手にした竜騎士と破滅が気難しい   作:アマゾンズ

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エンターテインメント用の装置の開発。



間話 子供達の憧れ

校長経由で本土の海馬コーポレーションに来るよう言われた遊来。オーナー権限というやつで彼自身もお世話になっている為、断る事はできなかった。

 

久々に本土にへ戻ると同時に黒塗りの高級リムジンのような車に乗せられ、海馬コーポレーション本社へと直ぐに向かう事になる手筈が整えられていた。

 

「ふぅん・・・久々の顔だと言っておこうか」

 

「お久しぶりです、瀬人さん。それで俺が呼ばれた理由は?」

 

「その資料を見ろ」

 

「?」

 

手渡された資料に目を通すとデュエルディスクの拡張機能を開発する計画書のようだ。特にデュエルディスクに手が届かない子供達に対する物とエンターテインメントに関するものだ。

 

「拡張機能・・・ですか?それに簡易なデュエルディスクを開発するとも」

 

「そうだ。モクバがわざわざ一般家庭のリサーチまで行ってくれたおかげで普及率のデータが取れたのだ。その結果、数字が芳しくない」

 

「確かにデュエルディスクは高級品で、一般には広まりにくいですよね。親御さんがお金持ちか、大きな大会で入賞するか、デュエルアカデミアに進学でもしない限り手には入りません」

 

「そこで、幼年の子供達にも扱いやすい簡易デュエルディスクを開発するプロジェクトを立ち上げた。更にはソリッドヴィジョンを使ったエンターテインメント用の趣向も開発するつもりだ」

 

「趣向?」

 

「ソリッドヴィジョンを利用した変身だ」

 

「瀬人さん、そういったものは嫌っていたんじゃ・・・?」

 

そんなことを口にすると同時に扉が開き、そこから一人の少年が入ってきた。海馬瀬人の唯一の肉親であり弟で海馬コーポレーション副社長である海馬モクバである。

 

「兄サマ!デュエルディスクの一般普及率の正確なデータと子供達からの要望のまとめが終わった・・・遊来?来てたのか!」

 

「開発協力にね」

 

「モクバ、子供からの要望データを見せろ」

 

「はい」

 

データを素早く見終えるとやはりなという表情を見せ、遊来にもそのデータを見せる。子供達の要望はやはりデュエルモンスターズにおける人型モンスターになりたいというものであった。

 

「これは・・・」

 

「見ての通りだ。デュエルモンスターズだけではない、特撮作品のキャラクターなどの要望があるようだ。特撮に関しては制作会社との使用権限について既に話し合いを済ませている」

 

「それはわかりましたが、簡易デュエルディスクの方は?」

 

「デュエルのみに使用できる物を開発するつもりだ。簡易版とはいえ手は抜かん」

 

「じゃあ、開発はすぐにですか?」

 

「当然だ。アカデミアに関しては俺から証明書を出しておく」

 

それからというもの、海馬コーポレーションに部屋を用意され泊まり込みで開発協力をする事になった。特にソリッドヴィジョンを利用してでの変身モーションは子供達からの要望が強くメイン開発になった。

 

「瀬人さん、準備できました」

 

「よし、モーションテスト開始!!」

 

変身モーションを何度も繰り返したり、種類が豊富でマントなどのエフェクトモーションなどの開発をしつつ、簡易版デュエルディスクのテストも同時進行で行っていく。

 

無論、徹夜作業も度々有り仮眠を取ってから作業を再開するなど2ヶ月以上かかってようやくOKのサインが瀬人さんの口から出された。

 

「遊来、開発協力ご苦労だった。給与は口座に振り込んである」

 

「ありがとうございます」

 

「それと同時に特別報酬として、今回開発した変身モーション・・・特に特撮作品関連全てのデータを貴様のデュエルディスクの容量を拡張しインプットしておいた」

 

「え!?良いんですか!?」

 

「それくらいの働きはしていたという事だ。お前がホームとなれば他の奴も変身モーションを共有できるようにもしておいた」

 

「ありがとうございます!」

 

特撮関連の大ファンである遊来からしてみればお金以上に価値のある報酬だ。小躍りしたくなるのをグッと堪えて平静を装う。

 

「磯野!ヘリを手配してやれ!」

 

「はっ!」

 

「あの、瀬人さん。簡易版のデュエルディスクと変身モーションは一般公開はいつになります?」

 

「デュエルディスクに関しては、貴様がアカデミアの二年生になる頃には発売を開始するつもりだ。変身モーションはデータ販売になる」

 

「仕方ないですよね」

 

変身モーションがデータ販売になるのは無理はない。何故なら、ソフトタイプなどにしてしまうと高額化する可能性が大だ、無論それだけではないのだが。

 

「それと、だ」

 

「?」

 

瀬人さんは素早くペンを取り出すと、何かの書類に自分の名前をサインし封筒のような物に入れ、手渡してきた。

 

「磯野に連絡はさせたが、デュエルアカデミアに戻ったと同時に、念の為それを出せば教師どもは納得するだろう」

 

「!」

 

恐らくは遅延証明書か何かだろう。開発の協力をしていたとは言えど、遊来自身は学生だ。学生の本分は学校に通うこと、2ヶ月以上も欠席していれば不審に思われてしまう。

 

「何から何まで、ありがとうございます」

 

「ふん、さっさと戻るがいい」

 

遊来は一礼すると手配されたヘリに乗り込み、アカデミアへと戻る事になった。瀬人さんの指示で付き人の磯野さんが開発初日に連絡していてくれたのと直筆サイン入りの遅延証明書の効力は抜群で事情を説明し、学校に復帰となった。

 

二ヶ月分のノートや学習課題の内容は三沢が貸してくれ、いつものメンバーで授業後の復習と遊来が出遅れている部分の学習を進めている。

 

「この公式は、そこをyに代入するんだ」

 

「なるほど、xからかけ算しても解けるようだけど」

 

「む?そんな解き方もあったのか!解説してくれないか?」

 

「良いよ、教えてもらってるし」

 

「数学は苦手だ・・・・」

 

「僕も・・・ッス」

 

「だな・・・」

 

ちなみに今は数学の勉強だ。お互いに教えてもらい、教え合ってもしている。遊来は数学はそこそこで得意としているのは古文などだ。三沢は国語も得意としているが古文・漢文はあまりといった感じだった。

 

「しかし、こうしてみんなで勉強する時間が出来るなんてな」

 

「俺は昇格して単位が重要視される場所にいるし、三沢もそうだろ?」

 

「まぁな」

 

「けど、もっと意外なのは」

 

「ふふ、あの三人だろ?」

 

二人が視線を向けた先には悪戦苦闘しながらも勉強している十代、翔、隼人、そして教師役の明日香であった。無論、それを補助するジュンコとももえも参加している。ジュンコとももえも成績は良い方なので明日香の補助役として三沢が頼んだようだ。

 

「だ~か~ら、此処の和訳が間違ってるわよ!」

 

「ええっ!?」

 

「隼人さん、此処は銅板を差し込むという解答が正解ですわよ」

 

「やっぱり、理数系は難しいんだなぁ・・・」

 

「あら、十代・・・今回は良く出来てるじゃない」

 

「へへっ、明日香の教え方も上手いし遊来からも勉強を教えてもらってるからさ!」

 

「そ、そう」

 

担当部署で各々の声が上がっているが、楽しそうに勉強している。遊来は十代に勉強を教えている時に言った言葉があった。

 

『デュエルを楽しんでやれるなら、勉強も楽しんじゃえばイイじゃないか』

 

その結果、十代は勉強に対して身構えていたが三沢、明日香、遊来の三人で楽しめる勉強を教える事にしたのだ。

 

厳しさの明日香、正確さの三沢、楽しさの遊来という形でだ。まさにアメとムチという形で勉強を教えた結果、上位とまではいかないが中間の勉強成績を取れるようになってきたのだ。これには教師達も「一体、どんなマジックを使ったんだ?」とこぼすほどであった。

 

「しかし、あの十代がな」

 

「十代はキッカケさえ掴めば後は吸収が早いんだよ。勉強ってさ身構えちゃうじゃん?だから、ゲームみたいに楽しめるように教えたらって思った訳」

 

「なるほどな、楽しむ勉強か・・・」

 

「三沢も固く考えないで、たまには柔軟にしてもいいんじゃないか?デュエルもさ」

 

「!」

 

「理を詰めるのは悪くない、けれど・・・自分が楽しいって思える事を捨てちゃダメだろ?俺はそれを十代から教わったよ」

 

シャープペンシルを走らせ、問題を解きながら遊来は三沢が心に引っかかっていた事を見抜いたように言葉を口にする。

 

「自分が楽しいと思える事・・・か」

 

「相手に合わせるだけじゃない、自分のオリジナルを出してもいいんじゃないかな?俺のオリジナルはバレバレだけどさ」

 

「オリジナル・・か」

 

「俺がネットで覗いてる掲示板があるから見てみたら?みんなすごい発想の持ち主ばかりだから」

 

遊来はアドレスを三沢に送り、三沢は「後で見てみるよ」と言った後、遊来の講師役に戻った。

 

 

 

 

 

勉強の夜、遊来は自分のデュエルディスクを見ていた。特別報酬としてもらったエンターテインメント用のデータの中には変身モーションの他に隣に立たせ動かす事もできるという。ただし、あらかじめ入力しておいたモーションしかできないと聞いていた。

 

「うーん・・・もしかしたら、アレの真似が出来るかな?」

 

特撮以外で大好きなある作品の漫画文庫本がベッドに転がっている。デュエルディスクを眺めながら、遊来はいたずらを思いついた子供のような笑みをするのだった。




短いですがここまでです。

次回はセブンスターズ戦の初戦です。この時に遊来の心の炎とも言うべきモンスターが現れます。

「不知火」と「魔妖」は登場させるべきか?

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