とある三人と一人が押しかけ。
自分の意識を取り戻した遊来は自分が何処に居るのかを確認する為に周りを見渡していた。テレビのドキュメンタリーなどで見た事のある遺跡が現役の建物としてそびえ立っている。
そこでは何やら祭りが行われているようで、遊来は隠れて様子を見る。
「我らが光を齎らす太陽はいずれ消え失せる。だが、生贄の心臓によってその輝きは伸びるであろう!」
「「おおおおおおおおおお!!!!」」
「(太陽、生贄・・・まさか!?ここはアステカ文明か!?)」
アステカ文明、それは生贄の文化が根付いていたという有名な文明の一つだ。太陽はいつか光が消える、その輝きは心臓を燃料として燃え続けられるのだという終末信仰に近いものである。アステカ文明をモデルにした作品で特に有名なのは大人気且つ、名言で有名な『ジ○ジ○の奇妙な冒険』の最初期の冒頭シーンだろう。遊来はそれを思い返していた。
「おい、お前!」
「(ドキッ!)え?」
「ここは危険だぞ?テスカ族に見つかったら生贄にされる。こっちへ来い!」
「え、あ・・!?(ジャック・アトラス!?いや・・・その先祖か?)」
ジャック・アトラスに似た人物に腕を引っ張られたまま村らしき場所に案内されると、自分の身体も原住民のようになっている事に気づく。
「アトラ!帰ってきたか!ん?誰だ?そ奴は?」
「!!(ふ、不動遊星!?いや・・・先祖だよな?同じ事で何回驚くんだよ!俺!)」
「ユウか、どうやらコイツはテスカ族の祭りから逃げてきたようでな」
「そうか、よく頑張ったな。ところで、お前の名は?」
「あ・・ああ、俺は■■■だ(!名前が言えない!?)」
「歓迎する。コッチへ来てくれ」
村の中へ案内されるとそこには所狭しと石像が置かれている。その中に気になるものが目に入った。
「これは・・・赤き竜!?」
「ん?それは、この村の守り神ケツァルコアトル様を模した物だ。知らないのか?」
「あ、ああ・・・あまり外に出ていなかったからさ」
「そうか、テスカ族と星の民であるアトル族との争いも知らないか?」
「ゴメン・・・分からない」
ユウと呼ばれた青年はそれ以降、沈黙してしまった。行動で着いてこいと言っているのが分かり、後へ着いて行く。
ユウが向かった先にはまだ、死んで間もない女性の遺体が横たわっていた。胸元には抉られたような痕があり、心臓が無くなっていた。
「(この女の人・・・『ガーディアン・エアトス』に似てる?)」
「・・・・」
ユウは女性を弔うと、祈りを捧げる仕草をした。遊来も仕草を真似して鎮魂の祈りをする。
「ユウ・・もしかして、この人は?」
「ああ・・・テスカ族に捕まって生贄にされた。俺の親戚だ・・・」
「っ・・・!?」
弔いを終えた後に村へ戻ると、村の長老と言われている老齢の女性が男性4人、女性の巫女を1人指名すると予言を言葉にした。
「其方等5人は我が守護神の眷属を従え、戦う事になろう。その中でもアトラよ、お前は己の魂を荒ぶる炎の如く燃え上がらせ、紅蓮の悪魔をその命と引き換えに封ずる事になる」
長老の女性は遊来に視線を向けると手を差し出してきた。遊来はその手を握ると長老が遊来に予言を言い始める。
「肉体はこの仮初の場に、魂のみが異なる次元・未来から来た来訪者よ。其方はアトラの荒ぶる魂を継承する者なり。継承した後、二つの炎の竜を従え、銀河の眼を持つ闇の竜の記憶を蘇らせるであろう。近い刻、悲しき戦いが起こり、ひと時の別れが訪れる」
「別れ・・・」
「此処での役割は、アトラを見届ける事・・・心せよ」
◇
しばらく生活していた後に皆既日食の日が訪れた。この時を好機とばかりに邪神である地縛神が目を覚まし、それを率いる紅蓮の悪魔が現れた。
赤き竜、ケツァルコアトルと共に五匹の竜達もシグナーとなった者達と共に戦うが、劣勢を強いられている。
「嘘・・・だろ?」
遊来も話でしか聞いていなかったが、ここまで壮絶で劣勢に追い込まれていた事実が信じられなかった。五匹の竜も全てが傷だらけで倒れており、シグナー達も1人を除いて虫の息だ。
「■■■!俺は今、此処で命を懸ける!」
「アトラ!?」
心臓が有る位置に炎が灯っている。それは次第に激しさを増していき、赤く燃え上がり始めた。
「見届けろ!そして、お前が継承し伝えていくのだ!この『境地』を!!うおおおおおおおおお!!」
燃え盛る魂をその手の中へと収めたアトラは、更に己を滾らせていく。その「境地」を目撃した遊来にもその炎が魂の底へと宿った。
「紅蓮の悪魔よ!地の底へと眠れ!!」
「アトラーーー!!」
己の心臓を抜き出し、それを紅蓮の悪魔へと投げつけ封印していく途中で赤き竜が炎を吐き遊来を飲み込むと同時に、その意識は光の中へと沈んでいった。
◇
「っはぁ!」
「おわっ!?びっくりした!遊来、目を覚ましたのか!」
「じゅ、十代?俺は一体?」
「三幻魔とのデュエルの後『琰魔竜レッド・デーモン』の意志に飲み込まれて、俺とデュエルしたんだよ。俺が勝って、そのまま意識を失ったんだ」
「そっか。俺はどの位、意識を失っていたんだ?」
「三時間くらいだな」
遊来は自分が意識を失っている間、アステカで過ごした時間がこちらでは僅か三時間の出来事だった事に内心驚く。
「それよりも、かなり魘されてたけど大丈夫なのか?」
「ああ、大丈夫だよ。悪夢に魘されてただけだからさ」
「そっか、それにしても腹減った~。メシ食いに行こうぜ!」
「そうだな」
身体を起こし、解す為の体操を行うと屈伸し動けることを確認すると食堂へと向かった。途中で鮎川先生から心配され、簡単な診察を行われ問題無しとの事でそのまま出て行った。
「うん、美味い!」
「良いのか?俺まで」
「良いから良いから」
今現在、トメさんとセイコさんの手料理をオシリスレッドの食堂で食事を取っている。白米をメインに豚汁、野菜炒めの大盛りだ。
相当お腹が空いていたのか、二人ともまるでドラ○ン○ールに出てくるサ○ヤ人レベルの食欲を発揮しており、ガツガツと食べ続けている。
「ふぅ・・・美味かったなぁ」
「ああ、本当だぜ!」
「じゃあ、俺は一旦自分の部屋に戻るよ」
「ああ、またな」
◇
「はぁ、後でみんなに謝らないとなぁ・・・」
そんな事を呟きながら自分の寮であるオベリスクブルーの部屋の扉を開けた。
『主様』
『お帰りなさいませ』
『お待ちしておりましたわ』
「・・・・・」
『マスター、また連れ込みですか?』
「待て待て、俺さっきまで保健室に居ただろうが」
思わず扉を閉めてしまう遊来。ルインが睨みを聞かせてくるが、それをいなして自分の部屋は間違っていないと確認する、誰も居ないはずなのに間違いなく三人の女性がいた。もう一度改めて、部屋の扉を開ける遊来。
「・・・・」
『『『お帰りなさいませ、主様』』』
三人は和装をして「赤」「黄」「青」を主色にした着物を着ており、髪の色も三色に黒いメッシュが入っている。
「・・・オタクら、誰?」
『分かりませんか?私達は』
『貴方と遊城十代が戦った』
『三幻魔ですわ』
「はあああああああ!?」
遊来は素っ頓狂な声を上げてしまう。それもそうだろう、目の前にいる三人の女性が自らを三幻魔だと言っているのだから。
『信じられませんか?』
『では』
『証明しましょう』
三人はそれぞれ、三幻魔の特徴である翼や尾びれなどを出現させ、本来の姿となった。余りにも巨大な姿に遊来も納得せざるを得ず「分かった」としか返せなかった。
「じゃあ、質問タイムに入っていい?」
『『『どうぞ』』』
「じゃあ、最初の質問。封印されたはずなのになんで此処に居る?」
『それはですね』
『封印される間に分霊を作り出し、それに意識を乗せ主様が持っているカードへと』
『宿らせて頂きましたわ』
「!??」
遊来はまさかと思い、自分の机の上を確認する。そこには出しっぱなしにしてある『自分の世界』の三幻魔のカードがあった。
「だ、出しっぱなしにしてたー!」
『おかげさまで』
『宿るのは』
『簡単でしたわ』
「うう・・・じゃあ、次の質問。なんで俺の所に来た?」
『主様が』
『我らのカードを』
『お持ちになっていましたので』
それを聞いて遊来は膝から崩れ落ちた。自分と一緒に飛ばされてきたカードが原因となってしまったのだから。それも究極の精霊とされる三幻魔が宿ってしまった事が何とも言えない状態だ。
「じゃあ、此処からは疑問点を指摘する。何で和服、それも着物なんだ?」
『主様が』
『この国の正装を』
『大のお気に入りと聞きましたので』
「ぐはあああっ!?誰から聞いた!」
『『『あの子達です(わ)』』』
そう言って視線を向けた先に居たのは『妖怪少女』達だった。彼女達は全員オドオドしながら、遊来に謝ってきた。
『ごめんなさい・・・!』
『教えないと・・・って言われて・・・・怖くて』
「はぁ・・・怒る必要もないことだから良いよ」
そう、遊来は大の和物好きであり、食事、甘味、建物なども和物好きなのだ。アニメなどのキャラクターも純粋な和装、和装をモチーフにしたキャラクターが好きで夢中になってしまう。
「それと、隠れてないで出てきなよ。もう一人の精霊さん」
『あ、バレてましたか?』
『え?エアトス!?』
『お久しぶりです、ルイン』
「え!?『ガーディアン・エアトス』!?」
『はい』
気配を隠していた精霊は『ガーディアン・エアトス』だった。それもルインと顔見知りの様子で、遊来は驚きを隠しきれていない。
『ルインの力に引っ張られたんです。ルイン自身、私に用があるとも言ってませんでしたし』
『そうですね・・・』
「????」
ルインの話によるとエアトスはガーディアンの長らしく、他のガーディアンモンスター達はそれぞれが守りについているらしい。
その中でもエアトスは、天使族の統治する世界へ通ずる道を守護しているそうだ。守る事に特化している彼女が呼ばれた事には何かしら意味があるのだろう。
「とりあえず、問題は三幻魔だなぁ・・・」
『『『何故ですか?』』』
「三幻魔の速攻召喚のためのカード。特にサーチカードを俺、持ってないんだよ」
それを聞いた三幻魔の三人は固まってしまった。自分達が活躍できると考えていた為にショックを受けてしまったのだろう。
「だから、三幻魔デッキは組めないんだ。それ以上にこの世界で三幻魔を操ったら大変なことになる。ごめんよ」
『・・・不服ですが』
『仕方ありませんね』
『それでも、我ら・・・主殿をお守りしますわ』
三幻魔の三人は綺麗な和式の一礼で、遊来への礼儀を見せた。だが、遊来は自分が何故、ここまで守護されるのかを疑問に思っていた。
「(まさか・・・二年生時の驚異から俺を?それに悲しい戦いがあるって・・・それに此処に来てからずっと見てるあの夢・・・ああ!もう!!色々有り過ぎて混乱しそうだ!)」
『新たな主となる方、私もよろしくお願いします』
「っ!ああ、それとエアトスに聞きたいんだけど」
『なんでしょう?』
「貴女はあの人の精霊じゃないのか?」
遊来が言った「あの人」とはガーディアンデッキを使いこなす決闘者、ラフェールの事だ。彼が持つガーディアンのカード達はそのほとんどが精霊を宿している。もし、自分の所に来てしまっていたら?という疑念があって聞くことにしたのだ。
『いえ、あの「ガーディアン・エアトス」と私は同一でありながら別の個体なのです』
「まるでF○teのサーヴァントみたいだ」
『その認識に近いものですよ。同一のカードの精霊が一人だけとは限りませんが、伝説の決闘者が使ったカードは殆どが同一の精霊です。例えば「ブラック・マジシャン」は古代エジプトの神官の魂が宿っていますし、この世界のヒーローのカードもそうです』
「なるほどねぇ・・・」
エアトスの説明を聞いて納得してしまう遊来。精霊と一言で言っても個体別があるのを初めて聞いたからだ。
『主様』
『我らとも』
『お話してくださいませ』
和装した三幻魔も迫ってくる。傍から見ればスタイルが抜群で赤い髪、金髪、青い髪に黒のメッシュがそれぞれ入った大人の女性達だ。流石の遊来もドギマギしつつ赤面してしまう。
『マスタ~!?』
「仕方ないだろー!」
ルインの嫉妬を受けつつ、三幻魔の三人とガーディアン・エアトスを向かえ、次なる脅威へ備える事となった。
◇
その深夜、誰もが寝静まった夜。遊来もベッドで休んでおり、『妖怪少女』『三幻魔』も全員眠っている。そんな中、オベリスクブルーの寮の屋上に2体の精霊がいる。
『来てくれたわね、「ガーディアン・エアトス」』
『ルイン?いえ・・・貴女は別の方ですね』
『流石は守護者の名を冠するだけあって、見抜かれちゃうわね』
『貴女は誰ですか?貴女が私を呼んだのでしょう』
ルインの隣に薄い姿で顔を仮面で覆い、白い鎧と青髪の女性の姿が現れる。
『私はメラグ・・・このルインに魂の半分を宿している存在。普段は出られないけど、貴方に頼みたい事があって出てきたわ』
『私に・・・頼みごと?』
『そう、予感だけど。このルインが消えてしまう予感がするの』
『!?』
エアトスはメラグの言葉に目を見開く、このルインが消えてしまうかもしれないと言われたからだ。それは消滅なのかと頭を過る。
『それは、ルインが消滅してしまうということですか?』
『そこまでは分からないわ。けれど、それがアルタイスにとって最大の苦しみになる事は間違いないわ』
『??アルタイス?』
『彼は光と闇を併せ持つ者、境地へのキッカケは掴めた。おそらくは次の戦いで境地を掴み、全てを思い出すわ』
メラグからの言葉を黙って聞き続ける。彼女の言葉を聞く度に分かる、彼女はアルタイスと呼ばれる人を好いているのだと。
『話が逸れたわね。もし、ルインの意志が居なくなってしまったら、その間、貴女が守護して欲しいの。彼女のマスターをね』
『・・・その為に私を?』
『守護に関しては守護者に任せるのが一番、私はメラグでありルインでもある。だから貴女を呼んだの』
『・・・良いでしょう。親友の頼みとして聞きます』
『ごめんなさいね・・・利用する形になってしまって』
『いいえ、貴女の意志はルインの意志でもありますから』
その後、二人は屋上から去った。この後に破滅の光との戦いが始まり、遊来が「境地」を手にするのはまだ先の話。
次回は隼人の一足早い卒業式になります。
三幻魔はあくまでも分霊なので本体は封印されてます。
女性化ウリア(CV植田佳奈)
女性化ハモン(CV石川由依)
女性化ラビエル(CV真田アサミ)という感じです。
着物姿に髪のメッシュは作者の趣味ですw。遊戯王で和風というと「不知火」や「魔妖」がありますが登場させるかアンケートにします。
※カードはあってもリンクは使いません
※前回の恋人アンケートはルインに決まりました。メラグの魂、強い。
「不知火」と「魔妖」は登場させるべきか?
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登場させる
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登場させない