遊来の心の光の一角を担うシンクロモンスターを披露。
その日は何の変哲もなく過ごすはずだった。だが、あのSAL事件の時に万丈目がデュエルアカデミアから去って、その分校であるノース校で自らを鍛え直してくると宣言したそうだ。それを見届けたのは大徳寺先生であったらしく、本人の口からは鍛え直してくるとしか聞かされていないらしい。
「なぁ、遊来・・・万丈目の奴、大丈夫か?」
「さぁ?俺も同じ寮に居たけど交流が深かった訳じゃないし、デュエルもそこそこだったし」
「案外、遊来くんが原因かも知れないッス」
「ありえるんだな・・・」
「確かに」
「三人揃って酷いな!?」
思わず俺は言い返してしまったが、思い当たる節が一つだけあった。それは万丈目とフリーで戦った時だ、『ドラグニティ』での戦いを望まれ、戦ったが結果は圧倒的な展開力で簡単に終わってしまった。フリーである為、戦績には加算されず、カイザー亮の二代目は俺だと再戦を挑まれつつ、低攻撃力のデッキで戦えとハンディキャップを受けて、SALとのデュエルで使用したシンクロ召喚宣伝用の『シンクロン』デッキを使用して戦った。SALと時に使用したのは軽く調整し遊星のデッキに寄せたタイプだった。
[遊来のフィールド]
ライトロード・ハンター ライコウ ★2
ボルト・ヘッジホッグ ★2
ガントレット・ウォリアー ★3
アンノウン・シンクロン★1
「レベル2の『ライトロード・ハンター ライコウ』とレベル2の『ボルト・ヘッジホッグ』レベル3の『ガントレット・ウォリアー』にレベル1の『アンノウン・シンクロン』をチューニング!」
★2+★2+★3+★1=★8
ライトロード・ハンター ライコウ、ボルト・ヘッジホッグ、ガントレット・ウォリアーの三体がアンノウン・シンクロンが作り出した光の輪をくぐり抜け、8つの星の姿となり1つの光を作り出すと、そこから現れたのはボロボロの屑鉄や廃品などを利用して作り出された動くジャンク品。だが、魂は本物と遜色のない屑鉄のドラゴンだ。
「鋼鉄は砕けようと、その意志は滾らす熱となる!シンクロ召喚!起動せよ!『スクラップ・ドラゴン』」
「バカな!?あんな低レベルのザコ共がこんな姿に!?」
「レベルと攻撃力だけがモンスターの全てだと思うなよ?例え低レベルであろうと、チューナーと共にレベルという力を合わせる事でシンクロ召喚という大きな力になるんだ。更に『スクラップ・ドラゴン』は1ターンに1度、自分及び相手フィールドのカードを1枚ずつ対象として効果を発動し、そのカードを破壊する。俺の場にある伏せカードと万丈目!お前の場にある『火炎魔人 ヘル・バーナー』を選択して破壊する!ジャンク・ディストラクション!そして、『スクラップ・ドラゴン』の攻撃!!」
遊来が指を鳴らすと伏せカードへコードらしき物を接続し破壊した後、口の中にある電撃砲が輝きだし、万丈目のモンスターを電撃で破壊した。
「うあああっ!何故だ!『ドラグニティ』ならいざ知らず!何故、あんなザコを寄せ集めただけのデッキに俺様が負けるんだ!?」
「そんな一方的な考えをしているうちは『ドラグニティ』はおろか、俺の『シンクロン』デッキに届く事もないぞ?」
「何!?」
「攻撃力にこだわるなら、最低でも『一万』は叩き出してからにしてくれ。それと、例えどんなに弱くてもよーくカードを見てあげて欲しい」
「っ!!?」
この世界ではかなりの無茶振りに万丈目は驚愕した。攻撃力1万という数値は簡単に出せるものではない。だが、遊来自身は何度も経験していることだ。前の世界において攻撃力が5万、10万は当たり前でターンを渡したら負けるという環境にいた事もあった経験がある。だからこそ、相手をワンターンキルしてしまうデッキを構築することに戸惑いがない。このデッキにワンターンキルの要素があるのもそういった経験があった為であった。
「カードの数値だけを見ているのは俺のようなワンターンキルを狙うような奴だけでいい。そうじゃないなら自分が使って楽しいデッキを作るべきさ」
「・・・楽しいデッキ、あの十代のような真似をしろというのか!?」
「違う。万丈目が十代と同じ事をしても楽しくなる訳がない。万丈目には万丈目だけが楽しいと思えるデッキタイプが必ずあるはずだ。そもそも、どうしてVWXYZシリーズを使おうと思ったんだ?」
「それは、相手の場を圧倒的に破壊できるからだ!」
「ほら、それが好きなんだろ?圧倒的に相手へダメージを与えたい、相手の有利になるカードを除去したい、すぐに強力なモンスターを出したい、そんな気持ちが形になったデッキじゃないのかい?」
「っ・・・お前に何がわかる!お前には一歩先へ行く召喚方法があるだろう!!」
確かに万丈目の言うとおり、俺はシンクロ召喚という一歩先へゆく召喚方法を使っている。それは卑怯とも取られるかもしれないだろうな。
「一歩先へ行く召喚方法使っていたとしても、負けるときは負けるさ。俺は『ドラグニティ』で十代や隼人、翔にだって負けた事がある」
「何!?」
「『ドラグニティ』は無敵じゃないんだよ。たった一枚のカードに封じ込まれてしまう時もあるし、フィールド魔法の恩恵を受けなきゃ展開を立て直すことだって難しい」
「それは・・・」
万丈目も頭では理解していた。遊来の代名詞である『ドラグニティ』は『竜の渓谷』というフィールド魔法の起点が無ければ圧倒的な展開をしてこない。更にはシンクロ召喚の弱点も遊来は自ら晒しており、そこを突かれても逆転できる手段を考えて突破する事もデュエルモンスターズの醍醐味だ。
「上を見るばかりじゃなく、自分の基盤や信念を見つめ直すのも良いんじゃないかな?」
「自分の・・・基盤と・・信念」
「それを見つめ直した万丈目と俺は全力でデュエルしたいな。その舞台にふさわしいモンスターを使って」
「っ・・・」
その後、『スクラップドラゴン』の攻撃によってフリー対戦は終わった。万丈目は悔しそうにしていたが思うところがあったらしく、取り巻きを見向きもせず戻って行ってしまった。
◇
「確かに俺が原因だったのかも・・・・」
回想していた中で自分が原因だった事を思い返して、遊来は居た堪れない気持ちになったのだった。
そして、代表試合当日。遊来はデッキを大山との戦いで使った『M・HERO』デッキをデュエルディスクに装着している。本当なら『ドラグニティ』や『ルイン』などを使うべきなのだが、十代と代表を決める戦いにおいて勝利した後に放送を終えたラ○ダーが主役を次のラ○ダーへ任せるようなハイタッチをしてきたのだ。
「遊来、俺の分も戦ってきてくれよな!」
こんな事をされたんじゃHEROを使わざるを得ない。十代のヒーローから俺のヒーローへとデュエルの舞台を任せられたのだから。本来なら十代とのタッグ用に組んだデッキだったのだが、シングルへの出張が多くなってしまった。無論、シンクロ召喚の要素はしっかり組み込んでいる。
「それデーワ!デュエルアカデミア!本校とノース校の対抗試合を開始するノーネ!」
「ふん、やはり貴様か!」
「まぁ、皆でデュエルして代表を決めた訳だから」
「そうか、それで貴様は『ドラグニティ』で来るのか?」
「いや、『ドラグニティ』は今、調整中でね。それでも『ドラグニティ』に匹敵するデッキにしてあるさ。俺は『ドラグニティ』の頻度が高いだけで他のデッキを疎かにはしない」
「何!?貴様、俺との勝負でシンクロ召喚を使わないという事か!?」
「いや、このデッキにはシンクロ召喚のギミックは組み入れてある。心配しなくていい」
シンクロ召喚のギミックを組み入れていると聞いて、万丈目はそれで良いといった感じの笑みを顔に出している。
「万丈目、この戦いはフリーじゃない。戦績に加算される。それに周りのこの騒ぎようはなんだ?」
「兄さん達がテレビ局を呼んだんだ・・・全国放送のな」
周りを見ると万丈目に声をかけている2人の男性がいた。あれが万丈目の兄達なのだろう、決して負けるなと言っているようで万丈目はプレッシャーを感じているように見える。
「この戦い、負ける訳にはいかん!」
「それは俺も同じ、戦うからには勝利をもぎ取る!」
二人はデュエルディスクを構えて起動する。瞬間、自然と周りが一瞬だけ静まり返った。
「「デュエル!」」
万丈目準:LP4000
龍谷遊来:LP4000
「俺の先攻だ!ドロー!」
遊来の先攻でデュエルが始まった。ノース校の生徒達は「サンダー!サンダー!!」と喝采を上げている。
[通常ドローカード]
※E・HERO レディ・オブ・ファイア
[現在の手札6枚]
※融合
※デルタフライ
※E・HERO エアーマン
※E・HERO リキッドマン
※ヒーロー・シグナル
※E・HERO レディ・オブ・ファイア
「俺はモンスターを1体セット、カードを1枚伏せてターンエンドだ」
「俺様のターン、ドロー!貴様、愚弄しているのか!?」
「違う、この方法でしか動けないんだよ。今のところな」
「ふん!俺様は『仮面竜 (マスクド・ドラゴン) 』を攻撃表示で召喚!」
『仮面竜 (マスクド・ドラゴン) 』効果モンスター/星3/炎属性/ドラゴン族/攻攻撃力1400/守備力1100
「!?ドラゴン族リクルーター!?」
「ほう?知識はあるようだな?『仮面竜 (マスクド・ドラゴン) 』でセットモンスターを攻撃!」
攻撃の瞬間、遊来のセットモンスターが反転し、その姿を見せる。そのモンスターに万丈目は驚きの顔と声を上げた。
「俺がセットしたモンスターは『E・HERO レディ・オブ・ファイア』!攻撃によって破壊され、墓地へ送られる!この瞬間、罠カード発動!『ヒーロー・シグナル』!!このカードの効果で俺はデッキから『E・HERO シャドー・ミスト』を守備表示で特殊召喚!更に『シャドー・ミスト』の効果!このカードが特殊召喚に成功した時、デッキから『チェンジ』速攻魔法を手札に加える!俺は『マスク・チェンジ』を手札に加える!」
「え、『E・HERO』だと!?」
「そうだ。この代表戦の前に十代と俺が選ばれて、非公式で二人だけの代表者を決める戦いをしたんだ。結果は見ての通り俺が勝った。同時に十代は自分の分も戦ってきてくれと言ってきた。その思いを受け継いだのが俺の『E・HERO』なんだ」
「・・・・」
「だから、このデッキを使っているのさ。だが正直、今の万丈目は初めて出会った時以上に強く感じる」
「当たり前だ。俺は地に堕ちつつも己を見つめ直したのだからな!俺はカードを1枚伏せてターンエンド!」
「俺のターン、ドロー!」
[通常ドローカード]
※マスク・チャージ
[現在の手札6枚]
※融合
※デルタフライ
※E・HERO エアーマン
※E・HERO リキッドマン
※マスク・チャージ
※マスク・チェンジ
「俺はさらにカードを1枚伏せて『E・HERO エアーマン』を召喚!」
「エアーマンだと!?」
「エアーマンの効果!このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、以下の効果から1つを選択して発動できる。このカード以外の自分フィールドの「HERO」モンスターの数まで、フィールドの魔法・罠カードを選んで破壊するか、デッキから「HERO」モンスター1体を手札に加える。俺はデッキから「HERO」モンスター『E・HERO ブレイズマン』を手札に加える!そして、エアーマンで仮面竜 (マスクド・ドラゴン)を攻撃!」
エアーマンが突進し、仮面竜 (マスクド・ドラゴン)が殴り飛ばされ破壊されるが、遊来は渋い顔をしている。
万丈目準:LP3600
「ぐううう!だが、狙い通り!と言いたい所だが、貴様はこのカードの知識があるのだろう?」
「仮面竜 (マスクド・ドラゴン)は戦闘で破壊され、墓地へ送られた時に効果を発動できデッキから攻撃力1500以下のドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する・・・だろ?」
「その通り!俺はデッキから『アームド・ドラゴンLV3』を特殊召喚!現れろ!レベル3!!」
『アームド・ドラゴンLV3』効果/星3/風属性/ドラゴン族/攻撃力1200/守備力900
「くっ・・・!」
考える限り最悪の状況だと、遊来は苦虫を潰したような顔をする。『アームド・ドラゴンLV3』の効果は自分のフィールド上にある『アームド・ドラゴンLV3』を自分のスタンバイフェイズ時に墓地へ送る事で『アームド・ドラゴンLV5』を特殊召喚出来るのだ。今は自分のターン。万丈目からすれば相手モンスターが1体しかおらず、バトルフェイズは既に終了も同然の状態、更には相手のターンで召喚出来ており、レベルアップの条件も達成出来ている事を鑑みれば圧倒的なボードアドバンテージだ。
「俺に出来る事はない、ターンエンド・・・」
「俺のターン、ドロー!どうやら状況が解りきっているようだな?」
「分かってて言ってるだろ?それ」
「当然だ、このスタンバイフェイズ時に俺はフィールドの『アームド・ドラゴンLV3』を墓地へ送り、『アームド・ドラゴンLV5』を特殊召喚!」
遊来は余りにも理想的すぎる『アームド・ドラゴンLV5』の呼び出しに万丈目へ尊敬の念を持った。自分の前の世界では扱いにくさから敬遠される事が多く、愛用している人間は少なかった。自分が今使用しているシンクロ召喚が出てきた頃には、見向きもされなくなっていった。
こんなにもイキイキとしている『アームド・ドラゴン』を見た事はなかった。後にパワーアップし別の名称となっていたのは知っているが今明かすべきじゃない。
「『アームド・ドラゴンLV5』の特殊効果発動!手札からモンスター1体を墓地へ送り、そのモンスターの攻撃力以下の攻撃力を持つ、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。この効果を発動するために墓地へ送ったモンスターの攻撃力以下の攻撃力を持つ、その相手モンスターを破壊する!『Z-メタル・キャタピラー』を手札から墓地へ送り、キサマの場に居る『E・HERO シャドー・ミスト』を破壊する!『デストロイド・パイル』!!」
『アームド・ドラゴンLV5』の背中から無数のトゲのようなミサイルが発射され、雨のように無数のトゲミサイルを受けた『E・HERO シャドー・ミスト』は声を上げながら破壊されてしまう。
「この瞬間『E・HERO シャドー・ミスト』の効果発動!このカードが墓地へ送られた時に発動!デッキから『E・HERO シャドー・ミスト』以外の『HERO』モンスター1体を手札に加える!俺は『E・HERO オーシャン』をデッキから手札に加える!」
「タダではやられんという訳か、そのしぶとさは十代並だな!だが!俺にはまだ『アームド・ドラゴンLV5』の攻撃が残っている!『アームド・ドラゴンLV5』!『E・HERO エアーマン』を攻撃!「アームド・バスター」!!」
『アームド・ドラゴンLV5』が腕を準備運動のようにグルグルと回した後、『アームド・ドラゴンLV5』はその太い腕で『E・HERO エアーマン』を殴り飛ばし、破壊してしまった。
「うああああ!」
龍谷遊来:LP3400
吹き飛ばされた遊来は立ち上がると、その顔には笑みが浮かんでいる。蔑みでも侮っているのでもない純粋にデュエルが楽しい、そんな笑みだ。こんな高揚は初めて十代やカイザーとデュエルして以来だと。他のデュエリストとのデュエルでも確かに高揚していた。侮ってはいなかったが流れ作業のようになっていて興奮は高まらなかったのだ。
「遊来くんが・・・笑ってる?」
「遊来、楽しそうにデュエルしてるみたいだ!くぅ~!羨ましいぜ!」
「あの遊来が・・・デュエル中に笑うなんて亮とのデュエル以来じゃないかしら?」
「確かに、その通りだな」
「うん、遊来は真剣な表情をしていても何処か作業しているようなデュエルばかりだったんだな」
「確かに、硬い印象が強かったな」
上から翔、十代、明日香、亮、隼人、三沢、それぞれが遊来の変化に気付いた。最も気付きに早かったのは作業的な印象を初めに持った明日香であったが、女性に多い感受性の柔軟さが彼の心境を知らせてくれたのだろう。
「更に『アームド・ドラゴンLV5』が戦闘でモンスターを破壊した事によって更なるレベルが上がる!いでよ!『アームド・ドラゴンLV7』!!」
『アームド・ドラゴンLV7』特殊召喚・効果/星7/風属性/ドラゴン族/攻撃力2800/守備力1000
「すごい・・・!」
ゾクゾクとした感覚が俺の中に走っている。『アームド・ドラゴンLV7』召喚条件を満たし正規召喚してきた万丈目のタクティクスのスキル、そしてイキイキとフィールドに立つその姿。圧倒されつつも興奮を抑えきれない、十代じゃないがこんなにもワクワクする気持ちをデュエル中に抱いたのはいつ以来だったろうか?十代やカイザーとの戦いとはまた別の感覚だ。プレッシャーに負けず己に自信を持って場にカードを出してくる万丈目に尊敬の念がますます強まる。また、ノース校の生徒達は象徴である『アームド・ドラゴンLV7』が召喚された事で激しくサンダーコールを行っている。
「感心している場合か?お前の場はガラ空き、次のターンで確実に崖っぷちなんだぞ!」
「分かってる!分かってるけど抑えられないんだ・・・!」
「何!?」
遊来は己の左腕を掴むと震えだす、恐れではない武者震いというやつだ。余りにも興奮しすぎて気持ちが抑えきれていないのだろう。
「十代の楽しさを追求したデュエル、カイザーの圧倒的なパワーデュエル、明日香の堅実なデュエル、隼人のお気に入りのカードで戦うデュエル、翔の戦いで成長するデュエル、三沢の計算に基づくデュエル、そして万丈目のあらゆるカードを使いこなすデュエル。この学園にあるたくさんのデュエル!こんなにも興奮するデュエルが他にあるかよ!楽しくて楽しくて!興奮が抑えられないんだよー!!!」
それは相手への最大の賛辞だった。今まで互いにライフを削るという鎬を削った戦いがなかったのだ。だからこそ、興奮が収まらない。
「万丈目、俺の最大の賛辞をシンクロ召喚で見せる!」
「良いだろう、見せてみろ!ターンエンドだ」
「俺のターン、ドロー!!」
[通常ドローカード]
※取捨蘇生
[現在の手札7枚]
※融合
※デルタフライ
※E・HERO ブレイズマン
※E・HERO リキッドマン
※マスク・チャージ
※E・HERO オーシャン
※取捨蘇生
「俺は手札から魔法カード!『取捨蘇生』を発動!」
「『取捨蘇生』?『死者蘇生』ではないのか!?」
「ああ、似ているが全く別のカードさ。『取捨蘇生』のカードは1ターンに1枚しか発動できない。そして、自分の墓地のモンスター3体を対象として発動できる。相手は対象のモンスターの中から1体を選ぶ。そのモンスター1体を自分フィールドに特殊召喚し、残りのモンスターは全て除外する。俺が選ぶのはこの3人の『HERO』達だ!!」
表示されたのは『E・HERO エアーマン』『E・HERO レディ・オブ・ファイア』『E・HERO シャドー・ミスト』の3体だ。
「む、俺が破壊したモンスターどもか」
「さぁ、どれを選ぶ!?」
遊来の表情に迷いはない。どれを選ぼうとレベルが全て4という事が遊来にとって最も重要だからだ。万丈目も自分の中で思考する。『E・HERO シャドー・ミスト』は論外だ。特殊召喚された瞬間に魔法をサーチされ、更に破壊すれば『HERO』をサーチされてしまう。同じ理由でサーチ能力を持つ『E・HERO エアーマン』も無い。万丈目はあるカードを指差しで指定する。
「俺は『E・HERO レディ・オブ・ファイア』を指定する!!」
「『取捨蘇生』の効果で『E・HERO レディ・オブ・ファイア』を特殊召喚!他の2体はゲームから除外される」
万丈目は遊来の自信のある目を警戒していた。サーチ能力を持つ2体を失ったというのにまるで応えていない。一体、この状況でシンクロ召喚をして来ると宣言していたが、どうやってするというのかと考える。
「更に俺は『デルタフライ』を通常召喚!」
「『デルタフライ』だと!?」
「シンクロ召喚が実用化されれば、きっと万丈目は喉から手が出るほど欲しくなるカードさ。『デルタフライ』の特殊効果発動!このカードは1ターンに1度、このカード以外の自分フィールド上に表側表示で存在するモンスターを一体選択し、そのモンスターのレベルを1つ上げる事ができる!更にこのモンスターはチューナーモンスターだ!俺は『E・HERO レディ・オブ・ファイア』のレベルを1つ上げる!」
「なんだと!?レベルを変更させる効果を持つチューナーモンスターだと!?」
『E・HERO レディ・オブ・ファイア』★4→★5
「レベル5となった『E・HERO レディ・オブ・ファイア』にレベル3の『デルタフライ』をチューニング!!」
『デルタフライ』が3つの光の輪となり、その中を『E・HERO レディ・オブ・ファイア』が通り抜ける。その光の星が指し示す数字は8だ。遊来は目を閉じて彼の背中をイメージする。自分の前の世界ではアニメの登場人物、この世界では遥かな未来の人間であり、最も絆を重んじた彼の姿を。そして遊来の心の中に僅かな暖かさが宿った。
★5+★3=★8
「(また口上、使わせてもらうよ。遊星!)集いし願いが新たに輝く星となる。光射す道となれ!シンクロ召喚!飛翔せよ!!『スターダスト・ドラゴン』!!」
『スターダスト・ドラゴン』シンクロ・効果/星8/風属性/ドラゴン族/攻撃力2500/守備力2000
その気高き鳴き声と星の輝きのような光に誰もが目を奪われ、誰もが無言となった。遊来にとっては自分の前の世界から持ち込んだカードに過ぎないがこの世界からすれば驚愕の1枚にほかならない。
「なんだ・・・このドラゴンは!?」
「これがシンクロ召喚で呼ばれるドラゴンの中で守りに特化した竜『スターダスト・ドラゴン』だ!」
「星屑の竜か・・・!だが、俺の『アームド・ドラゴンLV7』には及んでいないぞ!」
「ああ、攻撃は出来ない。ターンエンドだ」
仮に融合を使ったとしても『アームド・ドラゴンLV7』に勝てるカードはない。このターンエンド宣言によって本校側はもうダメかといった雰囲気だ。
「俺のターン、ドロー!」
先程は及んでいないと啖呵を切ったが、万丈目は強く警戒していた。かつての遊来とのフリーデュエルでの言葉が頭をよぎっている為であった。カードをよく見ろ、攻撃力・守備力だけが全てではないと。
「だが、俺は迷わん!カードを1枚伏せ『アームド・ドラゴンLV7』の特殊効果を発動!手札の『闇よりいでし絶望』を手札から墓地へ送り『スターダスト・ドラゴン』を破壊する!『ジェノサイド・カッター』!!」
「この瞬間を待っていた!『スターダスト・ドラゴン』の効果発動!フィールドのカードを破壊する魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、このカードを生贄にして発動できる!その発動を無効にし破壊する!!『ヴィクテム・サンクチュアリ』!!」
「な、何ぃ!?」
『スターダスト・ドラゴン』が自らを輝かせ光となり、『アームド・ドラゴンLV7』の爪のような衝撃波が、かき消され共に対消滅するかのように消えていった。お互いの場がガラ空きとなったが、遊来は警戒を解かない。あの1枚の伏せカードが気になるからだ。
「くうう!俺はモンスターをセットし、ターンエンドだ」
「墓地に眠っている『スターダスト・ドラゴン』の効果を発動!最初の効果を適用したターンのエンドフェイズに発動できる。その効果を発動するために生贄にしたこのカードを墓地から特殊召喚する!墓地より再び飛翔せよ!!『スターダスト・ドラゴン』!!』」
「なっ、なんだと!?」
『スターダスト・ドラゴン』が再びフィールドに舞い戻った事で学園側が再び歓声を上げた。そんな中、遊来と交流の深い6人は驚きを隠せずにいた。
「相手の破壊効果を無効にし破壊した上に、その効果を発動したエンドフェイズに自身を特殊召喚してくるシンクロモンスター・・・」
「フィールド上の破壊効果に対する限定のようだが、それでも強力な効果だ」
「あれが遊来の『ドラグニティ』以外でのシンクロ召喚の主力なのか?すっげえぜ・・・」
「あのカードが場に出ている限り、相手はフィールド上のカードを迂闊に破壊できないのね・・・ガラ空きだとしても自分を守ってしまえば再び蘇ってくる」
「更に攻撃力2500、並みのモンスターじゃ太刀打ちできないんだな・・・」
「あの効果を使う限り場に戻ってくるなんて・・・強すぎるッス」
それぞれが『スターダスト・ドラゴン』の強さを口にしているが、このカードはなんの力もない
「(あの伏せカードは蘇生系のカードじゃなかったか)俺のターン、ドロー!」
[通常ドローカード]
※E・HERO ボルテック
[現在の手札6枚]
※融合
※E・HERO ブレイズマン
※E・HERO リキッドマン
※マスク・チャージ
※E・HERO オーシャン
※E・HERO ボルテック
「俺は手札から『融合』を発動!『E・HERO ブレイズマン』と『E・HERO リキッドマン』を融合させる!!」
融合の渦によって赤い仮面の戦士と青い仮面の戦士が1つとなって、姿を変えていく。肩のアーマーは炎を体現するような鋭角的で赤く、その後ろにはマントを靡かせている。
「来い!炎の力を持つヒーロー!『E・HERO ノヴァマスター』!!更にリキッドマンの効果によってカードを2枚ドローし、1枚を墓地へ送る」
[カード効果でのドロー]
※リビングデッドの呼び声
※E・HERO シャドー・ミスト
「ノヴァマスターだと!?」
『E・HERO ノヴァマスター』がフィールドに現れ、興奮の最高潮に達したのが十代だった。
「うおおおお!あれは俺も使ったヒーローだ!」
「あのカードの攻撃力は2600、上級クラスの攻撃力なんだな」
「手札のカードを一枚捨て、バトルフェイズ!ノヴァマスター!セットモンスターに攻撃!!」
「くっ!セットモンスターは『Xーヘッド・キャノン』だ!」
「ノヴァマスターの効果、相手モンスターを戦闘で破壊した時カードを1枚ドロー出来る!」
[カード効果でのドロー]
※V・HERO ヴァイオン
「更に『スターダスト・ドラゴン』のダイレクトアタック!『シューティング・ソニック』!!」
「うあああああ!」
万丈目準:LP1100
「モンスターを1体、セットしてターンエンド」
「おのれ、俺のターン、ドロー!」
追い詰められた万丈目は焦りを見せ始めていた。遊来の場には破壊効果を無効化しそのカードを破壊すると同時にエンドフェイズに蘇ってくる『スターダスト・ドラゴン』その『スターダスト・ドラゴン』の攻撃力を僅かに上回る『ノヴァマスター』の2体がいる。だが、遊来に手加減する様子はない。これはエンターテインメントではなく学園同士の代表戦、相手を倒さなければ意味がないのだ。尊敬しているからこそ手加減は最大の侮辱、そういう考えを遊来は持っている。
「ぐ、ううう!」
「・・・」
遊来は会場を見渡し、万丈目に厳しい視線を送っている人間を見つけた。あれが万丈目の兄達だろう、優しさは微塵もない、まるで見下すかのような視線を向けている。
「万丈目・・・悪いが俺は勝利を譲るほど優しくはない。けれど、お前を縛っているモノを壊すことは出来る!」
「何を言っている?」
「このデュエル、次の俺のターンで決着をつける」
「何!?」
遊来の雰囲気が変わった事を万丈目は肌で感じとった。この雰囲気はあの時と似ていた、そう彼の制裁デュエルで未知の召喚方法を使ってきたあの時と。
「俺はカードもう1枚伏せ、モンスターをセットしターンエンド!」
「俺のターン、ドロー」
[通常ドローカード]
※ナイト・ショット
[現在の手札6枚]
※マスク・チャージ
※E・HERO オーシャン
※リビングデッドの呼び声
※E・HERO シャドー・ミスト
※V・HERO ヴァイオン
※ナイト・ショット
「俺は手札から魔法カード『ナイト・ショット』を発動!このカードは相手フィールドにセットされた魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。セットされたそのカードを破壊する。そして、このカードの発動に対して相手は対象のカードを発動できない!!先程、万丈目が伏せたカードを破壊する!」
「っ・・・俺の、負けか」
「伏せていたのは『次元幽閉』か。確かにそのカードなら攻撃した『スターダスト・ドラゴン』を除去できたな」
「所詮、過程に過ぎん・・・さぁ、来い!」
「万丈目、お前の鎖を打ち砕く!ノヴァマスター、セットモンスターへ!スターダスト!プレイヤーへダイレクトアタックだ!プロミネンス・ソニック!!」
万丈目準:LP0
全国放送であったため、万丈目が負けた瞬間映像が切り替わってしまったがテレビを通じて通行人達は2人のデュエルに対して拍手を贈っていた。その賞賛が2人へ届く事を願って。
◇
負けた万丈目のもとへ彼の兄である二人が近づいてくる。長作と正司だ。負けた事が恥であり、見下し蔑むような目で万丈目を見ている。遊来は嫌な予感を感じ、コッソリ記録装置にもなるデュエルディスクの録音をオンにした。これは彼が本土で頼んだ機能だ。
「準!!キサマ、何をやっているんだ!?自分のやった事が分かっているのか!?」
「万丈目一族に泥を塗りおって!!」
「すまない、兄さん達・・・」
次々に万丈目へ与えられる暴言、殴りはしないまでも暴力を行っている現場に遊来は我慢の限界を迎え近づいていった。その顔は冷静なまま怒っているのが見て取れる。
「その辺にしておいたらどうです?エリートのお二人」
「なんだ、お前は!?」
「部外者は引っ込んでいてもらおうか!これは万丈目一族の問題だ!」
「そうはいきませんよ、この戦いの舞台で戦ったのは俺とそこにいる貴方達の弟さんだ。例え敗者になったとしても応援するならまだしも、彼が罵倒され暴力を受ける筋合いはない!!それが仮に家族であったとしてもだ!!」
「我々は途中過程などに興味はない・・・結果を問題にしているのだ!」
「そうネ、そうネ・・・結果は大事ナノーネ。でも、なんか癪に障るノーネ」
「我々兄弟にとって、重要なのは結果だ。結果こそ全て、勝利こそが全てなのだ!!大体、このデュエルの為にどれだけの金を注ぎ込んだと思っているのだ!」
「コイツは我々の顔に泥を塗ったのだ!!」
その言葉を聞いた瞬間、遊来の琴線に触れてしまった。彼は権力や金に物を言わせる輩が前の世界にいた時から大嫌いだった。無論、そのような立場に居る人間すべてが悪い訳ではないがそれでも自分の中だけでは大嫌いだという事が拭えなかった。
「あーあ、権力を持っている人間が一番言ったらいけない言葉を言ってるなぁ・・・」
「なんだと!?」
「貴方達、デュエルモンスターズの勝率って知ってますか?」
「何!?」
「答えてください」
「知らん!勝率など!」
「一般的なデュエル・・・つまりプロリーグを抜いたデュエルでは、どんなに頑張っても『6割』なんですよ。最高の勝率はね」
「な・・・に?」
「手札事故、デッキが回らない、望んだ逆転のカードが引けない、相手が好調、時の運、ゲームの流れ、その全てを考慮に入れても『6割』なんです。常勝無敗なんて絶対的に無理なんですよ、神様なら別かもしれませんがね。それに結果は確かに大切なのは理解できます」
遊来は3人に近づくと更に質問を重ねる。顔を見て何かを思い出そうとしているようで、次の瞬間には思い出したようにヒゲが特徴的な方の長作を見る。
「貴方、確か政治家でしたよね?選挙で選ばれるには人望が必要なの分かっていますよね?」
「当然だ!」
「なら、ノース校の応援席を見てみてください」
「何!?」
長作が視線を向けるとノース校の生徒達が涙を流しながらサンダーこと、万丈目準へ賞賛と激励を贈っていた。
「「「万丈目サンダー!!よくやったぞ!!流石はサンダーだ!!」」」
「「「万丈目サンダー!!サンダー!!サンダー!!サンダー!!」」」
「な、なんだこれは!?」
「これが貴方達が落ちこぼれと馬鹿にしている弟さんの人望です。挫折で一度は誰もが底辺と呼ばれる場所に落ちる。それを這い上がってまで上を目指す心構えがあったからこそ、此処までの人望を集めた。これだけの人数の人望を貴方に集められますか?もしこれが仮に選挙だったりしたら、敗北するのは確実に貴方ですよ?」
「ぐっ・・・」
「あ、兄者・・・」
「そちらのエリート社員っぽい方、貴方もですよ」
「なっ・・・!」
「優秀だと認められたから役職に付いたんでしょう?初めはただの平社員から始まってエリートになった、違いますか?誰もが最初からエリートの道を用意されている訳がない!」
「うっ・・・」
「だから・・・っ!?」
言いかけたところで肩を掴まれて阻まれたがそれを受け入れる。遊来の言葉を止めたのは万丈目本人だった為だ。
「もういい・・・これ以上、俺を惨めにさせないでくれ・・・」
「万丈目・・・」
遊来はその言葉を聞いて出しゃばってしまった自分を恥じた。確かに万丈目からすれば兄弟として、更には家族としての問題だ。それを他人である遊来が出しゃばってしまったことで自分では解決できなかったと思ってしまうだろう。
その心境を理解して引くべき時に引かなかった遊来は、万丈目のプライドをひどく傷つけていたのだ。
「準」
「兄さん達・・・帰ってくれ!」
「「「そうだ!帰れ!帰れ!!」」」
遊来と万丈目のデュエルを見ていた本校の生徒達が騒ぎ始め、万丈目の兄達である長作と正司は圧倒され居心地が悪くなったのか、退散していった。
「見損なったぞ準!行くぞ正司!!」
その後、港ではノース校の見送りと表彰式が行われていたが、遊来は嫌な予感して一足先にオベリスクブルーの自室に避難していた。
「なんだろう・・・万丈目とのデュエルで殻を破ったような気がする」
『マスター、いえ・・・遊来も成長したという事でしょうね』
「ルイン・・・」
『マスターは相手に対して遠慮がちな所と楽しもうとする姿勢がなかったからねぇ・・・』
「レヴァティン・・・」
『マスター・・・これから・・変わっていく』
「幽鬼・・・」
『幽鬼ちゃんだけじゃないです』
『私達も・・・』
『成長していきますのよ』
『そーそー』
『だから、歩んで行きましょうね』
『幽鬼うさぎ』を筆頭に妖怪少女達も遊来の上で浮かびながら声をかけてくる。礼を言おうとした瞬間、ドアがノックされ思わず返事をする。
「誰だ?」
「俺だ、お邪魔するぞ」
「入っていいと言ってないのに入るか?普通」
「ふん、別にかまわんだろう?」
そう言って部屋に来たのは万丈目であった。許可する前に入ってきたのでやれやれと言いたげだったが遊来はその前に万丈目に謝った。
「ごめん、万丈目。お兄さん達に出しゃばった事を言って」
「その事ならもういい、それよりも俺のデッキを診断してくれ」
「はい?」
意外すぎる言葉に遊来はキョトンとしてしまった。なぜ自分にデッキ診断を?という疑問が浮かんできてしまう。
「あの前田隼人のデッキを強化したのはお前だろう?あのデッキは並みのデッキを食ってしまうレベルだったぞ!?」
「あー、対戦したんだ。それで?なぜ俺にデッキ診断を?」
「前田隼人に聞いたからだ。さぁ、診断しろ!」
「分かった分かった」
『ふふ、面白い方ですね』
「え?」
「ん?どうしたんだ?」
「一言聞いておく、お前このザコが見えるか?」
『ザコだなんてヒドイじゃないのよ~』
「お『おジャマ・イエロー』!?」
遊来の反応に万丈目と『おジャマ・イエロー』が反応を示す。それと同時に『おジャマ・イエロー』が遊来の後ろに居る2人に驚愕の反応を示した。
『いやあああ!破滅の女神であるルイン様!それに伝説の竜の騎士『ドラグニティ』のレヴァティン様までいるじゃないのよォォ!?』
「何!?やはり『破滅の女神ルイン』とドラゴンの戦士は見間違いではなかったのか!」
『あれ?この男、精霊付きか。しかも俺達の事が見えてる』
『仮にも私達は上位の精霊ですからね、見える人には簡単に見えてしまうでしょう』
「あー、精霊の事は見える人同士の秘密って事で」
「な・・・・」
「ん?」
万丈目がうがーと言いたげに両腕を上に上げると大声で叫びだした。
「納得がいかーん!何故、お前がそんな上等な精霊なんだー!」
『ひどいじゃないのよ~』
「こればっかりは縁なんだから仕方ないだろー!それよりも、デッキ診断じゃないのか!?」
「む・・・そうだったな」
万丈目の愛用のデッキを渡され、広げてみるが遊来はその構築に驚愕する。なぜなら三つのパターンが組み込まれていたからだ。
「アームド・ドラゴン、おジャマ、VWXYZの混合って・・・しかも、おジャマのパーツが全然揃ってないし」
「何か問題あるか?」
「いや・・・別に(逆にコレを回せる技量が凄すぎるっての!十代とは別の意味で引くわ!)」
「俺からの提案だけど、おジャマの妨害を活かしつつアームド・ドラゴンかVWXYZ、どちらかに絞って2種類の混合の方が良いと思うよ?」
「それだとあらゆる手段に対抗できないだろう!?」
「いやいや、逆にもっと回るようにした方が強いって!!」
OCG出身の遊来からすれば万丈目も十代とは違った非常識の塊だ。本来、三種混合型のデッキは回るどころか事故を起こす可能性の方が最も高く、それを平気で回せるのが驚きしかない。
デッキ診断は深夜まで続き、おジャマが揃うまでアームド・ドラゴンとVWXYZの混合型で使うそうだ。おジャマは要が揃って居ないので仕方がないだろう。俺も持っていない事はないが精霊付きではないために意味がない。
ガード・ブロックや奈落などのカードも渡したりしたが、アームド・ドラゴン・サンダーはまだ早いと考え、渡すのは止めておいた。
その後は礼を言われたが、後のデュエルでまたカードをよこせと言われるのを遊来は思いもしなかった。
三種混合型って理想的ですが現実で回せる事ってほとんど無いですよね。高確率で事故りますから。
次回から1話だけ本土での話を挟んだ後、セブンスターズの序章へ入ります。
「不知火」と「魔妖」は登場させるべきか?
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登場させる
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登場させない