「あっ。さっきの大きな声はマリオさんとルイージさんだったのね!」
入ってきたマリオとルイージに、手を振って呼びかける女の子はキノピコ。
「キノピコじゃないか!」
意外な子の登場だ。僕達とクッパ、ピーチ姫とキングテレサ以外にこの館に来ている者がいるとは。ルイージは彼女の姿を見て、まず思った一番の疑問を投げかける。
「キノピコちゃんはなぜ、ここに?」
「うーん。なんて言えばいいかな」
少々複雑な事情なので、キノピコは手を頭に当てて考える。
キノピコがここにいる理由は、キノピオと大体同じだ。キノピオがキッチンに閉じ込められたように、キノピコはここに閉じ込められていた。
キノピコは頭の中の整理がつくと指をピン、と鳴らし、マリオ達にこうなってしまった経緯を説明する。
「そんなことが……」
「じゃあキノピオもどっかにいるのか?」
マリオの問いかけにキノピコはコクリと頷く。
「そうか。キノピオはまだ見てないから、まだいくつか部屋があるのか」
「エート。どうしてこんなことになっちゃってるの? マリオさん達が来てるってことは、何か事件とか?」
マリオはキノピコにこの館で起こってる事を話す。キングテレサ、ピーチ、そして鍵の事を。
「それで、多分鍵がこの部屋にもあると思うんだが……」
「もしかして、鍵ってコレかな?」
「何っ!」
マリオの言葉を聞いたキノピコはポケットから鍵を取り出す。
「ビリヤードで遊んでる時に偶然見つけたの」
「おおっ! ソレだソレ! キノピコマジナイス!」
「探す手間が省けたね! 兄さん」
褒められると少し照れるキノピコ。鍵をマリオに渡す。
「じゃあ、あのドアを試してみるか」
マリオは奥にあるドアを指差す。──と、キノピコが二人に尋ねる。
「あの、ワタシついていっても良いですか? キノピオに会えるかもしれないし……」
「おう」
「全然大丈夫。キノピコちゃんもおいでよ」
「うん!」
マリオは鍵を挿し込む。開いたようだ。こうしてマリオ、ルイージにキノピコを加え、次の部屋へと進んでいく。
「うおぉ……」
部屋に入ったマリオは目の前の光景に魅了される。見渡すと、ピアノ、ドラム、トランペット。その他諸々の楽器。どうやら音楽室のようだ。
◇
「ふぅ」
そう一息をつくのはクッパ。隣には何を考えているのか、ゴミ箱の上に座り、パタパタと足を動かしているキノピオがいる。
「……腰は大分落ち着いた。さて、行くとするか」
クッパはすっくと立ち上がる。その姿は、堂々としており、いつもの大魔王に戻っていた。
キノピオもそれに気づき、ぴょんとゴミ箱を降りる。
──どうやってここを脱出するか。
休んでいる時に、クッパとキノピオは取る行動を決めた。
ガレキで塞がれたような場所。そこをかきわけて進む。他は鉄の壁なので、壊すのは難しい。かきわけて進んで、外に出れる事を祈るのだ。
「行くぞキノピオ! お前はガレキが当たらんように、ワガハイの真後ろにくっついてろよ!」
「はいっ! クッパさん!」
「うぉぉぉおおお!」
クッパはガレキを両手でガッシガッシと掴み、横にかきわけて行く。キノピオはその後ろにしっかりと位置取り、クッパを見守る。
そのクッパの姿はキノピオにとって頼もしく、力強く感じた。
お願いします……! クッパさん……!
どんどんと進んでいく。何度もガレキをどかしていくクッパの手は次第に傷ついていく。それでも、手を緩めずに、天へ、月が見える景色へたどり着く為に。進む。
少し坂道になる。このまま進んでいけば、外に出られるはず。
怯まずにクッパは手を動かす。キノピオは自分が何も出来ない事を歯痒く思うが、クッパの邪魔だけはしないように、ピッタリと真後ろについていく。
スピードを緩めず、突き進む。
「おっ」
クッパは小さく声を上げる。そのままガレキをしっかり退けていく。空間が見える。ガレキが無くなる。そして──
生い茂る草の上に足をつけ──
「出たぞーっ!」
クッパは喜びの声をあげる。
「あぁ、ついに……脱出出来たんですねっ!」
キノピオとクッパは互いに手を取り合って喜び合う。そのクッパの顔の輝きは、普段は決して見せる事の無い程だった。
◇
大分落ち着いたクッパとキノピオは、館に入り直す。幸い出た場所は館が見える位置だった。
そうして、二人はマリオ達に再会すべく、館内をひた走るのであった。