「そこまでだ、ロリコンども」
俺は彼らの死角から出て姿を表す
「あァ!ンだてめェはァ!」
いきなりチンピラのうち一人が左腕で殴りかかってくる
が、俺は殴りかかってきた腕を右手で掴み、常人の何十倍もの身体能力を発揮しその掴んだ腕を一瞬だけ握り骨を折ってから、相手をこちら側に引っ張り首筋に手刀を食らわし気絶させる
「天誅」
「ちっ!なめてんじゃねえぞお!このガキがあ!」
もう一人のチンピラがナイフを取り出す。それを見た二人の女子中学生が青ざめる
「女子中学生を襲うロリコンに言われたくねぇよ」
ナイフを持ったチンピラがナイフを俺に向けて突撃してくる
聖人の肉体の防御力も試したいし、食らってやるか
どん!と俺の肉体にナイフが当たる。目の前で自分を守ろうとしてくれた人が刺された光景を見たからか、女子中学生達が絶句する
そんな顔するなよ。…大丈夫だから
ナイフは俺に当たった瞬間へし折れた。さすが聖人
「てめえ…なんで死なねえ…」
「あばよ」
俺は折れたナイフを持ったままのチンピラの鳩尾に強烈な一撃をおみまいし、意識を刈り取る
「ケケケ、今の二人はLevel0の無能力者だが俺は違う。俺はLevel3の
そういって最後のチンピラが手のひらに火球を生み出す
「ケケケ、てめえは二人を能力を使わずに倒したよなあ?それって、てめえがLevel0だってことだよなあ・・・?」
「………………」
「ケケケ、沈黙は肯定と受け取るぜえ。死ね!」
チンピラが俺に火球を投げつけてくる
…まったく、勘違いするなよケケケ野朗
俺はポケットからメモ帳を取り出しアニメで見たことのあるステイルが使うルーン、『松明の炎』と『口』を表すルーンを書き紙をメモ帳の束から剥がす
「
俺が言霊を詠唱した瞬間、俺の右手に持っていたルーンの紙が燃え上がり炎剣になる
俺は飛んでくる火球に向かって炎剣を振り下ろし、それを打ち消す
「な!おめえ、能力者か!」
本当は違うけど、この街のやつらに魔術の存在を知られるわけにはいかない。
だからここは「そうだ」とだけ言っておく
「……くそっ!覚えてろ!」
はいはい、噛ませ犬的セリフをありがとう
最後のチンピラは気絶している仲間であるはずのチンピラ二人を放っておいて逃げ出した
それを見届けた俺は炎剣を消してから襲われていた女子中学生二人組のほうを見る
「…大丈夫か?」
可愛いいいいいいいいいい!なにこの子達!?ちょっと俺も襲いたくなってきたんだけど!!
内心やばい事になりつつも穏やかな笑みを浮かべつつ優しく声をかける
「………はっ!は、はい大丈夫です!そ、その助けてもらいありがとうございます!」
長髪の女の子が俺に頭を下げてくる
「別にいいよ。それと…そっちの君も大丈夫かい?」
「………えっ?あ、はい!大丈夫です!危ないところを助けてもらってありがとうございました!」
頭に花飾りをつけた女の子も頭を下げてくる
………困ったなあ。前世では感謝で頭を下げられるより命乞いで頭を下げられるほうが多かったからこういった時の対処法がわからない
「そ、そういえば、君たち急いでるんじゃあなかったかな?」
話題を少し変えてみる
「そ、そうですよ佐天さん!白井さん達との約束に遅れちゃいますよ!」
「そうだった!すみません、あたしたちこれから人と会う約束があって急いでるんです。だから、その、お礼とかできなくてすみません!」
「礼なんていいよ。それよりも、早く行ってきな」
「本当にすみません!」
そう言って二人組の女子中学生達は走っていった
「……さて、と。これから何をしようかな」
前世で得たルーンの知識…なかなかに使えたな
アニメで見たステイルのルーン、それを見て興味が湧き他のルーンについても学んでみたし、あとは慣れだな
とりあえず、路地裏から出るか…
路地裏から出た俺はどこか当ても無く道を適当に歩いてみる
そんな時、ビラ配りをしていた人から何気なくビラを受け取ってみる
「……クレープ屋か。ちょうどいい腹も減っていたし」
丁度この近くみたいだし、行ってみるか
歩くこと約五分、ビラで見たクレープ屋がある道路に面した広場に着いた
それにしてもこの広場には小さな子供がやけに多い気がする
そう思いながら道路のほうを見るとバスが一台停まっていた
…なになに、来年度入都市希望者用学園都市見学会……そういうことか、それでこの広場にはやけに子供が多いのか
まあ、とにかく腹が減ったので俺はクレープを売っている屋台に並ぶ
……あ、金持っていたっけ?
少し心配になった俺はズボンのポケットを漁ってみる
数秒の間ポケットを漁ると財布を発見した
よし、財布は見つけた。問題は中身だ。これで中の金が無かったら俺は餓死する
俺はこの学園都市でこれからの生活を心配しつつ財布を開けてみる
「………!!?」
見た瞬間、財布を閉めた
……札束はいってる…さすが神様、わかってる
そうこうしていると順番が俺に回ってきたようだ
無事、クレープを購入できた俺は適当なベンチに座りクレープを食べる
味は無難にイチゴだ。どうやらビラには先着100名様にゲコ太マスコットが貰えるようだが俺は貰えなかった。どうやらもう渡しきってしまったらしいな。ま、べつにゲコ太には興味ないがな
物思いにふけりながらクレープを食べていると、突然爆発音が鳴り響いた
「…なんだ?」
爆発音が鳴り響いた瞬間に俺はクレープを口の中に放り込み、食べながら爆発が起きたであろう場所に向かい歩く
どうやら爆発が起きたのは道路の向かい側の銀行のようだ
俺はクレープの屋台がある広場と道路を遮る柵にもたれ掛かりながら爆発が起こり煙がでている銀行を見てみる
煙の中から三人の男が飛び出てきた
「銀行強盗か…いつの時代も、どこの場所でも、こういうのは後を絶たないよな」
そのとき一人の少女が銀行強盗たちの前に現れた
「
適当に事の行く末を見ようと思っていると銀行強盗の内の一人の巨漢の男が
だが
それを見た髭面の銀行強盗は手のひらに火球を生み出した
どうやら髭面の男は
すると突然
走り出した
と思われたが
「
ドロップキックを食らった男は地面にうつ伏せに倒れる
次に白井黒子は太ももに手を当て鉄の杭を男の衣服と道路を繋ぐようにテレポートさせ男の動きを封じる
仲間が二人ともやられた最後の銀行強盗の男は仲間を見捨てて逃げ出す
逃げ出した男は道路にいた男の子の腕を掴み走り出す
「だめえぇ!」
その光景を見て銀行強盗と男の子のところに走り出した長髪の女子中学生が男の子の体を抱きしめ銀行強盗から男の子を引き剥がそうとするが邪魔をされた銀行強盗は女子中学生を蹴り飛ばし再び逃走を開始し、すぐ近くにあった逃走用の車に乗り込み発進させる
20メートルほど進んだ車はおそらく当初考えていた逃走ルートではなかったのであろうかUターンをしてさらに加速する
誰もが銀行強盗が逃走してしまうと思ったとき、一人の少女が車の前に立ちふさがる
その時、道路に固定された
「
え?まじ?
「そしてその
その少女は体に電気を纏い空中にコインを放り投げ、それが自身の前に落ちてきた瞬間、車に向けて音速を超える速さで撃ちだす
「………
撃ちだされた弾丸は高速で接近する車に直撃し吹き飛ばす
吹き飛ばされた車は空中で何回転かし、運転手の銀行強盗の男はフロントガラスから空中に放り出され、道路に落ちた
そこまでは良かった。だが吹き飛ばされ空中で何回転もした車は一般人、それも小さな子供が大勢いる広場に向けて飛んでくる
ここで俺が何もしなかったらこの広場は車にすり潰されミンチになった人間たちの卸売り場になってしまう
「お姉様!」
「しまっ……!」
「みなさん!逃げてくださいまし!」
周りから子供達やその親達から悲鳴が上がる
「くそっ……!」
俺はポケットからメモ帳を取り出し『松明の炎』と『口』を意味するステイルのよく使うルーンを二枚書いて千切り、メモ帳を投げ捨てる
「
右手に持ったルーンの紙が燃え上がり手のひらの上に炎剣を生み出す
「
右手と同様に左手にも炎剣が生まれる
「
俺は炎剣をX字に振るう
それは飛んできた車を文字通りクロスに切り裂き爆発させた
その瞬間、誰もがようやく事件が終わったと思った
だが、最初に白井黒子に倒された巨漢の男がしぶとく起き上がり、もう一度白井黒子にタックルをする
「・・・な!?うぐっ!」
「黒子!」
「白井さん!」
完全に不意を突かれたらしく白井黒子は巨漢の男のタックルをまともに食らい吹っ飛ばされた
そのまま巨漢の男は地面に鉄の杭で固定され身動きの取れない
「お姉様!もう一度レールガンを!」
「駄目!この距離からじゃコインが車に届く前に空気摩擦で溶けちゃう!」
今度こそ逃げられる。誰もがそう思った時
「まあ、待てよ」
「・・・え?」
俺は柵を乗り越え、
「・・・ふっ!」
俺はそのまま車に追いつくと車の後部に腕を突き刺し、持ち上げ頭上を一回転させ道路に逆さまにして叩きつける
「まったく、これでようやく終わりだな」
数十分後、夕暮れ…
「さ…さっさと歩いてくださぁい」
そんな時、白井黒子が
「あなたの能力も中々のものでしたわよ」
「・・・・・ん?」
「Level3、といったところかしら」
「能力に有頂天になるあまり道を違えたようですわね。しばらく自分を見つめなおして、もう一度出直してくださいな」
「…………っ…」
そう言って白井黒子は強盗犯の前から立ち去った
そのとき誰も男のポケットの中にひとつの音楽再生機が入っていることに気づかなかった
その中に入っている一つの曲が入っていることも
その曲が後に学園都市を揺るがす大事件の原因であることも…
「本当に、ありがとうございました!」
「いえ…あの…」
「なんとお礼を言って良いか…。ほら、あなたも」
母親であろう人に促され、その体にしがみついている男の子は
「お姉ちゃん、ありがと!」
その一言で十分であったのか、言われた長髪の女子中学生は少し顔を綻ばせた
「………ふう」
子供とその親も帰ったとき
「………あ」
「お手柄だったね、佐天さん」
目の前に御坂美琴がいた
「…………え?」
佐天さん、と呼ばれた女の子は少し驚いていた
「すごく、かっこよかったよ」
そして、また少し顔を綻ばせた
「…御坂さんも…」
「お-ねえっさまっ!」
突然、白井が御坂の背中に抱きついた
「ぐわあ!こら黒子!」
「佐天さん!」
「…ん?」
自分の名を呼ぶ声がしたほうを向くとそこには頭に花飾りを着け自身と同じ制服を着た友人、初春飾利がいた
「お怪我のほう、大丈夫ですか!?」
「へーき、へーき」
「本当ですか!?」
「あー、いてて。肩外れるかと思った」
俺は彼女らに近づき佐天さんと呼ばれている少女に声をかける
「どうも。さっきはかっこよかったですよ」
「……え?ど、どうも……って、あ…」
「ん?どうしたんですか?佐天さん……あ…」
「………?…あ」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!あなたはあの時の!」
「あの時の…」
「君は…あの時の」
「?知り合いですの?初春に佐天さん」
「ええ!ほら!ここに来る前に話した!」
「危ないところを助けてくれた人です」
「そうですの。どうも、
「いや、礼なんていいよ。俺はたまたまあの場所に居合わせただけですから…それよりも、おいそこの
「ふぇっ?わ、私?」
「お前以外に誰がいる?あの時、この場所に俺がいなかったらどうなっていたと思う?吹っ飛んできた車に子供はすり潰され一瞬でミンチの出来上がりだったぞ」
「…ご、ごめん…それと飛んでいった車を爆発させて、銀行強盗が乗った車を持ち上げて止めたのって…」
「ああ、俺だ」
「そう…。ありがとうね、わたしのミスを…その…」
「わかったなら良い。それよりも君、怪我は…大丈夫かい?」
「えっ!?だっ大丈夫です!それよりも、あの時は助けてもらってありがとうございます!ごめんなさい…ちゃんとしたお礼も言えなくて…」
「わっ私も!その…危ないところを助けてもらって、ありがとうございました!」
「いや、礼なんていいって…」
「それでも!何かお礼をしないと、あたし達の気が済みません!」
「そ、そうですよ!」
「そうだね…じゃあ、君達の名前を教えてもらえるかな?」
「な…名前ですか?」
「そう、名前」
「佐天涙子です!」
「うん」
「初春飾利です!」
「うん」
「白井黒子と申します」
「ごめん、さっき聞いた」
「あら、そうでしたっけ?」
「私は御坂美琴。よろしくね」
「俺は
「それよりもあなた、その猫を被った話し方はなんですの?」
「ん?ばれてたか」
「なにかと違和感を感じまして」
「ばれたのならやめるわ」
「そういえばお前ら、もうそろそろ完全下校時刻だけど、寮の門限とか大丈夫なのか?」
「……げっ。寮監に殺されるかも」
「ふっ。途中ぐらいまでなら送っていくぞ」
「えっ?そ、そうね、ならお言葉に甘えて」
「ず、ずるいですよ御坂さん!私達も佐野さんと一緒に帰ります!」
「おっ!初春、なんだか積極的だね!」
「な、なななななななに言ってんですか佐天さん!そんなことありませんよ!」
「大丈夫、きっちりお前らも送ってってやるよ」
「えっ?良いんですか?」
「それぐらいならお安い御用だ」
「そ、それならあたし達もお言葉に甘えて……」
「んじゃ、いくか」
そう言って俺達5人は歩き始めた
後ろの方から「わしの車がああああああああああああ!」と言う声が聞こえたが、聞かなかったことにした
……すまないな(棒読み)
無事彼女らを寮に送って行った後、俺は自分の寮への帰路についていた
「おい、お前。止まれ」
ガチャリ。俺の背中に向けて銃が構えられる
俺は両手をあげ敵対の意思がないよう示す
「おとなしく着いて来い」
「わかった……」
俺は振り向き銃を構えていた男を見る
随分と早い対応だな………
………土御門元春
どうも
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