失踪したわけでないのでご安心を。
敬礼を解き、改めて全体を見回す。
最後に見た時よりも背は縮み、若干背中も曲がっている
「少し窶れたか?余りストレスを溜め込まない方がいいぞ提督。」
「その呼び方は止してくれ。私は、もう提督では無いのだから」
彼は困ったように笑ってそう答えた。
「それにしても、貴方が来るとは思っても見なかった。解任後は何を?」
「あぁ、解任後はそのまま提督を引退した。何か別の仕事をも思ったのだがな?それでは勿体ないといつの間にか憲兵の指導役として担がれていたんだ。そこからはずっと後進の育成に当たっていた訳だが、今回の一件を聞きつけてな?無理を承知で上に掛け合ってここに戻ってきたと言うわけだ。私自身はあくまでもここに配属される憲兵達の指南という扱いだが、それまでは提督補佐として仕事をする事になっている。君こそ元気そうで何よりだ。」
「・・・約束があったからな。ここを離れる訳にはいかなかったし、何より私の居場所はここだけだ。」
「そうか・・・確かにそんな約束もしたな。しかし・・・」
一旦言葉を区切って私をじっと眺めてくる提督。その事に対し私は首を傾げると彼はいい笑顔で続きを話した。
「律儀に守ってくれるとは思わなかったよ。どちらかと言えば君は適当な理由をつけて破るかとばかりに思っていたがね」
最初から挑発してくるとは中々度胸がある。それに今の彼の表情も相まって、こちらもカチンと来てしまった為に、売り言葉に買い言葉の要領で返してしまった。
「久方ぶりの再開にしては随分な物言いだなぁ提督?そんなに穴を開けて欲しかったのなら済まなかった。すぐに特大の物を作ってやろう」
私の発言を聞いて流石に不味いと思ったのか。冷や汗を出しながら謝罪してくる元提督。昔はこんな事言うような人ではなかったのだが、一体いつからこんな挑発をするようになったのやら・・・
物思いに耽っていると「あの」と声がした。
振り返ると、2代目と電が声の主のようだった。
「もしかして知り合いなの?(ですか?)」
その質問に対し私は
「知り合いと言うより、互いが恩人と言ったところか?」
と先代に確認するように尋ねてみれば
「そうだな。随分と世話になったし、世話が焼けたな」
なんて言葉が返ってきた。
「さて、立ち話も何だ、いい加減入るとしよう」
その言葉に無言で頷き、後を着いてくる先代。ああ、そう言えばまだ1番言いたいことを言えてなかったな。
ふと立ち止まり、振り向きざまに彼に告げる
「お帰り、先代」
「あぁ、ただいま。」
その後は談笑をしながら執務室まで歩いていた。
どうやら新人は実の娘らしく、小さい頃から父である先代の話を聞いて育ってきた。その為夢は当然提督になることで、先代のような指揮官になるのが今の目標らしい。
そして彼女は執務室に入ってからの第一声が
「なに・・・・この惨状?」
である。
無理もない。全員が目の下の隈ができている状態で作業しているのだ。(しかも何人かは死んだ魚のように目が濁っている)
「見ての通りデスマーチを行軍中だが?」
「それは見れば分かるが、この量は多すぎては無いのかね?」
「これでも私が不眠不休で8日間捌いたんだがな?」
「それでこの量!?」
「言ってやるな。因みにだが、提督が着任したことでこれを1人でほぼ処理するのは確定してるからな」
「え?私一人で?全部やるの!?」
「安心しろ。一月程度は私が秘書を務める。流石に助け舟なしはキツいだろうからな。先代が若い頃はこんなの日常茶飯事だったぞ?」
「あれ?もしかして鎮守府って物凄いブラック?」
「昔は上も下もバタバタ死んで行ったからな。これぐらい出来なければ、務まらなかったのだよ。」
「当然先代にも分担してやってもらうぞ」
「恩人をこき使う気かね君は」
「働かざる者食うべからず。それに、補佐としている以上、仕事はしてもらうぞ。何、軽食程度なら私が作ってやる。」
私がそう言った瞬間、執務室のドアが乱暴に開かれ、「「レックスが作る飯だと!?」」と動揺しながら二人の人物が顔を出した。・・・もう来ていたのか、思ったより早いな。それからドアくらい静かに開けろ
しかし、私が言葉を発するよりも早く、ダァン!!という勢いよく何かを叩く音で全員の意識がそっちに動く。
そうした目線の先には、我慢の限界と言わんばかりの顔をした大淀がいた。そして彼女は1度大きく息を吸うと、一気に溜め込んでたものを吐き出した。
「いい加減にしてください!今は仕事中であって休憩時間じゃないんですよ!三徹したってまだ終わらないのにそちらは呑気に談笑なんかして・・・・・いいご身分してますねホントに!!そんなに暇なら少しは手伝って下さい!あなた達2人もそうですよ!普通に開けるならまだしも乱雑に開けて・・・ドアが壊れるじゃないですか!それに少しは周りの迷惑も考えたらどうですか!仕事中だって見て分かりますよね?それともあなた達の目は節穴ですか!?人が疲労困憊の時に限ってなんでそんな事するんですか!?来るなら来るで事前に誰かしらに伝えれば良いものをクドクドクドクドクドクド・・・・・・・」
その後も大淀の機関銃の如き説教は止まらず、最終的に今日はもう書類整理をしないという事で妥協された
場所は変わり今は全員が私の部屋にいる。
行方不明だった部屋の鍵は何故か先代が持っていたのでそれを受け取って部屋を開け、龍田の部屋に置いていた荷物を速攻で部屋に入れた。
「久しぶりだな、ヘイヴン、アーセナル」
そう、私が連絡を取ったのは同じ世界から来た仲間であるアーセナルだ。まぁ正確には、頼るのはアーセナルに搭載されている
ちらり、と私は彼女を見る。
確かに私はアーセナルには連絡したが、ヘイヴンには何も伝えてなかった筈だ。
「ヘイヴンとは途中で一緒になった。大まかなことを話したら、協力してくれることになった。」
気になってたのがバレてたのか、アーセナルが説明してくれた。
「早速だが、本題に入りたいと思う。」
「状況は通信で聞いた。それで?どうやって作るつもりだ?」
「G・Wにサポートを頼もうと思っているが、構わないか?」
「確かにアレなら適役だろう。だが、肝心の技術者が居ないでは話にもならんぞ」
「技術者なら既にいるだろう?」
「?・・・おい待て、まさかとは思うが」
「ヘイヴンまで来たのは予想してなかったが、まぁこの際だ。人数は多い方がいいからな」
察しがついたらしい
「成程、私とアーセナル、そしてREX、お前も含めた3人で作ってしまおうという腹積もりか」
全員から(又こいつはデタラメな事を)みたいな目で見られるが寧ろこれしか解決方がないと思うのは私だけか?というより他の案があるなら最初から提案している
「随分と無茶な事を考えたものだ。忘れたわけではあるまい?この世界の技術では試作品レベルにさえ届いてない」
「だが既に下地自体は出来かけているのだからどだい不可能と決めつけることもできまい。データが既にあるのだからな。」
「・・・本当にできるのか?」
「できるまでやる、唯それだけだ。」
そう発言した瞬間に静まり返る部屋
最初に口を開いたのは、ヘイヴンだった
「相変わらずの考え方だな。まぁ、ちょっとした羽休めには丁度いいか。いいだろう、手伝ってやる。」
「話を聞いた手前、放り投げるようなことはしないさ。何より中々に面白そうだ。」
「・・・協力はするがどうなっても知らんぞ?」
3人からの返事を聞けた事で、工廠の使われていない一部を間借りし、そこに必要な機材を置いて研究をするという大まかな流れを説明する。
本来ならちゃんとした研究機関の元でやるべき事案なんだろうが、何しろ作ろうとしてるのは恐らく数十年かかっても作れないであろうオーパーツだ。悪用されればとんでもない結果になる事は目に見えている。必ずしもそれが作った本人の願った通りに使われるとは限らない。一歩間違えたら大惨事なんてのはよくある話だ。
異論がないことを確認して、各々が解散し、自分の部屋へ戻っていく。
かなり根気のいる作業になるが、まぁ大丈夫だろう。アイツらがそう簡単に根をあげるほど柔じゃないことはとうに知っている。
オマケ
リア友との会話
「なぁ」
「ん?」自分執筆しながら
「この4人アークナイツにぶっ込んだらどうなるん?」
「ドレビンっていう銃火器店を作って稼いでる」
「書けよ」
「え゛」
「なんで書かないんだよ」
「アクナイ要素全然ないし、ロドスもレユニオンも出んし・・・これ以上作品増やしたらただでさえカタツムリ投稿がさらに遅くなる」
「逆に考えるんだ、投稿頻度を上げるための練習になる、と」
「その手には乗らんからな?」
「( `_ゝ´)チッ」