出久Side
次の日、学校に行くと。
「出久君!?大丈夫やったん?」
「緑谷君!発情、と聞いていたが、収まったのか?」
「緑谷、体調大丈夫か?」
など、かっちゃん以外の皆から心配された。
「別に、大丈夫だよ。毎年のことだから」
と笑ったが、消太さんと繋がれたので少し顔が緩んでいたかもしれない。
そのあとは、体育祭に向けて自己研鑽を続けていた。
――――――――――
そして、『雄英体育祭』当日。
やはり、雄英校に入るマスコミの数は多く、警備が強化された関係で入場検査の時間も長い。又、今回は全国からプロヒーローが呼ばれているのでこれだけに絞っても来場者の数は前年度以上。
開催に向けての期待が高まる雰囲気の中、体育祭の会場へ入場する時間まで控室で待機する一年A組のヒーロー科の生徒達。
生徒達は公平を期すためにコスチュームの着用は不可であり、全員が学校指定のジャージ姿だ。
「緑谷」
「ろき君?どうしたの?」
「いや、入学してから話してなかったと思ってな」
「そういえばそうだね。最初に教室に行った時には見たけど、声は掛けなかったもんねぇ」
「久しぶりだな」
「うん、久しぶり。あれから家族仲はどう?」
「良好だ。親父と母さんの仲が良すぎて見舞いに行く度に看護師さんからどうにかしてくれって言われる程には」
「そっか、よかったね」
「だが、それはそれだ。緑谷、俺はお前に勝つからな」
「勝つ?そっか。だけどね、僕にも負けられない理由ができたんだよ。僕は今回ハンデがあるよ。その中で、完膚なきまでの1位を取るんだ」
「イズク!ふざけてんのか?優勝するのは俺だっつーの!」
そして、入場の時。
『雄英高校体育祭!!ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!!お前らの希望通り注目株をさっさと紹介!と言うわけでいってみよう!』
『
『雄英高校メイン学科!倒して救って大活躍!未来の同胞ヒーロー科B組!』
『普通という割にゃあ粒揃い!伊達に雄英通ってない!CDE組普通科!』
『困ったときのお助けアイテム、どんな道具も作って見せる。EFG組サポート科!』
『どんな奴でもかっこよく!キッチリカッチリ宣伝だ!HIJ組経済科!!』
「うわああ・・・人がすごい。熱気がすごい。熱い。眠い」
観客席でしか見たことないから実感湧かなかったけど人、人、人、見渡す限り全部人、兎に角沢山居る。
「大人数に見られる中で最大のパフォーマンスを発揮できるか・・・!これもまたヒーローとしての素養を身に着ける一環なんだな」
飯田君はこれもヒーローに必要なことだと意気込んでいる。
「めっちゃ持ち上げられてんな・・・なんか緊張すんな!なぁ爆豪」
「しねえよ、ただただアガるわ」
切島君も緊張している様子だったが、相変わらず胆の据わったかっちゃんは全く動じた様子はなかった。
「選手宣誓!!」
ピシャンと手に持った鞭を振るって声を張り上げたのは18禁ヒーローことミッドナイト
「18禁なのに高校にいてもいいものか」
「いい」
「静かにしなさい!!選手代表!!特別推薦、1-A緑谷出久!!」
常闇君のもっともな疑問に峰田君が鼻血でも吹き出すんじゃないかってくらい興奮気味にミッドナイトの存在を肯定した。
もちろん勝手にしゃべることをミッドナイトが許すわけもなく鞭をピシャリと振って黙らせ、僕の名前を呼ぶ
壇上まで上がり息を吐き、宣言する。
「ふう......宣誓。我々、雄英生徒は、ヒーロー精神に則り、正々堂々と───なんて事は言いません」
「「「「「「「「は?」」」」」」」」
在り来たりだな~などと思っていた全員が唖然とする。
「正々堂々?そんなものは犬にでも喰わせておけ!そんな事に拘る者ほど、戦場では死んでいく。卑怯?汚い?泥臭い?言わせておけ!要は、ルールを破らなければ良い。例えば、相性が悪いとか何とか理由を付けて人を救おうとしなかったヒーローもいる!
そんな時に!生草食はんででも、泥水啜ってでも、泥濘ぬかるみを這いずってでも、目の前のモノにカジり付きなよ!
そして、もし個性が地味だ、などと言われてきたならば、世間に見せ付けろ!所謂『没個性』と呼ばれるものでも、使いようでは立派に戦え、人を救える事を!
勿論僕は、1位になる。天辺以外目指すつもりはないから。
・・・以上」
「「「...う..ウォォォォォォォォォォォォォォォ!」」」
『コイツはすげぇ事言ってくれたな!』
観客席、実況共にボルテージが一気に跳ね上がる。
1位宣言なんて言えば多方面からブーイングが来るかもしれないと分かってたけれど、それでも言わなければならなかった。僕という存在を、印象付けるために。そして、ヒーローとは何かを、考えさせるために。
「さーてそれじゃあ早速第一種目行きましょう!いわゆる予選よ!毎年多くの者が
「障害物競走・・・」
「計11クラスでの総当たりレースよ!コースはこのスタジアムの外周約4km!我が校は自由が売り文句!うふふふ・・・コースさえ守れば何をしたって構わないわ!さあさあ位置につきまくりなさい!」
重たい音を立てながら開く門の前には今か今かとスタートの合図を待つ生徒がひしめいている。
パッ パッ
一つ二つとランプが点灯する。
「スタ―――――ト!!」
僕は、動かない。さあ、これが、ハンデだよ。僕に、勝って魅せてね?
『おーっと緑谷?お前行かねえの?』
次の瞬間。トンネルの中が凍る。
『開始早々轟がかます!まさかこれを予測してったってのか、緑谷ァ!』
そして、動き出す。【土操作】で氷を切り刻み、そのまま今凍っていた人たちの前へ。
『み、緑谷!?お前助けるために待ってたってのかよ!それで1位になれんのかぁ?』
「なれるなれないじゃないんだよ。なるんだ」
『そして第一関門!ロボ・インフェルノ!』
「先頭はまだ第一関門か。いけるな」
スピードを上げ、第一関門まで飛ばす。
ロボットが見えたところで飛び上がり、【縮小】でロボを全て小さくする。そのままミルコの個性で跳躍し、周りの人たちを抜き去る。
『緑谷、人助けしながら進むという暴挙に出てるぞぉ?』
『いや、合理的だな。あいつが宣誓で言っただろ。ヒーローの本質を忘れるなって。人助けこそヒーローの本質。あいつはそれを体現してるんだよ』
『まじかよイレイザー!』
流石消太さん、わかってるね。
『にしても緑谷!!
0Pヴィランをあっという間に全滅させて他の競技者たちを助けたと思いきや、今度は全員を置き去りにしたぞ!すっげぇな、アイツ!!』
『0Pを全滅させたか。
この競技と順位のことを考えたら最良の行動とは言い難いな』
『なるほど!他人の妨害はしないってか!
イレイザーからも高評価の緑谷、コイツは金の卵だー!!』
『オイ、偏向実況が過ぎるぞ。やるなら公正にやれ。』
『うおーっと、コイツはシヴィーなツッコミ!お前もホントは緑谷を優先させたいくせに!
だがその通りだ、現在の状況を整理しよう!
まず、トップを走っているのが轟、少し遅れて2番目に爆豪がいる!そして3番目には緑谷だ!速すぎねえかお前?
さらに緑谷の後方、緑谷から引き離されつつある上位集団は第二関門を目指して走っている!
下位集団はまだ第1関門にすら到着していない!まばらな3トップ、それを追う上位集団、団子状態の下位集団という状況だ!!
…とか言ってる間に、上位集団は第2関門へと差し掛かろうとしている!
次は第1関門の様には行かねーぜ!?落ちればOUT、それが嫌なら這いずりな!
第2関門ザ・フォーール!!
ちなみに今年は空飛べるヤツがいるって聞いたから、対空ミサイルとドローンも完備しているぞ!
『
『「なんで名指しなんだよ...」』
まあいい。かっちゃんは爆風で跳んでいくだろう。ろき君は綱を氷で凍らせて、かな。上位集団を待っておくか。何人か落ちるかもしれないし、他人の個性を見ることができる。
『おっと緑谷?お前行けるのに何で止まってるんだ?』
『他人の個性が見たいんだろ。ついでに人助け、あとは少しの遅れなら取り戻せる自信だな。ある意味では合理的だが合理的じゃないな』
『どっちだよイレイザー!とかやってる間に上位集団が第二関門にとうちゃーく!どうすんだぁ?緑谷!』
【ハイスペック】フル稼働からの【サーチ】。【ズーム】や【大拳】、切島君たちもいるな。この個性なら落ちる心配はなし。よし、行くか。
『おっと緑谷、目をつぶったと思ったら走り出した。何をしてたんだ?』
『個性を使ってたんだろ。今のはたぶん【ハイスペック】と【サーチ】だな。他人の個性を見て、落ちる心配がないか確認してたんだろうな』
『なんなのお前、むしろ怖いんだけど』
マジでなんでわかるの消太さん。とりあえず追いつかなきゃ、な。【変形】【兎】で、綱なんて渡らずに跳んでいく!
『先頭が一足抜けて下はダンゴ状態!上位何名が通過するかは公表してねえから安心せずに突き進め!!
そして先頭は早くも最終関門!!かくしてその実態は・・・一面地雷原!!!怒りのアフガンだ!!地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞ!!目と脚酷使しろ!!ちなみに地雷!威力は大したことねえが音と見た目は派手だから失禁必至だぜ!』
解説によると音と見た目は派手だが大した威力はないらしいが、結構な威力があることを地雷を踏みぬいた生徒が身をもって示している。なる程、これは先頭ほど不利な障害だ。
「エンターテインメントするねぇ」
「はっはぁ俺は関係ねーーー!!」
と言う声が前から聞こえてくる。かっちゃんは【個性】の爆風で宙に浮いてるんだろうな。だけど、残念ながら。
「ここからは、
そして、地面に手を付けて【土操作】。先頭の前に時間差で現れる地雷を含んだ壁を作る。そのあと【変形】で完全な猫の姿になり、しなやかな体躯と【ワン・フォー・オール】を最大限利用し、地雷を避けつつ走っていく。
『ここで先頭がかわったー!!喜べマスメディア!!お前ら好みの展開だああ!!』
どうやらかっちゃんがろき君を追い抜いたみたいだね。
そこで突如前の地雷が大爆発。
『後続もスパートかけてきた!!!だが引っ張り合いながらも先頭2人がリードかあ!!!?ってなんだあ!!??』
爆炎が晴れた時にはそしてほんの数秒で出来たとは思えないような高さ30mは下るまいというほどの巨大な土壁が現れ、この壁を作るのにどれだけの土を使ったのかを物語るように壁の根元は幅4mほどの底が見えない深い溝ができていた。タイムラグも計算通り!その爆炎に紛れて土壁に穴をあけ、そのまま通り抜けた後に穴を塞ぐ。完璧だ!
『おおっと!!いつの間にか第四関門出来ちゃってるぜ!?ん?なんかいるぞ?あ、あれは猫ver.の緑谷じゃねえか!まさかこれも計算済みだったってのか!?』
『あいつが作ったんだろ。恐らくタイミングも計算済みだろうな』
『マジかよ!こいつぁヘヴィー!』
さて、人間に戻って、と。そのままトンネルを通り抜けてゴール!
『そして1番に戻ってきたのは1-A緑谷出久!他の奴らが苦戦している間にこいつが何をしたのか見ていこうぜ、リスナー共!』
『第一関門、第二関門では人助けをしたくらいで、特に目立った行動はしてないな』
『そして第三関門!の前か?こりゃぁ、先頭が第三関門に着いた時だな!地面に手を付けて、そのあと猫になって走り出した!』
『そして第三関門を体格を利用して走り抜け、壁が現れたときに穴をあけて潜り抜けていったな。爆風で見えないようにして』
『ここまで計算済みかよ!すげぇなおい!』
『とか言ってる間に爆豪、轟の順で到着だ』
『そのあとも続々とゴール!そして...』
「ようやく終了ね、それじゃあ結果をご覧なさい!」
1位が僕、2位がかっちゃん、3位轟君と続き最後は42位青山君までの計42名
「予選通過は上位42名!!!残念ながら落ちちゃった人も安心しなさい!まだ見せ場は用意されてるわ!!そして次からいよいよ本選よ!!ここから取材陣も白熱してくるよ!気張りなさい!!さーて第二種目よ!!気になる種目は――――コレよ!!!」
ドラムを叩く様な音と共にモニターに映し出されたのは【騎馬戦】の文字。続くルール説明は基本は変わらないが『各人に振り分けられたポイントの奪い合いがあること』があり、そのポイントの振り分けがおかしかった。
「1位に与えられるのは1000万!!!プラス出久君が強すぎるので、ハンデとして超長い鉢巻を使ってもらうわ!」
「1000万?」
「上位の奴ほど狙われちゃう下剋上サバイバルよ!!!」
周囲の殆どは一斉に僕を見た。
冗談でしょ?これからチーム戦になるのに一番標的になりやすい状態じゃ組もうとする人いないんじゃ...さっきまでの障害物競争よりハードな障害物なんですが...しかも超長いはちま...超長い?これ、割と僕に有利になるんじゃ...
疲れた。明後日には次話投稿します!
タイトル変えようと思うんですけど、何がいいと思いますか?2個目を選んだ人は感想で言ってください
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そのままでいい
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提案するよ
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知らんがなww
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さあ、愛を囁こう
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消太さんと相棒の飼い猫出久