怨讐者とSperior   作:ふぇるみん

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ハーメルンで先書くほうが楽な気がしてきた(楽観視

あ、1300の双子、夏頃に出します(どー考えても性能が強化なため)


第9話 引荷の起電種-Ex-V 

試合当日の日のこと。片方の待機室にいるのは数日前ALICEをバカにされてキレにキレた二人である。予め備え付けられていたモニターにはさも当然かの如くアリスが居座っている。

 

「........。」

 

「........。」

 

『何その無言、怖いからなにか喋って、お願い頼むから....。』

 

無言の圧がかえって空気を重くしているのは二人もわかっていたのか、口を開いた。

 

「....準備は出来てるのよね?」

 

『え、えぇ....。』

 

「封鎖する準備が出来てるって言って温厚そうにしている割には深層データ積み込んだりEvS私達の機体にいつの間にか積み込んでるあたりアリスも相当キレてるよね?」

 

『......それは嫌でも言わないでほしかったけどね....。』

 

「確かそれは数日前にお前らがガチギレしていた.....。」

 

「ええ、そうです。イーヴィスシステム、正式名称は【EvolutionSystem】。どんな環境でも適応できるように開発された外付けのシステムです。これを巡って一時期騒乱がありましたが、現在ではそれも解決して平和利用に使われていますね。しっかし、どこで新規のシステムを.....。」

 

『それについては探し出してひっ捕らえて引きこもりに作らせたわ。なんやかんやでここまで時間がかかってしまったけど、ちゃんとあなた用に合わせてあるから大丈夫よ?』

 

「胡散臭ーい。」

 

『あら?じゃあふぇるみんは要らないのね?』

 

画面に映し出されたのは真四角に輝く琥珀のチップ。それを見た二人は驚く。

 

「それって!?」

 

「なんで!?フェルにはついてないの!?」

 

『それがねぇ.....。ふぇるみんと適合するのがラヴィちゃんぐらいしか居なくて今ラヴィちゃんから他に誰かいないかあたってもらってるのよ。』

 

「アリスちゃんさらっとフェルにディザスター適応させようとするあたり鬼畜だよね?もはや隠す気無いよね?」

 

『だってセシリアふっ飛ばせば接続負担軽くなるし.....。』

 

「あそこまで言わせるって....どんだけ負荷が高かったんだ.....。」

 

『コロンに無理やりアクセスしようとした痕跡が何度もあったもの。すでに負荷は5割はくだらないわよ。』

 

「そりゃアリスちゃんもキレるわけね.....。まあ良いよ、今からボコボコにしてくるからっ!」

 

その声とともに顕現する機体外装。が。

 

「....ほぼ装甲が無いな。」

 

「もともとALICEにおける私達の兵装をこちらの世界に持ってきただけですからね。まあアリスちゃんがイーヴィス混ぜ込んだんで何が起こるかは分かりませんけど。」

 

「ま〜、そんな事はアイツをふっとばしてから考えよ〜?」

 

フェルミのつぶやきを聞いたクーロンはそのままカタパルトへ向かう。その光景を二人は見つめていた。

 

「ふぅ.....クーロン・フェルミ、ディーヴァ、行きます!!」

 

 

 

 

引荷顕現、平伏せ、平民よ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先に出て体制を整えていたセシリア。クーロンが出て来たのを察知したのか出てきた方向に予め展開していたスターライトの銃口を向けた。

 

「遅かったですわね?」

 

「貴方のような人物なんて一分たりとも目の中に入れたくないですけどね?」

 

「まあ良いですわ、前もって一つ譲歩しましょう。今ここで土下座をするならば少しばかり考えなくもないですわ?」

 

セシリアの挑発にそうやすやすと乗るはずがない、ピットで見ていた三人はそう思っていた。だが、件のせいで精神が不安定な状態に陥っていたクーロン。それは想定外の出来事だった。

 

「『.....稚拙....あまりにも稚拙...。』」

 

「.....っ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピットから見ていた3人も、事の異変に気づいた。

 

「....ゲッ、アリスちゃん、あれって....。」

 

『うん....イーヴィスが暴走して本来顕現するはずがないシステムが浮き出てる.....。』

 

アリスとフェルミは言葉から本能的に感じ取っていた。

 

曰く、19番目の災害。

 

曰く、偶像崇拝の如き事象。

 

曰く、彼女がALICEを愛していたからこそ共鳴してしまった、呼応してしまった。

 

 

「お、おい....一体何が起こってるんだ....携帯式データ計測機で見ても全く測定不能なんだが....?」

 

「....顕現しちゃった.....狂信のごとき災害....。」

 

『崇拝の象徴....災害類ⅩⅨ型、個体名【ブラスフェミー】。今のクーロンはブラスフェミーの権能の一つである【崇拝】によって突き動かされてるの...。』

 

「.....まさかその崇拝先って....。」

 

「先生の予想で合ってるよ。クーロンはセシリアにALICEを貶されたことにキレている。なぜなら彼女は私達の中でも一番ALICEを愛していたからに他ならないよ。そんな彼女がそれを、ALICEを崇拝対象に加えたら.....。」

 

『.....もう彼女は止められない。セシリアが彼女を....ALICEを崇拝するまで蹂躙は止まらない。』

 

「.....!?止められないのか!?」

 

『なんとか制御を奪えれば.....っ!?』

 

アリスは手早くハッキング作業を行うが、ふと手を止めた。

 

「どうしたの?なにか問題でも起きた?」

 

『.....クーロンちゃん、自力で制御してる。』

 

「....へ?」

 

『クーロンちゃんが....自身の意志でブラスフェミーと共鳴してるのよ!!少なくとも崇拝させられる事はなくなったけど、制御できてる分セシリアの安全がより保証できなくなった!!』

 

「「なんだって!?」」

 

この衝撃の事実は、後にとあるアカデミアのもとへと告げられるのである。三人はこの戦闘の行く先を見守ることしかできないのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なんですの!?」

 

「『崇敬…崇敬愚蒙…楽園を愚弄する者よ、己の不敬を身を以て留めよ。』」

 

唐突に雰囲気が変わったと思ったら、口調まで変わりましたわね....一体何が起きてるのかは分かりませんが、ここまで心を貶したならば勝負も容易につくでしょう。

 

 

 

 

 

そう思っていました。

 

「『....その程度でやれるとでも?ああ、妄言....妄言神託....遺恨…遺恨人神…』」

 

クーロンが告げると同時に展開されていたドールズアンパーが光り、セシリアを呑み込む。

 

瞬時、衝撃波がアリーナ全体を襲った。

 

「うぉう!?」

 

「キャァアッ!?」

 

当然巻き込まれた観客とセシリアは吹き飛ばされ少なからず損傷を追う。セシリアは展開していた為そこまでのダメージはなかったが、その分の余波は大きいようでひび割れがあちらこちらにできていた。

 

「グッ、どんな手品を使ってるかは知りませんが、所詮はただのまがい物!そのような機体では私のティアーズには叶いませんわ!お行きなさい!ビット!」

 

まず素人であろう彼女なら絶対に避けられないであろう武装。セシリアは勝利を確信した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、ただ一点の不確定要素さえなければ。

 

 

「『偽神は天から堕ちる.....堕ちる.....。』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「....まずい!!死人が出る!」

 

「なんだって!?」

 

「.....クーロンちゃん...完全にブラスちゃんを手中に収めちゃってるよ.....しかもこの様子だとブラスちゃんも悪乗りしてるよねこれ。」

 

「.....ふたりとも、何が起ころうとしているんだ?」

 

唐突にフェルミから出た発言は全員を驚かせるには十分だった。

 

『.....完全即死攻撃.....ドールズアンパーの最大出力だよ....。駆動機構は電子レンジと遜色ないからそんなのが最大出力で照射されたら全身が沸騰して消し飛ぶ....!!』

 

「!?....どうにかできんのか!?」

 

『無理です!!彼女が制御している限り意図的な即死体制にされている今、誰も止めることはできません!!』

 

今度こそ、万事休す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃。

 

「.....ねぇ、保護してるはずのディザスター達がほとんど消えてない?」

 

「えっ?フォルたんもディスペァも?」

 

「みたいですね、現状確認できてるのはインサニティ、ラヴィジ、ブラスフェミーのみです。」

 

「.....あの引きこもりを連れてきなさい....どうせ辿れば現世に当たるんでしょう?」

 

「.....追跡完了、なにかの機械のAIに紛れ込んでますね.....。」

 

「.....アリスに押し付けるわよ?」

 

「まぁ、対処できそうなのはアリスだけですからね、こちらから博士に話は通しておきます。引きこもりは任せました。」

 

「ええ、転送準備も頼むわよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

甘く見ていました。どうせほとんど非武装なところを見るに試験型の機体だと思って舐めてかかっていました、ですが、箱を開けば真逆。パッケージ対応型の換装機、そして....。

 

「『残念至極恐悦にございます......。これぞ我が災害の最終攻撃、偽り、偽りの塊です.....!! 』」  

 

喉元を食いちぎろうとする振動する銃口、その中央も眩く光っています。おそらくここで完全に殺されるのでしょう。せめて、最期に殺されるならウィンさんに殺されたかったですわね.....。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クロちゃん止めて!!!!」

 

 

ともなく聞こえた大声。それと同時に迫りくる銃口の光が途絶え動きも止まった。

 

「『......神罰....必ず神罰を下します.....!!!』......もー、いいところで止めないでよ!」

 

「....へ?」

 

思わず呆気た声を上げたセシリア。銃口を向けていたクーロンはそれを離すとドールズアンパーを収納し両手をフリーにする。セシリアはやっとこの恐怖の空気から開放できたのか安堵し、そして落ちていく.....。

 

「ああっ!?ちょっと!?」

 

すぐに反応できたクーロンは下部スラスターを急噴射させ素早く移動すると相対速度を合わせセシリアを受け止めた。近くまで顔が耳にあったのか、呟きをクーロンは聞いていた。

 

「.....ウィンさん...ダー.....さん....。」

 

「.....うそでしょ?」

 

クーロンは何かを察すると涼し気な顔をして通信をつなぐ。通信が繋がり交信を試みると、すぐさま顔を膨らませた二人の姿が写った。

 

『クーロンちゃん!!!なんですぐに止めなかったんですか!?フェルが止めてなければ危うく殺してたところなんですよ!?』

 

「それはゴメンね、ちょっとブラスちゃんと戯れてたらいつの間にか即死攻撃撃ちかけてた、テヘペロ。」

 

『もう.....早く戻ってきなさい、イーヴィスに異常がないか確認しなきゃ....。それに、ちょっと面倒な事になったし。』

 

「面倒な.....?」

 

アリスとクーロンが話を続けていると、ここまで話を割らずにいた千冬が割り込んできた。

 

『....とりあえずこの試合は引き分けだ。ある意味続行する意味がないからな。でだ、接続封鎖の件はしばらく私が預かる。』

 

「あっ、そのことなんですけど........。」

 

『ん?どうかした?』

 

「セシリア....気絶してるときにこう呟いていたんです。「ダーウィン....どこ?」って。」

 

『ゲェっ!?あの引きこもりの知り合い!?なんてこと.....!!』

 

 

「引きこもり.....?まさか、試合が始まる前に....。」

 

千冬がなにかに感づいたのかアリスにそう告げるとフェルミもアリスもクーロンも頭を抱えて肯定した。

 

「ええ、ALICEの引きこもりことダーウィン。僕らのEvSを作り出した本人であり、極度の人見知りです。」

 

『ダーウィン....厄介な置き土産を残してくれたよ....。』

 

『織斑さん、空き部屋一つ確保しておいてくださいな。』

 

アリスの不穏な要請にひとまず了承した千冬。

 

「あ、ああ。だがどうするつもりなんだ?」

 

千冬とてこの手の事件には何件か対応したことがあるが、大抵があまり良くない結末で終わっているのは知っている。だが、今回は根本的に違う。そう予感した。

 

 

『本来なら使うつもりはなかったですが、博士協力の下いちからホムンクルスを生成します。』

 

「んなっ!?ホムンクルスって....!?」

 

「ええ、概ね想像通りですよ。第一、僕やクーロンだってそうです。アリスちゃんはちょっと違いますけどまあ一種のホムンクルスですね。」

 

ホムンクルス。千冬とてその存在は知っていた。だが、後も簡単に自らの存在を公表されると少しばかり来るものはある。

 

「ありゃ~、その顔は二人から私達の根本的な存在を明かされたみたいですね。あ、そこにセシリアちゃん置いときますね。」

 

いつの間にかピットに戻ってきていたクーロンに少しばかり驚くが千冬はセシリアの安静場所を伝える。クーロンはそれに従い彼女を連れて行った。

 

「....私とてホムンクルスは知っている。そして、その最期も。」

 

『それは私達とて、重々承知しています。ですが、それはあくまでこの世界における従来の精製方法ではの話です。』

 

「....まさかとは思うけどアリスちゃん、まさか?」

 

『さすがふぇるみん、分かっちゃうか。』

 

「.....?」

 

千冬は二人の会話に追いつけず頭にはてなマークがブローしていた。アリスはコソコソと画面から消えるとゴソゴソと物音を立てながら戻ってくる。

 

『取り敢えず、ダーウィンとディザスター全員を顕現させます。』

 

そう言いながらアリスが持ってきたのは一枚のチップだった。だが、そのチップが問題だった。

 

「あぁっ!?ISコアだと!?」

 

『ええ、私達みたいに受肉、適応させる必要があるのでこれでホムンクルスの最適化を常に行います。これで人並みの寿命は得られるはずです。』

 

「....詳細な調整は終わってないんでしょー?」

 

『そりゃそうよ、私も今思いついたんだから。あっちではほとんどのディザスターが行方不明になって大変なことになってるっていうのに....!!』

 

「エエっ!?」

 

更に告げられた最悪の報告に安静にして戻ってきたクーロンが顔を青ざめる。

 

「えっ、ラヴィちゃんや皆は!?」

 

『パパからの情報だと現在シールドセヴンが総力を持って目下捜索中とのことよ。もっとも、約半数がこちらの世界に来ているとは告げられたけど。』

 

「そんなぁ.....。」

 

『まあ、幸いにも大人しくメビウス達のもとで住んでいたラヴィジと意外なことにインサニティ、そしてクーロンのイーヴィスに介入したブラスフェミーは事態把握のためすぐに来たらしいわ。』

 

アリスの告げた一言でかろうじてフェルミの適応対象は確認できたのだが、逆を言えば残りの21体はどっかに行ったということになる。これはまずい、そう直感で感じたクーロン。

 

 

「急がないとね.....。」

 

3人に聞こえないよう、そう呟くのだった.....。

 

To Be Continued......

 

 




長くなってもうた

というわけでディザスター全顕現。

ディプマにしたラヴィジにはなにかいいことが....?
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