バレンタイン回が難産なのでひとまず移植。
クラス代表選抜戦の前日の夜。セシリアは一人窓を開けて耽っていた。
私は元々こんなに良い貴族ではありませんでした。代表候補生という座を勝ち取れたのは私をここまで育てあげたがために暗殺された父と母の犠牲があってようやく実った結晶です。それから、私の父の財産を狙う輩を追い払うため貴族としての威厳を取り戻し、今でこそイギリスでもひと目置かれる貴族と成り上がりましたが......それが今再びズンドコへ叩き落されようとしています。
ALICE......約4、5年前にサーバー稼働が開始しまたたく間に世界の経済や通信手段を担う一大ネットワークと成し上がったシステム。私がまだ貴族としての地位を取り戻して間もない頃、父と母は先行して元となったサーバーへダイブし日々何者かと実験を繰り返しては現実世界と行ったり来たりを繰り返していました。そんなある日のことです。
突如ALICE内部で戦争が勃発しそこで利用していたアカウントの大半が消し飛ぶという事故が起きました。そしてその事故で私の父と母はその影響を強く受けそのまま起きることなく亡くなりました。自分もそのことを知ったのはその事件が起きてから数時間後のことで、当時は何から手を付けたらいいか、分からずじまいでした。そんな時です、彼女が手を差し伸べたのは。
『ボクが立て直しの手伝いを使用じゃないかァ。』
きっと、その時からなのでしょう。私いう存在がALICEから拒まれ始めたのは。
「だから私は、止まるわけにはいかないのです.......。」
ーーーーー全ては、もう一度あの人、
【ウィン】さんと会うために.....!!
時を同じくして、二人は千冬を部屋に呼び寄せていた。
「全く、どうした?フェルミ姉妹。」
「少し人払いが必要だったので。取り敢えずこの画面を見て一言お願いします。」
そう言いクーロンが消していた画面の電源をつける。するとそこには、
「はろはろー!ALICEの管理者束さんだよー!!」
「.....これはどういうことだ?」
千冬の顔が途端に険しくなっていく。その顔はとても怒っているようにも見えた。が、さすがそこは教師、状況を把握したのか冷静な顔つきに戻った。
「うしろに遅れてくる予定の子が居るんだけどね〜。その子のISのスペックを取り敢えずデータだけでも渡しておこうと思ってね〜。」
フェルミはそう言いながら自身のガシャポン装置からデータチップを取り出し、千冬に渡した。千冬から確認の有無を聞かれたので許可を出すと千冬は簡易的な装置で測定を始めた。そして直後、小さく口を開いた。
「おい束.....お前何をした?」
たった一言、されどその一言は氷点下に近い音色だった。ビビったのか、束は慌てて弁明しようとあたふたしているのが千冬の目には映った。
「そ、それはね。一応それを使わないならただの新型フレーム技術試験機だから....。」
「使えばチートだろうが!!一体何だこのシステムは.....!!」
「そうカッカしないで下さい千冬さん!!さっきもそれで私達がキレたばっかなんですよ!!」
「お前らもか......。」
二人も被害者だったのか、そういう反応を見せた千冬だったが、どうも抜けない。千冬はそこでカマをかけることにした。
「で、だ。このシステムの全貌を話してもらうぞ。」
「それに関しては私から説明させてもらおうか。」
四人の声ではない第三者の声。しかもそれは画面奥から聞こえてきた。画面の向こうで左右を探すアリスと束。そして見つけた反応を示すやいなや、ポツリ一言束が漏らした。
「......キャー君、その姿って.....!?」
束が見た姿は、いつものワンピースを着たアイツではなく、本来、ここで出てくるべきではない人物だった。
「一体誰.........は?」
思わず声を漏らす千冬。画面奥では束が顔を覆い、アリスが驚愕の表情をし、クーロンとフェルミはその姿に敵意を少し見せていた。そして当の本人は、というと。
「.....すでに死亡ニュースは出ていた筈だ、なぜお前がここにいる!キャロル!!!」
千冬は防音設備がきちんとしているのにも関わらず貫通レベルの大声を上げた。
「ふん、まずはここまでの経緯を説明せねばなるまい......それを踏まえた上で例のシステムの話をしよう。」
そしてその男、キャロルはここまでの経緯を事細かく説明した。相変わらずの処理能力といい束に劣らない技術力。千冬はこの男の対応をどうすべきか悩む。
「なるほど......試験的なサーバーとの同期システムか。たしかにそれなら試作型自立稼働機としてのていは成すか。」
「ああ、多少詰めが甘いところはあるがそこはおいおい私自らが調整するつもりだ。......もともとあの世界は私が創り出した世界だ。ならば、少しぐらいあの世界を彼女等に託しても問題はないだろう。すでに私は死した身。後は彼女らに任せるさ.....。」
まるでもう役目は果たしたと言わんばかりの言動のキャロルだったが、それはアリスのチョップで遮られた。
「.....キャロル、こいつは誰だ。」
「彼女はアリス。私の娘のようなものだ。ついでにALICEを救った英雄でもある。」
「英雄?」
「そんな大層なものではないです。拡大解釈しないでくださいよ。パパも煽てないで!」
「フッ......ところで何の用だ?」
「パパに言われたとおりイギリスからのALICEへのアクセス履歴を調べたんだけど.......ちょうど3年前の今日、セシリアってところのアドレスからALICE実装の際に使われていた【コロン】っていうサーバーへのアクセスが見つかったわ。」
「コロンって.......。」
「うん。デバッグ用テストサーバー【コロン】。その....それも最深部データとの更新履歴が残ってる。」
「.....ほう?」
話を静かに聞いていた千冬がポツリと反応を示す。隣にいた二人もコロンという単語を聞いて真っ先にアイツを浮かびあげた。
「.....オルコットのやつ、何か隠し事をしてるな?」
「でしょうね、木っ端微塵にして問い詰める理由ができました。なんとなく理由はわかった気がしますけどね。」
「クーロンちゃんも?案外キミも頭が回るんだねぇ〜。」
「予測はしていましたがね。アリスちゃん、試合が終わるまでに彼を引きずり出すことはできる?一方通行で。」
「あなたさらっと無茶を.....!!まあできないことはないけど、かなりギリギリよ?」
「それで十分だよ、できるならお願い。」
クーロンが必死にお願いし、それが聞いたのか三人衆が折れ、彼女の現介準備が始まった。通信を切った二人は千冬を方を向く。
「....やはりお前らは何者だ?姿といい身なりといい、何から何まで常識が通じなさすぎる。本当にお前らはあのALICEという世界から来たのか?」
千冬の問いに対し、二人は顔を見合わせると真の姿を解放して、
「少なくとも、私達はあのALICEから飛び出てきました。もちろん外の世界でみんなとお話したい、というのもありましたが、今ではあのアリスちゃんを平和に暮らしていってほしい、それだけです。」
「ボクも元々はついていく気はなかったんだけどねぇ〜エジちゃんやクーロンの後押しがあってここに居るからねぇ〜。」
「だからこそ、千冬さん。....いや、織斑先生。これだけは言っておきます。」
「ボクたちは明日、私達の持ちうる全能を以ってあの金髪をボコボコにします。あなたが明日の試合を決めた以上、これくらいのことは見逃していただきたい。」
クーロンがそう宣言すると、腰に引っ提げているマイクにそっと触れた。
そして、同時刻、通信が切れた束の研究所では、
「とはいったものの.....どうしよ。」
「どうしよって?」
「......あの子、今観光旅行しててどこにいるか見当がつかないのよ。」
「.......え?」
To be continued.....
Tips:クラフィのキャラはこれで全員といったな?
あれは嘘だ。