デュエルアカデミアの受験当日。十代と遊来は電車の事故によって走って会場へ向かっていた。
「なんでこんな時に電車の事故なんだよー!」
「文句言っても仕方ないだろ!とにかく連絡はしておいたから、急ごう」
あれからインダストリアル・イリュージョン社から遊来の自宅にデュエルディスクが届き、それをカバンに入れてアカデミア受験会場に向かっている。
手紙も添えられており、シンクロ召喚の宣伝及びテストプレイヤーとしてシンクロ召喚をアピールして欲しいとの事が綴られていた。シンクロ召喚に関するデータは海馬コーポレーションも注目しているようで、その為にも使用している時の実戦データも欲しいそうだ。手紙の下には遊来がある一定のデュエリストレベルに達したら呼び出すとも書かれていた。
「うおおお、待っていろよ!デュエルアカデミア!」
「あ、十代!前!!」
「え?うわっ!?」
注意するのが遅かったのか、十代は歩行者とぶつかってしまった。相手は大したことがなさそうだったが、十代は尻餅をついてしまい、デュエルディスクとデッキが散らばってしまった。
「あ、ゴメン!」
「大丈夫か?十代、俺も手伝うよ」
「あ、ありがとうな。遊来」
「君達、デュエルをやるのかい?」
「ああ、デュエルアカデミアを受験するんだ!」
「え?・・・あ、貴方は!?」
十代がぶつかってしまった相手に対して遊来は顔を見ようと頭を上げた瞬間、声を上げようとしたが、相手は人差し指を立てて口元に当てるような仕草をした。それは黙っていて欲しいという合図にほかならない。仕草を止めると同時にデッキホルダーに手をかけ、微笑みながら一枚のカードを十代に差し出した。
「ラッキーカードだ。コイツがキミの元へ行きたがっている」
「あ、ありがとう」
「頑張れよ・・・」
「は、はい!あの・・・ありがとうございました!」
十代がお礼を言いながら頭を下げると、相手は微笑んでサムスアップをした後に遊来に一言だけ伝えた。
「彼と一緒に頑張れよ・・」
「!はい・・!」
十代は手にしたカード「ハネクリボー」を見ていると何処からか声が聞こえてきて周りをキョロキョロしていた。
「どうしたんだよ?」
「い、いや!」
遊来はその正体に気づいていながらも気付いていないフリをした。十代の肩の近くに薄い姿で「ハネクリボー」が浮遊しているのが見えていたからだ。「ハネクリボー」もそんな遊来の視線に気付いているが、遊来は先ほどの相手のように人差し指を立てて口元に当てていた。
「クリクリ~」と声が聞こえてきたがそれを笑顔で返すと十代に現実を突きつけるように声を発した。
「十代、急がないと受験に間に合わなくなるぞ!ただでさえ、遅刻状態なんだから!」
「あ、そうだった!ヤッバ~イ!」
二人は同時に駆け出し、アカデミアの受験会場の中に入った。遊来が事情を説明し、教員に確認を取ってもらうと電車の事故の件と遅れてしまう連絡をしてあった為に受験する事が出来る事になった。
特別に案内された教室で、筆記試験を十代と二人きりで受ける。カンニング対策の為に監視員として二人の教員、机もかなり長い距離を離されている。通常の科目からデュエルモンスターズに関する問題まであったが勉強はしており、会社のお手伝いをしていた時はペガサスさんが臨時教師を雇って勉強を教えてくれた。
「それまで!次は実技試験があるので移動してください」
「はーい」
◇
「受験番号24番!試験場へ!」
「あ、呼ばれた。行ってくる」
「おう!頑張れよ!」
十代と軽く拳をぶつけ合うと俺は試験場であるフィールドに立つ。今回はシンクロ召喚の宣伝を受験でして欲しいとペガサスさんから頼まれているためドラグニティデッキを使う。この世界でのドラグニティ・・・強すぎると思うけど。
「それでは試験を開始する。リラックスして普段通りの力を発揮しなさい」
「はい、よろしくお願いします」
「よし!それではデュエル!!」
試験官:LP4000
龍谷遊来:LP4000
「先攻は私だ。ドロー!」
「?」
遊来は不思議そうな顔をするが、GX時代のルールを思い出して納得した。この時代ではまだ先攻ドローが生きていた時代だ。それ故に手札一枚の増強は大きい。
「私はブラッド・ヴォルスを召喚!さらにカードを二枚伏せてターンエンドだ」
「ブラッド・ヴォルス?ウイルスコンボでも仕掛けてくるのかな?俺のターン、ドロー」
そして手札を見る。手札の枚数は今現在、六枚だ。展開出来るかは手札によって決まる。
[手札・現在6枚]
※調和の宝札
※ドラグニティ-クーゼ
※ドラグニティ-ファランクス
※ドラグニティ-レガトゥス
※テラ・フォーミング
※ドラグニティ-ファランクス
なるほど、これならギリギリで展開できそうだ。俺は手札にある一枚の魔法カードに手をかけた。
「手札から魔法カード、調和の宝札を発動」
「調和の宝札?ドロー系のカードか?」
「手札から攻撃力1000以下のドラゴン族チューナーモンスターを一体捨てて発動出来ます。手札のドラグニティ-クーゼを捨てて、カードを二枚ドロー」
「チューナーモンスターだって?」
[ドローカード]
※ドラグニティ-レムス
※ドラグニティ-ドゥクス
なかなか良いカードを引いた、このまま一気に展開しよう。恐れていたら負けちゃうからね。
「手札のドラグニティ-レムスの効果を発動。このカードを手札から捨てる事により、フィールド魔法『竜の渓谷』を一枚、デッキから手札に加えます」
「フィールド魔法のサーチ、なかなかに強力だな・・・それに、手札が全く減っていないとは!」
試験官は遊来が実力があることを見抜いていた。1ターンでカードを自分と同じ枚数を消費しているはずなのに手札が一向に減っていないのだ。
「フィールド魔法、『竜の渓谷』を発動」
デュエルディスクの先端にあるフィールド魔法ゾーンにカードをセットする。効果が発動され、黄昏を表す太陽と竜達が飛び交う渓谷が姿を現す。
「竜の渓谷の効果発動!1ターンに一度だけメインフェイズ時に手札を一枚捨てる事で二つのうち、一つの効果を選択して発動します。一つ目はデッキから『ドラグニティ』と名の付いたレベル4以下のモンスターを手札に加える効果。もう一つはドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る効果です。俺はドラグニティモンスターを加える効果を選択!手札の『テラ・フォーミング』を捨てて、デッキからドラグニティ-レガトゥスを手札に加えます」
[現在の手札・5枚]
※ドラグニティ-ドゥクス
※ドラグニティ-ファランクス
※ドラグニティ-ファランクス
※ドラグニティ-レガトゥス
※ドラグニティ-レガトゥス
ものの見事にダブリ祭りである。でも、これであの召喚が可能になった事は事実だ。
そして今現在、遊来は通常召喚を行っていないのだ。
試験官もこの事には驚きを隠せない。ドロー、サーチ、フィールド魔法発動とモンスター効果だけでかなりの準備をしている。だが、一向に通常召喚まで行かない事が逆に不気味であった。
「手札からドラグニティ-レガトゥスを特殊召喚」
『ドラグニティ-レガトゥス』星4攻撃力/1800 守備力/1200 鳥獣族/効果
「特殊召喚だって!?」
「レガトゥスは二つの効果が有ります。一つは1ターンに一度だけ、自分の場に『ドラグニティ』のモンスターか『竜の渓谷』が存在する場合、特殊召喚する事が出来ます。もう一つは魔法・罠ゾーンに『ドラグニティ』モンスターが存在する場合、フィールドの魔法・罠カードを一枚対象とし発動して、そのカードを破壊できます」
「カテゴリーの縛りが有る特殊召喚と魔法・罠破壊効果か・・・興味深い」
「更に墓地にあるドラグニティ-レムスの効果発動。自分フィールドに『ドラグニティ』モンスターが存在する時、このカードを墓地から特殊召喚します」
『ドラグニティ-レムス』星2攻撃力/800 守備力/800 ドラゴン族/チューナー/効果
「なんだって!?」
「ただし、この効果で特殊召喚されフィールドから離れた場合、ゲームから除外されます。そしてこのターン、俺は融合デッキからドラゴン族モンスターしか召喚出来ません」
「一体何を?」
「レベル4のドラグニティ-レガトゥスにレベル2のドラグニティ-レムスをチューニング」
「チューニング!?」
「二つの種族の結束が、新たな竜騎士を生み出す。今こそ駆け抜けろ・・・!シンクロ召喚・・・!」
「飛び上がれ、ドラグニティナイト-ガジャルグ・・!」
『ドラグニティナイト-ガジャルグ』星6攻撃力/2400 守備力/800ドラゴン族/シンクロ/効果
「し、シンクロ召喚だって!?その召喚方法はまだ発表されたばかりのはず!」
「はい、そうです。俺は宣伝兼実演テスターとして使っています。質問に関しては公式ホームページやカードショップなどでも受け付けてますので大丈夫ですよ。後々、アカデミアの方にも詳細が来ると思います」
「そ、そうか」
やはりシンクロ召喚は未知の召喚に映るようだ。だが、まだまだ終わらないのがこのデッキの特徴でもある。
「ガジャルグの効果発動。デッキからレベル4以下のドラゴン族か鳥獣族モンスターを一体手札に加えます。その後、手札からドラゴン族または鳥獣族のモンスターを一体手札から捨てます。デッキから『ドラグニティ-セナート』を手札に加え、ドラグニティ-ファランクスを墓地に捨てます」
これでもかという怒涛の流れに周りの受験生達も引き気味である。未知の召喚に加えて、これが1ターンの動きなのかと戦慄しているのだ。
「『ドラグニティ-ドゥクス』を通常召喚」
『ドラグニティ-ドゥクス』星4攻撃力/1500 守備力/1000鳥獣族/効果
[現在の手札・3枚]
※ドラグニティ-ファランクス
※ドラグニティ-レガトゥス
※ドラグニティ-セナート
ここでようやく遊来は通常召喚権を使った。だが、既に上級クラスに迫る攻撃力を持つモンスターが居る状態で何をしてくるのだろうか?と試験官は冷や汗が出てきている。
「ドゥクスの効果を発動。このカードが召喚に成功した時、自分の墓地に存在するレベル3以下の『ドラグニティ』と名の付いたモンスターを1体選択し、装備カード扱いでこのカードに装備します。俺は墓地に居るドラグニティ-クーゼをドゥクスに装備」
「そしてクーゼの効果を発動、このカードが装備カード扱いとして装備されている場合に発動出来ます。装備カード扱いのこのカードを特殊召喚します」
『ドラグニティ-クーゼ』星2攻撃力/1000 守備力/200ドラゴン族/チューナー/効果
「このカードは『ドラグニティ』モンスターのシンクロ召喚にしかシンクロ召喚の素材にする事は出来ません。また、このカードをシンクロ召喚の素材にする場合レベル4として扱う事ができます」
「なんと!?」
「レベル6のドラグニティナイト-ガジャルグにレベル4となったドラグニティ-クーゼをチューニング・・!」
「天の龍と鳥獣の王が手を結ぶ時、天空を駆ける竜騎士の王が現る・・!今こそ駆け抜けろ・・!シンクロ召喚・・・!王の道を行け・・!ドラグニティナイト-アスカロン・・!」
『ドラグニティナイト-アスカロン』星10攻撃力/3300 守備力/3200ドラゴン族/シンクロ/効果
「こ、攻撃力3300!?」
「『ドラグニティナイト-アスカロン』の効果発動。自分の墓地にある『ドラグニティ』モンスター1体をゲームから除外し、相手モンスターを1体対象にして発動します。そのカードをゲームから除外します」
「除外!?」
「はい、墓地には行きませんのでカードを使って戻す事をしないと蘇生も出来ません。よって、貴方の場のブラッド・ヴォルスをゲームから除外」
「しまった!(ウイルスコンボの要が!相手の展開の長さに夢中で見落としていた!)」
「バトルフェイズ。アスカロンとドゥクスで攻撃・・・!この時ドゥクスはドラグニティと名のつくカードが自分フィールド上に表側表示で存在している時、そのカードの数×200ポイントアップします」
「な、という事は!?合計5000ポイントの戦闘ダメージ!?うわああああ!」
遊来の攻撃によって後攻ワンターンキルを達成してしまった。ドラグニティというカテゴリーに加え、シンクロ召喚という未知の召喚方法まで使い流れるような展開をした遊来のタクティクスに他の受験生達は呆然としていた。
「シンクロ召喚という新しいシステムにドラグニティというカテゴリー、新しい物を見せてもらい、嬉しかったよ。合格発表は追って通知する」
「はい、ありがとうございました」
そんなこんなで俺の試験は終了した。十代の様子を見に行くと丁度、フィニッシュのようだ。相手は実技担当最高責任者のクロノス教諭で攻撃力3000の古代の機械巨人を十代のフェイバリットであるE・HEROフレイム・ウィングマンがフィールド魔法、摩天楼-スカイスクレイパーの恩恵を受けて攻撃力3100となり撃破した。
「あれには俺のドラグニティもやられたんだよなぁ・・・」
なんてボヤきながら、十代の勝利に拍手を送りつつ、遊来は携帯電話が鳴っているのを確認し電話に出るとペガサス会長からで試験が終わった後、会って欲しい人物が居ると言われ了承していた。
デュエル描写って難しいですね。ほとんどルールなんて忘れているに等しいです。
一応、当時のアニメに近い状態でやっています。未来のカードも使っていますが、強力なのは使っていないつもりです。
この作品でのドラグニティはシンクロがメインなのでリンク召喚のドラグニティは出ません。
「不知火」と「魔妖」は登場させるべきか?
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登場させる
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登場させない