むキノピオ。
「とにかく人……亀をイメージだけで判断するな」
「はい、すみません……」
でもクッパは何回もキノコ王国にやってきてピーチ姫を攫っているからそのイメージは仕方ないんじゃないかとキノピオは思ったが、そんな事を言うと八つ裂きにされそうなので考えない事にした。
「で、なんの話だったか。おお、そうだ。お前は何故こんな所にいる」
キノピオはゴミ箱をひっくり返してその上にちょこんと座ると、話し出した。
「はい……ボクはこの館にガールフレンドのキノピコと一緒に肝試し感覚で遊びに来てたんです……。キノピコと別れて行動していた時に急に辺りが紫色になって……。これまで自由に行き来出来ていたドアも開かなくなって……。キッチンに閉じ込められたボクは途方にくれていたんです。それでキッチンの壁についていたボタンを押してみたら、ここに落ちて……運悪くこのゴミ箱に嵌ってしまったんです」
「とんだ災難だな……」
「はい。もしかしてクッパさんもボタンを押してしまったんですか?」
「うむ、そうだ。おのれ、どうせキングテレサの仕業だろう」
クッパは拳を握りしめる。
「えっ、キングテレサがいるんですか?」
「ああ。今度はワガハイが知っている事を話してやる」
情報共有は基本。クッパはそう考え、腕を組む。
「はい……お願いします」
「まずこの館はキングテレサによって支配されていると言っていいだろう。ワガハイはマリオとピーチ姫を争ってピーチ城で決闘をしていた。戦いは長引いて、二人とも疲弊したのだ。そんな時奴が現れ、ピーチ姫を攫っていった。おそらくキングテレサもピーチ姫もこの館のどこかに隠れている。ワガハイとマリオはピーチ姫を取り返しにここへ来たと言うわけだ。あぁ、あとルイージも」
「そ、そんな事が……。マリオさんとルイージさんも来ていたなんて」
キノピオはクッパの話を頭の中で整理する。なにやら大変な事に巻き込まれてしまったと感じた。
後はキノピコの事が不安だ。彼女に何かあったら──
「あの、館でキノピコを見ませんでしたか? 頭がピンクと白のおさげの可愛い女の子なんです」
「いや……見てないぞ」
クッパは首を横に振る。どうしよう、彼女、大丈夫かなぁ……。もしもの事があったら……。キノピオは不安でいっぱいになる。
「あまり情けない顔をするな。そいつの事を心配するなら、まずここを脱出する方法を考えないといかんぞ」
そういってクッパは立ち上がろうとするが、立ち上がれない。
「だ、大丈夫ですか!?」
「うぐ……さっき腰をうった場所が痛む……」
クッパは腰をさする。打ち所が悪かったのだろう。キノピオは心配そうに見つめる。
「ここままでは脱出も出来んな……」
二人は暫くここに閉じ込められる事になりそうだ。