手にした竜騎士と破滅が気難しい   作:アマゾンズ

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ドラグニティ強すぎ問題(当たり前)

社長へ贈り物。

明日香とカードをトレード。

ゆきのん登場。


間話 機械天使と破滅の天使

三幻魔との戦いの前の時刻、海馬コーポレーション社長室。其処には総帥である海馬瀬人が忙しくパソコンのキーボードを叩き、株などの情勢を見ている。

 

「兄サマ!!」

 

「ん?モクバ、どうした?」

 

「会社宛へ荷物が届いたんだ。差出人は遊来だよ」

 

「アイツから?封を開けてみろ」

 

「うん!」

 

モクバが荷物の封を開けると其処には、小さなストレージボックスと手紙が入っていた。

 

「カード入れるボックスと手紙?『約束した物を送ります』だって?え!に、兄サマ!これ!」

 

「どうした!?モクバ!なっ・・・!」

 

モクバが手にして見せに来たのは『青眼の亜白龍』のカードであった。その他にも『青眼の双爆裂龍』や『太古の白石』など『青眼』に関連したカードがスリーブなどで保護された状態で所狭しとストレージボックスの中に入っていたのだ。

 

「これは・・・前に奴が言っていた『青眼』の関連カードか!?サポートだけではない、戦力としてのカードもあるのか!モクバ、そのボックスをよこせ!」

 

「う、うん!」

 

瀬人は遊来から送られてきたストレージボックスの中身を全て確認した。自分のデッキを最大限に強化できるカードばかりが入っており、瀬人自身も驚きを表情に出している。

 

「!!(一体、アイツの前にいた世界とはなんだ!?これだけの『青眼』強化サポート、戦力となるカードなど見たことはない!)」

 

「兄サマ?」

 

「ふぅん・・・モクバ、遊来に伝えておけ。『青眼』を使うからには敗北は許さんとな」

 

「う、うん!分かったよ!」

 

モクバは兄が遊来を認め始めている事を感じていた。『青眼』のカードを渡されたからではなく、彼がシンクロ召喚の実演用である『ドラグニティ』を使い、戦う姿を衛星通信からの映像を見た時からだった。

 

『ドラグニティ』の圧倒的な制圧力を目撃してから、兄は遊来とのデュエルを望んでいる。だが、世界的大企業とも言える海馬コーポレーションの総帥である身としては、時間が取れないことも事実。

 

「・・・・貴様との決闘。楽しみにしておくぞ」

 

 

 

 

 

 

この時と同時刻。遊来はオベリスクブルーのとある女生徒とデュエルしていた。相手の条件は『ドラグニティ』の本気で戦うことだった。

 

「ウフフ・・・竜騎士のボウヤの手札は残り一枚、頼みの『竜の渓谷』は破壊されてフィールドはガラ空きになってしまったわね?私の場には『終焉の王デミス』のみ、ライフポイントはお互いに800。流石の竜騎士も膝を着くかしら?」

 

「そうだな、普通なら・・・もう手詰まりだ」

 

十代をはじめとした遊来と友好の深いメンバー達、全ての所属の生徒達もこのデュエルを見学している。だが、遊来は淡々としている中で変化が現れていた。

 

「(俺の手札は『ドラグニティ・ファランクス』のみ)俺のターン、ドロー」

 

「!俺は『調和の宝札』を発動!手札の攻撃力1000以下のドラゴン族のチューナーモンスターを墓地へ送り、カードを2枚ドローする!」

 

「本来であれば、この状況での『調和の宝札』はただの手札交換に過ぎない、だが」

 

「そう、遊来にとって『ドラグニティ』のカードを墓地に置く事がアドバンテージを得られる条件!」

 

「手札の『ドラグニティ・ファランクス』を墓地へ送り、デッキからカードを2枚ドロー!」

 

[ドローカード]

 

※疾風のドラグニティ

※ドラグニティ-クーゼ

 

「・・・!藤原、渓谷は無くても『風』は吹いてくれるようだぞ」

 

「?」

 

「手札から速攻魔法!『疾風のドラグニティ』を発動!このカードは1ターンに1枚しか発動できず、相手フィールドにのみモンスターが存在する場合に発動できる。デッキから「ドラグニティ」チューナーと鳥獣族の「ドラグニティ」モンスターを1体ずつ効果を無効にして特殊召喚する。EXデッキから特殊召喚されたモンスターが相手フィールドに存在する場合、さらに自分フィールドの「ドラグニティ」モンスターのみを素材としてドラゴン族Sモンスター1体をS召喚できる。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はドラゴン族モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない」

 

「え!?」

 

「俺はデッキから『ドラグニティ-セナート』『ドラグニティ-クーゼ』を特殊召喚!この2体の特殊効果は無効化されているけどな」

 

「それじゃ、最上級のモンスターを出せないよ!?」

 

「本気になった『ドラグニティ』の絆を舐めるなよ?翔。レベル4の『ドラグニティ-セナート』にレベル2の『ドラグニティ-クーゼ』をチューニング!」

 

★4+★2=★6

 

鳥人の魔道士がクーゼが己の身を光の輪に変え、その中を潜り星の羅列が完成する。

 

「二つの種族の結束が、新たな竜騎士を生み出す。今こそ駆け抜けろ!!シンクロ召喚!飛び上がれ!『ドラグニティナイト-ガジャルグ』!!」

 

「そんな・・・そのモンスターは!」

 

「『ドラグニティナイト』の一番槍だ!だが、まだ止まらない!俺は手札の『ドラグニティ-クーゼ』を通常召喚!」

 

「!この土壇場で『ドラグニティ-クーゼ』を『調和の宝札』で引いていたのか!?」

 

「まだだ、俺は墓地に眠る『ドラグニティ-クーゼ』『ドラグニティ-セナート』の2体を除外し『ドラグニティアームズ-グラム』を墓地から特殊召喚!!」

 

「あ、あのモンスターは俺とのデュエルでも使っていたんだな!」

 

「ど、どういう事!?何故、そのグラムというモンスターが墓地に!?」

 

「あっただろう?藤原。俺がグラムを墓地に置く機会が、たった一度だけな」

 

「・・・はっ!?」

 

それはデュエルをスタートし、3ターン目の出来事であった。『ドラグニティアームズ-グラム』を墓地へ送る機会はその時、確かに存在していた。

 

『俺は「竜の渓谷」の効果を発動!手札を1枚墓地へ送り、自分のデッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る』

 

『あら?手札に加える効果の方を選択しないのかしら?』

 

『これで良いのさ』

 

数秒の思考から現実に戻った時、藤原と呼ばれてる女生徒は驚きを僅かに表情へ出していた。

 

「あの時ね?・・・あの時に墓地へ送ったドラゴン族のカードが!」

 

「そう、グラムだったのさ!更に俺はレベル6の『ドラグニティナイト-ガジャルグ』に『ドラグニティ-クーゼ』をチューニング!!このクーゼは通常召喚されたクーゼ、よって特殊効果によりレベル4として扱う!」

 

★6+★4=★10

 

「天の龍と鳥獣の王が手を結ぶ時、天空を駆ける竜騎士の王が現る!今こそ駆け抜けろ!シンクロ召喚!!王の道を行け!『ドラグニティナイト-アスカロン』・・!」

 

「アスカロン・・・!これが・・・『ドラグニティ』の本気」

 

「『アスカロン』の効果発動!墓地にある『ドラグニティ』モンスターを1体ゲームから除外する事で相手のフィールド上のモンスター1体をゲームから除外する!俺は墓地にある『ドラグニティ-セナート』を墓地から除外して、『終焉の王デミス』をゲームから除外する!!」

 

「勇ましい・・・そして、気高いわ。これが・・・竜騎士なのね」

 

「アスカロンでプレイヤーへダイレクトアタック!!ドラグニティ・シェイバー!」

 

「・・・・」

 

相手のライフポイントがゼロになり、藤原と呼ばれた女生徒が遊来に近付き、キス出来る寸前にまで遊来に顔を近づける。流石に一目見て誰もが美人だと言える相手に顔を近づけられれば驚くだろう。

 

「っ!!??」

 

「貴方の事、気に入ったわ。私も貴方に釣り合えるようになるから、それまで輝いていて?竜・騎・士・さ・ん」

 

それだけ言うと藤原は背を向けて去っていった。遊来は心臓がドキドキしているのを感じつつ、息を一つ吐いた。

 

「危ないな・・・アイツ・・・美人だ・・痛っ!?」

 

『マ~ス~タ~?何、鼻の下をのばしてるんです~?』

 

「(客観的に見てだよ!客観的に!あ~痛い!)っ!?」

 

ルインに背中を抓られた後に何やら殺気を感じたので振り返ると、明日香とジュンコが僅かに睨んでいた。

 

「(俺、何もしてないよね!?あの藤原ってのに近づかれたけど、何もしてないから!!)」

 

『ふん!』

 

『(ルイン姐さん、マスターの事を好いてるんだなぁ・・・精霊にもモテるなんて罪だねぇマスターは)』

 

 

 

 

その日の夜、明日香から機械天使のデッキを見て欲しいとの連絡が来たので部屋へと招待し、デッキを広げてもらいそれを見ている。

 

「ふむふむ、属性も光に種族も天使一本に染まりそうだし天使サポートを入れてもいいな。サイバー・ブレイダーは別のデッキとして持っておくといい」

 

「そうね、機械天使に関して貴方の意見を聞かせてくれる?」

 

「俺の構築だとガッチガチに相手を倒すタイプのデッキになっちゃうし、明日香自身はどうしたい?徹底的に相手を倒したいなら俺が持ってるカードも組み入れるよ」

 

「なら、徹底的にしたいわ」

 

「良いのか?強すぎてドン引きされるレベルになるよ?」

 

「うっ・・・構わないわ。どうなるか知りたいの」

 

「オッケー、となると先ずは」

 

遊来は迷いなく『大天使クリスティア』『トリアス・ヒエラルキア』『神光の宣告者』などを自分のストレージボックスから取り出し、明日香へと手渡した。

 

「?ちょ・・ちょっと待って!遊来!!これとこれを組み合わせたら!」

 

「あ、気づいちゃった?流石に明日香は勘がいいなぁ」

 

「何で、こんなにもえげつないパーツを渡してくるのよ・・・貴方は」

 

「徹底的にしたいって言ったのは明日香だろ?俺はその手助けをしてるだけさ」

 

「だけど!」

 

「ストップストップ!ビートダウンだけっていう考えは凝り固まり過ぎだって」

 

「う・・・」

 

明日香が感情的になってきたのを宥めて、遊来は機械天使パーミッションの説明を始める。この世界ではビートダウンこそが至高のデッキだという価値観が強い。だからこそ、説明をしないといけない。

 

「つまり、相手を妨害しつつ優位性を取っていくデッキになるのね」

 

「そう、これだって有効な戦略だよ。無論、デッキ破壊とかもね」

 

「・・・」

 

「確かにビートダウンでぶつかり合うのは良いかもしれない。けれど、力はより強い力に飲まれてしまう。けれど、その力を止めてしまうことができるなら?」

 

「・・・あっ!」

 

「相手が自分より強い力を持っていたら勝てなくなってしまう。俺の『ドラグニティ』を見てたなら分かるはずだけど?」

 

「そうね。隼人くんや十代とデュエルした時、アスカロンの攻撃力を超えている相手モンスターを除外していたものね」

 

「そ、だから戦略の一つとして考えておけばいいよ。墓地利用してた時なんか俺、かなり言われてたんだから」

 

「そういえば、そうだったわね・・・」

 

明日香もようやく納得してくれた様子だ。デッキを組みテーブルデュエルを行う事にするが二戦のみを行う事にする。

 

「『大天使クリスティア』『神光の宣告者』がフィールドに揃ったわ」

 

「あ・・・済まない。サレンダーで、もう勝てない」

 

「本当にすごいデッキね・・・相手を抑え込んで自分の優位性を不動の物にしちゃうなんて」

 

「仮に出来なくても戦えるようにはしてあるからさ。勝ちへの道筋は多いほうがいい」

 

「ふふ・・・ありがとう。しばらくこのデッキで頑張ってみるわね」

 

「こっちこそ、余っていると言われたとはいえ機械天使のパーツを交換してくれてありがたい」

 

遊来はデュエル前に『大天使クリスティア』『神光の宣告者』などのパーツと引き換えに、機械天使のパーツを明日香とトレードしたのだ。

 

「これで、俺の儀式デッキも組み直せる」

 

「アレを強化するつもりだったの!?ますます負けられないわね!」

 

「『ドラグニティ』だけじゃないって事をアピールしないとな」

 

「それじゃ、私戻るわね」

 

「ああ、またな」

 

「ええ」

 

明日香は遊来の部屋を後にし、通廊を歩き出した。歩きながら明日香は今日の自分の感情に対して考えていた。

 

「遊来が雪乃に言い寄られていた時、どうして私は不快に思ったのかしら?彼の事は何とも思ってないのに」

 

それは明日香の中にわずかに芽生えた感情であった。今はまだ何も感じない、自覚も薄いものである。そんな感情が自分の中で出ている事をまだ認められないまま明日香は自分の部屋へと戻っていった。

 

 

 

 

 

『マスター!どうして明日香さんのカードを使うんですか!』

 

「これを使わないと単体で組めないんだよ!」

 

ルインと遊来は自室でケンカしながらデッキを組み直していた。ルインは明日香からトレードしてもらった機械天使を組み入れられるのが気に食わない様子だ。

 

『うー、マスターなんて知りません!!』

 

因みに今ルインは『天使』の状態でいる。使用した魔力を蓄える為だそうで、この方が最も効率よく貯められるのだとか。

 

ただ、今の自分と同年代のような姿である為に遊来もより、素の自分に戻ってケンカしてしまっていた。だが、遊来自身は何故、ルインが明日香からトレードされたカードを使われるのが嫌なのか分かっていなかった。

 

「戦略的にはコレを使わないと勝ち筋が増えないんだよ・・・」

 

『・・・(つーん)』

 

「むぅ・・・」

 

ルインは拗ねていて話を聞いてくれる様子では無さそうだ。遊来はとにかく、ルインを単体で使う事の出来るデッキを組み続ける。

 

何故、彼がデッキを組み直す事にしたのか?それは自分が『ドラグニティ』だけに頼りすぎている事を脱却したいと考えたからだ。

 

『ドラグニティ』は確かに非常に強力なデッキだ。しかし、それはシンクロ召喚という最先端の召喚方法によって支えられているからだ。

 

だが、そのシンクロ召喚ばかりに頼りすぎているから強いのだと、言われたくはないのだ。そこで、自分の前の世界で最も使い込んでいたルインデッキを組み直すことにしたのだ。

 

前の世界でも強化はされたがそれ以上に強いデッキばかりで、他のも組んだ方が良いと言われたり、馬鹿にされたりもしたが最大のフェイバリットであるルインをどうしても使わないという事は出来なかった。

 

「(もし、もし俺がまたセブンスターズの一員になった時のようなことがあれば・・・ルインにも止めて欲しい)」

 

そんな心の言葉をルインが聞いているとは思いもしないだろう。ルイン自身も自覚した自分の内なる存在『メラグ』が語りかけて来たのを思い返す。『アルタイスを支えて欲しい』と。

 

『(もしかして・・・『アルタイス』とはマスターの事?メラグ・・・貴女はマスターに何を伝えたいのですか?)』

 

あの時以降『メラグ』がルインへ語りかけてくる事はない。知りたい事、聞きたい事が山程あるというのに何も教えてはくれない。

 

遊来のデッキ作りは深夜ギリギリまで続き、デッキが出来上がると同時にベッドへ入り込み眠ってしまった。

 

これが、三幻魔と闇の炎の側面を持つ『レッドデーモン』との戦う前の日常である。




「あったのさ、たった一度だけカードを墓地へ送るチャンスが!」

「!あの時だ、あのカードを墓地へ置く機会はあの時だけ!」

この二つのフレーズは、かなりお気に入りで使ってしまいます。特にドラグニティは墓地へカードを送る事が多いので。

遊来くんは一応『デュエルが強い』のでアカデミアでは結構モテる方に入ります。

ただ『恋愛』の駆け引きは他の相手に対しては鋭いですが、自分の事になると鈍感です。好意に気づいても本当の好意なのか?と疑問に思ってしまいます。

今回の相手はゆきのんこと『藤原雪乃』に戦ってもらいました。彼女も遊来がお気に入りですが、まだまだ恋愛という感じではなく『デュエルが強い人』という認識です。

次回は本編です。

※アンケートは次回投稿で締め切ります。

「不知火」と「魔妖」は登場させるべきか?

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