手にした竜騎士と破滅が気難しい   作:アマゾンズ

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隼人の旅立ち


第28話

本日は通常授業日、各々が好きな絵を描くというもので、モノクロやカラーなどは問わず、描くものも自由だそうだ。

 

「こんな所かな」

 

「お?遊来、出来たのか?見せてくれよ!」

 

「ラフ画でしか描けないけどな」

 

遊来がラフ画で描いたのは『ギャラクシーサーペント』だ。星を描く事は出来ないが、ベタなどで宇宙空間の暗さを表現する事で、白紙部分が色であるように映っている。

 

「おお~!すっげえ・・・!これって、ドラゴンだよな!?」

 

「ああ、チューナーモンスターのな。十代のは?」

 

「俺のはコレさ!」

 

笑顔で見せられた絵は子供の絵本などにあるイラスト調で、HEROが描かれていた。

 

「へぇ、温かみのある絵だな」

 

「そっか?俺は遊来のようにカッコイイ絵が羨ましいけどな!」

 

「二人共、絵が描けるのが羨ましいッスよ」

 

それぞれが見せ合ってる中、隼人の席が盛り上がりを見せている。それが気になって、隼人が座っている席へ視線を向ける。

 

隼人のカンバスには風景画が描かれており、それを見た翔と十代が口を開く。

 

「うわぁ、すごーい!」

 

「綺麗な漬物石だな!」

 

「(ガクッ)十代、これは漬物石じゃなくてだな!」

 

「何言ってんッスか!オーストラリアの『エアーズロック』ッス!」

 

「そうそう(待てよ、エアーズロック・・・そうか!という事は今日が隼人のスカウトの日か!)」

 

「エアーズ・・・ロック?」

 

「世界の中心と言われているアボリジニの聖地なんだな」

 

「細かく言うと『エアーズロック』は、昔のイギリスの探検家が、探検行の途中で発見して、当時の南オーストラリア植民地首相の名前にちなんで名付けられたと言われてるんだ。因みに世界で二番目に大きな単一の岩石で『世界の中心』との意味合いで『地球のヘソ』とも言われてる」

 

「その通りなんだな、俺にとっても大切な場所なんだんだな」

 

「なるほどなぁ」

 

※現在『エアーズロック』は2019年10月25日の夜を以って、観光客向けの登山が恒久的に禁止されています。

 

『あー、シニョール前田・・・シニョール前田。校長室までちょこっと来るノーネ。それとシニョール遊来、シニョール前田の話の後に校長室まで来て欲しいノーネ。話が終わり次第、連絡するノーネ』

 

「?」

 

「隼人だけじゃなく遊来も?」

 

「隼人は進級の事かな?」

 

「遊来くんは分からないッスね」

 

 

 

クロノス教頭に呼ばれた隼人は校長室へと向かい、中へ入ると鮫島校長とクロノス教頭が居た。

 

「あの・・・お話って、進級の事ですか?」

 

不安そうな隼人に対し、鮫島校長は軽く笑った後、本題を口にする。

 

「ハハハ、前田君。今日呼んだのは、君の将来についての話です」

 

「はぁ・・・」

 

「コレを」

 

鮫島校長はそう言うと1枚のカードを手渡した。そのカードを見て隼人は驚きを顔に出す。

 

「このカードは!?」

 

「君のデザインしたカードが、インダストリアルイリュージョン社が主催するコンテストで優勝したのです」

 

「え、本当ですか!?」

 

隼人は自分のイラストがデュエルモンスターズを生み出している会社が主催するコンテストにおいて、優勝したと聞き信じられない様子だ。

 

「ホントデース、隼人ボーイ。グッドイマジネーション!ユーの作品は素晴らしい!ソーグッド、デスからデュエルモンスターズの正式カードとして採用する事にしマース!」

 

デュエルモンスターズの生みの親であるインダストリアル・イリュージョン社の会長であるペガサスからの言葉に、隼人は思わず笑みを浮かべる。

 

「アーンド、もし・・・デュエルアカデミアが推薦してくれるナーラ、正式にデュエルカードデザイナーとして我が社に迎えたいのデース!」

 

そこでペガサスからのメッセージはそこで終わってしまう。

 

「私は君の才能を認め、インダストリアル・イリュージョン社に推薦しようと思っています」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「鮫島校長、ちょっとお待ちーを!」

 

「何ですか?」

 

「シニョール前田は、留年しているノーネ!私はドロップアウトボーイを推薦する事は出来無いノーネ!」

 

「ま、まぁ・・・確かにクロノス先生の仰る事分かりますが・・・」

 

「ただし、明日の実技試験で私に勝てば、認めても良いノーネ!」

 

「実技試験・・・」

 

「しかーし!結果次第では即刻、退学処分も有るノーネ!!」

 

「前田君、厳しいようですが今回の実技試験、頑張ってみてください」

 

「一切手加減するつもりは無いノーネ」

 

「うええ・・・」

 

実技試験に関しての不安を胸に隼人は、校長室から出ると扉の前にいた十代達と共に戻っていった。

 

 

その10分後、今度は遊来が校長室に入ってくる。クロノス教頭、鮫島校長、今度はペガサスまでもがオンラインで参加している。

 

「あの・・・俺になんの御用でしょうか?」

 

「ええ、前田君の話は聞きましたか?」

 

「え?はい、なんでもインダストリアル・イリュージョン社のイラストコンテストで優勝したとか」

 

「はい、それと同時に貴方の意見が欲しいのです」

 

「え?」

 

「シニョール遊来、アナタはドロップアウトボーイだったシニョール前田を成長させたと聞いているノーネ」

 

「え?まぁ・・・焚きつける事はしましたけど」

 

『遊来ボーイ、ユーから見て隼人ボーイは学生から脱却出来ると思いマスか?隼人ボーイは是非とも欲しい人材なのデース』

 

「!」

 

ペガサスの言葉で遊来はハッとする。そうだ、隼人がもし推薦されれば彼は一足先に社会人になる。それは守られる立場からの卒業ということにもなるのだ。

 

「隼人は夢が出来たと言っていました。デュエルは好きでもプロになれる程の力はない。けど、デュエルに関わっていきたいって・・・カードデザイナーになりたいって宣言してましたよ」

 

「初耳ナノーネ・・・」

 

「まぁ、コレは彼のお父さんが来た時に言っていた事でしたから。俺は彼ならきっとインダストリアル・イリュージョン社へ入ってもやっていけると思いますよ。ですが・・・」

 

「なんでしょう?」

 

「まだ、踏ん切りがついていないみたいなんです。だから、もう一度、発破をかけてみます」

 

『遊来ボーイ、頼みマシタよ』

 

「はい!」

 

遊来は自分が使っている『ドラグニティ』が隼人に敗北している事は口にしなかった。それを口にしてしまえば、自分の鶴の一声だと思われてしまうし、何よりも隼人の為にならない。

 

折角のチャンスを他人の力ではなく、自分の力で勝ち取って欲しい。遊来はそう考えているのだ。

 

その夜、遊来は隼人を呼び出して話をする事にした。進級試験の前ではあるが1対1で話すべきだと思ったのだ。

 

「隼人」

 

「遊来、俺に話って何なんだな?」

 

「ああ、進級試験。勝つ気で挑むんだろう」

 

「もちろんなんだな・・・だけど、このデッキがクロノス先生に通用するか不安なんだな・・・」

 

そう言って隼人はデッキを取り出して、自分の手の中に収め見つめる。皆で組み上げた獣族の統一デッキ、下準備が必要にはなるが、それでも爆発力は十代のHEROにも引けを取らない。

 

「なんだ、そんな事か」

 

「むっ、そんな事とは何だ!?」

 

「あ、ごめんごめん。バカにした訳じゃないって、確かに生徒相手なら今のお前はオベリスクブルーの下位にも勝てる力があるさ。けど、教師相手に戦った事がないから不安なんだろう?」

 

「う、うん・・・その通りなんだんだな」

 

「じゃあ、思い返してみなよ。俺の『ドラグニティ』と戦った時をさ」

 

「遊来の『ドラグニティ』と戦った時・・・あっ!」

 

「な?」

 

遊来に言われて隼人は思い出したように声を上げた。忘れもしない、全力で戦ってくれた竜騎士達の姿を鮮明に思い出す。倒されても倒されても立ち上がってくる姿に隼人は感動を覚えた事もあった。

 

自分が絶対に勝利できる時に戸惑った時も、遊来は絶対に躊躇するなとも教えてくれた。そのおかげで『ドラグニティ』にリベンジを果たす事もできたのだ。

 

「ありがとう遊来、俺・・・やってやるんだな!」

 

「その粋だ!だけど、そのデッキの基本の動きを忘れたらダメだぞ?それと、俺からアドバイス、バトルフェイズの前のタイミングを忘れるなよ」

 

「バトルフェイズの前のタイミング・・・分かったんだな。俺、少しだけデッキを回したら寝る事にするんだな」

 

「おう、気張っていけよ。それと楽しむ事も忘れずに」

 

「ああ!それと、遊来にお願いがあるんだな」

 

「俺に?」

 

「うん」

 

 

 

そして翌朝、隼人はクロノス教頭の前に立っている。ギャラリーには隼人をよく知るメンバーが集まっている。

 

十代を始めとしたメンバー達で、もちろん遊来も来ており進級試験を見に来ているのだ。

 

「シニョール前田!これより進級試験デュエルを始めるノーネ!」

 

「すぅ・・・ふう・・・はい!」

 

「ぬ?先攻はシニョール前田に譲るノーネ!」

 

「よろしくお願いします!それと始める前に・・・」

 

「?何をするノーネ?」

 

隼人はデュエル前に深呼吸をして自分を落ち着かせた。デュエルディスクを構えるがライフポイントの表示部分が点滅している。

 

「お、おい!遊来、アレって!」

 

「ああ、隼人に頼まれて共有状態にしたのさ」

 

そう、遊来は何故かデュエルディスクを持ってきていた。だが、その疑問もすぐに解決する。それは試験が始まる一時間も前の事だ。

 

『遊来、俺にも変身機能を使わせて欲しいんだな』

 

『良いけど、何かお気に入りがあるのかい?』

 

『○鬼かビー○トをお願いしたいんだな』

 

『分かったよ』

 

そういった経緯があり、隼人の手には変身音叉『音角』が握られている。バチンと折り畳まれていた『音角』を展開するとその先端を自分の手の甲に軽く当てて、キィーンという高い音と共に先端から波紋のような物が出ている。隼人はそのまま、自分の額に『音角』を近づけていき、額から鬼の顔のような文様が出ていた。

 

「ぬぬ?」

 

「ハアアアア・・・・たぁ!」

 

紫色の炎に包まれたかと思えば、それを振り払うとそこには一人の鬼が居た。心優しくも未来への一歩を厳しくも進んでいく決意を固めた鬼が。

 

「な、何なノーネ!?(そういえば、シニョール遊来から聞いていた事があるノーネ、海馬コーポレーションで新しいシステムを開発し、その体験データを集めていると。シニョール前田の姿が変わったのはそのシステムを使っているからナノーネ?)」

 

クロノス教頭は遊来の方へと視線を向け、その視線に気付いた遊来は「ごめんなさい」のジェスチャーをしている。

 

「(仕方ないノーネ、デュエルに影響は無いようなので続行するノーネ)」

 

「「デュエル!!」」

 

前田隼人(仮面ラ○ダー○鬼):LP4000

 

クロノス教頭:LP4000

 

「俺のターン、ドロー!俺はモンスターをセット!更に手札から魔法カード『迷える仔羊』を発動するんだな!!」

 

「ぬぬっ!?」

 

場に2体の羊トークン(攻守0)が現れ、更にはセットモンスター。手札2枚でのモンスター3体の展開、これだけでも隼人自身が無駄に時間を過ごしていた訳ではないとクロノス教頭は感じ取れた。

 

「更にカードを2枚伏せて、ターンエンドなんだな」

 

「私のターン、ドロー!(シニョール前田の手札は残り2枚、それデーモ・・・2枚のカードを使って3体のモンスター展開は見事ナノーネ。おそらくは伏せカードのタイミングも見図られているノーネ)」

 

「魔法カード!『磁力の召喚円 LV2』を発動するノーネ!」

 

「なっ!?」

 

「おいおい、ホントに手加減無しか!?」

 

三沢の驚きと万丈目の呟きから、クロノス教頭が本気を出しているのが伺える。だが、デュエルアカデミア実技担当最高責任者として、私情を持ち込むことは出来無い。これがクロノス教頭の考えであり、ポリシーなのだ。

 

「このカードの効果により、手札の『古代の歯車』を特殊召喚!更に自分フィールド上に『古代の歯車』が表側表示で存在する時、手札からこのカードを攻撃表示で特殊召喚する事ができるノーネ!よって、もう1体の『古代の歯車』を特殊召喚するノーネ!更に2体の『古代の歯車』を生贄にして『古代の機械巨人』を通常召喚!」

 

「っ!!」

 

「(普通なら、トークンを攻撃するべきナノーネ・・・けれどもし、あのセットモンスターが反転召喚され、相手モンスターを破壊するモンスターだとしターラ・・・)」

 

此処でクロノス教頭が一瞬だけ、迷いを見せた。もしも、隼人がセットモンスターだけを出して居たならば迷わなかっただろう。だが、トークンが居るとは言えど場にはセットを含めた3体のモンスター、破壊による誘発があれば恐ろしい事になる。

 

「『古代の機械巨人』でセットモンスターを攻撃!アルティメット・パウンド!」

 

反転したモンスターは『デス・コアラ』だった。守備力は1800であり、『古代の機械巨人』の攻撃力よりも低い。

 

「『古代の機械巨人』は守備モンスターを攻撃した時、攻撃力が相手モンスターの守備力を超えていレーバ!」

 

「貫通ダメージを与えてくる!うあああっ!気張れ!俺の『デス・コアラ』!」

 

前田隼人(仮面ラ○ダー○鬼):LP4000→2800

 

『デス・コアラ』は『古代の機械巨人』の拳を止めながら、最後の足掻きでクロノス教頭へ爪の斬撃を繰り出した。

 

「『デス・コアラ』のリバース効果!相手の手札1枚につき、400ポイントダメージを与えるんだな!クロノス先生の手札は2枚!よって、800ポイントのダメージなんだな!!」

 

「だああ、ぐうう!」

 

クロノス教頭:LP4000→3200

 

「出た、隼人君の得意のコアラバーン!」

 

「ああ、僅かとはいえどダメージを与えたぜ!」

 

「ぬぬう、ターンエンド・・・ナノーネ」

 

「俺のターン、ドロー!俺は羊トークン2体を生贄に『ビッグ・コアラ』を通常召喚!更に魔法カード『一族の結束』を発動!」

 

「『一族の結束』ですと!?(シニョール前田のデッキにそんな魔法カードが!?)」

 

「『一族の結束』?あんな扱いの難しいカードを?」

 

明日香は隼人のデッキが進化しているのを知らない。知っているのはデッキを一緒に組み上げた十代、翔、遊来、そして同じオシリスレッドでテーブルデュエルを偶然見た万丈目だけだ。

 

「(扱いの難しい・・・か、種族を考えてなければ、そう見えるだろうさ。けど、今の隼人は一回りも二回りも違うぜ?)」

 

「『一族の結束』は自分の墓地の全てのモンスターの元々の種族が同じ場合、自分フィールドのその種族のモンスターの攻撃力は800アップする永続魔法なんだな!俺の墓地には獣族の『デス・コアラ』が1体だけ!よって同じ獣族の『ビッグ・コアラ』の攻撃力が800ポイントアップするんだな!」

 

『ビッグ・コアラ』攻撃力2700→3500

 

「デメリットのない状態で攻撃力3500!?」

 

「まさか、隼人のデッキは!?」

 

勘の良い三沢はデッキの特徴に気付いた様子だ。だが、隼人の目にはクロノス教頭と同じ位置に遊来の幻影が立っているのが見えていた。

 

落第していていようと、デュエルに対する面白さや厳しさを教えてくれ、自分が好きなカードを活かす事を主体にデッキを組むアドバイスをくれた友人。

 

更には『ドラグニティ』達と共に全力で戦ってくれたのを思い返す。友人間のデュエルだったとはいえ、あそこまで自分の中から熱い気持ちが出てきたのは初めての体験だった。

 

必ず勝てる時は躊躇するなとも言ってくれ、攻めの姿勢を改めて教えられた。

 

「俺はやるんだな!『ビッグ・コアラ』で『古代の機械巨人』を攻撃!ユーカリボム!」

 

『ビッグ・コアラ』の勢いを付けた体当たりに『古代の機械巨人』は耐え切れず破壊され、その余波がクロノス教頭へ襲いかかる。

 

「ぬああああ!?」

 

クロノス教頭:LP3200→2700

 

「よし、僅かだけど隼人がライフを逆転させた!油断するなよ!隼人!!」

 

遊来の言葉に十代と翔が頷き、隼人も力強く頷く。隼人の実力は自分が思っている以上に上がっている、それが自覚出来ていないだけで、自分のデッキに対するプレイングは身体が動くように自然と身についている。

 

「ぬぅ・・・!(まさか、此処までとは思わなかったノーネ!ドロップアウトボーイだったアナタが、確実な成長をしているのを認めなくてはならないノーネ!)」

 

クロノス教頭も生徒の成長は内心嬉しいものだと感じている。目の前に居るのは一年前に落第した生徒ではなく、自分の夢と道を見つけだした生徒なのだと。

 

「俺はこのまま、ターンエンドなんだな」

 

「私のターン、ドロー!ナノーネ。私は速攻魔法!『サイクロン』を発動!」

 

だが、隼人の勢いを止めるカードをクロノス教頭が引いてしまい、これには隼人も驚く。

 

「えっ!?」

 

「このカードの効力により、『一族の結束』を破壊するノーネ!」

 

突風によって『一族の結束』が破壊されてしまい、『ビッグ・コアラ』の攻撃力が元に戻ってしまった。

 

『ビッグ・コアラ』攻撃力3500→2700

 

「ううっ!?(いや、これは当然の事なんだな!冷静に場面を見つめ直すんだな)」

 

「更に魔法カード『おろかな埋葬』を発動!『トロイホース』を墓地へ『早すぎた埋葬』を発動するノーネ!ライフを800ポイント払い、墓地の『トロイホース』を特殊召喚!更に『トロイホース』を生贄に、この時『トロイホース』は地属性モンスターを生け贄召喚する時、1体で2体分とする事が出来るノーネ!これにより手札の『古代の機械巨人』を通常召喚するノーネ!」

 

「なぁっ!?」

 

クロノス教頭:LP2700→1900

 

「『古代の機械巨人』で『ビッグ・コアラ』を攻撃!アルティメット・パウンド!」

 

前田隼人:LP2800→2500

 

「うああ!まだなんだな!これで、必要な条件が揃ったんだな!俺のフィールド上の獣族モンスターが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地に存在する獣族モンスター2体をゲームから除外する事で、このカードを手札からこのカードを特殊召喚するんだな!現れろ!『森の狩人イエロー・バブーン』!!」

 

「な、なんデスート!?」

 

『森の狩人イエロー・バブーン』効果/星7/地属性/獣族/攻撃力2600/守備力1800

 

「すごい!上級モンスターが途切れない!」

 

「ああ、けど・・・これで隼人の墓地には獣族のモンスターが居なくなっちまった。『一族の結束』は使いにくい状況だぜ」

 

「カードを1枚セットしてターンエンド、ナノーネ」

 

「俺のターン、ドロー!俺は伏せておいた二枚のカードのうちの一枚である速攻魔法を使うんだな!『異次元からの埋葬』!!このカードは除外されている自分及び相手のモンスターの中から合計3体まで対象として発動でき、そのモンスターを墓地に戻す事が出来るんだな!俺は『ビッグ・コアラ』と『デス・コアラ』の二枚を選択して墓地へ戻すんだな!」

 

「上手い!これでまた『一族の結束』を引き込んでいれば!」

 

「(今の俺の手札に『一族の結束』は無いんだな・・・けど、手札には『強欲な壷』がある・・・!これに賭けるんだな!今、俺が変身しているこの姿へ変わる本来のあの人のように!)俺は『強欲な壷』を発動!カードを二枚ドロー!更に『天使の施し』を発動!さらにカードを三枚引いて、二枚を捨てる!」

 

隼人は変身している状態ではあるが、目の部分だけを解除していた。それにより、クロノス教頭は隼人の目を見て笑みを見せている。

 

「シニョール前田、良い目をしているノーネ!」

 

「(!引いた!)二枚目の『一族の結束』を発動するんだな!」

 

「此処で二枚目を引き込んだのか!?」

 

「すっげえぜ!隼人!」

 

「『森の狩人イエロー・バブーン』の攻撃力がアップ!更に俺は手札から『エアーズロック・サンライズ』を発動!このカードは1ターンに1枚しか発動できない。自分の墓地の獣族モンスター1体を対象として発動でき、その獣族モンスターを特殊召喚し、相手フィールドに表側表示モンスターが存在する場合、それらのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、自分の墓地の獣族・鳥獣族・植物族モンスターの数×200ダウンさせるんだな!」

 

『森の狩人イエロー・バブーン』攻撃力2600→3400

 

「スプレンティード!素晴らしいノーネ!」

 

「あの朝の太陽のように、俺は自分の夢を諦めない!『ビッグ・コアラ』を墓地から蘇生させ、更に俺の墓地には獣族『デス・コアラ』とコストで捨てた『コアラッコ』の2体!よって、400ポイント攻撃力をダウンさせるんだな!」

 

『古代の機械巨人』攻撃力3000→2600

 

「更に魔法カード『融合』を発動!手札の『デス・カンガルー』と場の『ビッグ・コアラ』を融合して『マスター・オブ・OZ』を融合召喚!『一族の結束』により攻撃力をアップ!」

 

『マスター・オブ・OZ』攻撃力4200→5000

 

「攻撃力5000と3400!!」

 

「すごい・・・!隼人のデッキは種族統一デッキになり、ここまで進化していたのか」

 

「あそこまでデッキを変えたの貴方の仕業ね?」

 

「さぁ?俺はアドバイスしただけだもの」

 

明日香からの追求をサラリと避ける遊来。明日香は当然嘘だと見抜いている、何故なら自分のデッキもガチガチになる魔改造の提案を出したのが遊来だったからだ。だが、デュエルの神は隼人に試練を与え続ける。

 

「罠カード『威嚇する咆哮』を発動!このターンの攻撃宣言は出来無いノーネ!」

 

「うっ!ターンエンド」

 

「防御が完璧だな、だが・・・どう対処してくる?」

 

「私のターン、ドロー!ナノーネ。私も『強欲な壷』と『天使の施し』を発動するノーネ!更に『死者への手向け』を発動!手札を1枚捨てる事で『マスター・オブ・OZ』を破壊するノーネ!」

 

「うわっ!?『マスター・オブ・OZ』が!」

 

「更に魔法カード『攻撃封じ』を発動!『森の狩人イエロー・バブーン』を守備表示に変更するノーネ!」

 

「そんな・・!」

 

「『古代の機械巨人』で守備表示の『森の狩人イエロー・バブーン』へ攻撃!!アルティメット・パウンド!」

 

前田隼人(仮面ラ○ダー○鬼):LP2800→2100

 

「うあああ!うう・・・俺のモンスターが全滅!」

 

「(これは重いぞ、勝てる布陣を完璧に崩されたんだ。持ち直す事ができるか?布陣だけじゃなく、自分自身をもだ)」

 

隼人は超強力な自分の布陣を崩され、僅かとはいえライフポイントも削られてしまった。此処から持ち直すのはプロデュエリストでも難しいだろう。それ程までに逆転が難しい盤面をひっくり返されたのだ。

 

「っ・・・いや、俺は最後まで抗うんだな!(『一族の結束』もまだある!負けた訳じゃないんだな!)」

 

「むむっ!?(あの目は、まだ諦めていないノーネ!)ターンエンド、ナノーネ」

 

「俺のターン、ドロー!(盤面と手札をよく見ろ・・・!どうすれば勝てるかを見極めるんだな)」

 

「俺は『吸血コアラ』を召喚!『一族の結束』の効果で攻撃力アップ!」

 

『吸血コアラ』攻撃力1800→2600

 

「ダメだ、『古代の機械巨人』の攻撃力は3000に戻ってる!いくらパワーアップしても無理だよ・・!」

 

翔の言葉は最もだろう。だが、遊来と十代は笑みを浮かべたままデュエルの様子を見ている。たった一箇所、逆転出来る部分を隼人自身が見つけ出し、そこを突破できれば勝つ事が出来る。

 

「(伏せカードは罠カード、手札をよく見るんだな・・・きっと、きっと逆転が・・・!そうか・・!コレを使えば逆転出来るんだな!!)」

 

「んん!?」

 

「俺はメインフェイズに伏せカード『幻獣の角』を発動!『吸血コアラ』の攻撃力を更に800ポイントアップさせるんだな!」

 

『吸血コアラ』2600→3400

 

「『古代の機械巨人』の攻撃力を上回った!」

 

「だが『古代の機械巨人』を倒してもクロノス教頭のライフは残ってしまう!」

 

「(いや・・・逆転の手が手札にあるんだろ?隼人)」

 

「更に俺は手札から魔法カード『野生開放』を発動!『吸血コアラ』の攻撃力を更に守備力分アップ!」

 

『吸血コアラ』3400→5200

 

「こ、攻撃力5200!?」

 

「行けえ!『吸血コアラ』!『古代の機械巨人』に攻撃!」

 

それは隼人が遊来からのアドバイスを受けた時、初めてもらったカードだった。自分だけじゃない、友がくれたカードが逆転の一手となったのだ。

 

「ぬわああ!!」

 

クロノス教頭:LP1900→0

 

この瞬間、全てのソリッドヴィジョンが消え、決着がついたのだ。隼人は以前のように信じられない様子で呆然としている。

 

「お、俺・・・勝ったの・・・か?」

 

ギャラリーに居るメンバー達は立ち上がって拍手している。勝利もそうだが、何よりも最後まで勝利を目指して戦い抜いた事に対しての賞賛だ。

 

「シニョール前田」

 

「は、はい」

 

「見事なデュエルだったノーネ!戦術、デュエルに対する姿勢、最後まで向かってくる心意気、どれも素晴らしかったノーネ!」

 

「う・・・ううう」

 

「勝者が涙を見せるものじゃないノーネ、進級試験はアナタの勝利。デュエルアカデミア実技担当最高責任者として、アナタをインダストリアル・イリュージョン社に推薦するノーネ!」

 

「クロノス先生・・!」

 

「シニョール前田、アナタは私の誇りナノーネ!」

 

クロノス教頭と隼人が握手を交わし、互の健闘を湛え合った。

 

 

 

 

そして、進級試験の翌日。隼人はインダストリアル・イリュージョン社からの迎えの飛行機に乗り込もうとしていた。

 

「おーい、隼人!」

 

「遊来!?」

 

「はぁはぁ・・・良かった、ギリギリ間に合って!」

 

「どうしたんだな?」

 

「コレを渡しておこうと思ってさ!」

 

「これは・・・?写真と『ドラグニティ』のカード!?」

 

遊来が手渡したのは皆で取ったデジタル写真と『ドラグニティ・ブラックスピア』のカードだった。

 

「そうさ、再会の証にな。俺以外の皆とは挨拶を済ませてあるんだろ?」

 

「ああ、もう済ませてあるんだな。遊来・・・」

 

「ん?」

 

「俺がこうして旅立てるようになったのは、遊来のおかげなんだな。ありがとう」

 

「何言ってるんだよ。それは隼人自身が掴み取ったんだろ?それに離れてても俺達は友達だ」

 

「ハハハ・・・それ、十代にも言われたんだな」

 

「そろそろ、時間じゃないのかい?」

 

「うん、じゃあ・・・行くんだな」

 

「気張っていけよ!」

 

「おう!」

 

軽く拳をぶつけ合うと隼人は飛行機に乗り込み、旅立っていった。遊来は仮面ラ○ダー○鬼の主人公が行う人指し指と中指を伸ばして敬礼のようなポーズを行い「シュッ」という仕草をして見送った。別の場所でも隼人の乗った飛行機を十代達も見送っていた。

 

「気張れよ、隼人」

 

飛行機の中、遠ざかっていくデュエルアカデミアを窓から見つめながら、隼人は思いを馳せた。

 

「翔、十代、遊来、みんな・・・俺、気張るよ!」

 

涙が溢れそうになるのを堪え、席に戻り遊来から手渡された『ドラグニティ・ブラックスピア』のカードを見つめる。

 

「きっとまた、会える。そんな気がするんだな」

 

飛行機は青空を飛び続け、旅立っていく。別れは新たな始まり、それが隼人自身が歩き出す事だ。新たな決意を胸に隼人はアカデミアから旅立っていった。




次回は卒業模範デュエル回となりますが、遊来が再び悪者役をやります。

しかしデュエルの棋譜を考えられる方々はすごいです、脱帽します。

遊戯王小説のデュエル場面を見ていてつくづく、そう考えています。

※魔妖に関してですが、リンク召喚のカードである雪女をどうするか、ご意見を頂けると嬉しいです。

ですが、リンク召喚は使いません。

「不知火」と「魔妖」は登場させるべきか?

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