マリオと奇妙な館   作:スダチ

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上の階へ

マリオとルイージは書斎に戻る。この部屋にはまだ二つ空いていないドアが残っている。ルイージは鍵を差し込んでみる。

 

「……あれ」

 

しかし、開かない。もう一つのドアも試してみる。

 

──空いた。しかし、ドアの先は二人にとって期待外れの場所だった。

 

「便所じゃん」

 

狭い便所の個室。妙に臭う。ここにまた鍵があるというのか。あるにしても探したくない。二人は入るのを躊躇った。

 

「どうする? 兄さん」

 

「見たところ鍵はないよな……」

 

便所を前に立ち竦んでいると、ルイージは誰かにいきなり背中をドンと押される。そのはずみで前にいたマリオごと便所に押し込まれてしまう。

 

「誰だ!?」

 

振り返ると、キングテレサが笑っていた。

 

「ギャハハハハ! 二名様、ごあんなーい!」

 

そういうと、ドアを乱暴に閉められる。そして、便所の床が上昇していく!

 

二人はその超常的な現象に到底対応できなかった。

 

そして床が止まる。二人は恐る恐るドアを開ける。すると、書斎とは違う部屋が二人の前に映し出された。

 

「おい、マジか……」

 

急な出来事に驚きを隠せない二人。どうやら便所の中だけ上の階に移動してしまったようだ。

 

「イテテ……冗談じゃないよ……」

 

「あの野郎!」

 

キングテレサの行動に怒りを覚えるマリオ。アイツの元に辿り着いたら懐中電灯を目の前でつけてやろうと思った。

 

しかし、先に進めたのは二人にとって好都合であった。これもキングテレサに仕組まれてるのではないかと思ったが、この際無視する事にした。

 

この部屋はベッドが二つ並んでいる。間には木製の引き出し、その上に電灯が置いてあった。まるでホテルの一室だった。

 

「わぁ、気持ち良さようなベッドだね」

 

「ヤッフー!」

 

マリオはベッドに飛び込む。その姿を見てルイージは笑う。

 

「いやー。ピーチ姫の部屋では気を遣ってベッドでは寝なかったからな! 気持ち良いぜ」

 

ベッドで体をうねうねと動かすマリオ。ルイージも開いている方のベッドに寝転がる。

 

「ふわぁー、本当だ。柔らかい……」

 

「ところで、ここにも鍵はあるのかねルイージ君」

 

うつ伏せのまま尋ねるマリオ。気分はすっかり快楽モードだ。

 

「どうだろう……あそこの鍵が閉まってたらあるんじゃない」

 

ベッドルームの端にあるドアを指差す。

 

「ああ。そうかもネ。ルイージ確認してよ」

 

自分がまた起き上がって確認する事が嫌なマリオ。ルイージに頼もうとする。

 

ルイージも動きたくは無かったが、ここで嫌がってよくある言い合いになるのは面倒臭かったので、渋々立って確認する。

 

ルイージはドアの前に立つ。

 

──すると何やら音が聞こえてくる。何かを打つような音。誰かいるのか、とルイージは思ったが、早く寝転がりたい気分だったので構わずドアノブを捻る。動かない。

 

「閉まってるよ」

 

「そっかあ」

 

気の抜けた返事が返ってくる。ルイージはもう一度ベッドに寝転がる。

 

ボーッとする二人。何気なく天井を見つめるルイージと、ごろごろとベッドの上を転がるマリオ。このまま暫くの時が過ぎそうになったが、それはある小さな奴の出現によって止められる。

 

「……ん?」

 

マリオは床を動く黒い物体が一瞬見える。虫か? 一瞬だったので、よくわからない。

 

マリオは何者か確認しようとベッドの端に這って移動する。しかし……いない。

 

その黒い物体はマリオの死角であるベッドの横を移動する。床をキョロキョロ見渡すマリオに、少しずつ上昇してマリオへと近づく。

 

「おかしいなぁ……」

 

何か不穏な者がこの部屋の中にいる事が落ち着かないマリオ。

 

そこへ。

 

黒い物体が突如マリオの眼前に現れる。

 

「ぎゃー! Gだ!」

 

驚いて後ろに飛び上がってベッドから転げ落ちるマリオ。その大声と衝撃にルイージも飛び起きる。

 

「えっ? えっ?」

 

G……つまりゴキブリはルイージの方にも飛んで向かってくる。

 

「う、くるな! くるなぁー!」

 

ルイージは恐怖のあまり顔を手で塞ぐ。Gはルイージの目の前で上に迂回する。

 

その後は部屋を飛び回るG。マリオとルイージは起き上がり、部屋の隅に移動して怯えながら臨戦態勢を取る。

 

「さ、さぁ。くるならこい!」

 

マリオは強がる。それに反応したかのようにさっきまで部屋をグルングルンと飛び回っていたGは二人めがけて一直線にスピードを上げる。

 

「う、うわあ。やっぱりくるなっ!」

 

二人共慌てて体勢を崩してしまう。Gはそのまま二人の頭上を通過し、迂回する。

 

そして二人から離れていき、途中で何かを落とす。その現象に二人は戸惑う。

 

そのままGは便所に開いていた窓から居なくなってしまった。

 

「……ふう」

 

二人は肩を撫で下ろす。この一連の流れで凄く疲れた気がした。

 

「何か……落としていったよ」

 

「やめとけ! あいつの卵かもしれんぞ!」

 

「いやいや、あんな産み方はしないよ!」

 

ルイージは落とし物を手に取る。鍵だ。

 

「鍵? どういう事だ?」

 

「多分、またキングテレサの仕業だ」

 

鍵を見ながらルイージは言う。冷静になって考えてみると、Gにしては色々とおかしな動きをしていた。

 

「くそ……キングテレサ許せねえ。Gは駄目だろ……Gは」

 

わなわなと手を震わせ、怒りをあらわにするマリオ。

 

「もしオバキュームがあればまた吸い取ってやるのに……」

 

こればかりはルイージも堪えたようだ。

 

「早くあいつをぶっ飛ばしたくて仕方ねぇ、行こうぜ」

 

マリオはルイージが持っていた鍵を手に取り、ドアに挿し込む。案の定開いたようだ。次の部屋に進む。

 

──すると、今までの部屋とはうって変わった光景が二人に映る。

 

広い部屋に卓球台、ビリヤード台、アーケードゲームが置かれている。

 

そしてそこには、キューを持っているピンク色に白い斑点模様の頭をしたおさげの女の子が立っていた。




キューはビリヤードで使うあの棒です。
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