異世界転生したのは世界のVIP達から認められた料理屋の店主 作:北方守護
そこは白い空間で、そこにはその者しかいなかった……
「うーん……あれ?ここって……確か俺は仕入れを終えて店に戻ってた途中で……!!そうだ……俺は……」
《そう、君は命を落としたんだよ》
その者が話しかけた者を確認しようとした。
「あれ?あんたって確かウチの店の常連さんの
《1つずつ答えてあげるよ、ここは【魂の泊場】(たましいのはくば)と呼ばれる場所なんだ、ここに居る事が出来るのは
「は?死んだ者と……神と言われてる存在って……ハハハ、善さん……冗談が過ぎるぜ……」
《いや、冗談なんかじゃないよ……コレを見たら僕の言ってる事が真実だって分かるよ》
善が手をかざすと鏡の様な物が現れ、その鏡面には彼の葬式の場面が映し出されていた。
「なっ!?……嘘だろ……そうだ……段々思い出して来た……俺は仕入れを終えて帰る時に……オェー!?」
《だめだ!それを思い出してはダメなんだ!!》
善は彼が死ぬ瞬間を思い出し青い顔をして嘔吐したのを止めた。
《大丈夫かい?……本来なら命を落とした者は自分が亡くなった時の事を思い出す事が無いんだ》
「無いんだって……けど、俺は今、ウッ!……」
《済まない……それは、こちらの方の責任だ……》
善は事情を説明した。
それによると善が店に行こうとした時に何らかの歪みを感じたので元の世界に戻った所人間の魂を管理する者が失態を起こし、幾人かの人間が本来の寿命では無いのに命を落としたとの事だった。
「じゃあ……俺がここにいるのは……」
《あぁ、こちらの方の不手際なんだ……申し訳なかった!》
「あぁー 善さん、そんな事を言われてもこっちからしたらどうなるかだけ教えて欲しいんだけど?」
《何だい?僕に怒ったりしないのか?》
土下座していた善は彼の言葉にキョトンとしながら顔を上げた。
「うーん……普通なら怒る所なんだろうけど……それをしたからって元の世界に帰れるって訳でもないだろ?」
《そうだな、あの世界においてアンタの存在はもう無いからな……》
「それに、ここに善さんが居るって事はアンタが何かをするんじゃないかって思ってるんだけど」
《なるほど、そう考えていたのか、そうだ君はあそことは
「ん?新たな世界って……そんな事出来るのか?」
《あぁ、これでも僕は幾つの世界を管理してるんだよ、その中の世界の1つに転生してもらう》
「転生か……そこはどんな世界なんだ?」
《分かりやすく言うと時代的には君の世界でいう所の中世の欧州の様な感じだね》
「なるほど……それでこっちの世界との違いとかはあるのか?」
《あぁ、その世界は科学の代わりにに魔法が発展していて人間とは違う存在も普通に住んでたりするんだ》
「人間とは違う存在って……エルフとかドワーフとかって事か?」
《そうだ、他にも獣人や魔物もいるな……それと、その世界じゃ調理技術がそんなに発展してないんだ……
だから、君には向こうで色々な調理技術を広めてほしいんだ》
「発展してないって、どんな感じなんだ?」
《肉や魚は焼くか煮る、野菜類なんかも生か茹でたりするだけって所だ》
「そんな世界で俺が色々やっても良いのか?」
《あぁ、その世界の者達は、色々な食材があってもさっき言った事位しか出来ないんだ……だから、君がそこの者達に新たな事を教えてほしいんだけど……》
「善さん……あぁ、分かったよ一度落とした命だ こんな俺に何が出来るか分からないけどやれる事をやってみるよ」
《ありがとう! それじゃ君を転生させる前にこちらから特典をあげるよ》
善が手をかざすと光り輝くモノクル状の物と辞典程の厚さの本と銀色の定規、それと黒い方位磁針が球状になって彼の体に入り込んだ。
《それらは、君に与えた能力を具現化した物でね、その世界で必ず役立つ筈だよ そろそろ時間だね》
善がそう言うと彼の体が輝いて足元から薄くなっていった。
《向こうの世界に行っても……元気で過ごしてくれ》
「あぁ、善さんも暇があったら来てくれよ、それじゃあな」
彼がそう言うと体が全て消えて、その空間には善だけが残った。
《彼の魂に幸いあれ……おい姿を見せろ》
雰囲気の変わった善がそう言うと白いローブを纏った男性が現れた。
《お前は何をしたか……分かってるのか?》
《は、はい……私のミスにより本来なら死ぬべきでは無い者達を死なしてしまいました……申し訳ございません!!》
男性は震えながら善に土下座した。
《お前が謝っても何も戻らないんだよ……それよりも
《は、はい!こちらにあります!!》
男性は懐から3つの光の球を取り出すと善に渡した。
《本当なら、これも彼に授けたかったんだけどな……まぁ、あっちの生活に慣れた頃に渡すとするか……おい、お前はもう戻れ》
《は、はい!分かりました!
男性は頭を下げると善の前から姿を消し、それを見た善も姿を消した。