手にした竜騎士と破滅が気難しい   作:アマゾンズ

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セブンスターズ、誇り高きアマゾネスのデュエルという名の婿探し。

カイザーのプレイスタイル変更のきっかけ。

遊来がカードの意志に飲まれる。


第21話

カミューラが教師となってから男子学生の成績が向上したという話を聞かされている遊来。

 

ヴァンパイアとはいえどカミューラは昔の貴族でしかも顔立ちがいい。現代で言うところの美人セレブ系といった感じだ。

 

彼女に告白した猛者も居たそうだが、怒った時の顔を見せたら逃げ出した者や、その姿を見てでも彼女と一緒に居たいという生徒までいた。

 

「まぁ、カミューラは客観的に見てもかなりの美人だしな。仕方ない」

 

「戦った身としては複雑だがな」

 

今話している相手はカイザーこと丸藤亮だ。年齢的には年上なのだが、この戦いの最中、敬語でなくても良いと本人から言われ、こうしてタメ口に近い感じで話している。

 

今現在はオベリスクブルーの食堂で軽食をとりつつ、カミューラの話題と同時に『サイバー・ダーク』に関しての話題にも触れている。

 

「所で『サイバー・ダーク』に関してだが・・・」

 

「どうだった?実際に回してみて」

 

「純正にしてもらい試してみたが、やはり勝手が違うな。ドラゴン族と機械族の混合型・・・混合型の使い手は目の前に居たおかげで動きは分かったが、俺は機械族のみのデッキを使っていた影響で扱いにくかった」

 

「使い手という点は褒め言葉として受け取っておくよ。一種と混合は動きが根本から違うから、どちらかをメインに考えるなら片方はサポートにする方が良いのさ、『サイバー・ダーク』ならドラゴン族をサポートにする方が良い」

 

「ふむ、だからこそ『ドラグニティ』のチューナーモンスターか」

 

「アイツ等は装備モンスターに自分の持つ効果を付与させる効果があるからな、もっともシンクロ召喚が使えれば幅が広がるけど、それは俺限定だし(それに『サイバー・ダーク・エンド・ドラゴン』のカードを出す訳にはいかなかったしな)」

 

「シンクロ召喚が使えずとも『サイバー・ダーク』の本質は掴めた。だが・・・」

 

「?」

 

「俺は今、分からなくなっている・・・自分の考えとサイバー流に教えられた間で」

 

「(ああ、勝ちたい気持ちと相手を敬うリスペクト精神は相反しているからな。どちらかの考えを固く持たないと半端なままだ)」

 

「俺はどうすれば・・・」

 

「固く考えなくても良いんじゃないか?」

 

「何?」

 

「カイザーは考えすぎなんだよ。完璧だなんて言われてもデュエルに完璧なんてないだろ?自分を第三者目線で考えつつ、何を目指すのか、何がやりたいのか、それを明確にすればいいのさ」

 

「第三者の視点から何を目指し・・・何を明確にするか・・か。フッ、まるでお前は長い人生経験をしてきたような物言いをするんだな」

 

「(ギクッ)はは、さっきの言葉は読んだ事のある本の引用だよ。けど、これは俺の言葉、『サイバー』の表を知り裏の真実を知った今なら、カイザーはどちらも使いこなせると俺は思うよ」

 

「・・・背中を押してくれた礼に本音を言おう。俺は本当は勝利だけを目指したい・・・リスペクト精神を捨ててでも勝ち続けたい・・!」

 

「だったら、徹底的に叩き潰すスタイルにしても良いんじゃないか?俺が言ったからじゃなくて、カイザー自身の考えでさ。冷酷だ、血も泪もないのか、カイザーらしくない!なんて言われても気にしなくていい。これが俺のスタイルだ!って考えを貫けばいい。例えば俺自身なんて殆ど『ワンキル』ばかりしてるけど、それが俺のスタイルだもの」

 

「なるほどな・・・!」

 

「人目を気にしすぎたらやっていけないからね」

 

そんな会話をしている中で亮は、自分自身の本当の考えを遊来に引き出された事に内心驚いていた。

 

明らかに年下であるはずなのに、年上のような考えを持つこの後輩に改めて親しみを感じてしまう。

 

いずれは、迷いを振り切った心で目の前の相手と全力で戦いたい、そんな気持ちが芽生え始めていた。

 

 

 

 

 

その後、突如として生徒が行方不明になるという事件が発生した。それと同時にコロッセウムに似た建物が建築されていた。その中にはクロノス先生までいたという。

 

そして、その建造に関わっていたのはセブンスターズの一人、アマゾネスの戦士であるタニヤであった。

 

彼女の対戦相手は三沢が受けて立つ事となった。彼は六つのデッキのうち動かざること『地』の如しと銘打った『地のデッキ』を取り出し戦うことになったのだが・・・。

 

「私は『アマゾネスの吹き矢兵』を召喚!」

 

「伏せカード、オープン!『マグネット・フォース・マイナス』!このカードは発動後、モンスター1体に対する装備カードとなる!そして、このカードを装備したモンスターはマイナスの磁気を帯び、マイナスモンスターとなる!!磁気モンスターは同じ磁気の場合、バトルは無効となり終了する!だが、違う磁気モンスターの場合、強制的に戦闘しなければならない!」

 

「『アマゾネスの吹き矢兵』はマイナスモンスター・・・!」

 

「『磁石の戦士Σ+』はプラスモンスター!」

 

「プラスとマイナスの引き合う力により、バトルが発生する!」

 

「いや~ん♥三沢っちとタニヤが引き合う~ん!♥」

 

「真面目にやれ!!」

 

真面目一本な三沢に対し、正々堂々としているのだが所々で女性らしい仕草や声を出してくるタニヤに対して三沢は怒鳴るが内心タジタジである。

 

「あちゃあ、三沢ってば完全に手のひらで転がされちゃってるよ・・・」

 

「?どういう事だ?遊来」

 

「俺も含めだけど、アカデミア内部で女性とは友人関係で接する事はあっても、愛情を真正面から向けてくる女性とは接した事はないだろ?」

 

「そうか?」

 

「アニキってば・・・けど」

 

「遊来の言う事も分かるんだな」

 

「・・・・」

 

「アマゾネスはさ、女性だけの部族ってゲームや本の物語でよく書かれてるだろ?誇り高く、卑怯な振る舞いを嫌うが部族を虚仮にした相手を決して許さない。だけど言い換えれば、それだけ恋愛に関しても情熱的な女性が多いって事なんだよ」

 

「へぇ・・・」

 

「つまり、三沢は」

 

「万丈目の予想通りだよ。みんなはもう分かってるだろうけど、三沢は理論的計算志向が強い分、生真面目な相手に対しては冷静になれば返せる。けれど相手は異性、しかも自分へ恋心を情熱的にぶつけてくるなんて初めての経験だし、自分の頭の中で妄想が爆発しそうになってる」

 

「男って、みんなそうなのかしら?」

 

「明日香、男がみんなそういう訳じゃないからな?」

 

「分かってるわよ」

 

女性として明日香も思う事があったのだろう。デュエルの途中経過を見ると三沢が圧倒的に追い詰めいられていた。

 

「手札から魔法カード『アマゾネスの呪詛師』を発動!アマゾネスモンスター1体と相手の表側表示のモンスターの元々の攻撃力を入れ替える!!」

 

「『知恵』のデッキはアマゾネスのサポートがすごいな。弱体化を活用してカウンターしてくるのか」

 

『アマゾネスの吹き矢兵』と『磁石の戦士Σ+』の攻撃力が逆転したことにより、『磁石の戦士Σ+』は『アマゾネスの吹き矢兵』に吹き矢によって破壊されてしまう。

 

三沢:LP2700

 

「更に『アマゾネスの剣士』でプレイヤーへダイレクトアタック!!『首狩りの剣』!!」

 

「うぐううううう!!」

 

三沢:LP1200

 

「ターンエンド!」

 

「バカな・・・二度までも俺の戦略の上を行くとは・・・」

 

「恋の駆け引きはね・・・女のほうが上手なのよ」

 

「ふざけるなーー!」

 

冷静になりかけていた三沢の精神をタニヤは簡単に揺さぶってしまう。このやりとりにギャラリーは呆れ気味だ。

 

「何が婿だ!嫁だ!!俺とお前は敵同士なんだぞ!?俺達は世界の破滅を賭けて戦っているんじゃないのか!?」

 

「世界の破滅が何よ!恋は不滅よ!!七星門も鍵でも開かない、貴方のハートを私の鍵で開けてみせるわ!!」

 

「訳が分からん・・・!お前、本当に俺に惚れたのか!?」

 

「惚れたわよん!♥」

 

「何処に惚れたんだ!?」

 

「決まってるじゃない、その凛々しい顔に♥」

 

「ぐう・・・!(顔に惚れただと!?外見しか見ない軽薄女め!それじゃ、翔や隼人のアイドルカードと変わらんじゃないか!!)」

 

三沢の思考の中に『白魔道士ピケル』が思い浮かんでしまい、彼は頭を抱えて否定する。

 

「違う!あれは違うんだああああ!!」

 

「どうしたんだ?三沢っち」

 

「悩んでるみたいッスね、三沢っち」

 

「そんな呼び方、止めろー!!」

 

「ありゃあ、もうダメだな・・・完璧に」

 

遊来も頬杖を付いてしまっている。自分もあんな風に真っ直ぐな恋心をぶつけられては、慌てる事は間違い無い。

 

もっとも、そんな機会があるとは思えないと否定する。

 

 

 

 

 

結果として三沢は敗北し、コロセウムに囚われてしまった。今の自分達にはもう何も出来ない事を遊来が伝えて解散になり、一人になった時、遊来は1枚のカードを取り出し見ていた。

 

「力・・・もっとだ・・・もっと力を、デュエルがしたい・・・」

 

『マスター?』

 

ルインが心配そうに見ているが、その心配すらも意に介していない。シンクロ召喚という光の中にある僅かな影、それが『琰魔竜レッド・デーモン』のカードだ。闘争本能を刺激し、デュエルのみを求め続ける一面を持ったカード。しかし、このような状態に何故陥っているのか?それは『琰魔竜レッド・デーモン』が自らを進化させようとしているからだ。

 

『琰魔竜レッド・デーモン』と『レッド・デーモンズ・ドラゴン』互いに進化しようとする意思は同じだが、進化の仕方が根本的に違う。

 

『琰魔竜レッド・デーモン』は自らを悪魔と化し、進化するのに対して『レッド・デーモンズ・ドラゴン』は悪魔であろうと神であろうとその力を自らに取り込み、炎の化身となって進化する。

 

だが、遊来は今『琰魔竜レッド・デーモン』によって己の中にある闘争本能と勝利しなければならないという自責感に目をつけられ心の中にある負の感情を増幅させられている。

 

それが表立って出てこなかったのは『レッド・デーモンズ・ドラゴン』が拮抗していたおかげだったのだ。だが、その拮抗が破られ、『琰魔竜レッド・デーモン』が主導権を握ってしまった。その影響か部屋に戻ってすぐに遊来は出て行ってしまい、精霊だけが部屋に残されている。

 

『セブンスターズとの戦いがあるこの状況下で、マスターがカードの意志に飲み込まれてしまうなんて!』

 

『姐さん!かなり不味いだろ!『琰魔竜レッド・デーモン』はかなり凶悪なんだからさ!』

 

『分かってます。ですが今のマスターを倒せる相手は・・・遊城十代か丸藤亮のみ・・・』

 

『・・・だよな』

 

『けれども、心に迷いのある丸藤亮では、はっきり言ってマスターを倒す事は不可能です』

 

ルインは強く拳を握って悔しさを表に出していた。普段は陽気なノリを出しているレヴァティンもこの時ばかりは戦士の顔になっている。彼はルインの気持ちにいち早く気づいており、彼女の身にとある『因縁』がある事も。

 

『今回ばかりは俺も軽いノリを封印しようかね・・・』

 

『え?』

 

『破滅を司る神、ルイン様。この時より『ドラグニティ』の戦士『ドラグニティアームズ・レヴァティン』我が主を救う為に貴女様の剣となり盾となりましょう』

 

『!レヴァティン・・・』

 

それは初めて見るレヴァティンの戦士としての礼節だった。普段は不真面目で悪ノリばかりしていた彼が本当に戦士であった事をルインは改めて見る事になった。

 

『頼む。伝説の戦士たる『ドラグニティ』の部隊長レヴァティンよ。私に力を貸して欲しい』

 

『御意』

 

ルインも『女神』から『美神』の姿となり、手にした槍で人間の騎士達が行っていた王の礼節のように儀礼を行った。

 

お互いに仲が良くとも種族の違いなどで何処か距離を取っていた二人、その二人が遊来を救うという共通の目的のために初めて手を結んだのだ。

 

『『ドラグニティ』・・・すなわち竜騎士・・・うっ!?』

 

『ルイン様!?』

 

『うううううっ!?』

 

それは過去の、否、魂に刻まれた記憶。一人の竜騎士が海の神と対峙し戦う姿。海の神を崇める巫女が強大な闇の眼に見つめられる姿。そして、その際に自らの魂の一部を精霊界へと送り込まれルインへと入り込む瞬間が映し出される。

 

『っ・・・(私の中に別世界の魂が?)』

 

『ルイン様、大丈夫ですか!?』

 

『問題ない・・・無様を晒したな』

 

自らの魂の中に封じられていた僅かな記憶を取り戻したルイン。自分もマスターである遊来も、そしてレヴァティンも別世界における遥か昔から繋がりを持っていた。

 

今、マスターである遊来は『琰魔竜レッド・デーモン』の闇の意志に飲まれつつある。そこから救い出す事が最優先。だが、今の状況では現実に干渉することができない。干渉するためにはマスターである遊来の干渉許可を得なければならない。それが精霊としての縛りの一つだ。

 

この縛りがあるからこそ、ルインは強く拳を握って悔しがっていたのだ。

 

『このセブンスターズとの戦い、恐らく最終決戦の前に現れるのは』

 

『分かっている。その時こそ、敵と戦う対戦者に私達の力を貸そう』

 

竜の戦士の剣と破滅の槍を互いに合わせ、決意を新たにした二人。自分を友と呼んでくれた主人、初めて異性として意識し始めた相手、その相手を救う機会を待つのであった。




遊来くんは歴代主人公のように精神的に強くありません。

光の中の闇、『琰魔竜レッド・デーモン』がその象徴であり、その意志に飲まれています。

光がどんなに強くてもその中に必ず影が出来ます。『琰魔竜レッド・デーモン』は倒された時、その闇の意志が消滅し改めて迎え入れられます。

次回は味方同士の戦いになります。

「不知火」と「魔妖」は登場させるべきか?

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