もしキャロルがアリス達を現実世界に返そうとしていたなら、という世界戦のお話。
「はぁぁぁぁ!!」
閃光一閃。深々とできた傷についにアリスの一撃が刺さった。
「うぐぁぁぁぁ.........。」
ハートの女王はその巨体を沈み込ませてゆく。反応も鈍くなっていることからすでに体力も残っていないようだ。
「......やったの?」
「.....生体反応消失。ハートの女王の撃破を確認しました。」
「「「「「「や、やったぁぁぁぁぁ!!!!」」」」」」
報告した人以外全員が喜びの声を上げた。もちろんそれはアリスたちも例外ではなく。
「アリスちゃんやったね!Aliceはこれで救われたんだよ!」
「そんな事はないわ。私は人類の最後の切り札。やるべき役目を果たしただけよ。」
アリスが煽てないでと言わんばかりにつぶやいた。そこに先程報告をあげてくれた少女が近づいてくる。
「あなたがアリスさんですね?」
「ええ、そうよ。あなたは何者?、いや、貴方達は、と言ったほうが良いかしら?」
「流石に警戒もされますか。私の名前は或守鞠亜。あそこにいる或守鞠奈の妹にして電子精霊です。それから鞠奈の横にいるのがそれぞれハナヨとハヤナです。」
「ふむ、名前はとりあえず把握したわ。でも、目的は聞いてなかったわね。」
アリスは目の前の鞠亜に対してそう言う。鞠亜は
「.......単刀直入に言います。もし興味があればあなた共々こちら側に来ませんか?」
そう彼女は宣言した。
「.....はい?」
あまりの突然の提案だったのか、アリスは唖然としていた。
時を戻してアリスが討伐に向かった後.....
「.....見ているのは分かっているわ。出てきなさい。」
ダヴィンチの発言で周囲の人物がハテナマークを上げる。その最中、一部分が歪み画面を作り出した。
「てへへ〜、バレちゃうか☆」
「見えてはいた。が、アナタが私達に仇なす存在かを判断出来なかったのでね.....。」
「まあ、警戒されるのも仕方ないか。」
画面の中の人物はこほんと息を整えると、
「初めまして、私は管理者がいなくなったここ、【ALICE】の管理を任された【篠ノ之 束】です。まあご贔屓にねダーちゃん♪」
そうして目の前の人物、束は告げた。ダヴィンチは一瞬心底嫌そうな顔をするも直ぐに冷静になり、
「....あなたが干渉する目的は何?管理しているだけなら私達の問題に付き合う暇はないでしょう?」
「私、知ってしまったんだよ。前の管理者の願いを。.....【キャロルの願い】を。」
束の発言で全員が驚愕し、画面の前に集まる。
「そんな、待って、キャロルの願いはALICEの初期化じゃないの!?」
そう声を荒げるのはラストトラベルの主役者アインシュタイン。
「あれは表向きの願いだよ。元々私はキャロルの親友だからね。今回の事件で何がしたいのか分かっちゃったの。」
「表面上....?」
「うん、本当にキャロルがやりたかったことは、【ALICEの初期化を促すことにより一部アカウントの現実世界への受肉】。これがキャロルの本当の目的だよ。」
「「......!?」」
「.....んまぁ、詳しく言っても分からなさそう?」
「.....いえ、キャロルの意図を止めた一人として聞く義務はあるわ。」
「私もね。あいつが何をしたかったのか、私達はここで知る権利がある。」
二人はそう告げる。束は二人の覚悟の決まった顔を見て観念したか口を割った。
「まずは、そもそものキャロルの目的の前提条件から話さないとならないね。」
「前提条件?」
「キャロルが死ぬ直前まであいつは現実世界の肉体までこちらに影響を及ぼさなかったかい?」
「え、ええ。最後はあいつは現実世界の肉体をも使って抵抗してきたわね.....。」
「では聞くけど、あれと同じような例が過去にあったかい?」
束はそう聞く。それを聞いた二人は少し思案するとなにか思い当たったのか顔が青ざめる。
「まさか!?」
「そ、キャロルの娘、アリス。もともとキャロルの計画はアリスがこちらの世界に転移したことから決まったようなものなのさ。」
束はブツブツと呟くと更に喋りだす。
「キャロルの本当の目的は自分の娘であるアリスを自らを犠牲にして現実世界へ帰還させること。それこそ、娘自身が自らを殺すことまでを予期してね。」
「.....じゃあ。」
「うん、今は私の信頼できる友達が迎えに行ってるよ。」
「....そう。」
アインは少しホッとしたかのような声を出すとともにキャロルの真の目的を見つけだせなかったことに少し落胆している。
「まあ、アリスがキャロルの残留思念体のデータを回収したのは少し驚きだったけどね。」
「!?ちょっと待って、完全に消滅したんじゃなかったの!?」
「正規の手段で倒していたならば、ね?」
「......まさかそういうこと?」
「そ、この戦いの最終条件はアリスが現実世界への帰還を果たすこと。ならキャロルの残留思念体が残ってもおかしくはないでしょ?」
「ぐぬぬ....。」
アインが少し悔しそうにしていた。束はそれを見届けると、
「ねぇ、君達のアリスをこちらの世界に連れて行ってもいいかな?」
予想外の展開ではなかったのか二人の反応は薄い。先に動いたのはダヴィンチだった。
「一つ聞かせてもらおう。アリスがあちら側に帰還したらこちらからはもう干渉は出来ないのかい?」
ダヴィンチが問うた問いに対し束は冷静に、
「アリス達は戻ることはできないよ。前提条件と矛盾するからね。けど、君たちがこちらから干渉する分には問題はないよ。交信も可能。なんだったら私の得意分野でこっちの世界とそっちの世界を行き来できるよう何らかの手段を作ってあげるよ?」
そう答えた。あまりにも破格な条件に二人は揃って疑いをより深くした。
「正直、あなたが得られるメリットが少なすぎるわ。何を考えているのよ?」
「ALICEを自分の手で管理できている。それだけで儲けものだよ。なんせこの世界にいるのは世界の偉人を模したAIたち、私が気に入らないわけがない。」
「....そうか、アリスを頼む。」
「アイン!?」
なんとアリスのことを託したアイン。突然の発言にダヴィンチは思わず振り向く。
「だって、あのキャロルが願っているならば、私達はその邪魔をしたことになる。そう考えるならば、アリスの好きにさせたらいいと思うの。この世界に残るならそれもよし、あっちの世界に行くなら私達はそれを止める権利はない。そうでしょ?」
「.......みたいだね。アリス達はこっちの世界に来ることを選んだみたい。」
「そう......。ん?アリス....達?」
変に増えた単語にアインが首を傾げる。束は思い出したかのように相槌を打つと、
「ああ、そうだ。アリスと一緒にクーロンちゃんとフェルミちゃんも連れて行くって言うの忘れてた☆」
「「は?」」
「まあでも言ったからいいよね!じゃあまた次に合うときは行き来出来る機械が出来たときかな!それじゃーねー!!」
「あっちょっと!!」
アインの声虚しく画面は一方的に切られた。残された二人は上の空の方を向く。
「ねぇアイン、ダランベールたちにクーロンのこと、どう説明しようか.....。」
「はぁ....S7の最後の仕事、やらなくちゃね.....。」
二人はこのあと襲う仕事の波にため息をつくのだった。
「まあそんなことがあったわけで。」
「事後承諾.....。けどまさかホントに現実世界へ帰ってくることができるとはね.....。しかも自分の肉体がちゃんとあるし。」
アリス達は、四人の提案を快諾し現実世界へ帰還を果たしていた。
そして目を開けると散らかった部屋。流石にこれには3人も唖然である。その時である。近づいてくる人物を察知したアリスは条件反射で光の剣を顕現させ音がする方向に向けた。
「誰なの!?出てきなさい!」
その声に呼応したのか一人の少女がその姿を顕にした。
「3人共、大丈夫でしょうか。私はここの主の義理の子供のクロエ・クロニクルです。」
「は、はぁ....?私はアリス、アリス・リデルよ。」
「ではアリス様、私の主である束様がお待ちです。ついてきてください。」
そう目の前の人物であるクロエはそう答えた。
To Be Continued........
次回は一応本作主要キャラの資料を提示する予定